【レビュー】メタルギアソリッド ピースウォーカー(MGS PW) [評価・感想] 悪い意味でモンハンの影響を受けたゲーム

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メタルギア ソリッド ピースウォーカー/PSP / PS3 / Xbox 360

どうも!KENT(@kentworld2 )です!

2010年4月に発売されたPSP「メタルギアソリッド ピースウォーカー」を今回はレビューします。

PSP「メタルギアソリッド ピースウォーカー」は人気ステルスアクションゲーム「メタルギアソリッド」をPSP向けに作った本編作品です。

2011年11月にはPS3とXbox 360でHDリマスター版が発売。

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良いところ

育成をする楽しさ

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敵基地にこっそりと進入して見つからないよう先へ進んで行く「メタルギアソリッド」シリーズ。

本作でもその点は健在で、ステルスアクションとしての楽しさは相変わらずでした。

敵に見つからないよう壁に隠れ、後ろを向いた隙に移動するあのスリル感!これがたまらないんですよ。

そして今作で特筆したいのは、育成をする楽しさです。

本作では敵兵を自分の基地へ連れて行き、人員として雇うことが可能で、武器やアイテムの制作ができるようになっています。

兵士はそれぞれ能力が異なっており、育てることも可能なので、まるで経営シミュレーションをプレイしているかのような楽しさを味わえました。

そのシミュレーション要素も結構凝っていて、各人員の得意分野、士気、武器・アイテム作成時に使用するポイントを考慮に入れなければならず、どこの班にどの人員を持って行くのか頭を使う必要があって感心してしまいました。

達成感がある

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本作はミッションクリア形式となっており、ミッションをクリアしたら選択画面へ飛べるようになっています。

その中にはボスと戦うミッションが用意されているんですが、どのボスも耐久力が高く、長期戦になりがちであることからクリアした時の達成感はありました。

この達成感、「モンスターハンター」シリーズに通ずるものがありますね。

通信要素が満載

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本作はPSPがリードプラットフォームということで、様々な通信要素が用意されています。

最も大きいものとしては、最大4人で協力プレイができること。

協力プレイ時は相手に近づくことで体力やアイテムなどが共有できるようになったり、普段行けない場所に行けたり、瀕死状態の味方を復活させることが出来ます。

これまでは1人プレイメインだったシリーズですが、複数プレイをすることによって新鮮な気分を味わえることでしょう。

それ以外にも対戦プレイ、兵士やアイテムの交換要素があるので、複数の人とプレイすることでより楽しさが増すのは間違いありません。

ゲームのスケールを大きくしている演出

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今回はPSPでの発売ということで、ゲームとしてはかなり小規模です。

マップは小刻みで1つ1つのエリアは狭く、全体マップも広いとは言えません。

しかし、重厚なストーリーやムービーシーンによってスケール感が大きくなっており、単なるミッションクリア型ゲームでは無くなっているのはさすがだと思いました。

ストーリーに関しても出会い、裏切りなど起伏に富んでおり、最後まで見逃せませんでした。

ただ、ムービーシーンがモノクロのアメコミ調のため、状況を把握しにくいと思ったことも。

シブい雰囲気はよく醸し出していると思いますけどね。

シリーズではお馴染みのお遊び要素が満載!

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毎回様々なネタ要素を盛り込んで来るメタルギアソリッドシリーズ。

今作にも数多くのネタ要素が盛り込まれており、「アサシン クリード」シリーズのパロディ。

各企業とのコラボレーションアイテム、「初音ミク」の声を取り入れたロボット。

コナミから発売されたアーケードゲーム「プーヤン」のパロディミッション、「モンスターハンター」シリーズのパロディミッション。同作品を踏襲した操作形式。

人気声優、水樹奈々さん歌唱による主題歌など、堅苦しいミリタリー物でありながらもこれらのお遊び要素によってエンターテイメント作品としてまとまっています。

ただ、小島監督がでしゃばり過ぎているのは気になりました。

ご自身が非常にステータスの高い兵士として登場するのはまだしも、セシール・コジマ・カミナンデスというキャラクターが登場して「コジマ・イズ・ゴッド!コジマ・イズ・ゴッド!コジマ・イズ・ゴッド!」と連呼するシーンがあるのはさすがにやり過ぎだと思いました。

