どうも!KENT(@kentworld2 )です!
今回は「クレヨンしんちゃん『炭の町のシロ』」のレビューをしていきますが、まずはひとこと言わせてください。
このゲーム、前作から別ゲーに変貌を遂げています。
前作はしんちゃんが田舎町で夏休みを過ごすアドベンチャーゲームで、「ぼくのなつやすみ」のミレニアムキッチンが携わっていることから「オラ夏」の略称で親しまれていました。
一方の今作もしんちゃんが田舎町で過ごす点は共通していますが、根本的な面白さが変わっています。
あまりにも違うので、買うゲームを間違えたのかと思いましたw
一体、何が違うのでしょうか?
本記事では「オラ夏」と比較しながら「クレヨンしんちゃん 炭の町のシロ」をレビューしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
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- 人気漫画・アニメ「クレヨンしんちゃん」を題材にしたアドベンチャーゲーム。
- 秋田の田舎町と不思議な炭の町を舞台にストーリーを進めていく。
- 開発は「オラと博士の夏休み」のスタッフが担当。
初リリース日 | 2024年2月22日 |
対応ハード | Switch |
ジャンル | アドベンチャー |
推定クリア時間 | 11~15時間 |
発売元 | ネオス |
目次
クレヨンしんちゃん『炭の町のシロ』とは?
まずはゲームの概要を簡単に紹介します。
本作は人気漫画・アニメ「クレヨンしんちゃん」を題材にしたアドベンチャーゲーム。
のどかな田園風景が印象的な秋田の村と、レトロ感あふれる炭の町を舞台に不思議な毎日を送っていきます。
開発は「オラと博士の夏休み」、通称「オラ夏」のスタッフが担当。
「ぼくのなつやすみ」で知られる綾部 和さんもスーパーバイザーという立場で引き続き開発に携わっています。
舞台となる季節は、初夏。
そのため夏休みを疑似体験するゲームではなくなりましたが、魚釣りや虫取りの要素は継承されているので、前作のようなスローライフを送ることができます。
川で大きな魚を釣ったり、山で珍しい虫を捕まえたり。
前作の要素は継承されているほか、新たに用水路や浅瀬でザリガニを釣れる要素が追加。
捕まえた魚や虫にはサイズが記録されるようになったので、大きな個体を捕まえる楽しさも生まれました。
そして今作最大の特徴が、「炭の町」にも行けることです。
この町はゲームを進めると行けるようになりまして、まるで昭和の時代にタイムスリップしたかのようにレトロな光景が並んでいます。
しんのすけはそこで発明品を作ったり、食堂で新メニューを開発したり。
みんなのお手伝いをすることになり、達成するとストーリーが進んでいきます。
ここまでの話を聞いて
と思われたかもしれませんが、そんなもんじゃないです!
前作から面白さのベクトルが大きく変わっています。
一体、何が違うのか?ここからは具体的に語っていきます。
オラ夏との違い
その1:ゲーム性が違う
今作とオラ夏で最も違うのが、ゲーム性です。
田舎町でしんちゃんがスローライフを送る点は共通していますが、根本的な面白さが変わっています。
大きな要因となっているのが、ミッションをクリアしないとストーリーが進まない仕様になっていることです。
今作は秋田の村で田舎暮らしをするところから始まります。
その後、すすだらけで帰ってきたシロにつられて、しんちゃんは不思議な世界に到着。
そこで出会った不思議な少女との交流がきっかけで町の人たちと仲良くなっていくことになるんですが、ひょんなことからみんなのお手伝いをすることになります。
今作ではこのお手伝いがミッションという形で課せられて、達成することでストーリーが進んだり、行動範囲が広がっていきます。
ミッションの種類は発明品の作成や新メニューの開発など色々ありますが、基本的には指定されたアイテムを持っていくだけなので、特別なスキルは必要ありません。
しかし、ゲームを進めるとめちゃくちゃ多くのアイテムが必要になるので、すべてを持ってくるのに時間がかかってしまいます。
例えば食堂の新メニューを開発するために
- カレーの素×2個
- 玉ねぎ×2個
- なす×2個
- トマト×2個
- じゃがいも×2個
が必要になるとか。
まるでお使いのように必要なものが増えていきますが、如何に効率よくアイテムを集めるのか考えながらプレイすると楽しいんですよね。
アイテムを集める手段は色々ありまして、釣りをしたり、虫を捕まえるほか、山菜採りや栽培・買い物・物々交換なんてのもあります。
加えて秋田の村と炭の町。
それぞれ入手できるアイテムの傾向が違うので、どちらかを集中的に探索してもミッションで必要な物が集まらなかったりします。
ということはですね、ある時は秋田の村で魚釣りや虫取りを楽しみ、またある時は炭の町で鉱石を集めるとか。
そんなことを繰り返す必要がありますし、中にはシロでしか見つからない珍しいアイテムが隠されているので、自分なりにアイテムを集めるまでの道筋を作って進めていくのにハマりました。
ゲームを進めていくと、入手できるアイテムの種類が増えていきます。
中には今すぐ必要にならないものも手に入りますが、多めに持っておくことで後から役立つこともあるので、それを見越して量産しておくとか。
そんなことを考えながら釣りや栽培などをするのが面白いんですよね。
でもオラ夏を遊ばれた方の中には、
と感じられたかもしれません。
確かにオラ夏のシステムを流用していたらそう感じてしまいそうですが、細かいところが色々変わっているので、言うほど面倒には感じませんでした。
まず大きいのが、日数制限の廃止です。
今作はフィールドを移動していると時間が経過しますが、オラ夏で見られた日数制限は廃止されているので、何日経過してもストーリー的には差し支えがありません。
そのため自分の好きなペースでアイテムを集めることができるようになりました。
加えて
- スタミナゲージ・ラジオ体操の廃止
- 画面切り替え時の微妙な待ち時間の短縮
- どこでもセーブ機能の搭載
によって快適性が増しているので、サクサクと遊ぶことができます。
こういうアイテムを集めていくゲームって快適なのかどうかで中毒性が変わってきますから、この変更は嬉しいです!
