【レビュー】ロボティクス・ノーツ [評価・感想] 骨格は良いのに肉付けで台無しになった作品

世界を救うのはヒーローじゃない―――オタクだ。

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ROBOTICS;NOTES (通常版)/PS3 / Xbox 360 / PSV

2012年6月に発売された科学アドベンチャーゲーム、PS3/Xbox 360「ロボティクス・ノーツ」。

トゥルーエンドを終えて、プラチナトロフィーを獲得したと言う事で本記事ではネタバレしないように本作を完全レビューして行きます!
※2014年6月にはリメイクされたPSV「ロボティクス・ノーツ エリート」が発売されていますが、今回レビューしたのはPS3版です。

主な目的

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本作の目的となるのは、自分たちが作ったロボットで万博に出場する事!

主人公たちは高校生でロボット研究部に所属していて、「ガンヴァレル試作1号機」を日々作り続けています。

しかし、「ガンヴァレル試作1号機」を組みたてる予算、人材が足りなくて、主人公たちは困ってしまうのです。

そんなロボット研究部員にまつわる物語が描かれているのですが、比較的早い段階で前述の目標が明らかになるため、おおまかなストーリーは分かりやすいですね。

キャラクターの紹介・個人的な感想

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主人公の八汐 海翔(やしお かいと)。彼は重度の格闘ゲームオタクで一日中ゲームばっかりやっており、皮肉屋のため、ハッキシ言って主人公としてはかなりの問題児。

大変な事が起きてもなかなか動こうとしないから、見ている側はかなりイライラする。

が、ゲームオタクって事でゲーム用語を多用する点は同じゲームオタクとして親近感が沸きますね。

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メインヒロインのひとりである瀬乃宮 あき穂(せのみや あきほ)

主人公八汐 海翔の幼馴染で、とある事情で普段から一緒に居ないといけないため、傍から見たらカップルと見間違えてしまうし、見ているこっちは羨ましくて仕方が無いw

性格の方はとにかくプラス思考!なんでも自分の都合良く考えてしまい、滑ってばかりの痛い子。また、女子なのにロボットアニメが大好き。

かなり変わった性格の持ち主で、空気を読めない子だけど、性格の悪いキャラクターが多いこのゲームでは良い人と言う印象です。

主人公の後輩である日高 昴(ひだか すばる)。とにかくクールで、生意気。

彼の言動を聞いていてイライラする事も度々あるんですが、皮肉屋の主人公との会話はお互い皮肉を言いあっていてなんか逆に笑えて来るw

そんなクールな日高君ですが、実は重大な秘密を隠し持っているんです。それがバレて化けの皮がはがれた時の焦りっぷりは普段がクールなだけに面白い。

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ヒロインの一人である神代 フラウ(こうじろ ふらう)

17歳にして主人公が大好きな格闘ゲームのプログラマーを担当するほどの天才少女なんですが、現実世界でも死語となったネットスラングを多用する、主人公以上の問題児だったりします。

でも、個人的には「シュタインズ・ゲート」に登場するダルのようにネットスラングを多用する痛々しさ、変態さが逆にツボで、このゲームに登場するキャラでは1.2を争うほど気に入ってしまったw

彼女が登場するシーンはネットスラングが続出して見ていて面白いです。

駄目だこいつ・・・早くなんとかしないと。デュフフ。
なん・・・だと。だが断る。常考。kwsk。ktkr。
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ。

↑彼女が使う主なネットスラング。重度はあのダルを越えていますw

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ヒロインの一人である大徳 淳和(だいとく じゅんな)。空手をやっているものの気が弱い性格で、常にウジウジしているためこのキャラは全く惹かれなかった。

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ヒロインの一人である愛理(あいり)。生い立ちは特殊なキャラですが、甲高い声やロリコンが喜びそうな外見から、本作では貴重なギャルゲーらしいヒロインだと思います。

ただ、このキャラクターが登場する時は難解な話が多くてあまり好きでは無かったり。

雰囲気が最高!

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本作の舞台となっているのは、九州の鹿児島県に属し、大隅諸島を構成する島の1つである種子島。西暦は2019年なので、本作が発売された7年後となります。

本作ではこの種子島の大自然がとても美しく描かれていて、雰囲気が最高に良いんです!

