どうも!KENT(@kentworld2 )です!
今回は2021年7月に発売されたSwitch「クレヨンしんちゃん『オラと博士の夏休み』おわらない七日間の旅」のレビューをしていきますが、まずはひとこと言わせてください。
このゲーム、各地で大変な盛り上がりを見せています!
YouTubeに投稿されたトレーラー映像は200万再生を突破。
実況動画も大盛り上がりで、人気YouTuberが続々と実況されています。
Amazonの売上ランキングでも発売日にはSwitch「ゼルダの伝説 スカイウォードソード」を抑えて1位となり、大ヒットとなりました。
なぜ、「クレヨンしんちゃん」の新作ゲームが今になってこんな盛り上がりを見せているのでしょうか?
本記事を閲覧することで謎がわかると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
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- 漫画・アニメ「クレヨンしんちゃん」を題材にしたアドベンチャーゲーム。
- 田舎町で夏休み生活を楽しめる。
- 魚釣りや虫取り、お手伝い、カードバトルなどの遊びが用意されている。
初リリース日 | 2021年7月15日 |
対応ハード | Switch |
ジャンル | アドベンチャー |
売上 | 初週10.7万本/累計20.0万本 |
推定クリア時間 | 6~10時間 |
発売元 | ネオス |
目次
クレヨンしんちゃん「オラと博士の夏休み」おわらない七日間の旅とは?
「クレヨンしんちゃん『オラと博士の夏休み』おわらない七日間の旅」とは、人気漫画・アニメ「クレヨンしんちゃん」を題材にしたアドベンチャーゲームです。
「クレヨンしんちゃん」と言えば1990年に「漫画アクション」で連載が開始され、1992年にアニメの放送も行われた、歴史的な作品です。
幼稚園児のしんちゃんが大人に対して本音をズバッと言ったり、性器やお尻を露出したギャグを披露したり。
彼の突拍子もない行動に面白さが詰まった作品で、多くの男児が影響を受けました(かくいうぼくもその1人)。
元々は大人向けのギャグ漫画でしたが、アニメ化するにあたって低年齢向けに路線変更。
放送開始直後から爆発的な人気を博し、1993年には社会現象となりました。
その後も安定した人気を保ち、今や「ドラえもん」に続く国民的アニメの地位を獲得しています。
今回レビューする「クレヨンしんちゃん『オラと博士の夏休み』おわらない七日間の旅」。
通称「オラ夏」はそんな「クレヨンしんちゃん」を題材にしたアドベンチャーゲームです。
舞台となるのは熊本のアッソー。
しんちゃんら野原一家は夏休みの一週間、みさえの古い友人の家にお邪魔することになり、一時的な田舎暮らしを楽しみます。
特徴的なのが、自由度が高いことです。
しんちゃんが1日のうちに何をするのかはプレイヤー次第。
虫取りをしたり、釣りをしたり、お手伝いをしたり。
気ままなスローライフを送ることができます。
そんな「オラ夏」ですが、各地で大変な盛り上がりを見せているんですよね。
何故、流行っているのでしょうか?
ここからは人気の理由を紐解いていきます。
オラ夏が大ヒットした理由
その1:潜在的な需要を掘り起こした
「オラ夏」が何故、流行っているのか?
一番大きな理由としては、潜在的な需要を掘り起こしたというものがあります。
世の中には色んなゲームが存在しますよね?
「スーパーマリオ」のようにアスレチックを楽しむゲームとか、「大乱闘スマッシュブラザーズ」のような対戦をするゲームとか。
しかし、ゲームソフトの開発費高騰によって昔ほど色んなゲームを発売できなくなりました。
昔は数千万円で開発できたゲームも今や数億、数十億円が当たり前。
世界規模で数百万本売れないと開発費を回収できなくなり、日本市場だけに向けたゲームを発売するのが難しくなってしまいます。
その1つとなるのが「ぼくのなつやすみ」シリーズです。
本シリーズは夏休みを田舎町で過ごすことになった少年が主人公のアドベンチャーゲームで、古き良き時代を描いています。
木造の家で家族団らんを楽しんだり、近所の林で虫取りを楽しんだり。
大人になるに連れて忘れられた光景が蘇ってくるような名作でしたが、2009年を最後に新作が途絶えてしまいました。
その一方で実況動画界隈では大人気で、夏休みに近づくと「ぼくのなつやすみ」関連の動画で溢れるのが風物詩となっています。
何故、実況動画界隈で人気なのか?