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惜しいところ

導入部分の作りが下手

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毎回取っつきの悪い「メタルギアソリッド」シリーズですが、今作も良いとは言えませんでした。

導入部分では操作方法からシステムの解説を行いますが、肝心なところの解説が抜けたものになっていますし、その後には実践に移りたいのにながーいムービーを見させられますから。

そのムービーにしても戦争の堅苦しい会話シーンが中心で、動きのあるシーンは少なく、冗長さを感じてしまいました。

煩雑な操作性

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さらにハードルを高めているのが、煩雑な操作性です。

PSPにスティックが2本ない関係上、十字ボタンや○×△□ボタンでカメラ操作をしないといけないのは百歩譲るとして(PSVITAでプレイする場合やHD版では右スティックが使えますし)、銃を構えた時にカメラが切り替わる点と照準移動が遅い点は何とかしてほしかった。

多くのTPSでは、銃を構えるとズームインして肩越し視点になります。

しかし、本作で銃を構えるとズームインはせず、肩越し視点にパッと切り替わるようになっています。

そのせいで銃を構えた時は敵を見失いがちで、混乱してしまいます。

また、照準移動が遅く、動きまわる敵に狙いを付けにくいのも困りました。

カメラ移動は感度調節で早くできるのに、何故照準移動はできないのでしょうか?

通常の兵士に対しては照準をオートにしておけばまだなんとかなるんですが、縦横無尽に移動するボス戦ではそうはいかず、イライラしてしまいました。

水増しが酷い

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携帯機ということでミッションクリア形式なのは良いとして、あからさまな水増しがあったのは頂けません。

まず、ボスの耐久力は武器に成長要素があり、協力プレイ対応とはいえ、高過ぎるように感じました。

体感としては、一般的なTPSの10倍くらいはあります。

耐久力が高いことでクリアした時の達成感はあると思いますが、一方ではゲームを長く遊ばせるための水増しにも感じてしまいました。

また、ミッションがサブを含めて150以上も用意されているのは良いんですが、大半が同じような物で、酷い水増しに感じます。

舞台となるマップが同じなのは百歩譲るとして、単にボスの耐久力を上げただけのミッション。夜にしただけのミッションなど、過去にプレイしたミッションにちょっと手を加えた物ばかりに感じました。

さらに水増しを感じたのは、最終章の進行方法と武器・アイテムの育成。

最終章では同じような目標のミッションを7回もやる必要があり、しかも次のミッションをプレイするには他のミッションを3~4回。

合計で20回クリアする必要があり、とんでもない水増しに感じました。

一応、前の章をクリアしたことでスタッフロールが流れるので、開発者としては最終章は無理にやらなくても良いと思っているのかもしれませんが。

武器・アイテムの育成にしても、ミッションをクリアしないと開発が進まないのも気になりました。

ボスを倒すために強い武器を作ることにした→開発が進まないから他のミッションを何回もクリアして時間稼ぎ。

何度かこういう状況になってしまいましたから。

おそらく携帯機向けで発売することで従来の「メタルギアソリッド」をRPG化させようとしたんでしょうが、過去作であれだけ水増しなしでどんどん新しいステージ、仕掛けが出てきて昨今のTPS、ステルスアクションゲームでも出し惜しみがないだけに、どうしても馴染めませんでした。

やり過ぎなクイックタイムイベント

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アメコミチックに描かれたムービーシーンは、とても長いこともあって退屈させないよういくつかの仕掛けが用意されています。