大きく手を広げたくなるような、開放感のある入道雲。とても綺麗な色をした海。古き良き日本を思わせる街並み。

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BGMも爽やかなものが多く、雰囲気だけを取ったら個人的には歴代ゲームの中でもかなり上位に位置する作品です。

こんな素敵な舞台で高校生たちが一生懸命目標に向かって突っ走るもんだから、「青春っていいよね」って思ってしまいますよ。

あと、種子島は実在するので、聖地巡りをしたくなってしまいました。アトラクション的な仕掛けや特別面白そうな店は無さそうなので、地味な旅行になりそうだけどw

3Dで描写されたキャラクター

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メイン画面では、キャラクターは3Dポリゴンで描かれています。

3Dポリゴンで描くによってのメリットは細かいしぐさが見られた時や豊富に用意されたコスチューム辺りで感じられ、今までの1枚絵では感じられなかったものがあったのは確か。

モデリングの完成度は当初は瀬乃宮 あき穂(せのみや あきほ)の顎部分が気になっていましたが、いつの間にか全く気にならなくなり、個人的には及第点をあげられるレベルだったと思っています。
※PSVITA版ではモデリングの改善が行われ、さらに自然体となりました。

メインストーリーは面白かったが・・・

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メインのストーリーはロボット物のため少し王道とも感じられる個所もありましたが、特に後半は意外な展開が続出して面白かったです。

個人的に感心したのが、テキストに少ない絵とホンの少しのムービーを使ってロボットの熱い戦いを描いている事。

具体的な描写がほとんど無いのにここまで雰囲気を伝えられるのは、文章のセンスがある証拠ですね。

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ただ、この手のゲームでは当たり前なんでしょうが、冗長に感じるシーンがとにかく多く、「早く物語進めよ!」と何度思ったことか。

特に中盤は個別ルートとは言え、話が脱線し過ぎ。

前作「シュタインズ・ゲート」では明確な目的が中盤までは分からないまま進むため話が脱線したとしてもここまでストレスを感じなかったんですが、早い段階から明確な目的が明らかになる本作ではストレスを感じてしまった。

特に苦痛だったのが、話が説明的になりがちな某ヒロインとの会話。

彼女との会話シーンでは小難しい話がどんどん飛んで来るもんだから、ボタン連打で流し読みをしてしまいました。どうせしっかり読んでも頭に叩きこめないでしょうからね。

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ゲーム部分は問題ありまくり

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文字を読む事が中心の「ロボティクス・ノーツ」ですが、ロボットの戦闘時に行うコマンド入力。ツイッター(ツイぽ)での返信。レポート探しとゲーム性が絡む要素が3つ存在します。

しかし、どれも問題だらけなんですよね。

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一番の問題は、ツイッターでの返信。

本作では特定のツイートに対して3つ用意された返信文を送ることができます。

この返信内容によって先のストーリー展開が変わって来るのですが、どれが正解なのかイマイチ分からない上に閲覧できるツイートは1日経つだけでコロコロ変わってしまうため、狙っているルートに行きたければ定期的にスマートフォン(ポケコン)を取り出してツイッターを見なければならないんです。

1回でも返信できる重要なツイートを逃したらまたやり直しだから、これが凄く面倒なんですよー。1日ごとにオートセーブされ、好きな日付から再開できるのがせめてもの救いでした。

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続いてはレポート探し。ゲームを進めるとスマートフォンを取りだしてとあるデータを画面から探す事になるのですが、これがもう、何と言うか「保護色の小さい虫を、何枚もある大きな1枚絵の中から探す」罰ゲームのようで5分くらいで嫌になってしまった。

ホンの1.2分は探索するワクワク感があったんですけどね。人にも寄ると思いますが、まともに探していたら1時間はかかります。

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最後にロボットの戦闘時に行うコマンド入力

これは最後まで複雑な操作を要求されなかったけど、主人公との一体感を味わうための、良い要素だったと思う。

やり込みのために周回プレイをする時は、スキップできないからちょっと邪魔に感じるけど。

と、このように本作に存在するゲーム要素の多くは邪魔に感じてしまう物ばかりでした。

前作の「シュタインズ・ゲート」もそうだったんですが、5pb.は設定に関しては一流の腕を持っているけど、ゲームシステムに関しては三流だと思います。

攻略サイトを見ることが前提の調整をしちゃイカンでしょ。これでは大人しく文字を読むだけのゲームにした方が良いです。

ユーザーインターフェースは良かった

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変わった用語を解説してくれる機能。高速で飛ばしてくれるスキップ機能

過去の会話を確認出来、音声も聴ける機能。そして先程触れた好きな日付から再開できる優秀なセーブ機能など、ユーザーインターフェースは過去作を踏襲している事もあって、そこは良かったです。

