
ドラゴンクエストIX 星空の守り人/DS
2009年7月に発売されたDS「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」を今回はレビューします。
DS「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」は国民的人気RPG「ドラゴンクエスト」シリーズのナンバリング9作目となる作品です。
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- ファンタジー世界を舞台にしたRPG。
- 主人公は顔から名前まで変更できる。
- すれちがい通信機能を使って「宝の地図」を入手できる。
初リリース日 | 2009年7月11日 |
対応ハード | DS |
ジャンル | RPG |
推定クリア時間 | 30~40時間 |
売上 | 初週234.3万本/累計437万本 |
発売元 | スクウェア・エニックス |
目次
良いところ
キャラクターを育てる楽しさ
今作はキャラクター育成に面白さの重点が置かれていると思いました。
まず、パーティメンバーの顔から名前を自分の好みに変更できるところがドラクエとしては目新しいですね!
装備はもちろん、職業まで自由に選択する事が可能で、それまでは主人公しか変更出来なかった事が仲間キャラクターでも可能になりました。
どの職業に転職して、どの武器スキルを育てるのか?思わず悩んでしまうくらいキャラクターを育てるのが楽しい作品です。
しかもゲームクリア後にはレベル99に達した職業のスキルを維持したまま再度レベル1からやり直す事ができる「転生システム」が解禁されるので、強いキャラを作ろうと思ったらいくらでも遊べます。
すれちがい通信が楽しい
ニンテンドーDSに搭載されているすれちがい通信機能。本作は数あるDSソフトの中で最も活かしていると思いました。
すれちがい通信が成功するとお互いの宿屋にキャラクターが増えていき、プレイタイムなどのプロフィールを確認することができます。
また、すれ違った人が増える度に宿屋内が拡張されていき、2階や3階、地下に入れるようになって宝箱からアイテムを入手できるんです。
極めつけは「宝の地図」というアイテムの配布。
「宝の地図」は構造や出現モンスターなどが自動生成されるダンジョンを攻略する事で入手が可能で、すれちがい通信で他のプレイヤーに渡すとそのプレイヤーもそのダンジョンに挑むことができます。
中にははぐれメタルやメタルキング、ゴールデンスライムなどの経験値やゴールドを稼げるモンスターのシンボルのみが出現するダンジョンの侵入が可能になる有り難い「宝の地図」も存在するので、レベル上げが大変な今作では非常に重宝しました。
そのため単なるおまけ要素で終わっておらず、発売当時はすれちがい通信やりたさに本作を起動しながらDSを持ち歩くのが大流行したものです。僕もすれちがい通信のためだけに名古屋駅周辺を歩きまわりました。
あのソーシャル性は昨今のスマホゲームに通ずるものがあって、今思えば先駆けだったんじゃないかと思います。
拘りのグラフィック
グラフィックはDSソフトしては最高レベルでした。
基本的なグラフィックはPS2で発売になった前作と比較すると劣っていますが、「DSの限界に挑戦した」という意味では非常に見ごたえのあるグラフィックになっております。
オープニングやゲームの途中ではアニメムービーが導入されますが、こちらもDSとは思えない迫力で相当な気合いを感じられました。
また、今作では装備を変更すると見た目にも反映されるようになっています。当時は装備を変更しても見た目には反映されない作品も珍しくなかっただけに、DSでそれを実現するとは凄い!
中にはネタらしき装備も用意されているので、装備の変更をするだけでも楽しい作品になっております。
圧倒的なボリューム
ボリューム感はかなりありました。メインのストーリーだけを追っていくとそれほどクリアするのに時間はかかりませんが、「クエスト」や「宝探し」、上級職への転職、錬金釜など、やれる事が盛り沢山なんです。
ゲームをクリアした後にも沢山の要素が追加されるので、ゲームをクリアした後が本番!と言っても良いかもしれません。
また、Wi-Fiコネクションに接続すればクエストの追加を行うことができるので、とことん飽きさせない作りになっていると思います。DSでここまでボリューム感を感じさせてくれる作品は今まで無かったかも?
