どうも!KENT(@kentworld2 )です!
惜しい点も多いけど、なんか好き。
そんなゲームってありますよね。
今回レビューする「OMORI (オモリ)」もぼくにとってはそんな感じのゲームです。
システムは1990年代に発売されたRPGを土台にしているので古臭い部分が目立っていますし、テンポも良いとはいえません。
ハッキリ言ってゲームとしての面白さは突出していないので、戦略性や中毒性、爽快感だけを求めていると厳しいところがあります。
ですが、作品のテーマや主人公の心境に共感できるものがあったので、ぼくの趣向にぶっ刺さりました!
このゲーム、ぼくは好きです!
鬱や引きこもりを題材にしたストーリーとか、怖いけどほんわかした世界観とか。
刺激に満ち溢れた要素を盛り込んでいるので、インディーズゲームらしい尖った魅力があります。
決して万人向けではありませんが、黒い要素を盛り込んだゲームが好きな人。心に闇を抱えている人はぜひプレイしてほしいです!
ここからはそんな「OMORI」の魅力を語っていきます。
ストーリーの核心には触れないように語っていきますが、勘の良い人はわかってしまうかもしれないので、その辺りを考慮に入れてご覧ください。
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- 鬱や引きこもりを題材にしたRPG。
- 夢パートと現実パートを交互に進めていく。
- 戦闘システムはターン制コマンド式。
初リリース日 | 2022年6月17日 |
対応ハード | Switch |
ジャンル | RPG |
価格 | 2,980円(税込) |
推定クリア時間 | 20~30時間 |
発売元 | OMOCAT |
目次
良いところ
主人公の心情を描いたストーリー
本作最大の特徴は、主人公の心情を描いたストーリーです。
主人公は当初、友達と楽しい毎日を送っていて、たくさんの思い出を作っていました。
しかし、とある事件によって友人たちと疎遠になってしまい、その影響もあって4年間も外に出なくなってしまいます。
いわゆる引きこもりや鬱をテーマにしているんですが、真相がわかる毎に主人公が持つ負の感情について考えたくなるんですよね。
なぜ主人公が心に闇を抱えてしまったのか?
ストーリーの核心に触れるので具体的には言えませんが、とても興味深いテーマで、グッドエンディングを見た時は本作について色々と考察したくなりました。
ゲームは夢パートと現実パートを交互に進めていくことになります。
夢パートは色んなフィールドやダンジョンを探索してストーリーを進めていくRPG形式。
現実パートはハルバル町を舞台にストーリーを進めていくアドベンチャー形式で、2つのパートを通じて主人公の過去や現在が明かされていきます。
面白いのが、ストーリーの表現方法です。
テキストを使って説明していくだけではなく、謎の道を進んだり、幻覚と戦ったり。
見下ろし型RPGのシステムを使って主人公の心情を描いているので、ゲームという媒体を活かしたストーリーを見せてくれます。
なぜ主人公は引きこもりになってしまったのか?
答えが明かされるのはかなり先になるので、人によってはもどかしく感じるかもしれません。
ですが、その間に彼のトラウマが幻覚という形で描かれるので、個人的には得体のしれない恐怖を感じました。
例えばとあるシーンでは真夜中に長い階段を登ることになります。
そして、巨大なクモと戦うことになるんですが、主人公が妙に怖がっていて、不気味なBGMが流れるんですよね。
なぜそのような幻覚を見てしまうのか?