別のシーンに突入する時には少し読み込み時間があるのはややテンポを崩していたけど。

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全体のまとめ


最後にまとめさせて頂くと、メインとなるストーリーは多少王道な所はあったものの面白かったと思うし、雰囲気も良く、何か心に残るものを感じられるゲームでした。

でも、あまりにも多い余計な描写、ゲーム性がそれを台無しにしている印象。骨格(メインストーリーや舞台)は良いのに肉付け(サブストーリーやゲーム性)で台無しになった作品

こんな人には特におススメ。
・雰囲気ゲー好き。
・ロボットモノ好き。

こんな人にはおススメできない。
・せっかちな人。

ロボティクス・ノーツ/お気に入り度【50/100%】
プレイした時間・・・約30時間

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14件のコメント

今回はロボスティック・ノーツというひとつの作品って感じがしませんでした
Steins;Gateがヒットしすぎたせいか、前作前々作のキャラとの繋がりを作ったり先の商品展開を見通した土台作りをした感がものすごい
個別EDもトゥルーEDもあっさり終わりすぎだし
ただ、タイムトラベラーズよりは未来像に現実味があって世界観に惹かれました

>名誉部長さん
設定の作り方は本当に上手いですよね。
2019年と言われても納得できる所がありました。
過去作品との繋がりは、ファンサービスなんでしょうね。
アニメ化を前提にした部分が
足を引っ張っているような気はしましたが。

でした。
どうも、アマゾンのレビュー見ていても
これは、「傑作では無い」
というのは分かりましたが、内容が伝わり
づらかったので、なんかモヤっとした印象でした

どうも、5pbはメディア展開に力を入れたからか
もしれないが、肝心の作品にもし手を抜いたとしたら、本末転倒です。
シュタゲのときから確かに思いましたが、
システムが奇抜さで作ってるようで、使いにくい

シナリオ的にシュタゲは僕の好みなのだし、
ラボメンの雰囲気も好きなので、最高評価を
与えましたが、ゲームシステム的には、昔
のYU-NOと比べると足元にも及びません。
今回少しは進歩したかと思ったら逆に退化
しましたか。
これは、アニメみて満足しちゃうかも。

>lemseさん
ありがとうございます!
ネタバレは気を配りましたが、大丈夫でしたでしょうか?
Amazonレビューではその辺を恐れて
抽象的なレビューが多いですね。
システムはそう、奇抜さを作っていて、
それが仇となっているんですよ。
前作よりもゲームに介入できる要素は増えているけど、
それは逆に邪魔となっていました・・・。
挑戦する事は良いのですが、今回は失敗でしたね。
まだ分かりませんが、テンポ良く楽しめそうな、
アニメ版の方が良いかもしれません。

むしろ自分は中盤~終盤にかけての展開が駆け足すぎるように感じました。
一気に万博まで吹っ飛んだり、
重要な新事実をワンシーンで全部ベラベラ一人のキャラに喋らせたり、
序盤の伏線が回収しきれてなかったり・・・。
kentさんの言う「余計な描写の多さ」自体は自分はそこまで気にならなかったですけど、
出来ればそれらと終盤での展開をもっと上手くリンクさせて欲しかったです。
シュタゲではその辺がちゃんと噛み合っていて、プロットの巧みさに感心したのですが。
あともう一つ気になったのは居る夫のジオタグが少なすぎてスカスカだったことですかね。
名前とプロフィールが表示されるだけじゃあまりにも淡白すぎです。
TIPSのシステム等と絡めてもっと面白い仕掛けに出来なかったものかと。
とまあ全体的な完成度の低さは否めませんけど、
種子島を舞台にした世界観は魅力的だと思いましたし、
(ネットでボロクソに言われてる割には)自分は結構楽しめました。
攻略サイト参照が前提のフラグシステムさえ直してくれれば、
次回作(あるいはFD的なもの)も買いたいです。

ロボノは期待していただけに残念感がぬぐえないですね・・・。
シュタゲと比べるのがダメなのかもしれないですが・・・。
設定やストーリーはそこそこ面白いと思いました。
ですが、ポケコンを使う操作が自由度がなく面倒でしたね。
ポケコンを使ってるというより使わされてるようで嫌でした。
ポケコンで、ARとかを使い自由にキャラを着せ替えしたり、キルバラも自由に起動できたり、ついぽをのログを見れたりだとかできるもんだと思っていたら全くできないのでイライラしました。
キャラも、それぞれ個性があって好きですが前作と比べると微妙です。
フラウだけは、ぶっ飛んでいたので面白かったですがw。
個々のストーリーはよかったと思いますが、全体的に盛り上がる場面が少ないように感じました。
個人的には、カイと澤田の話す場面や後半の部長が熱く語るシーン等がよかったと思います。
今回の話の裏でカオヘの人物やシュタゲの人物が動いていましたがそちらの方がストーリーより気になります。
ラボメンの招集をしていたり、ダルが結婚していたり、クリスが例の言葉をつぶやいていたりと気になる事が多いです。
ストーリーの終わり方もあっさりしすぎていて微妙でした。
ダルがおいしいところを奪っていきましたしねw。
隠しルートでもあるのかと、プラチナトロフィーまで取りましたが、おまけのルートやCGも一切なく
てがっかりしました。
次の続編というかファンディスクで後日談的なのをやってほしいと思いますが期待薄でしょうね。

