
ニーア オートマタ/PS4
2017年2月に発売されたPS4「ニーア オートマタ」を今回はレビューします。
PS4「ニーア オートマタ」はPS3/Xbox 360「ニーア ゲシュタルト/レプリカント」の後継作品となるオープンワールド型のアクションRPGです。開発はプラチナゲームズが担当。
プレイ日記はこちら。
目次
良いところ
ゲームだからこそ表現出来たストーリー
本作はストーリー主導で作られているように感じました。そうなると他の媒体でも表現出来そうな気がしてきますが、本作のストーリーはゲームでしか表現出来ません。というか、魅力が半減すると思います。
物語はアンドロイド(ロボット)の少女と少年を中心に描かれて行くんですが、結末までに様々なジャンルのゲーム要素が用意されていました。
3Dアクション、縦スクロールシューティング、360度シューティング、レトロ風シューティング、2Dアクション、ノベル、オープンワールド等々。
そのどれもがストーリーを語る手段として見事に機能していて、「こんな形で表現できるものなのか!?」と驚きました。
中にはゲーマーを逆なでするような演出・仕様も含まれていますが、だからこそ感じられるものがあるのは確かで、他では味わえない体験が待っています。
1周プレイするだけではよくあるプラチナゲームズのアクションゲームかもしれません。
ですが、2周目、3周目をプレイする事で少しずつ独特の味が出て来て今までにない体験を味わう事ができます。周回プレイ前提とは言いますが、確かにその通りです。
ちなみに周回プレイによる重複は思ったほどありませんでした。2周目は少し感じますが、3周目はストーリー含めて全くの別物です。
周回プレイと聞いたら同じ事を繰り返すイメージが強いので、この表現だと語弊があるかもしれません。
不思議な世界観
本作の世界観はとても不思議でした。CEROがZになってもおかしくないほど狂気に満ちた描写が多く、トラウマになってしまうほど生々しい描写、女子には刺激が強過ぎるほど性的な描写もあるんですが、かと言ってホラーの印象が強く残る訳ではなく、それ以上に切なさが印象的です。
題材自体は珍しくありませんが、SFやファンタジー、ホラー、ミリタリーの調和の仕方が独特で強烈な個性を感じられました。熱狂的なファンが生まれるのも納得です。
BGMも独特ですね。特別好きにはなれませんでしたが、プレイを終えてもメロディやバックコーラスが耳に残るほど強烈でした。
アクションゲームが苦手な人へ向けた素晴らしい配慮
見た目はコテコテのプラチナゲーに見える本作。ですが、アクションゲームが苦手な人への配慮が満載で、誰でもクリア出来ます。
ポッドの遠距離攻撃&ロックオン機能を使えば遠くから敵にダメージを与えられますし、自動で回復アイテムを使用する機能、そして、イージーモードには回避や攻撃モードを自動でチェンジしてくれる機能が搭載されていて、救済措置は多いです。
その一方で一撃が致命傷になるスーパーハードモードが存在するので、難易度の幅は広く感じられました。難易度はいつでも変更ができるのも助かります。
惜しいところ
描写不足で考察をしないと楽しめない
ストーリーは全体的に描写不足で、考察をしないとよく分からないところがあります。
サブクエストをクリアしたり、複数のエンディングを見る事で少しずつ分かるようにはなっていますが、そこまで能動的にやるほど魅力的なストーリーには感じられませんでした。
端折っている部分が多いせいでキャラクターに感情移入するのが難しい場面が多く、あとから納得できる部分はあるものの、よく分からずモヤモヤする時間の方が印象に残ってしまいます。もちろん、それがSFの良さだとは思うんですが・・・
自分が楽しいと感じられる難易度に調整するのが大変
幅広い層がクリアできるように作られている「ニーア オートマタ」。難易度は4段階用意されていて、救済措置も多数存在します。
アクションRPGなので成長要素やカスタマイズ要素も充実していて、いくらでも難易度を調整することが出来てサービス精神旺盛です。
