マイナーだった「どうぶつの森」は何故、超人気になったのか?

どうも!KENT(@kentworld2 )です!

今回は、不人気だった「どうぶつの森」が何故、超人気になれたのかを解説していきます。

今、Switchの「あつまれ どうぶつの森」が空前の大ヒットを記録していますが、実は、「どうぶつの森」シリーズって当初はあまり人気がなかったんですね。

その証拠にこちらの売上ランキングをご覧ください。

これは2001年に発売された週刊ファミ通648号に掲載されていたゲームソフトの週間売上ランキングです。

初代「どうぶつの森」が発売された週の売上ランキングなんですが、たったの3.6万本しか売れていません。

発売2日間の集計とは言え、かつてはこれだけしか売れていなかったんですね。

そんな「どうぶつの森」シリーズも最新作の「あつまれ どうぶつの森」は発売3ヶ月でパッケージ版、ダウンロード版、合わせて715万本も売れました!

これはファミコンの「スーパーマリオブラザーズ」を上回る数字で、単品作品としては、35年以上もの歴史を誇る日本の家庭用ゲーム市場の中では最も売れたゲームになるんですね。

何故、「どうぶつの森」は日本を代表とする人気シリーズになれたのでしょうか?

ここからは「どうぶつの森」シリーズの歴史を振り返り、何故、最新作の「あつまれ どうぶつの森」が空前の大ヒットとなったのかを詳しく語っていきます。

どうぶつの森とは?

「どうぶつの森」とは、どうぶつたちが暮らす村の中でプレイヤーが移り住み、住人たちとのコミュニケーションを楽しんでいくゲームです。

特徴的なのが、クリアや戦闘の概念が存在しないというものがあります。

多くのゲームは敵と戦ったり指定されたゴールを目指していくように作られていますよね?

ところが「どうぶつの森」ではそのような要素は存在せず、どうぶつたちが暮らす村の中でスローライフを送ることに重点が置かれています。

家のローンを返済するためにお金を稼いだり、虫や魚を集めたり、どうぶつたちとお喋りしたり、部屋のコーディネートを楽しんだり。

何をするのもプレイヤーの自由なので、疲れた時にプレイすると癒やされるんですね。

しかし、冒頭でも触れたように初代「どうぶつの森」は発売週に3.6万本しか売れませんでした。

その後、ジワジワと売れて累計売上は26万本まで伸ばし、ヒットと言える水準には達しましたが、最新作の715万本と比べたら圧倒的に少ない数字です。

何故、初代「どうぶつの森」は普通のヒットレベルで終わってしまったのでしょうか?

要因としては3つあると思っています。

ここからはそれぞれを詳しく語っていきますね。

初代どうぶつの森が売れなかった要因

N64のメインユーザー層と噛み合っていなかった

1つめの「どうぶつの森」がN64のメインユーザー層と噛み合っていなかった点についてですが、こちらのデータをご覧ください。

これはSwitch「あつまれ どうぶつの森」の公式サイトへアクセスしたユーザーの属性です。

見ての通り男女比が半々ですよね。

大抵のゲームは男性の比率が7割、8割を占めるので、ゲームソフトとして見ると女性比率が高く感じます。

スマートフォンで配信された「どうぶつの森 ポケットキャンプ」に至っては女性の比率がさらに増しています。

これらのデータを見てもわかるように「どうぶつの森」シリーズは比較的女性に強いコンテンツなんですね。

では、当時のN64のメインユーザー層はどうなのかと言いますと、小中学生の男の子が大半でした。

いかんせん、古いゲーム機なのでデータを用意できなくて申し訳ないんですが、男性の比率が多いのは間違いなく、「どうぶつの森」のメインターゲット層とマッチしたゲーム機には感じられません。

