2018/12/05/12:00 | ゲームレビュー

シェンムー 一章 横須賀【レビュー・評価】リアリティと面白さの関係性を知るうえでは欠かせないチャレンジ精神溢れる意欲作!


シェンムー 一章 横須賀/DC
シェンムー I&II/PS4

おはっく~!kentworld(@kentworld2 )です!

今回は1999年12月に発売されたDC「シェンムー 一章 横須賀」のレビューをしていきます。

本作は横須賀を舞台にしたアクションアドベンチャーゲームですが、今プレイしても凄い作品でした!

とにかく作り込みが半端なく、1999年にこんな凄いゲームが発売されていたなんて信じられません!

しかし、面白いゲームなのかと言うと首をかしげる部分が多く、リアリティと面白さの関係性を考えてしまいました。

そんなDC「シェンムー 一章 横須賀」の良いと思った点からまずは書いていきます。

※2018年11月には本作が収録されたPS4「シェンムー I&II」が発売されました。
※プレイしたのはPS4版になります。

▼このゲームを3行で説明すると?

・住人から情報を聞き込んでストーリーのフラグを立てていくのがメイン。
・横須賀の街並みは建物から住人まで徹底的に作り込んでいる。
・戦闘システムは格闘ゲームの「バーチャファイター3」がベース。

良いところ

徹底的に作り込まれた横須賀の街並み

本作の舞台となるのは1986年の横須賀ですが、あまりの作り込みに度肝を抜かされました!

まず驚いたのが、リアル頭身で描いていること。

ゲーム機がドリームキャストになって世代が上がったとは言え、まだまだリアル頭身のキャラクターが活躍する世界を描くには必要なポリゴン数が足りないハズです。

にも関わらずエリアによっては100件近くの建物が並び、そのうちの3割ほどは中に入れるのだから驚きました。

さらに驚いたのが、街中で暮らしているNPC(住人)の数。

なんと300人にも及び、それぞれが時間の経過によって様々な行動を取るのだから驚きました。

しかも大半のNPCに話しかけることが可能でボイスも用意されているのだから凄いですね(冷たい人ばかりだけどw)。

リアル頭身×30件の建物×300人の住人×フルボイス

ここまで作り込まれたゲームは2018年現在でも(国産では)ほとんどないだけに、これを1999年に実現するのはどれだけ大変だったことか。

さすが開発費のギネス記録を更新した作品だけのことはあります。

人探しをする楽しさ

本作の目的は、芭月涼(はづき りょう)となって藍帝の行方を追うことです。

そのためには街の中で聞き込みをすることになるんですが、まるで本当に人探しをしているかのようなリアリティを感じられました!

ポイントなのが、クエストマーカーが一切表示されず、与えられる情報が限られていること。

プレイヤーに与えられるヒントは街の中で聞き込みをすることで得られる情報のみなので、純粋に人探しの感覚を味わえるんです!

しかも与えられる情報が限定的なので次のフラグ立てを行うまでの探索も含めて楽しめました。

例えばアパート名や名字しか教えてくれない場合があるんですよ。

その場合、建物に付いている看板や表札か地図を見て居場所を探すしかありません。

地図に至っては特定の場所に設置された看板を調べない限り見れないので、ハッキリ言ってめちゃくちゃ不便です。

でも、だからこそ生まれるリアリティを感じられました。

ただ・・・(個人的に合わない&気になったところに続く)

嘘の世界と感じさせない拘り

こちらのスクリーンショットをご覧ください。

よくある自宅の内部になりますが、ある程度のゲームをプレイしていると

これは飾りだから触れても何の反応もないだろう

なんて思うことはないでしょうか?

ところが本作の場合、目に見えているオブジェクトの多くに触れられるんです!

写真の自宅内ではそれぞれの部屋に入ることが出来ますし、黒電話の受話器を取ったり引き出しを開けることが出来ます。

凄いのが、画面暗転せずにオブジェクトが動くこと。

沢山のオブジェクトに触れられること自体はポイント&クリックアドベンチャーゲームになると珍しくはありません。

しかし、それらのゲームはメッセージや一枚絵だけで済まされるのに対し、本作の場合は画面暗転せずにオブジェクトが動くんです!