でみなさん、ここまでの話を聞いてどんなゲームを思い浮かべましたか?
ぼくはコーエーテクモの「アトリエ」シリーズを思い出しました。
「アトリエ」シリーズはアイテムを調合したり、依頼を達成することでストーリーが進んでいくんですが、今作も同じような感じなんですよね。
違いとしてはRPG的な戦闘要素があるかないかといった感じですので、ああいったアイテムを集めていくゲームが好きな人は今作もハマるんじゃないかと思います。
その2:ストーリーのテイストが違う
ストーリーのテイストもオラ夏から大きく変わっています。
しんちゃんたちが田舎暮らしをする点、日常の中に非日常的な描写が融合している点などの共通点はありますが、作風が全然違います。
わかりやすく言いますと、「ぼくのなつやすみ」風味が薄れて劇場版「クレしん」っぽくなっているといった感じでしょうか。
前作のオラ夏はナレーション主体でストーリーが進んでいくのに対し、今作はキャラクター同士の掛け合いによって進んでいきます。
また、炭の町ではシリアスな描写が強まっていて、ストーリーを進めていけば行くほど不穏な空気が強まっていきます。
オラ夏でも怪しい描写はありましたが、投げっぱなしで終わってしまったので、考察をする必要がありました。
一方の今作は起承転結がしっかりとしているので、最後には劇場版を見終えたかのような感動が待ち受けています。
まあご都合主義なところはあると思いますけどね。
非日常的な世界観とか、変態チックな悪役は劇場版そのもので、クレしんファンとしてはたまりません!
ぼく、クレしんの映画を色々と観ていまして、特に「ヘンダーランドの大冒険」は何周も繰り返し観ていましたし、最近でも「超能力大決戦」の非理谷充に感情移入していましたw
クレしんの映画って子供向けではあるんですが、大人でも感動できるメッセージ性が詰め込まれていて、非日常的な世界観と相まって不思議な魅力があるんですよね。
今回の「炭シロ」ではそういった劇場版クレしんの魅力がふんだんに詰まっているので、それもあって大変なミッションでも夢中で進めてしまいました。
その3:トロッコレースの追加
収録されているミニゲームも大きく変わっています。
オラ夏では恐竜カードを使って遊ぶミニゲームが収録されていました。
一方、今作ではトロッコに乗ってレースをするミニゲームに刷新。
制限時間内にコースを駆け回ってスコアを競います。
このミニゲームが大人でもハマってしまうくらい作り込まれていまして、ついムキになって遊んでしまいました。
まず面白いと思ったのが、スコアを増やすのが大変であることです。
スコアはコース上に設置された鉱物を集めたり、周回することで加算されていきます。
しかし、カーブを上手く曲がれなかったり、ライバルの攻撃を受けてしまうと減点。
スコアが加算される鉱物に至っては早いものがちなので、下手をしたら最後までスコアが0のままになってしまうことがあります。
特に後半のコースではブーストで大ジャンプしないとスコアを稼げない下層に落下してしまう意地悪な作りになっているので、何度も再挑戦しちゃいましたw
そんなトロッコレースですが、カスタマイズ要素も充実していて、ボディやフロント・センター・リアといった部位のパーツを付け替えることができます。
すると、カーブを減速せずに走行したり、猛スピードでブーストできるので、レースを有利に進めることができます。
その影響で終盤のレースでは強いパーツが必要になるんですが、入手するには特定の素材を集めたり、ストーリーを進めないといけないので、本編と連動させることに成功しているんですね。
用意されているコースは8種類以上。
どのコースも作り込まれているので、開発費の半数以上をトロッコレースに費やしているんじゃないかと思いましたw
実際、公式サイトでもトロッコレースをかなりプッシュしているので、今作の目玉要素であることは確かです。
トロッコレースが開放されるのは中盤以降ではありますが、夢中になれる魅力があるので、ぜひそこまで進めることをおすすめします。
惜しいところ
やや改善の余地があるシステム
本作は快適に遊べるよう工夫されています。