ノベルゲームなんてのは、
没頭して止め時が分からなくなるストーリーラインを形成出切れば、
多少のアラなど、どうとでもなるんですよね。
今作の一番の問題点を挙げると、
科学アドベンチャーシリーズファンは、
『二転三転しない』『急転直下しない』シナリオなんて物は求めてはいない。
あと、世界線やダイバージェンスメーターとかで、
前作ファンを振り回すなと。

>mameさん
中盤までのゆったりし過ぎた展開に
慣れ過ぎていると、9章以降の展開は
早く感じるかもしれませんね。
個人的には428等に慣れているせいで
あの駆け足感が普通だと思っていますw
文字を読んでいる時間が圧倒的に長いので、
展開が遅いとだれてしまうんですよ・・・。
ジオタグはとりあえず入れたって感じでしょうか。
全部で100ちょっとあるようですが、
もう2.3倍ほど欲しかった気がします。
ネットでの酷評はやり過ぎですね。
単にシュタゲでハードルが上がり過ぎただけでしょうけど。

>シンさん
確かにポケコンはもう少し色々と弄りたかった。
キルバラも自由にやれるもんかと
僕も説明書を見て思っていました。
そういう息抜き要素も欲しかったなぁ。
キャラは魅力が無いって言うか、
イライラする奴が多かったw
もう少し愛着を持てるキャラが欲しかったです。
ファンディスクは毎回出しているので、
1.2年経ったら何か出てくるかも!?
出たとしてもギャルゲー色が強い物になりそうですが。

>某所よりさん
シュタインズゲートは
あのストーリーによって
粗を気にせず絶賛される方が多かったですもんね。
個人的に8章までの展開が
平和過ぎてちょっとダレました。
9章からは大きく動いたけど。

>>ゲームシステムに関しては三流
5bp製のコープスパーティーやったから納得

>強化外骨格さん
そちらも微妙でしたか^^;
この会社のゲームシステムは今後も期待できないかもなぁ

 あ、最早懐かしい奴だ。
 シュタゲが大ヒットし過ぎたせいで色々引っ張られ過ぎてあかん事になってしまった作品と言うイマゲです。相変わらず設定や科学考証にはwktkだったんですけどね。
 実はアニメ版しか見てないんですよね。そっちも何か微妙でして、ゲーム版まで手を出す気にはなれずじまいで…Vitaでリメイク版出てたんですね。だからと言って、うーんw
 
 個人的に何で気になってたかと言うと、一応シュタゲはやったアニメも見たってのもありますが、一時期年一回位のペースで通ってた種子島舞台だったからです。聖地巡礼の御案内出来る程知ってる島ではないですが、宇宙センター周りのスクショ見てると懐かしい気分になったもんです。
 現実でもアニメの時期だったかな、種子島の西之表港に降り立った時点で(基本鹿児島本土からのジェットフォイルで入島してます)ロボノの幟が乱立してましたし。地元的にもコラボっつーか聖地巡礼期待してたんかなあと思ってしまいますが、評価はうーんwって状態でしたね。
 リアル種子島には宇宙センターに傘を寄付して以来(忘れてきただけです)数年御無沙汰なんですが、そろそろ今年位は行くかなあ…w 九州外から行くのはちょっと厳しいですけど(飛行機ももう鹿児島往復便しか運航してないんじゃないかな)、確かにいいとこですよ。

懐かしさを感じられたのでしたらよかったですね~。
僕もアニメ版をチェックしましたが、ゲーム版よりもマシでしたw
これで微妙に感じたらPS3/Xbox360版は厳しいでしょうねぇ。PSVITA版はどうなんだろう?

種子島舞台だったからチェックされていたんですね。なるほど、そういう入り方もあるのか。
うちの地域からも行くのは少し大変ですが、2019年には聖地巡礼したいですねw