多くの疑問を抱えた状態でストーリーが進んでいくので、先が気になってプレイを続けてしまいました。
「RPGツクール」を用いて作られているのでグラフィックこそはチープですが、演出に関してはフォトリアルなホラーゲームに匹敵するほど怖いですw
友情によって生まれる希望
このように「OMORI」はホラー的な側面を持っていますが、だからといって怖いだけのゲームではありません。
仲間との絆によって希望が生まれてくるので、明るい側面もあります。
主人公は引きこもりではありますが、色んな友人に慕われています。
明るくて天真爛漫なオーブリー、元気で陽気なケル、気さくで温厚なヒロ。
夢パートでは彼・彼女たちと冒険することになり、いろんな困難に立ち向かっていきますが、イベントシーンでのやり取りが良い味を出しているんですよ。
オーブリーとケルが喧嘩したり、ヒロが2人をなだめたり。
良い意味でワチャワチャしているので、彼らのやり取りを見ていると、それまでに感じていた得体のしれない恐怖を忘れてしまうことがあります。
生きていると鬱になることもあるが、楽しい仲間といたら夢や希望が生まれてくる。
本作をプレイして改めてそう感じました。
このように「OMORI」は仲間との絆も大きなテーマになっているので、ゲームシステムも仲間との繋がりが強調されています。
特に大きいのが、戦闘システムです。
戦闘はターン制コマンド式で、敵・味方・敵と順番に出番が回っていき、「たたかう」や「スキル」などのコマンドを選択するというオーソドックスな形式となっています。
しかし、単なるコマンドバトルに終わっておらず、みんなと一緒に戦っている感じがするんですよね。
まず、戦闘画面にパーティメンバーの顔がウインドウに表示されているのが良いです!
このウインドウは飾りではなく、今はどんな感情なのか視覚的に表現しています。
この感情なんですが、3すくみになっていまして、
- 「にこにこ」は「いらいら」に強い
- 「いらいら」は「しょんぼり」に強い
- 「しょんぼり」は「にこにこ」に強い
といった感じで有利不利が生まれていきます。
感情は攻撃をしたりダメージを受けることで変化するので、わかりやすく言いますと、ポケモンの技タイプが状況に応じて変化するような感じでしょうか。
ウインドウに映る各キャラクターの顔はそんな感情がひと目でわかるほか、みんなと戦っている感を生み出しているので、良く考えられています。
他にも仲間が攻撃している時に畳み掛けができたり、みんなと力を合わせて究極の一撃を繰り出せたり。
仲間との絆を感じる要素がふんだんに盛り込まれているので、戦闘を繰り返していると友情の素晴らしさを感じます。
↑個人的に好きなキャラクターはケルです。
夢パートでは無邪気な悪ガキですが、現実パートでは成長した姿で登場して、主人公に対して思いやりのある一面を見せてくれます。
その様子が頼もしく、夢パートとのギャップも相まって惹かれました。
MOTHERへのリスペクト
本作は任天堂の名作RPG「MOTHER」への影響を受けて作られています。
可愛いけど黒い一面も強い作風、良い意味で支離滅裂な世界観、生き物の一部分をモチーフにしたモンスターのデザイン。
ドット絵の可愛いグラフィック、現代を舞台にした世界観、ユニークなシステムのコマンドバトル。
世界観からゲームジャンルまで「MOTHER」との共通点が数多く存在します。
こうして聞くとフォロワータイトルに感じますが、差別化もしっかりと図られていて、クリアする頃には別物に感じました。
「MOTHER」と違うのが、ホラー要素の強さです。
先程も触れたように、本作はホラーゲーム的な側面がありまして、定期的に鬱要素が挿入されます(「ゆめにっき」から影響を受けているようです)。
この鬱要素が強烈で、人によってはトラウマになるんじゃないかと思うくらい。
ですが、「MOTHER」のように温かい描写やシュールな演出も多いので、コントラストが取れています。
個人的に「MOTHER」っぽいと思ったのが、夢の世界の至るところで見られるブラックユーモアです。
例えば各地に設置された便器で回復アイテムの「ラーメン」を取得できるところとかw
これって「MOTHER3」でカエルに話しかけてデータセーブするのと似たようなシュールさを感じませんか?w
こういうぶっ飛んだ発想は昔のゲームっぽくて好きです。
異常なくらい豊富な寄り道
本作は寄り道要素が異常なくらい作り込まれています。
隠し部屋や隠しイベント、隠しダンジョン、隠しボス、ミニゲームなどなど。
本筋から逸れた要素がめちゃくちゃ多いので、どこが正規ルートなのかわからなくなってきますw
例えばメインストーリーに関係ないフィールドやダンジョンがいくつも用意されているとか。
本来であれば作る必要のないところも作り込まれているので、開発者の情熱を感じました。
また、ストーリーは大きく分けて2つに分岐。
それぞれに専用のイベントが用意されており、エンディングも複数存在するので、隅々まで楽しみたい場合は周回プレイをしないといけません。
インディーズゲームってコンパクトにまとまっているケースが多く感じますが、本作は大作RPG並みの物量があります。
Switch版の価格はダウンロード版だと2,980円(税込)。
パッケージ版だと4,400円(税込)になりますが、ボリュームを考えると安すぎるくらいです。
↑個人的に印象的だったミニゲーム。
「たまごっち」のような外見ですが、内容はじゃんけんで、連続で勝つとコンボが加算されます。
こういうゲームの中で遊べるゲーム、好きなんですよね。
惜しいところ
画面が小さい
「RPGツクール」で作られている影響なのでしょうか?
