【レビュー】ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 3D [評価・感想] 数百にも及ぶ改善と改悪が融合した2015年のムジュラ

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ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 3D/3DS(パッケージ版) / (ダウンロード版)

2015年2月に発売された3DS「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面3D」。2000年6月に発売されたアクションアドベンチャーゲーム、N64「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」を3DS向けにリメイクされた作品です。

開発期間はオリジナル版の倍以上となる約3年。本記事では本作のレビューをしていきます。

ゼルダの伝説 ムジュラの仮面について

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ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」とは、3日以内にが落ちて滅んでしまう世界を救うゲームです。

リンクはこの世界を救うために「時の歌」で3日間を何度も逆行して謎を解くことになるので、時には同じ事を繰り返す必要があったりします。

そこは苦痛ですが、制限時間の中で決められたノルマを達成する楽しさや繰り返しプレイすることで上達する楽しさもありました。

また、日によって発生するイベントが異なり、使用するアイテムによって様々なリアクションが隠されているので、密度という意味ではシリーズ最高でもあったりします。

良い悪いが極端なゲームで「ゼルダの伝説」シリーズの中でも特殊な位置付けですが、その尖った部分が個人的にはツボだったのですよ。

ここからはニンテンドー3DS版の変更点などを書いていきます。N64版のレビューはこちら

遊びやすいように細かいところまでバランス調整

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「ムジュラの仮面」最大の特徴でもあり、最大の問題点でもある3日間システム

3日間というゲーム内では1時間弱という制限時間のうちに世界を救わなければ過去に戻されてしまい、それまでにやってきた多くのことがパーになってしまいます。

キーアイテムや一部の仕掛け”だけ”は残るのでそのアイテムを駆使したらショートカット出来ますが、それでも同じことを繰り返さなければならないので、不便なところはありました。

3DS版では時代に合わせて遊びやすく徹底的にバランスの再構築がされており、例えばセーブポイントが追加されています。

オリジナル版では過去に戻らない限りセーブ出来なかったので、じっくりプレイしないと先に進めなかったんですよね。

セーブ機能は限定発売されたGC「ゼルダコレクション」にもありましたが、3DS版はフクロウの石像以外にもセーブができる石碑が各地に設置されており、セーブできる機会がさらに増しています。

ただ、過去に戻る時はセーブ出来なくなっていました。ここはちょっと不便に感じてしまったな。出来ても良かったと思うんだけど。

あと、例の隠し曲を使っての時間操作は細かく調整できるようになっていて、24時間のうち好きな時間を1時間単位で進めることができるようになりました。これによって特定の時間が経つまで待つということはなくなっています。

逆にもうひとつの隠し曲による時の流れを遅くする効果が弱まってしまったので、1つの地方を1回のプレイで完全クリアするのが困難になってしまったのは残念。なぜ、ここだけ厳しくしたのかちょっと謎です。

ボンバーズ団員手帳」のヒントが大幅に増加しているのは一長一短でした。

確かに分かりやすくなってはいますが、住人に話しかけたり、イベントをクリアするたびに画面が止まり、手帳に記されるのでテンポが悪くなっています。

また、アラーム機能が追加されているのは良いのですが、解除しない限りその時間になるたび毎回アラームが鳴るのは鬱陶しかった。一度鳴ったら再設定するよう調整出来ても良かったのになぁ。

・「時のオカリナ3D」にもあったヒント映像が100以上収録。はぐれ妖精の位置もガイド。
・銀行にルピーを預ける際、デフォルトで所持ルピー全額になった。
・ボスと一度戦えば”負けても”ダンジョンの入口からボスの部屋までワープできるようになった。
・「大翼の歌」のデモシーン。一度見たダンジョンの出現シーンなどをスキップできるようになった。

↑その他にも細かい調整が行われており、その数は数百にも及ぶと思います。

まだまだ不便な部分は多いものの、そこがムジュラの味あったりもする訳で、現代に合わせて程よくマイルドになった感じですね。

相変わらず便利な2画面&ジャイロ&3D機能

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リメイクの土台自体は「時のオカリナ3D」をベースにしているということで、ユーザーインターフェースは同作品を踏襲していますね。