快適性大幅アップのシンボルエンカウント
本作ではナンバリングタイトルでは初のシンボルエンカウントを採用しており、マップ上ではモンスターの姿を見られるようになっています。
そのため避けたい戦闘は避けることができるようになっており、快適性が従来の作品から大幅にアップしています。前作まではランダムエンカウントだったので、有難かった。
よりフレンドリーな作品に
時代の流れに合わせてよりフレンドリーな作品になっていました。箇条書きで書かせて頂くと・・・
- タッチペン操作だけでプレイできるので、片手でも遊べる。
- 戦闘不能のキャラクターでも戦闘に参加していれば経験値が少しだけ貰える。
- いつでもあらすじを見られるようになった。
個人的にはどれも良い気遣いだったと思います。
惜しいところ
全体的に単調
全体的に単調さが目立っていました。
例えばダンジョン。前作よりも仕掛けが減っていて、歩いて宝箱を探すくらい。今作ではマップを上画面で見る事が出来て迷うことなく進めるので今まで以上に気になりました。
また、クエストも基本的にはお使いで、これも単調さに拍車をかけていると思う。
特定のモンスターを特定の技で○体倒せ!とか、特定のアイテムを入手・作成するとかそんなのばかり。
「宝探し」のダンジョンも似たようなフロアばかりだし、今作は転職システムで今まで以上にレベル上げが必要になるので、とにかく「単調」という言葉が頭から離れませんでした。まあ、単調と分かっていてもついついやり続けてしまう魅力はあるんですけどね。
改善の余地があるメニュー画面
DSの2画面を活かしたメニュー画面でちょっと気になった点がいくつかありました。
まず、武器屋で購入時にその装備を装着する事でどれだけキャラクターの能力が変化するのか表示されるのは良いんですが、複数能力が変化する装備でも1項目だけしか表示されないので非常に困ります。
DSの画面が小さい故に必要な情報を表示しきれなかったようですね。
「宝の地図」を表示している時も、一度しまわないと全体マップを見れないのも何とかしてほしかった。
戦闘終了時も経験値ともらえたお金が下画面と上画面に表示されて困ります。メニュー画面に関してはちょっと改善の余地がありますね。
レベル上げ時はやや苦痛な戦闘のテンポ
戦闘のテンポはやや悪く感じました。
戦闘ではキャラクターが敵の後ろに回り込むなど今までの作品以上にモンスターとの戦闘がしっかり描かれていて見ていて楽しいですが、何度も戦闘をしているとスキップしたくなります。
今作は今までの作品以上にレベル上げが必要なので尚更そう思いました。戦闘スピードを調節できる機能が欲しかった。
もう少し調節してほしかった操作方法
本作はボタン操作、タッチ操作両方に対応していますが、どちらも改善の余地があります。
ボタン操作は戦闘では快適なものの移動は3Dのため十字キーではやりにくいし、かと言ってタッチペン操作は移動はアナログで快適なもののアイコンをいちいちタッチしないといけなかったりして面倒。なので、どっちの操作も中途半端な感じがします。
今回のタッチ操作を採用した事によって今まであったコマンドメニューの「話す」が無くなってしまいましたし。
ストーリー性の低さ
本作は「育成」や「コミュニケーション」に重点が置かれていてこれまでのドラクエと比べるとストーリー性はやや低めです。
仲間キャラにしても今作では自己意識が無くて今までの作品とは違って自分から喋らないので主人公との会話のやり取りもありません。
そのため全体的にストーリーがアッサリしておりこれまでの作品にあった名シーンは今作にはあまり無いと思います。ドラクエと言えば心に残るストーリーと思っている人には今作は物足りないです。
セーブデータ一つのみ
これは発売当初から言われていますが、やはりセーブファイルが一つだけしか作れないのは困りました。もう一度最初からやり直すには大切なデータを消す必要があるなんて・・・。
カジノが無い!
ドラクエではお馴染みのカジノが今作にはありません!
その代わり「クエスト」や「宝探し」といった寄り道が用意されていますが、カジノが無くなったのはちょっと寂しいです。
全体のまとめ
マルチプレイやすれちがい通信対応と言う事もあってか、随所でそれらを意識した作品のように感じられました。
ボリュームは相当ありますが、ストーリー性やギミックなどがスポイルされており、やりこみ要素も同じことの繰り返しで時間泥棒なのがゲームを広く浅くやる者にとっては合わない作品です。
とは言えこのゲームはコツコツと積み上げていく過程が好きな日本人の好みを上手く突いた作品である事は間違いなく、本作が発売されて1年後辺りから始まったソーシャルゲームブームの先駆け的な存在だと思います。
こんな人には特におススメ。
・作業ゲーが好きな人。
・友達が多い人。
こんな人にはおススメできない。
・作業ゲーが苦手な人。
・ストーリーを重視する人。
ドラゴンクエストIX 星空の守り人/お気に入り度【60/100%】
プレイした時間・・・約50時間
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Nintendo | PlayStation |
Xbox | etc |
僕は現在プレイ時間46時間(まあ内3分の1はすれ違い通信に用いた時間ですがw)でストーリーはクリアしました。良いところ・悪いところはほとんど全て同意見です。
まあドラクエは『単調(シンプル)だからこそドラクエだ』とも言えるんですけどね。
堀井さん・杉山さん共に今作は『原点回帰』をテーマにしただけあり、音楽も(町・城はⅢ、海はⅣ、ダンジョンはⅥ、天使界はⅦ)など、過去曲をベースにアレンジしたものが多かったですね。これは本当に良かった。
僕が今作で最も残念(改悪)に思ったのは、(ネタバレにならない程度に言うならば)ラスボスと何度も戦えないと言うことでしょうか。
個人的に、ゲームは何度もラスボスと戦えてEDを何度も見れるような仕様でなければならないと思っているので、セーブ数が一つでは感動的なシーンを残しておくことすら出来ない。この部分のせいで僕の中ではかなり評価が悪くなりました。『終わることのない冒険が始まる』ってこういう意味だったのか・・・