おかげで仮想現実世界で暮らしているかのような感覚を味わうことが出来ました。

ゲームセンターで実在するゲームをプレイ出来る!

触れられるオブジェクトの中でも特筆したいのがゲームセンターの筐体!

なんと、ゲームセンターの筐体では実在するゲームを実際にプレイすることが出来るんです!

本作の場合、「スペースハリアー」(1985)と「ハングオン」(1985)をプレイすることが出来ました。

セガ&鈴木裕さん繋がりで収録したんだと思いますが、1999年当時にゲームの中でゲームを楽しめるとは!?

ちなみにゲームセンターではそれ以外にも「ダーツ」や「エキサイトQTE」などをプレイすることが出来ます。

これらのゲームは待ち時間中の暇つぶしとして最適に感じました。

本作はゲーム内で時間が流れており、特定の時間にしか発生しないイベントがメインストーリーを含めて存在するんですよね。

完成度が高い戦闘システム

ゲームを進めていくと戦闘が発生しますが、さすが「バーチャファイター」を手掛けた鈴木裕さん!

戦闘システムは同ゲームで培ったノウハウを存分に活かしていました!

何が良いのかと言うと、爽快な効果音とモーションです。

効果音は良い感じにデフォルメされているので爽快感がありますし、モーションはキャプチャーを使っているだけあってとてもリアルに感じられました。

単純にボタンを連打してパンチやキックを繰り出すのも気持ち良いですし、コマンド入力による必殺技を使って大ダメージを与えるのも気持ち良くって最高です!

ストーリーの関係で戦闘シーンは後半に集中していますが、もっと突き詰めても良いくらい完成度が高く感じられます。

クリア後には戦闘だけを楽しめるモードが追加されるので嬉しかったです。

時代を先取りしたクイックタイムイベント

ムービーシーンでは突発的なボタンアクションを要求されることがあります。

所謂クイックタイムイベントになりますが、1999年の時点で取り入れてくるとは!?

慣れていないと反射的にボタン入力が出来ず、なかなか先に進めませんが、個人的に本作の調整は上手いと思いました。

何故かと言うと失敗してもすぐ前から再開出来るうえに「ゲームオーバー」の表記が挿入されずノンストップで展開されるからです。

おかげで失敗時の喪失感が良い感じに軽減されるので2~3回程度の失敗であればストーリーに没頭することが出来ました。

この手の要素は賛否が分かれていますが、本作に関しては綺麗なクイックタイムイベントに感じます。

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個人的に合わない&気になったところ

時間を進められない

ゲーム内では時間が流れていますが、好きなように進められないことで快適性が著しく落ちていました。

単に時間が流れるだけだったらリアリティが生まれるだけで支障はなかったと思います。

しかし、

・ゲーム内の1日が過ぎるまでに掛かる時間は現実世界で言う1時間と長い
・イベントは特定の時間にしか発生しない
・20時以降にしか就寝出来ず、次の日に進められない

といった要素によって一気に不便な印象が生まれてしまいました。

例えば14時以降にしか発生しないメインイベントがあるとします。

もし、現在の時刻が10時だったら4時間(現実世界で言う約16~20分)も待たないといけないんです!

確かにリアルではありますよ?でも、そこまで待たせる必要はあるのでしょうか?

開発者側からしたら街並みを作り込んだので待ち時間中はそれらを堪能してほしいのでしょうが、ストーリー重視になると邪魔しているように感じてしまいます。

就寝時間が20時以降と決めれているのも不便に感じました。

例えばその日に発生するイベントが17時にすべて終わった場合、必ず3時間(現実世界で言う約12~15分)も待たないといけませんから。

このように本作はリアリティを重視するあまり快適性を損なっている部分があります。

ストーリーのフラグ立てで詰まりやすい

聞き込みで人探しをするような感覚を味わえるのは面白い半面、以下の要素によって詰まりやすく感じました。

・マップが広くて入れる建物が多過ぎ。
・フラグ立てのイベントは特定の時間しか発生しない。
・ゲーム内の1日が過ぎるまでに掛かる時間は現実世界で言う1時間。
・自由に時間を進めることは出来ない。
・ナビゲートは聞き込みによって記入されるメモ帳のみ。