例えばズームすることが出来たり、選択肢のようなイベントがあったり、クイックタイムイベントがあったり。

ゲームであることを忘れていない、良い仕掛けだとは思いますが、とあるミッションでのクイックタイムイベントはやり過ぎに感じました。

そこではボタンを連打するシーンを3回連続でクリアしないといけないんですが、指を2つくっつけてボタンをスクラッチするほどの連打をしなければクリアできないバランスになっていてクリアした頃には疲労感だけが残ります。

しかも恐ろしいことにその後にモタモタしているとまたそのイベントをクリアしないといけないし・・・。

ミリタリー物なのにシュール過ぎる

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ミリタリー物にお遊び要素を入れるのは個人的には歓迎です。

ただ、無抵抗の兵士を空に飛ばす演出はあまりにもシュールだし、それに気が付かない他の兵士や、屋内でも貫通して空へ飛んで行くのはリアリティに欠けます。

僕はリアリティよりも快適性を優先してするのは基本的には肯定派なんですが、それでも題材のことを考えるとこの仕様は違和感が強かったです。

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全体のまとめ

育成要素を強めたことでより長く遊べるようになったのは間違いないし、達成感や育てる楽しさが増しているのも確かです。

PS2「メタルギアソリッド3 スネークイーター」の続きを描いているため、同作品に似たシチュエーション・マップが登場するのも、懐かしさを感じられて良かった。

ただ、一方ではプレイ時間を引き伸ばしているようにも見られ、悪い意味で「モンスターハンター」の影響を受けて作られているように感じます。

僕はクリアに30時間ほどかかりましたが、水増しがなかったら5時間程度でクリアできる内容ですから。

スタートからゴールまでがほぼ一本道の潜入アクションの可能性を探りたかったんだと思いますが、個人的には”長く遊ばさせられている”印象の方が強く残りました。

あまり多くのゲームを購入できない中高生からしてみればコストパフォーマンスの高い作品になるのかもしれませんが。

こんな人には特におススメ。
・育成TPS好き。
・協力プレイ好き。

こんな人にはおススメできない。
・面倒くさがり屋。

メタルギアソリッド ピースウォーカー/お気に入り度【60/100%】
プレイした時間・・・約30時間

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16件のコメント

MGS3についてはちょっと共感出来ない部分もありましたけど、ピースウォーカーについては全面的に同意
シリーズ通してプレイしてるとそういう人は多いと思う
5はで持ち直してホント良かった

ピースウォーカー今やってます。前もやったんですが、MGS5やって気になってもう一度購入して…。確かに、kentさん言われるようにMGっぽくないけど、これはこれで楽しい気がします。水増し要素っていうのもただのやりこみ要素ですし。ストーリーだけならあんまり水増ししてないと思います。でも、かくれんぼは確かに面倒ですね。

ゲームとしてはそれなりに高水準だとは思いますけどステルスゲームを求めてる人間としてはマザーベースの経営だとか兵士の育成だとかは正直煩わしい要素でした…。
それとミッション形式なのもぶつ切り感があってこれも好きではなかったですねえ。
MGS4から「あれ?」って感じの方向に進みましたがPWはもう全面に出てるって感じです。
水増し感もちょっと目立ちましたね。
特に楽しいわけでもないボス戦が大量に用意されてるのはキツかった…。
と、不満点ばかり書き連ねましたがゲームとしてはPSPと思えぬクオリティなのは確かではあるんですけどね。
それと小島監督のユーモアセンスは嫌いじゃないですがコジマイズゴッドは正直引きました(笑

ピースウォーカーはHDエディションをエンディングが流れるまではやりました。
兵士を集めたり、派遣したり、武器を開発したりは、煩わしさが先に立ってしまい、熱中するまではいきませんでしたね…。
ストーリーもザ・ボス関連で引っ張ってたものの、正直、蛇足としか思えませんでしたし。
まあ、ストーリーに関してはノベライズ版を買ってはいるので、そちらを読んだらまた評価は変わってくるかもしれませんけど。
ただ、エンディングで流れるHEAVENS DIVIDEは、あまりのカッコよさに思わずCDを買ってしまったほど大好きですw