そのため発売前の注目度は高くありませんでしたし、N64のメインユーザー層だった当時のぼくは「どうぶつの森」に対して抵抗を持っていました。

ぼくは任天堂が大好きで、特に任天堂が発売するN64ソフトはほぼ確実に購入していました。

が、「どうぶつの森」に関してはメルヘンな世界観などから「女の子向けのゲームなのかな?」という印象を持っていたので、発売日に購入するのは迷っていたんですよね。

でも、ファミコンソフトをゲーム内で遊べるというおまけ要素に惹かれて買ってしまい、そこからジワジワとハマってしまいました。

マルチプレイに対応していなかった

続いてはマルチプレイに対応していなかった点について語っていきます。

後述で触れますが、「どうぶつの森」がここまで人気になった要因の1つにマルチプレイの存在があると思うんですよ。

しかし、初代「どうぶつの森」はマルチプレイに対応していませんでした。

一応、1つのカセット毎に4人分のデータを作成できたり、周辺機器の「コントローラパック」を使用することで友達の村へお出かけすることはできたんですけどね。

あくまでもデータ共有ができるだけに留まり、マルチプレイには対応していなかったので、例えばリアルタイムでのチャットをすることはできませんでした。

これは「どうぶつの森」が持つポテンシャルを引き出せておらず、今、思うと非常に勿体なく感じます。

出荷本数が絞られていた

続いては出荷本数が絞られていたことについて語っていきますね。

初代「どうぶつの森」は特殊な仕様となっていて、ゲームの世界でも現実と同じような時間が流れるよう、ロムカセットの中に内蔵時計機能が搭載されていました。

が、内蔵時計機能が搭載されたロムカセットは量産が難しく、思うように再生産ができなかったんですね。

普通のゲームでしたら発売直後だけ売れてその後はサッパリなのでそれでも問題なかったと思います。

が、「どうぶつの森」の場合、口コミで人気がジワジワと広がっている状況だったので、非常にヤキモキする状況でした。

それでもなんとか再生産を繰り返し、初代「どうぶつの森」の売上は2001年秋頃には20万本を超えようとします。

しかし、その頃にはN64の後継機となるゲームキューブが発売され、N64の商品寿命が尽きてしまいました。

そこで、任天堂は初代「どうぶつの森」の再生産に力を入れるのではなく、「どうぶつの森+」というアッパーバージョンをゲームキューブ向けのキラーコンテンツにすべくN64版の発売から8ヶ月後の2001年12月に発売します。

その影響で初代「どうぶつの森」の販売が止まってしまい、累計売上は26万本で止まってしまったんですね。

その代わりアッパーバージョンの「どうぶつの森+」は累計64万本を販売し、「どうぶつの森」シリーズの人気を広めるきっかけになります。

本作は初代「どうぶつの森」をベースにしつつ、新要素を加え、改善を行った作品で、完全新作ではありません。

しかし、対応ハードがゲームキューブになり、再生産をしやすい環境になりました。

ゲームキューブは任天堂のゲーム機としては初となる光ディスクを採用しています。

おかげでゲームソフトの量産が容易になり、「どうぶつの森+」も発売週には潤沢な本数を用意することができたんですね。

その甲斐もあって「どうぶつの森+」はN64版を大きく上回る売上となりましたが、みなさんもご存知のように「どうぶつの森」はさらなる躍進を遂げることになります。

一体、「どうぶつの森」はどのようにして国民的人気のシリーズになれたのでしょうか?

ここからは「どうぶつの森が国民的人気を得るまでの軌跡」を語っていきます。

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どうぶつの森が国民的人気を得るまでの軌跡

携帯機で発売されマルチプレイに対応した

「どうぶつの森」が国民的人気を得た最大の要因。

それは、携帯機で発売されたことで本来のポテンシャルを発揮できる環境になったことです。

元々、「どうぶつの森」シリーズはコミュニケーションを主軸としていながらも据え置き用ゲーム。

それもインターネット通信やマルチプレイ非対応の状態で発売されました。

なので、本来なら携帯ゲーム機で発売するべきだったんですが、初代「どうぶつの森」が発売された頃の携帯ゲーム機の性能では再現できなかったんですね。

「どうぶつの森」って実は複雑なプログラムで構成されています。

例えば地面に何が埋められているのか1マスずつ記憶され、日付が変わることで葉っぱの色が微妙に変化していくようになっているんです。

また、15匹もの住人・家の配置がランダムで設定され、川や橋、滝の位置もランダムで生成されます。

同じようなことを同時期に現役だった携帯機のゲームボーイカラーやゲームボーイアドバンスの性能で実現できたのか?