運が悪いとお目当てのイベントを発生させるのに30分以上の待ち時間が必要になることもあります。

ナビゲートが親切だったらまだ良いんですが、本作にはほとんどヒントがありません。

そのうえで広過ぎる世界の中でストーリーのフラグ立てを行うのはハードルが高すぎると思いました。

少なくともフラグ立てアドベンチャーゲームとして見たら適切な規模には感じられません。

ドリームキャスト版に至ってはエリア間の移動時に10秒以上のロード時間が発生するのだから人によっては相当なストレスを感じることでしょう(PS4版の場合は大幅に短縮されています)。

盛り上がりに欠けるストーリー

全体的にストーリーは盛り上がりに欠けていました。

主人公の父が悪党に殺られ、仇を取るために手掛かりを突き止めるという導入部分は良いと思います。

しかし、それ以降の展開は良く言えば日常的なんですが、悪く言えば地味に感じられました。

無理もありません。本作で描かれているのは11章あるうちの1章に過ぎないからです(しかも当初予定されていたボリュームを3倍に引き伸ばしている)。

それでは動きのある物語を描くことが出来ず、盛り上がりに欠けてしまいます。

ゲームをクリアすることで一つの区切りを迎えることは出来ますが、全体的には旅立ちまでを描いているに過ぎないと思いました。

全体のまとめ

究極のリアリティを追求したチャレンジ精神溢れる意欲作。

1999年のゲームとしては別次元のリアリティを実現しているのは確かで、その姿勢については高く評価しています。

しかし、“面白いゲーム”という観点でみるとリアリティの追求が大きな足枷になっているように感じられました。

特にフラグ立てアドベンチャーゲームとして楽しむ場合、多大なストレスを感じてしまう恐れがあります。

本作が発売されてから約20年。

オープンワールドゲームは数あれど、本作のようにライフシミュレーターとアドベンチャーゲームを融合させようとした作品はほとんど見られなくなりました。

ライフシミュレーターの要素があったとしてもサブ要素に留まっており、戦闘に関してはリアリティの面で見ると不自然なくらい発生します。

一時期は「なんでこうするのかなぁ?」と疑問に思っていましたが、本作をプレイしたことで納得しました。

面白いゲームを作るためにはリアリティは必ずしも必要としないんだって。

面白いゲームを作る場合、大なり小なりゲームならではの嘘が必要になってくるんですね。

正直なところ、本作は”凄いゲーム”だけど”面白いゲーム”とは思えませんでした。

ですが、ハイエンドゲームがどのようにして今のように落ち着いたのかの片鱗を垣間見ることが出来たので、コンシューマーゲームマニアとしてはプレイして良かったです。

技術的には凄いことをやっていると思うので、これから触れられる場合はユーザー目線ではなく開発者目線でプレイすることをおすすめします。

きっと、「こういう試行錯誤があって今の面白くて凄いゲームが生まれたんだなぁ」と思いますよ~。

リアリティと面白さの関係性を知るうえでは欠かせないチャレンジ精神溢れる意欲作!

こんな人には特におススメ。
・作り手目線でゲームを見るのが好きな人。
・ライフシミュレーター好き。
・横須賀好き。

こんな人にはおススメできない。
・快適性を重視する人。
・楽しい時間を重視する人。

シェンムー 一章 横須賀/お気に入り度【50/100%】
プレイした時間・・・約30時間

,

 

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コメント広場の住人(14)

  1. ホンマ?トモフミ より:

    おもしろそうなゲームですが、人を選びそうな内容ですね( ̄▽ ̄;)
    僕だったら、最初こそそのリアリティにすげ〜ってなりそうだけど一回遊んだらこれっきりになりそうなゲームだなぁ〜。