下画面にアイテム一覧が表示されているということでアイテムセットが快適ですし、ジャイロセンサーによって狙い撃つ操作で微調整が可能になっています。

本作にはシリーズで最大といっても良いほど沢山のミニゲームが用意されているのですが、その中でも射的系が多いので、ジャイロセンサーは重宝しますよー。

ジャイロセンサーによって難易度が高いハズの「沼の射的場」は一発でクリア出来ました。

また、3D映像も演出面では「時のオカリナ3D」よりも活かしている場所は減ったものの、デクナッツリンクで滑空して空中の動く足場へ降りる時に役立ちました。

あそこ、距離感が凄く重要なので、3D映像にするとそれが分かりやすくなるんですよ。よく考えてみたら高度な3Dアクションをやらされているんだなぁと感じました。

イメージを崩さずブラッシュアップしたグラフィック

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グラフィックは「時のオカリナ3D」同様、一見するとあまり手を加えていないように感じますが、比べてみると細部までブラッシュアップしています。

変更点を挙げたらキリがありませんが、個人的に印象的だったのが「クロックタウン」のポスターと家具。

オリジナル版ではボケていてよく分からなかったポスターがより具体的に描かれているので、それぞれ一人称視点で眺めたくなってしまいますね。

家具もより具体的に描かれていて、例えばアロマ夫人の家には「クロックタウン」の大型模型が飾られていました。

それ以外にも任天堂のマニアックな家具が設置されていたり、ネタにしか思えないような絵が飾られていたりして、スタッフの遊び心を感じられます。

ボス戦は攻略方法を一新!

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ダンジョンの奥に潜むボスは、見た目は同じだけど攻略方法が一新されています。

ゼルダのボスってそのダンジョンで入手出来たアイテムがボスに有効なものですが、「ムジュラの仮面」では珍しく通常攻撃だけでも倒せたりと、良くも悪くも攻略の幅が広かったんですよね。

それが3DS版では攻略方法がある程度固定化されていて、倒し方も変更されていました。N64版プレイヤーもボス戦では大苦戦することでしょう。

全体的に倒すまでの手順は増えているので、ボス戦は難易度的には上昇していると思います。

中には面倒さが増したものもあり、調整不足に感じるところはありましたね。攻略法がある程度固定化されたのは確かですが、ノーダメージクリアは難しくなっています。

釣り堀について

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3DS版最大の追加要素として知られる「釣り堀」。これは「時のオカリナ」をベースにしつつ、釣れる魚を大幅に増やしたファン待望のミニゲームです!

「釣り堀」は沼と海の2箇所に設置されており、それぞれ釣れる魚が異なっています。

釣れる魚はトータルでみると20種類以上!ただし、普通にルアーを投げているようでは3.4種類程度しか連れません。

お面を被ったり、とあるアクションを起こさなければ反応しない魚もいるので、全種類釣り上げるには様々な事をしなくてはなりません。

また、入るたびに出現する魚が変化するので、下見も重要だったりします。

元々「釣り堀」はミニゲームとは思えないほど奥が深かったのですが、今作ではさらにボリュームアップしており、すべての魚を釣ろうと思ったらゲーム一本クリアくらいかかるかもしれません。釣り堀の中でも時間は流れるので、月が落ちてくるのもお忘れなく(笑)

ルアーは2種類あって、しずむルアーは最初から使えます。多くの魚は深い場所にいるので、こちらのほうが重宝しますね。BGMはなんと「カカリコ村」でした!「ムジュラの仮面」で聴けるなんて感激です!

魚とのバトル時は戦闘BGMではなく、ハプニング時に流れるBGMになっていました。気になる店員さんは、お馴染みのあの方です!有名なあの小ネタも用意されているので、彼に向かってやってみましょう!w

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Cスティックによる操作について

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本作はNewニンテンドー3DS対応ソフトで、Cスティックを使って自由にカメラを動かせます。つまり、現代の3Dアクションと同じ操作が可能になっているということですね。

Cスティックは固く、カメラ操作に向いたデバイスには感じられませんが、これがあるとLボタンを押してカメラを主人公の背中に回り込ませる機能はほとんど使わなくなり、操作性が快適になったんだなぁと実感。

中盤から「ウィズロープ」という中ボスと何度か戦う事になるのですが、Cスティックを使うと戦いやすくなりますよー。

視点を細かく操作できることで、これだけ戦いやすくなるとは!?