全体的に画面が小さく感じました。
HD画質のゲーム機で発売されているのもありますが、キャラクターの表示がいくらなんでも小さすぎます。
ここまで小さいようだと各キャラクターの識別が難しくなってくるので、「UNDERTALE」のようにもう少し大きく描いてほしかった。
ドット絵のキャラクターと静止画の可愛いイラストを組み合わせた画面構成は想像力を掻き立ててくれて好きなんですけどね。
現実パートでケルが主人公をエスコートしているシーンとか、アニメ化したらどんな感じになるのか想像しちゃいました。
ブラックキー集めが大変
ゲーム終盤になると「ブラックキー」が必要になってきます。
これを集めないとストーリーが進まないので、あまり集めていなかったぼくは泣きを見ました。
てっきり収集アイテムかと思っていたのに、まさかクリア必須アイテムだったなんて(全てを集める必要はありませんが)。
「ブラックキー」はフィールドにフワフワ浮かんでいるので割と見つけやすくはありますが、それでもダンジョンの端っこにあったりするので、1個か2個は見逃してしまいます。
必要になってくる頃にはストーリーの展開が気になってくるだけに、なかなか見つからない時はフラストレーションが溜まってしまいました。
古臭いゲームシステム
ゲームシステムは良くも悪くも1990年代のゲームっぽいです。
4方向にしか動けないキャラクター、シンプルなターン制コマンドバトル。
ボイス無しで展開されるストーリー、手動でしか行えないデータセーブなど、昨今のゲームと比べて古臭く感じます。
また、戦闘もテンポが悪く、サクサクと進めることができないので、レベル上げをする時は困りました。
題材が面白いので多くの人にプレイしてもらいたいところですが、1990年代のゲーム文化に思い入れがない場合は抵抗を持ってしまうかもしれません。
注意点
スッキリしたい人には不向き
本作は鬱や引きこもりを題材にしているので、スッキリしたい人には不向きです。
特にホラー的な要素はプレイヤーにもトラウマを植え付けてしまうほどの怖さなので、心臓が弱い方にはおすすめしません。
また、主人公の真相が判明するのが遅く、グッドエンディングも色んな捉え方ができるので、人によってはモヤモヤしてしまう可能性があります。
明るくてスカッとできるゲームを求めている人には不向きなので、プレイされる際は注意が必要です。
OMORI (オモリ)のレビューまとめ
内向きな主人公の心情をRPGという形で描いた意欲作。
題材的に暗くなってしまいがちですが、幻想的な夢パートや仲間との楽しいやり取りによってコントラストを生み出している印象で、ぼくはそこに惹かれました。
怖いけどなんか優しい。
そういう二面性がある作品が好きなんですよね。
また、負の側面をクローズアップして描いているので、共感をすることもありました。
誰だって挫折したり、失敗することはあるじゃないですか?
ぼくも生きている中で辛い体験を味わったことは何度もあるので、本作をプレイしている時は自分とシンクロするところがありました。
正直なところ、初めてプレイした時は古臭いゲームシステムに拒否反応が生まれてしまいましたが、ある程度進めたら一変。
古臭い点がどうでも良くなるくらいハマりました。
こんなにも感情を揺さぶられたゲームは久しぶりです!
こんな人には特におススメ。
・鬱や引きこもりに興味がある人。
・ホラーゲーム好き。
こんな人にはおススメできない。
・心臓が弱い人。
・古臭いゲームシステムが苦手な人。
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