    こういうゲームの評を読むとゲームでリアリティを追求するのはそんなに“すごい”ことなのかと疑問に感じちゃいます。
    僕はハイエンドなゲームは追求すればするほど、開発時間が伸びるし、ロードもかかってしまうので任天堂などの自分の好きなメーカーはそれに陥らないようにだいたいは2年に1本のペースでおもしろいゲームのシリーズを展開してほしいですよ。

    • kentworld より:

      これはトモフミさんが最後までプレイしたら発狂してしまうかもw

      それだけ今では考えられないようなシステムが多数導入されています。

      単純に技術的な部分だけを見たら凄い作品だと思うんですよ。

      凄いという表現も抽象的なので人それぞれ解釈が変わってきそうですけどね。

      クオリティの追求による代償はあると思いますが、ユーザーとしては世に出てきた物を楽しんでいきたいです。

  2. kou より:

    「凄い≠面白い」を体現したゲームとは聞きましたが、オープンワールドとライフシミュレーターの関係性は個人的に目から鱗でした。確かにOWってグラセフの頃から戦闘メインだったけど、ゲームの面白さをインスタントに味わえるのは確かに戦闘パートだと思います。

    二者の両立に挑戦したことは凄いと思うけど、今回のリマスター含めてハードルは必要以上に上がったでしょうね。ましてや、超遠大な物語で、かつ続編が十何年も未発売になってると言ったら…

    • kentworld より:

      別の記事でも触れようと思っていますが、ゲームって戦闘ばかりになりがちですよね。

      でも、それには大きな理由があるんだなーとシェンムーをプレイして改めて感じました。

      オープンワールドとライフシミュレーターを融合させたうえで面白いゲームを作るのはなかなか難しいことだと思います。

      シェンムーがそれを実現しようとしたのも怖いもの知らずだからこそ出来たことなんでしょうね。

  3. みゃーぜよ より:

    私は好きなゲームですが、気になったところで挙げられている事項は完全に同意です。
    拘って作り込む事は良い事だとは思うんですが、面白さに繋がるかと言うと…
    シェンムー IIは気にされていた事項はほぼ改善されていると思うので、またレビューお待ちしています!
    逆に一章の無駄な作り込みが恋しくなったりもするんですけどね…笑

    • kentworld より:

      ありがとうございます!

      リアルになることが必ずしもゲームを面白く出来るとは限らないんですね。

      もちろん、IIもプレイしてレビューする予定です。

      少し空きそうですが、楽しみにしていてください♪

  4. マージ より:

    これだけ前に発売されていたゲームとしては、高いクオリティーですね。

    横須賀は地元なので、興味深いです。

    龍が如くの、先駆けみたいな感じでしょうか??

    • kentworld より:

      おお!そうなると、雰囲気ゲーとしても楽しめるのではないでしょうか?

      龍が如くとは似ているようで違う作品でした。いずれ両作品の違いを語っていきたいですねー♪

  5. koji 一章 世田谷 より:

    シェンムーは正月あたりにのんびりプレイしようかなと思っているんですけど、ゲーム内の時間も同じくのんびりとは…w
    開発者目線でのプレイは得意なので、そこは楽しみですね。ケムコRPGなどは常に開発者目線でプレイしていたりしますしw

    • kentworld より:

      このゲームはのんびりプレイすることをおすすめしますw

      ケムコRPGを開発者目線でプレイしていたんですか!?さすがkojiさんだ・・・w

  6. marukomu より:

    このゲームは、待ち時間を如何に楽しむかという意味合いのアルゲームですね。そこでガチャガチャをやったり、ゲーセンで遊んだり、ストーキングしてみたり、格闘のレベルアップをしてみたりとそれぞれ楽しみを見つけなければならないゲームなので、人を選ぶのは間違いないです。まぁ2は時間を移動できますから・・・

    • kentworld より:

      あぁ、それはぼくも感じました。

      自由に時間を進められないのも作り込まれた街並みを堪能してもらいたいからという想いが伝わってきますもん。

      仮に時間を進められたら開発者の苦労が報われなくなる恐れがありますもんね。

      2は色々と反省して大きく変わっているようで、どれだけ変わっているのか楽しみです!

  7. ペア より:

    是非2もやってください
    シェンムー2こそ名作だと思ってます

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