大きな要因としては、季節感の強さというものがあります。
セミの鳴き声を聴きながら田舎町を探検するとか、さざなみの音を聴きながら海で泳ぐとか。
「ぼくなつ」では夏らしさを気軽に味わえるので、いつしか実況動画の定番タイトルとなりました。
加えて今は気軽に外出ができないご時世です。
外で虫取りや魚釣りを楽しむのが難しくなってきているので、「ぼくなつ」で疑似体験したいというニーズが強まっているように感じます。
そんな中で発売されたのが「クレヨンしんちゃん『オラと博士の夏休み』おわらない七日間の旅」です。
本作は題材こそは「クレヨンしんちゃん」ですが、開発は「ぼくのなつやすみ」のミレニアムキッチンが担当しています。
ゲームシステムも「ぼくなつ」そっくりで、
- 少年が夏休みを田舎町で過ごす点
- 固定カメラの中でキャラクターを動かせる点
- 虫取りや魚釣りを楽しめる点
など、共通点があまりにも多く感じます。
そのため本作の略称は「ぼくなつ」ならぬ「オラ夏」で定着し、「ぼくのなつやすみ」の精神的な続編として期待されるようになりました。
ですので、「クレヨンしんちゃん」の新作ゲームとして話題になっていると言うよりは、「ぼくのなつやすみ」の新作ゲームとして話題になっているんですね。
実際にプレイした印象も「ぼくなつ」シリーズに限りなく近いです。
ナレーションベースで物語が進んでいくところとか、家族揃って食事をするところとか。
「ぼくなつ」を遊んだことがある方でしたらニヤリとしてしまうほどソックリで、別の意味で懐かしくなってきました。
その2:「クレしん」と「ぼくなつ」の融合
「オラ夏」が流行っている理由としては、「クレしん」と「ぼくなつ」が融合したことも大きいと思っています。
「クレヨンしんちゃん」と「ぼくのなつやすみ」。
それまで全く接点のなかったシリーズがコラボを果たしたので、ユーザーの間で大きな話題となりました。
個性が強すぎる野原しんのすけが「ぼくなつ」の世界観にマッチしているのか?とか。
劇場版「クレしん」で見られる非日常的な描写がどう落とし込まれているのか?とか。
多くの方が疑問に感じているのではないでしょうか?
実際にプレイしてみたところ、不思議なくらい「クレしん」と「ぼくなつ」の要素が融合しています。
まず、グラフィックについてなんですが、違和感が全くありません。
しんちゃんたちが写実的な背景の中に溶け込んでいます。
「クレしん」と言えば背景の描写は控えめで、漫画版では背景が真っ白なコマの方が目立っているくらいです。
本作の場合、実写寄りではありますが、しんちゃん達が浮いてしまわないように上手く調整されています。
色使いを鮮やかにしたり、光の描写を必要以上に描かないようにしたり。
しんちゃん達のモデリングも素晴らしい完成度で、まるでアニメのように動いてくれます。
「クレしん」の作画はかなり特殊な作りとなっているので、顔の向きとか、髪型とか、3Dに落とし込むのが難しいと思うんですよ。
本作の場合、特殊な処理を行うことで違和感を抑えています。
キャラクターが正面を向かないように処理をしたり、1秒間に動く絵の数をわざと抑えめにしたり。
特にキャラクターが正面を向かないようにモデルを切り替える処理はSNSなどで大きな話題となりました。
「クレしん」ではしんちゃんが正面を向いてはいけないという暗黙のルールが存在します。
本作ではそういったルールを守ったうえでキャラクターを3D化しているので、原作愛を感じました。
とは言えそれは見た目の話です。
キャラクター性に関しては「ぼくなつ」の世界観とマッチしているのか懐疑的なところがありますよね?