オラ夏よりも画面切り替えの待ち時間がなくなっていたり、ストーリーを進めていくと近道が開放されたり。
プレイヤーに配慮しているところはしていますが、欲を言えばもう少し改善してくれると嬉しかったです。
ぼくが特にそう感じたのが、秋田の村から炭の町まで行くまでが少し面倒であることです。
村と町を行き来するには不思議な電車に乗る必要があります。
この電車、外れの方にあるので、村や町の中央にいる時は移動するのが少し大変なんですよね。
1回や2回ならまだしも、20回も30回も繰り返していると少し億劫になってきます。
後半は行動範囲が広がっていきますし、炭の町で夜になると強制的に秋田の村に戻されてしまうので、もう少し駅の近くに行ける手段が多いと嬉しかったですね。
通行止めの表現に違和感がある
ゲーム開始直後は行動範囲が制限されています。
その点は前作と共通していますが、今作では町の人が通せんぼする形が目立っているので、ちょっと興醒めしてしまうところがありました。
なんというか開発者の手のひらで踊らされているといいますか。
そんな印象を持ってしまったので、もっといろんな形で通せんぼして欲しかったです。
例えば溝を作ってアイテムの橋がないと渡れないようにするとか。
そういう形にしたら冒険している感が増してもっとワクワク出来たと思うんですよ。
せっかくグラフィックが作り込まれているのですから、もう少し世界に浸れるよう表現に気を配ったらもっと良くなったんじゃないかと思います。
この点はオラ夏のほうが優れていると思いましたね。
オラ夏の場合、ゲームを進めていくと工事中だった道が開通したり、開かずの扉が開くようになりました。
おかげで自然な形で行動範囲が広がっていく感じがしたので、今作でもそこは貫いてほしかったです。
注意点
今作もボリューム的には控えめです。
通常クリアは15時間前後。やり込みを含めても20時間前後でクリアできます。
各地を探索してアイテムをひたすら集めていくという、プレイタイムを伸ばしやすいタイプのゲームであることを考慮に入れるとちょっと短いですね。
また、これはオラ夏にも言えることなんですが、ゲーム的な駆け引きはそんなにありません。
あるとしたら中盤以降に開放されるトロッコレースくらい。
基本的には簡単操作でアイテムを集めていくのが中心のゲームなので、アクションゲームで見られるリスクとリターンとか、RPGで見られる戦略性を求めると物足りなく感じる恐れがあります。
個人的には世界観に浸るのがメインのゲームだと思いました。
田んぼと山に囲まれた秋田の村と、レトロで怪しげな香りが漂う炭の町。
どちらも実際に暮らしてみたくなるくらい魅力的な世界観ですし、「クレヨンしんちゃん」の平和的な作風も故郷に帰ってきたかのような安心感がありますからね。
「面白い」「面白くない」というよりは「好き」か「嫌い」かで語りたくなるゲームです。
クレヨンしんちゃん『炭の町のシロ』のレビューまとめ
ここまで「クレヨンしんちゃん『炭の町のシロ』」について語っていきました。
簡単にまとめると
- 2つの世界を行き来してアイテムを集めていく探索ゲーム!
- 駆け引きは少ないが、ついつい遊び続けてしまう魅力がある!
といった感じです。
「オラ夏」のスタッフが手掛けた作品ですが、本質的な面白さは大きく変わっているので、初めてプレイした時は驚きました。
「オラ夏」と「炭シロ」
どちらにも良さはありますが、ゲーム的な面白さは「炭シロ」の方があるので、おすすめするとしたら今作でしょうか。
正直なところ、最初は「夏ではなく冬の時期に『オラ夏』の続編を出すってどうなんだろう?」と思っていました。
ですが、実際にプレイしてみたところ、夏休みシミュレーターから大きく変貌を遂げているので、これだったら冬に出しても良いと思いますね。
むしろ新緑が美しい季節が恋しくなってきたので、今から春を迎えるのが楽しみです!
こんな人には特におススメ。
・ノスタルジーに浸りたい人。
・クレヨンしんちゃんファン。
こんな人にはおススメできない。
・作業ゲーが苦手な人。
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