>たんすさん
このゲームは中高生に売りたい事が、
良くも悪くもハッキリと現れているなと思いました。
PSPで出す分にはマーケティングも兼ねて最適だと思いますが、
僕には合わなかった。

> さん
ありがとうございます。
面白いー面白いーだけの内容にはしたくないんですよね。
絶賛するにしても、独自の切り口で記事にしていきたい。

>NAONさん
RPG要素が加わった事によって
育成やシミュレーション的な楽しさが出てきているのは間違いないんですが、
僕としてはメタルギアとは噛み合っていない。という結論になりました。
ストーリーは確かにそこまで水増しはありませんが、
最終章だけはダメでした。あの水増しはダメなやり方の典型例。

>ppさん
はい、小島プロダクションの
主力スタッフが関わっているだけあって、
基本的なクオリティが高いのは間違いありません。
問題は調味料の混ぜ方ですね。
僕からしたらお茶と牛乳を一緒に入れたかのように感じました。
あの水増し感はソーシャルを笑えないですよw
主力スタッフが関わったゲームがこれでは
国産タイトルの限界を感じてしまいます。
小島監督は面白い人だと思うし、
インタビュー記事も欠かさず見ていますが、
どこかずれていますよね(笑)
ツイッターでも問題発言があるし、
あのクラスのクリエイターで「w」を使っているしw

>kojiさん
この手のゲームってRPGとは違って
同じところを行ったり来たりする物では無いので、
どうしてもあのシステムは煩わしさが出て来ますよね。
PSPのUMDがパンパンになったとの事なので、
少しでも少ない素材で長く遊ばせたかったんだと思いますが。
終盤は挿入歌が流れてPSPとは思えないほどの臨場感を味わえましたね!

評価の大部分は自分も同じように感じましたが、水増し、とくに最終章に関しては別の感想をもちました
完全クリアを目指すならば、水増しミッションが大多数と言わざるを得ないのは確かですが、友達と通信プレイをしていたので苦痛は感じず、むしろ慣れていく過程でちょうどよい難易度を選べるものと感じました。
最終章も、かくれんぼ発生まで数ミッション行わないといけなかったというところも通信プレイしていると気になりませんでした。エンディングまで遊んだゲームをさらに遊んでいるうちに、ミッションが追加された、と言う感じでしたので。
後から一人でもう一周したときは煩わしく感じたときもありましたが、それでも既に経験として知っていたので苦痛ではなかったです。
最初からすべて一人でだとつらかったかもしれませんが、通信プレイをしていればあまり気になるものではなかった、と言うのが水増し部分の感想です。

>Ryさん
なるほど、そういう感想を持たれる場合もあるんですね!
確かに協力プレイだとまた印象が変わってきそうです。
僕としては1人で遊ぶ事を前提にして
基本的には感想を書くので、こういうレビューになってしまいましたが。
協力プレイって色んなマイナス点を書き消せる要素ですよね。
例えばモンハンではクエストクリア後に30秒くらい待ちますが、
あれも協力プレイだったらお遊び時間になって苦じゃなくなりますし。

確かに水増ししてるけど、30時間はかかりすぎじゃ…。(せいぜい15時間程度)ステージが同じとかは多分UMDの問題だと思うし、武器を強化する間にフルトン回収をやるっていう楽しみがあります。それにMGS3の時点でフルトン回収システムは出ていますしね。

>MGMの名無しさん
>確かに水増ししてるけど、30時間はかかりすぎじゃ…
下手なのかもしれません。すみません。

ザドル○フ捜索任務は開発の片手間に行ってたから特に不快には感じなかった。
でも、戦闘車両系の任務で完全否殺傷しろっていうのは流石に面倒だった…
(フルトンミサイルが実に有難い)
しかも手に入れた設計図の開発速度が遅すぎてもう…
(50ターンって正気!?)

開発の片手間だったら気にならないかもしれませんね。

今、改めてプレイしたら案外なんとかなるかも!?