「ぼくなつ」は没入感を大切にしているシリーズなので、主人公の個性は控えめとなっています。
一方でしんちゃんは個性が強すぎるので、「ぼくなつ」に落とし込むには没入感が削がれるんじゃないかと言われていました。
実際にプレイしてみたところ、予想以上にマッチしています。
というのも本作のしんちゃんは大人しめだからです。
原作で見られる下ネタとか、言い間違えのギャグは健在ですが、口数が少なめで、ボイスもほとんど挿入されません。
ストーリーの進行にしてもナレーションが主体となっているので、しんちゃんが出しゃばっている感じはしませんでした。
BGMにしても同様で、「クレしん」でお馴染みのトボけたようなBGMは控えめで、環境音が中心となっています。
川の流れとか、セミの鳴き声とか、耳を澄ましてみると色んな音が聞こえてくるので、なんだか泣けてきました。
その3:興味を惹かせるストーリー
「オラ夏」が流行っている理由としては、ストーリーが興味を惹かせるものであることも大きいと思っています。
夏休みを田舎町で過ごすという点だけを見たら実に日常的ですが、そこは「クレヨンしんちゃん」。
劇場映画のような非日常的な描写も含まれています。
その発端となるのが悪のマッドサイエンティスト、あくの博士との出会いです。
あくの博士とは冒頭で出会うことになり、謎のカメラをしんちゃんに渡します。
そのカメラは撮ったものが絵になって保存されるという不思議なもので、しんちゃんは夏休みの思い出をカメラで撮影しながら満喫することにしました。
その後、あくの博士とは田舎町でも出会うことになるんですが、古代のタイムマシンを使って恐竜を現代に呼び寄せるという、とんでもない光景を目撃。
しんちゃんは彼の野望に巻き込まれていきます。
「ぼくなつ」では見られない非日常的な要素ですが、本作の興味を惹かせる役割を果たしている印象で、話題性を高める要因にもなりました。
ぼくの場合、あくの博士としんちゃん、2人の物語がどんな形で幕を閉じるのか気になって時間を進めたくなりましたからね。
まあ、我慢して虫取りや魚釣りで時間を潰していましたけどw
興味を惹かせる要素としては、カスカベ防衛にソックリな子供が登場するというのもあります。
かずまくん、キネちゃん、まさやくん、ぶーちゃん。
「クレしん」をご存じの方はカスカベ防衛にソックリだと一瞬で気がつくのではないでしょうか?
ネタバレになるので具体的には言いませんが、彼らの正体を知った時、本作の奥深さに気が付きました。
このゲーム、「ぼくのなつやすみ」と「クレヨンしんちゃん」を単に融合しただけではありません。
実は複雑な論理で作られていて、考察が捗る作りとなっています。
何も考えずにプレイするとアッサリな内容に感じますが、会話劇の中でサラッとヤバいことを言っていたりするので、噛めば噛むほど味が出てくるゲームという印象です。
2周目以降は集めた虫や魚のデータを引き継いでプレイできますので、ぜひ、2周、3周と遊んでみてください。
その4:自由度の高さ
ここまで非日常的な要素について語っていきましたが、そうはいってもベースは「ぼくなつ」です。
基本的には夏休みを自由に過ごせるので、自由度は高くなっています。
虫や魚を捕まえたり、お手伝いをしたり、DJごっこやカードバトルをしたり。
毎日、好きなように過ごせるので、子供の頃の夏休みを疑似体験することができます。
個人的にビビッと来たのが、行動範囲が徐々に広がっていく点です。
舞台となるアッソーは時間が経つにつれて行ける場所が増えていきます。
工事中だった道が開通したり、開かずの扉が開くようになったり。
通行止めだったエリアに初めて訪れた時、各エリアの意外な繋がりが判明してワクワクしたもんですが、そういう時に限って空腹で倒れたり、夜遅いという理由で保護者に連れ戻されるんですよ。
このワクワク感、もどかしさは子供時代の体験そのもので、昔の自分としんちゃんをシンクロさせてしまいました。
ちなみに空腹はお店で買えるおにぎりを食べることで抑えることができます。
その際に必要なのがお金ですが、これは大人たちのお手伝いをすることで増えていきます。
お手伝いの内容は簡単。
指定された虫や魚、素材を持ってくることです。
これを繰り返すことでお金が溜まっていき、お店で色んなアイテムを購入できるようになります。
「どうぶつの森」などでも見られる要素ですが、お金を溜めてできることを増やしていくのがゲームプレイの大きな動機付けになっている印象です。
その5:ケツだけ星人
