【レビュー】ICO [評価・感想] シンプルだけど心に残るものがある！

2001年１２月に発売されたPS2「ICO」を今回はレビューします。
PS2「ICO」は少女と共に古城から脱出するアクションアドベンチャーゲームです。
2011年９月にはHD画質/ワイド画面に対応し、
3D表示やトロフィー機能が追加されたPS3版が発売。

良いところ

少女と協力して先に進むゲームデザイン　

本作は謎の古城に閉じ込められた少年イコを操作して、
AIで動く少女ヨルダと共に脱出をする事が目的となっています。
しかし、ヨルダはイコよりも行動できる範囲が狭く、
２人とも脱出するにはヨルダの安全や進行ルートを考えて
仕掛けを解かなければならず、頭を使わなければ先に進む事が出来ません。

例　「イコは登れるけどヨルダは登れない段差がある」→
　　「近くにあるブロックをヨルダの所まで運んで登れるようにする」

時にはどうやって先に進めば良いのか分からなくなってしまう事もあるのですが、
その分謎が解けた時の達成感は大きく、快感です！

あと、イコがヨルダの手を繋ぐと一緒に先へ進めるシステムも
ゲーム的に面白く、絵にもなっていて良いですね。
ここまでNPCと協力して先に進める3Dアクションゲームは、
なかなか無かった記憶にあります。

無駄を極力排除したゲームデザイン

・アイテムの種類は数えられる程度。
・HP表示などゲーム的なパラメータの表示は無しで、没入感がある。
・目的は１つの大きなダンジョンを攻略するのみ。
・BGMは無し。基本的に雑音しか聞こえない。
・ストーリーはほとんど語られない。ムービーもほとんど挿入されない。
・戦闘は□ボタンを連打するだけ。敵の種類は数えられる程度。

本作のゲームデザインはとてもシンプルで、
他のゲームでは常識的な物がほとんどありません。
そのため物足りなさを感じる部分はあるのですが、その分だけ
少女と協力して先に進むゲームデザインや雰囲気作りに力を注いでいて、
プレイ中はあまり気になる事はありませんでした。

それよりもストーリーがあまり語られないために
「このあと二人はどうなってしまうのか？」と
初回プレイ時は思って夢中でプレイしてしまいましたね。

世界観が良い

背景は凄く先の所まで作られていて、初期に発売されたPS2ソフトとは
思えないくらいのスケールを感じました。PS3版はHD画質になったので、
そんな背景をより鮮明に見られたのは嬉しいですね。時々景色に見とれてしまいました。
また、古城の構造も対照的な作りで、芸術性を感じます。
こういう芸術性を感じられる作品は、手に取っておきたくなりますね。

個人的に合わない＆気になったところ

戦闘が単調

前述の通り戦闘は□ボタンを連打して攻撃するだけの単純な物で、
爽快感や戦略性はほとんどありません。なので、やっていて面白いとは感じられなかった。
ただ、戦闘ではか弱い少年が必死で少女を守る姿を見事に描いていて、
良い味を出している気はしました。敵の目的はヨルダを連れ去ることで、
連れさらわれたらゲームオーバーになってしまう仕様も緊張感を出していてgood！
単調なので不快感のようなものは残りましたが・・・。

カメラアングルに問題アリ

本作のカメラは固定で、右スティックを使って辺りを見渡すことしかできません。
この仕様を活かした謎解きもあるためそこは否定しませんが、
時々視点が微妙な事もあったのが残念。何気に本作はジャンプアクションスキルを
求められる所が多いので、視点が微妙だと距離感が掴みにくくなって困るんですよ。
何度か視点が微妙で落下死してしまう事があったので、ここは修正してほしかった。
3Dアクションゲームで距離感をつかめない人は終盤のとあるエリアで苦戦すると思う。

ヨルダのAIが微妙

同じ部屋にヨルダがいる場合イコの近くに来るよう指示を出すことができるのですが、
時々どこかに引っかかってしまったりしてヨルダを連れ去る敵が
現れた時は少しイライラしました。”もたもた”してような動き方をするし。

ボリュームが少ない

１つの大きなダンジョンを攻略する内容のため、
遅くても10時間程度でクリアできてしまいます。２周目の追加要素もあるのですが、
どれもおまけレベルで大したことがないし、フルプライスである事を考えると
もう少しメイン部分のボリュームが欲しかった。１周のクリア時間が短い事もあって
社会人でも気軽にプレイが出来て、タイムアタック的な楽しみ方も
できるんですけどね。PS3版では「2時間以内にクリア」、
「4時間以内にクリア」というトロフィーも用意されているし。

ナビゲートが出来ておらず、理不尽なポイントがある

何ヵ所か開発者が意図的にプレイヤーを詰まらせようと
仕掛けた訳ではない（と思われる）エリアで詰まってしまい、
何時間か無駄にしてしまう事がありました。例えば中盤のピストンで上に行くエリアとか。
謎解きに比重を置いた作品とは言え、詰まらせるところは詰まらせて、
そうでないところはスムーズに進ませて欲しかったです。

無駄な物を極力排除した代わりに世界観や謎解き部分に力を注いだ
凄くシンプルで、リソースの振り分けが凄く極端な作品。
そのため合わない人はとことん合わないと思います。
僕は少女と協力して先へ進むゲームデザインが好みだったので楽しめました！
ラストシーンも印象的で、ファンが多いのも納得の作品。
これが2001年に発売されたのは衝撃的。

こんな人には特におススメ。
・雰囲気ゲー好き。
・謎解きゲーム好き。
・時間がない人。

こんな人にはおススメできない。
・重厚なストーリーを求める人。
・サブ的な要素を沢山求める人。
・ボリュームを重視する人。
・アクションゲームが苦手な人。

ICO/お気に入り度【70/100%】
プレイした時間・・・約15時間

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