また、Cスティックのカメラ操作によって写真のようなオリジナル版では不可能だったカメラアングルも可能になっています。何か面白いアングルで撮ってみるのも良さそうですね。

カメラのズームインは、「風のタクト」程はできません。ここの自由が効いたらもっと良かったのに。タルミナ平原とか見渡したいじゃないですか。

ゾーラリンクの操作性はむしろ改悪

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ゾーラリンクに変身することで水中を高速で移動出来ます。しかし、N64版では操作に癖があってなかなか思うように出来ませんでした。

3DS版ではそこに調整を入れているのですが、逆に改悪しているような。高速移動するのに魔法ゲージが必要になっているとはね。これでは快適に移動出来ません。

また、オプションで変更できるものの、水中の上下移動がデフォルト状態だとリバースではないので困りました。下へ向かいたいのに、なぜか上へ向かってしまうのですよ(汗)

このようにゾーラリンクの操作性は改悪しているのですが、さらに困ったのがラストのダンジョンに存在するゾーラエリアが面倒な構造にリニューアルされている事。

リニューアルされた事で多少の新鮮味はありますが、非常にストレスが溜まる構造になっており、なぜここだけ変えたのかと思いました。

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全体のまとめ


今回は裏ダンジョンが追加されていない代わりに本編の変更点が多く、N64版をプレイしていてもある程度の新鮮味は味わえました。しかし、変更点の中には改悪点もあり、パーフェクトとまでは言えないのが残念。

N64版か3DS版。今、プレイする場合どちらがオススメなのかと言われたら3DS版ですが、2015年発売のタイトルという基準で見ると2000年基準で見たN64版よりもやや評価は落ちますね。

という訳で評価はN64版から1つ下げました。それでも僕はこのゲームが大好きです。

やっている時は苦痛に感じることもあるけど、困難を乗り越えた時の達成感。そして、余韻に浸れるほど素晴らしい世界観がたまらないのです。数百にも及ぶ改善と改悪が融合した2015年のムジュラ。

こんな人には特におススメ。
・サブイベント好き。
・奇妙な世界観が好きな人。

こんな人にはおススメできない。
・制限時間無しに探索したい人。
・ホラー要素が苦手な人。

ゼルダの伝説 ムジュラの仮面3D/お気に入り度【90/100%】
プレイした時間・・・約22時間

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18件のコメント

このゲームもクリアしてないんですな。
3DSでプレイしましたが、時間制限があり、難しかったです。
またプレイしようと思ってはいますが…。

クリアされていませんか・・・
3DS版になってだいぶマイルドになったんですけどねぇ。

3DS版で一番印象に残ってるのはゾーラとゴロンの操作性の変更と、ツインモルド戦の変更かな〜
ゾーラの泳ぎ方は元の方が好きだったので、何故!?という感じでした。
確かに当時は海洋研究所になかなか登れなくて他の方法があるんじゃないかとかなってましたけど笑
ゴロンも、確か高速トゲローリングは手動で魔力使わないと出来ないのでそれも
違和感だったな〜

けど、時オカ3Dよりも細部まで調整して、手を加えてるという印象でした。やっぱりムジュラ面白い!

操作性の変更は印象に残りますよね。
ゾーラリンクはN64版でも癖があったけど、
慣れてしまったので変に変えられると混乱してしまいます。
ゴロンリンクも言われてみたら高速が手動になって最初は「?」でしたね。
調整点自体は非常に多く、ここまで変えられたらリメイクと名乗っても良いかなーと思いました!

本編の変更箇所多いですよね
別ゲームとは言いませんが相当変わってるので昔遊んだ人も楽しめると思います
オリジナルはクリアさせる気があるのかと疑うくらい無茶な難易度(当時はそれが面白かった)ので、今から始める人には3DS版一択だと思います
余裕があればVCで落としてみて比べてみるのも一興です

このゲームはなかなか新鮮に楽しめました!
今、始められるのであれば余程の拘りがない限り3DS版が良いでしょうね。
N64版はリアルタイムで楽しんでこそです!