大ヒットした理由で最後に紹介するのがケツだけ星人です。
いきなり何を言うんだと言われそうですが、本作にはケツだけ星人ボタンが存在します。
ZLボタン。もしくはZRボタンを押すとしんちゃんがケツだけ星人に変身。
ケツをプリプリしながら高速移動することができます。
見た目こそはぶっ飛んでいますが、実用性は高く、遠くまで行きたい時には便利なんですよね。
Twitterでは「クレしん」の原作を再現している点、操作説明画面に「ケツだけ星人」と表記されている点などが話題となり、本作の話題性を高める要因にもなりました。
余談ですが、ケツだけ星人って昔はズボンを下ろして半ケツ状態で行っていたんですよね。
本作の場合、ズボンを下ろさずに行います。
昔の「クレしん」が好きなぼくとしてはズボンを下ろした状態でケツだけ星人をしてほしかったんですけどね。
下品すぎると「ぼくなつ」の世界観と合わなくなるので、ズボンを下ろさずにケツだけ星人をした方が落とし所としては良いのかもしれません。
購入前の注意点
ここまで「オラ夏」の魅力を語っていきました。
中には記事を閲覧して購買意欲が上がった方もいるかと思いますが、その場合、注意してほしいことが3つあります。
1つめは、ゲームとしての駆け引きが控えめであることです。
一般的なゲームは敵を倒すとか、ゴールを目指すとか、明確な目的が存在しますよね?
本作の場合、そういったゲームらしい駆け引きは控えめなので、緊張感に欠けるところがあります。
ですので一般的なゲームを遊ぶ感覚で手を出すと退屈に感じるかもしれません。
しんちゃんとなって夏休みを疑似体験するとか、そういった気持ちで手を出すことをおすすめします。
2つめは、ストーリークリアが短めであることです。
メディアではやり込み要素も入れて30時間と言われていますが、これは盛り過ぎです。
ストーリークリアだけなら10時間未満で終わってしまうので、ボリューム感を求めると物足りない内容となっています。
理想としては、1日30分ペースで進めることでしょうか。
なぜなら本作の1日は30分程度だからです。
実際にはエリア移動に時間が進むのでプレイヤーのコントロール次第で短くできますが、普通にプレイしたら30分程度で1日が過ぎるようになっています。
今はレビュー動画・記事を投稿している身なので3日ほどでクリアしてしまいましたが、「ぼくのなつやすみ4」では夏休みに1日ペースで進めていました。
すると、現実世界とシンクロできたので、ぼくの中では特別なゲームとして印象に残っています。
3つめは、独特な文法でストーリーが展開されることです。
例えばキャラクターが会話している途中でナレーションが挟まります。
これは「ぼくなつ」譲りの手法ではありますが、「クレしん」を基準にすると話を遮られているように感じるかもしれません。
また、非日常的なシーンの最中に時間が止まってしんちゃんを動かせるようになるなど、ゲーム側の都合で作られているシーンも見受けられたりもします。
人によってはしんちゃんとあくの博士。
2人を中心とした非日常的なシーンがどんな形で落ち着くのか気になっていると思いますが、映画のように一直線で進んでいく訳ではないので注意が必要です。
あくまでも夏休みをアッソーで過ごすという本筋の中の1つに収まっている印象で、こじんまりとまとまっています。
購入前の注意点をまとめると
- ゲームとしての駆け引きが控えめであること
- ストーリークリアが短めであること
- 独特な文法でストーリーが展開されること
の3点です。
良くも悪くも近年のゲームと比べて一線を画する内容なので、気持ちを切り替えて遊ぶことをおすすめします。
オラ夏のレビューまとめ
ここまで「オラ夏」の魅力などを語っていきました。
簡単にまとめると
- 「クレしん」と「ぼくなつ」を見事に融合させた意欲作
- アッサリではあるがひと夏の思い出を作れる
といった感じです。
「ぼくなつ」と比べてどうだとか、色んな意見があると思いますが、ぼくとしては令和の時代にこんなゲームを作ってくれたことに感謝したいです。
日本の田舎町で夏休み生活を楽しむ。
そんなニッチ過ぎるゲームをまた遊べる日が来るとは数年前までは考えられませんでしたからね。
こんな人には特におススメ。
・田舎町が好きな人。
・クレヨンしんちゃんファン。
こんな人にはおススメできない。
・ゲーム的な駆け引きを求める人。
・ボリューム感を求める人。
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