と言われると、ぼくは難しいんじゃないかと思います。

それから4年後の2005年。

技術が向上し、ついに携帯ゲーム機で「どうぶつの森」シリーズの最新作が発売されました。

それがニンテンドーDS用ソフト、「おいでよ どうぶつの森」です。

本作はシリーズ初となる携帯機で発売されたことで手軽にデータ共有が可能になり、新たに本体を持ち寄っての通信機能に対応し、友達と同じ村で遊ぶことができるようになりました。

同じ村で一緒に遊べるようになったとは言え、できることはそこまで多くありませんが、それでもアイテムの交換が容易になったり、服を見せびらかすなど、遊びの幅は大幅に広がりました。

また、マルチプレイはローカルだけではなく、ニンテンドーWi-Fiコネクションを通じたインターネット通信にも対応します。

おかげで遠く離れた友達とも遊べるようになり、「どうぶつの森」の人気にさらなる拍車をかける要因になりました。

コミュニケーションの手段は短文でのチャットに留まり、同時期に流行っていたパソコンのMMORPGと比べたら意思疎通の手段が限定されていましたが、本作でチャットの楽しさを知った人も多いのではないでしょうか?

このように「おいでよ どうぶつの森」はマルチプレイの要素に力を入れたことで累計523万本も売れました。

これはニンテンドーDSという当時、勢いのあったゲーム機で発売されたのもあるとは思いますが、何よりもニンテンドーDSが携帯機だったという点が大きく感じます。

その証拠に据え置き機で発売された前作となるゲームキューブソフト、「どうぶつの森e+」は累計30万本程度に留まっていましたし、「おいでよ どうぶつの森」の後に発売されたWiiソフト、「街へいこうよどうぶつの森」は126万本程度で留まってしまいました。

この事実を見ても「どうぶつの森」は携帯機との相性が良いコンテンツであることがわかると思います。

「どうぶつの森」シリーズはコミュニケーションを主軸としたゲームなので、手軽に持ち運びが可能な携帯機との相性は抜群なんですね。

コンテンツの共有機能を強化させた

時は流れて2012年。

今度はニンテンドー3DSで「とびだせ どうぶつの森」が発売され、バージョン違いを含めて514万本も売れました!

本作がこれだけのヒットを記録したのは過去の蓄積もあると思いますが、コンテンツの共有機能を強化させたことも大きく感じます。

2012年にもなると携帯電話がガラケーからスマートフォンへと移り変わり、YouTube、TwitterといったSNSも台頭し始めました。

すると、ユーザーがインターネットを通じて様々な情報を共有するのが当たり前になってきます。

「とびだせ どうぶつの森」はそういった移り変わる世の中を見越した作りになっているんです!

例えばQRコードを使ってマイデザインを配布できる機能を搭載したり、インターネットに接続して村コードを入力すれば”いつでも”対象の村に行けるようにしました。

また、スクリーンショットの撮影機能を追加し、ニンテンドー3DSに搭載されているインターネットブラウザーを通じてTwitterなどに撮影した画像を添付できるようにもします。

これらの機能は遊びを拡張するだけではなく、不特定多数の場に発信することで情報の共有が楽しめるようになりました。

すると、「とびだせ どうぶつの森」を持っていないユーザーが興味を持つきっかけにもなったんですね。

実際、ぼくも発売当時は自分で作ったデザインのQRコードをブログ記事に掲載したり、スクリーンショット撮影機能を活用し、ブログやTwitterにて楽しんでいる様子をバンバン発信しましたから。

マインクラフトの要素を取り入れた

ここまでの話はあくまでも最新作の「あつまれ どうぶつの森」が発売される以前の話です。

「あつ森」が大ヒットした要因にはなりますが、もし、仮に過去作と同じような内容だったらシリーズ最高となる715万本も売れなかったでしょう。

では、「あつ森」は何故、過去作を大きく上回る売上になったのでしょうか?

要因としては複数あって、1つめは「マインクラフト」の要素を取り入れたことです。

「マインクラフト」はブロックを使って建物などを作ったり、素材を集めて新しいアイテムを作成していくことに主眼が置かれたゲームで、世界中で大ヒットしました。

大ヒットした要因は数多くありますが、その中でも地形を弄ってあらゆるものを作れてしまう点が大きく感じます。

何故なら地形を弄ってあらゆるものを作れることで「再現」系のコンテンツを発信できるようになるからです。

みなさんは「マインクラフト」で実在する建物を作ってみた!

とか、人気ゲームのフィールドを作ってみた!

とか、再現系のツイートや動画を見たことはないでしょうか?

