どうも!KENT(@kentworld2 )です!
今回はSwitch「ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔」のレビューをしていきます。
結論から言わせて頂きますと、本作は良質なアクションゲームです。
プレイヤーの導線が上手く、絵本のようなグラフィックも幻想的なので、プレイしている時はほんわかした気持ちになれました。
しかし、売上の方は厳しい結果となっていまして、初週売上はたったの0.6万本で終わっています。
これは「ベヨネッタ3」の初週4.1万本を大きく下回る数字で、任天堂ブランドのタイトルとしては最低クラスの結果となりました。
なぜ、面白いのに売れなかったのでしょうか?
ここからはその辺りを触れつつ「ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔」のレビューをしていきます。
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- 人気アクションゲーム「ベヨネッタ」の関連作。
- 幼き魔女「セレッサ」と生後間もない悪魔「チェシャ」の冒険を描いてる。
- 絵本のような世界で2人を同時に操作してストーリーを進めていく。
初リリース日 | 2023年3月17日 |
対応ハード | Switch |
ジャンル | アクションアドベンチャー |
売上 | 初週0.6万本 |
推定クリア時間 | 12〜18時間 |
発売元 | 任天堂 |
目次
良いところ
幻想的な雰囲気
本作で特筆したいのが、絵本をモチーフにした幻想的な雰囲気です。
ゲームは絵本を読み開きながら展開されていきまして、グラフィックはステンドグラスのようにキラキラした感じになっています。
この作風は「ベヨネッタ」本編とは真逆の印象で、プレイしていると優しさに包まれているような気持ちになりました。
そんな印象をさらに強めてくれるのが、谷 育子さんによるナレーターです。
本作のイベントシーンはフルボイスで展開されていきまして、キャラクターの心の中などはナレーターが読み上げる感じで語られていきます。
イメージ的にはお母さんが子供に絵本を朗読しているかのようで、谷 育子さんによる温かい声と相まってほんわかした気持ちになりました。
まさか、「ベヨネッタ」の関連作でこんな気持ちを味わえるとは!?
良い意味で本編とはまた違った良さを持っていて、「ベヨネッタ」ファン以外にも楽しんで貰おうという気概を感じました。
丁寧に描かれたストーリー
ストーリーのテイストも「ベヨネッタ」本編とは大きく異なっています。
「ベヨネッタ」のストーリーと言えば唐突な展開が多く、少しでも流してしまうと訳が分からなくなってしまいがちでしたが、本作では一変。
キャラクターの心境などを丁寧に描いているので、初見でもスッと入っていけました。
大きな要因となっているのが、ナレーションによる演出です。
嬉しい、悲しい、悔しい。
「ベヨネッタ」本編ではこういった感情の変化はキャラクターの表情や仕草などから読み取る必要がありました。
一方、本作ではナレーションが「このキャラクターは今こう感じているんだよ」といった説明をしてくれるので、ストーリーの流れがグッと分かりやすくなっています。
主人公となるのはセレッサ。後にベヨネッタと名乗る魔女ですが、今作ではまだ未熟で弱虫だったりします。
ストーリーはそんな彼女が牢獄に囚われた母を救うため禁断の森に訪れるところから始まります。
で、ぼくが本作のストーリーで良いと思った点は2つありまして、1つめはセレッサとチェシャの友情描写です。
ゲームを進めるとチェシャという生後間もない悪魔が仲間になります。
時には喧嘩をする2人ですが、いざという時は助け合い、ピンチを切り抜けることになるので、終盤の展開は目頭が熱くなりました。
2つめは、セレッサの成長を描いていることです。
本作の主人公であるセレッサはまだ幼いことから未熟でか弱く、ドジっ娘だったりします。
「ベヨネッタ」本編の完璧すぎる彼女を見た後ですとビックリするほど頼りないですが、ぼくとしては今作の方が感情移入できました。
人間って抜けている方が親近感を持てますし、徐々に成長していく様子を見れた方がゲームの主人公として相応しいですからね。
パーフェクトなメガネ美人も良いですが、ドジっ娘なメガネ少女も悪くないですね(また変な性癖が生まれてしまいそうだw)。
2人のキャラクターによるアクションパズル
ここまでストーリーや世界観を中心に語っていきました。
「ベヨネッタ」本編とは全く異なるテイストであることがおわかり頂けたと思いますが、ゲームシステムの面でも差別化を図っています。
特に大きいのが、2人のキャラクターを同時に操作するシステムです。
ゲームを進めていくと左スティックでセレッサを。右スティックでチェシャを操作することになります。
これだけでも特徴的ですが、それぞれ特性が全く異なるので、森の奥へ進むには2人で力を合わせないと行けなかったりします。