さすが「ムジュラ」好きですね(^ ^)
細部に至る変更点(改善及び改悪ポイント)がわかりやすく紹介されていたので「ムジュラ」に対する愛を感じます。
でも「社長が訊く」では一見すると3DS版が”多少”は簡単なのかなと思いましたが、それぞれ簡単なところと難しくなったところがあるんですね。

この記事は2年ほど前に書き溜めていたものを今になって公開したものなんですが、
改めてみると自分でもドン引きするくらい詳しく書かれていますねw
純粋にゲームが好きな人に読んでもらいたいと思っているので、
大してゲームが好きでない人がドン引きして退散するくらい凝ったレビュー記事を連発していきます!

時オカリメイクのレビューで色々変えて欲しかったと書いてましたが
変えたら変えたで結構不満も書いてますねw
実際のところリメイクは快適性とグラフィック面以外は変に冒険しなくていいのかなとも。
正直ボス戦は全部微妙になったと思った口ですし。
改変よりも追加という方向性で行った方がいい気がしますね。
まぁ限定版本体は気に入ってますがw

確かにそうなっていますねw
仰る通り改変よりも追加の方が魅力的です。
なので、本作の釣り堀は評価しているんですよ。
ここだけは本当に頑張ったと思う。

似たような見た目でも先の時オカ3Dとは対極的な作りのようですね
ゲームの中身とは関係ありませんが、本作のジャケットはオリジナルをやってない自分にも一目で「ええやん!」と思わせるものがありますね
やろうやろうと思ってずっと手を出せずにいるソフトのひとつ…

そうですね。オリジナル版もそうでしたが、似て非なるものです。
ジャケットデザインは気に入って、3DSのテーマも買ってしまいましたw

この作品はやったことがありませんが、ゼルダファンとして、いつかはプレイしないといけないと感じています。

64版は未プレイですのでリメイク版で初プレイになりました。

プレイ前は時間制限を受け入れられるか心配しましたけど、ダンジョンの攻略はあともう少しのところで大宝箱なのに時間が迫って引き返さないといけなくなってまたやり直しになるなどダンジョン攻略に関しては邪魔でしたね、これを逆手を取って同じデータで同じダンジョンに、再挑戦できますけど、でもこの制限時間システムがサブイベントの良さを引き立ててくれてますね、特に印象的だったのは3日がかりでイベントが進行するものがあって終わる頃は時間がギリギリまで迫っていたイベントです。もどかしさはありましたけど時間制限システムは受け入れられました。

ボスの戦い方は全体的に弓矢を使う場面が多かったのが少し気になりましたけど他のゼルダに比べてユニークで特に巨大化して戦うボスはかなり驚きました、ただそのボス戦自体は結構ストレスたまりましたけど。

cスティックは殆ど使いませんでした、cスティックでカメラ操作にまだ慣れてないせいか、またはLでのカメラ操作に馴染んでしまったせいかもしれませんが。

時間制限のシステムは本当に人を選ぶんですが、受け入れることが出来て良かったです。
サブイベントの中には一つ大きなものがあって、そちらは時間制限がギリギリだからこそ感じられるものがありますよね。
単純にハラハラするのと、その緊張感の中から生まれる最後の展開。
あのイベントを見ずにしてムジュラは語れません!

そう言えば弓を使った攻略法が目立っていましたね。

Cスティックのカメラ操作は、近年の3Dアクションゲームでは多い方式なので硬さを除けばすんなり行けました。

64版から長い時間が経ってるのもあって、新鮮な気持ちで楽しめました!確かに良くも悪くもマイルドになってましたね〜
cスティックは慣れればかなり快適でした。
脳が退化してきたので、ボンバーズ手帳のヒント増加は個人的には重宝しました(^o^)
やっぱり僕のベストゼルダはムジュラかも。

本体同梱版に一目惚れして購入しましたが、落ち着いたゴールドが良い感じで愛用してます^ ^

N64版から15年ぶりにやってみると意外と新鮮に楽しめるもんですねー
Cスティックの硬さはまだ慣れませんが、
今の3Dアクションゲームに近い操作性になってこちらの方がしっくり来ます。
本体同梱版は羨ましい!僕はその前にNew3DSを買ったので手が出ませんでした(^_^;)