それらのコンテンツは絵面のインパクトが凄いことから拡散されやすく、「マインクラフト」の知名度・人気を高める役割を果たします。

「あつ森」はこのような「マインクラフト」で見られる要素を吸収し、新たに

  • 素材を集めてアイテムを作成する「DIY」
  • 地形を弄って好きなように川や崖を作っていく「島クリエイト」

といった要素が追加されました。

さらに従来の作品では家にしか設置できなかった家具を外にも設置できるようになり、クリエイトの幅が大幅に広がったんですね。

おかげで友達に見せびらかす楽しさがさらに増したように感じますし、再現系のコンテンツも作りやすくなり、実際、Twitter、YouTubeなどではその手のコンテンツが目立ってきています。

YouTuberの台頭

このように「あつ森」は過去作からクリエイトの幅が大きく広がりましたが、その勢いにさらなる拍車をかけたのがYouTuberの台頭です。

前作となる「とびだせ どうぶつの森」発売当時もYouTuberは存在しました。

しかし、その頃はHIKAKINさんがようやく出てきた頃で、今ほど色んなYouTuberは居なかったんですね。

また、対応ハードがニンテンドー3DSという携帯ゲーム機であった関係上、鮮明な動画を撮影するまでのハードルが高く感じます。

一方、「あつ森」が発売された2020年頃には沢山のYouTuberが現れ、YouTube上には実況動画が大量にアップロードされる環境になりました。

加えてニンテンドースイッチという据え置き機の側面も持ったゲーム機で発売されたことで動画投稿をしやすい環境にもなります。

そのうえでクリエイトの幅が大幅に広がり、再現系のコンテンツを作りやすくなったので、YouTuberにとってはネタの宝庫と言える題材になったんですね。

通常のゲームでしたら決められたストーリーに沿って進んで目的をこなしていくのがメインになるので、例えば実況の場合、大量の動画を投稿するのは難しく感じます。

しかし、「あつ森」の場合、屋内だけではなく、屋外の見た目も色々とイジることができるので、その気になれば何百、何千もの実況動画を投稿できるのではないでしょうか?

ということはそれだけYouTube上に「あつまれ どうぶつの森」が露出されるということでもあるので、任天堂が宣伝をしなくても口コミで人気が広がっていく状況を作り出せているんですね。

「あつ森」は発売週にパッケージ版だけで188万本も売れました。

その後も勢いが衰えず、発売から3ヶ月以上が経過した今でも週間販売本数は下手な新作ゲームよりも多い状況でロングヒットしています。

それはゲーム内容が良いのもあると思いますが、数多くのYouTuberさんが実況動画などを大量に投稿し、話題性を持続できる環境である点も大きいのではないでしょうか?

外出自粛による巣ごもり需要

これはあまり大きな声では言えませんが、某ウイルスによる外出自粛も「あつ森」の売上を後押ししているように感じます。

某ウイルスは2020年に入ってから世界中で感染者が続出し、日本国内でも3月辺りから本格的に広まり、外出自粛の流れが生まれました。

そして、人々は暗い気持ちになってしまいます。

そんな中で発売された「あつ森」は最高のゲームで、屋内での遊びとして重宝するのはもちろん、温かな世界観によって人々の荒んだ心を癒やしてくれる存在としても重宝したんですね。

実際、某ウイルスによる外出自粛によって家庭用ゲーム市場規模が拡大傾向にあり、2020年上半期の国内家庭用ゲーム市場規模は昨年対比で120%以上の伸びを見せました。

かくいうぼくも近頃は外出がしにくく、暗い気持ちになりがちなので、ふと「あつ森」を起動することが多くあります。

やることは決まって

化石の発掘、お店で売られている商品の確認、岩たたき

くらいで、大したことはやっていませんが、それでもプレイしていると癒やされるし、毎日、ちょっとした変化があるので起動してしまうのですよ。

最近は温かいコーヒーを飲みながら「あつ森」を楽しむのが日課になってきています。

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全体のまとめ

ここまで不人気だった「どうぶつの森」が何故、超人気になれたのかを解説してみました。

「どうぶつの森」が誕生してからもうすぐ20年が経ちますが、初代が発売された当時はまさか、ここまで人気のコンテンツになるとは思いませんでしたよ。

初代の頃から応援していた者としては感慨深く感じます。

いちファンとしてはこれからも「どうぶつの森」は進化し続けてほしい。

今はそう思っています。

本記事の動画版

 

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1件のコメント

SNSなんかで他人の素晴らしい島の様子を見てしまうと、自分の島のあまりのしょぼさに愕然となります。僕も発売日から毎日やってきましたが、さすがに最近は、Kentさんと同様短時間のルーティーン作業だったり、たまに魚釣りや虫捕りをするだけになっています。でも、たったそれだけでも割と楽しいんですけどね。