セレッサは魔導術を使って橋を架けたり敵を拘束したり、チェシャは爪で障害物を壊したり敵にダメージを与えたり。
それぞれ出来ること出来ないことがハッキリしているので、今はセレッサの技を使うのか?それともチェシャの技を使うのか考えないといけません。
さらにゲームを進めていくとチェシャが属性の力を習得。
状況に応じて使い分ける必要が生まれるので、「ベヨネッタ」本編と比べてパズルアクション的な楽しさが強化されているように感じました。
特に各地に潜むティルナノーグは異空間であることからやりたい放題やっており、パズルアクション的な仕掛けがふんだんに盛り込まれています。
チェシャを歯車に乗せてセレッサを高いところまで運んだり、それぞれが別々の道を進んで仕掛けを突破したり。
2人のキャラクターを同時に操作するからこそ実現できた遊びを体験することができます。
直感性という意味では「ベヨネッタ」本編には劣りますが、状況に応じて2人のキャラクターを使い分けていくのはゲームプレイにメリハリを持たせている印象で、最後まで飽きずに楽しめました。
丁寧に作られた導線
クリアまでの導線はとても丁寧に作られています。
次に何をやるべきなのか画面内に表示したり、難易度が低めに設定されていたり。
ゲーム初心者でも面白さが理解できるよう徹底されていて、任天堂純製タイトルのような優しさを感じました。
極めつけが、充実のオプション機能です。
オプションでは細かい設定ができまして、受けるダメージを0にしたり、チェシャが使う魔力ゲージの減少量を0にすることもできます。
設定次第では超が付くほどのイージーモードにできるので、ゲーム初心者でもストレスを感じずに遊ぶことができます。
本作は「ベヨネッタ」ファン以外にも売りたかったようですが、オプションモードの拘りを見ていると気概が伝わってきますね。
ベヨネッタファンに向けた要素
新規ファンを意識している「ベヨネッタオリジンズ」ですが、もちろんシリーズファンに向けた要素も用意されています。
幼い頃のベヨネッタ(セレッサ)を見られるのはもちろん、クリア後にはライバルである”あのキャラクター”が主人公の隠しモードが追加されたり、終盤に”あの能力”が使えるようになったり。
「ベヨネッタ」ファンでしたらニヤリとする展開が待ち受けていますので、ぜひクリアまで進めてみてください。
大してファンでもないぼくでさえも「おぉ~!」と口に出したくなりましたからね。
惜しいところ
テンポが悪い
全体的にテンポが悪く感じました。
セレッサの移動速度が遅いのは百歩譲るとして、ストーリー進行中に何度もティルナノーグに出入りする演出が挿入されたり、スキルツリーで能力を強化する度にカットシーンが挿入されたり(スキップは可能)。
何かと遮られるので、集中力が途切れてしまうことがありました。
また、難易度の低さも裏目に出ている印象で、ある程度アクションゲームに慣れている方ですと、特に序盤はダレてしまう可能性があります。
丁寧に作り込むのは正しいように見えて実はデメリットもあるのかもしれませんね。
ベヨネッタ オリジンズはなぜ売れなかった?
ここまで「ベヨネッタ オリジンズ」の良い点や惜しい点を挙げていきました。
全体的には良く出来ていると思いますが、なぜ売れなかったのでしょうか?
ぼくは、「ベヨネッタ」シリーズの尖った要素をなくしたことにあると思います。
セクシーでド派手なアクションとか、目まぐるしく変化するストーリーとか。
そういった要素は本作ではカットされていて、幅広い層が楽しめるよう作風をマイルドにしています。
その一方で2人のキャラクターを同時に操作するなんていうややこしいシステムを採用するなど初心者向けとは思えない一面もあったりしますので、マーケティング的にはチグハグに感じました。
これじゃあ大多数の「ベヨネッタ」ファンは買い控えをしてしまうでしょうし、新規のファンもさほど取り込めないでしょう。
また、見た目と販売価格が釣り合っていないのも問題に感じます。
本作のパッケージ版は定価6,578円(税込)。
任天堂のパッケージタイトルとしては標準的な価格設定ですが、グラフィックがシンプルなうえにキャラクターの表示が小さいので、2,000~3,000円で販売されているインディーズゲームのように見えてしまいます。
まあ、実際にはフルプライス分のボリュームを誇るんですけどね。
パッと見はわからないので、そこも買い控えに繋がったと推測します。
「ベヨネッタ オリジンズ」はこのような理由で埋もれてしまいましたが、何度も言うように基本的な出来は良いので、買って損をすることはありません。
特に「ベヨネッタ」が好きな方や幻想的な世界観のアクションゲームを遊びたい方はハマると思いますので、興味がありましたら騙されたと思って遊んでみてください。
こんな人には特におススメ。
・ベヨネッタファン。
・幻想的な世界観のアクションゲームを遊びたい人。
こんな人にはおススメできない。
・せっかちな人。
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