ただ、自分が楽しいと思う難易度調整にするのは非常に難しく感じました。
最低難易度でオート機能を使ったらサクサクと勝ててしまってゲームならではの歯応えを感じられないし、かと言って難易度を上げたら火力不足で数十分同じルーチンワークでやらないといけなかったり、敵の攻撃が強過ぎて歯が立たなかったりして、面白くは感じられません。
僕の場合、アクションの腕は普通なんですが、あまりレベルを上げなかったせいで終盤は火力が不足してしまい、長期戦を強いられる事になってしまいました。
ただでさえプラチナゲームズの作品という事で冗長なボスラッシュが用意されているので、火力不足による長期戦は厳しいものがあります。
かと言ってレベル上げもダルイし、難易度を下げてのオートプレイも歯応えが無いし、一体どうすれば良かったのか。
アクションゲームとしては大雑把
そもそも、アクションゲームとしては大雑把な作りに感じました。
敵が数の暴力で押し寄せてきたり、弾幕攻撃をしてくるせいでヒット&アウェイ戦法を取りにくく、優秀すぎる回避アクションをしつつ敵に攻撃を与えながら大量に所持できる回復アイテムを使いまくるゴリ押しプレイをしてしまいがちで、戦闘の楽しさを味わいにくく感じます。
こんな戦闘をひたすら繰り返す事になるので、途中でダレてしまうところがありました。
単調な2周目
2周目は別の意味で単調でした。操作するキャラクターがスキャナータイプである関係上、レトロシューティング風のハッキングパートが頻繁に挿入されるんですが、スティックを倒して弾幕を発射するだけのミニゲームなのですぐに飽きてしまいます。
ストーリーも別の角度から見られるとはいえ3周目と比較したら重複部分が多く、一番見所がありません。一応、追加イベントや要素は存在するのですが、それでも厳しいところがあります。
オープンワールドならではの薄味さ
本作は一応、オープンワールドマップを採用しています。この点はデメリットも多くあると思いました。フィールドの密度はオープンワールド特有の薄さがありますし、移動が面倒です。
4時間ほど進めたらワープ機能(ファストトラベル)が解禁されるので楽になりますが、2周目の前半も不便さを強いられるのでちょっと印象が悪く感じました。
一応、サブクエストや釣り要素が存在して寄り道をする楽しさがあるけど、最低限のレベルです。
全体のまとめ
ゲームでしか表現できない手法のストーリー。独特な調和が取れている世界観・BGMが素晴らしく、1つの作品として完成しています。
一方でアクションゲームとしてはプラチナゲームズ開発とは言え問題が多い作りで、まずはゲームとして楽しみたい僕としては高く評価する事は出来ませんでした。
ストーリーが楽しめるものだったら良かったんですけどね。手法は素晴らしいと思ったけど、ストーリー自体は復讐劇の印象が強くて万人向けには感じられず、好き嫌いがハッキリ分かれる内容だったと思います。
個人的にはストーリーや世界観で大きく加点する事は出来ず、それでいてアクションゲームとしては不満が多いので平凡な評価になってしまいました。
ゲームだからこそ表現出来たストーリーの手法は凄いが、全体的に好きにはなれなかった。
こんな人には特におススメ。
・考察好き。
・ストーリーや世界観を重視する人。
こんな人にはおススメできない。
・洗練されたアクションバトルを楽しみたい人。
・考察が苦手な人。
・グロ描写が苦手な人。
ニーア オートマタ/お気に入り度【60/100%】
プレイした時間・・・約25時間
これはさすがに賛否が分かれる作品だと感じました。
ゲームとしては薄味なので、雰囲気やストーリーに強く惹かれないと楽しめないですね。良くも悪くも癖の強さが出ていますね。
私は自分の好みに合う作風だったので今のところ楽しめています。星をつけるならほぼ満点といったところでしょうか(ゲーム内容を重視するなら5つですが)。
早く周回プレイしたいです。