
シグマ ハーモニクス/DS
2008年8月に発売されたDS「シグマ ハーモニクス」を今回はレビューします。
DS「シグマ ハーモニクス」はスクウェア・エニックスが贈るオリジナルミステリーRPGです。
制作はPS2「ダージュ オブ ケルべロス ファイナルファンタジーVII」のスタッフが担当。
目次
良いところ
アドベンチャーとRPGの融合
本作最大の特徴は、アドベンチャーゲームとRPGを融合している事です!
物語を進めたり、推理する事がメインのアドベンチャーゲーム。成長要素が強いRPG。これらのジャンルを融合した作品はあまり無いので斬新に感じました。
用意されているパートは全部で3つ。事件の手がかりを探す「アドベンチャー」、世界を破滅へと導く「逢魔」と戦う「RPG(戦闘)」、事件の手がかりとなる「刻音」を使って推理を展開する「推理」。
ゲームはこれらの3パートから成り立っていて、アドベンチャーゲームとRPG、それぞれの良さを味わえるようになっています。
異なるジャンルを融合させようとしたチャレンジ精神は評価したいですね。DSを縦に持って遊ぶのもユニーク!
超推理が面白い
上にも挙げた推理パートですが、ユニークな作りとなっています。
推理は事件の手がかりとなる「刻音」を集めて「思考の闇」の周りに置いて進めるのですが、例え間違った「刻音」を置いたとしてもなんとなく説得力のある説明を主人公のシグマがしてくれて推理をまとめてくれます。
しかし、間違いだらけの推理だとその後に出現する章のボスである「大逢魔」が強くなり、戦闘で苦戦してしまうんです。
でも、コイツを倒せさえすれば章をクリアした事になるので事件を強引に解決することができます。
推理力がなくても、戦闘力があれば解決!これが今までのアドベンチャーゲームには無くって新鮮でした。
グラフィックが綺麗
グラフィックはDSにしては綺麗に感じました。フィールド画面はCGとポリゴンキャラが上手く調和しているし、戦闘画面も迫力のある3D映像でこの辺りはさすが技術力が高いスクウェア・エニックス製タイトルだと思いました!
音楽・音質もクオリティが高く、豪華声優(小野大輔「みなみけ」、平野綾「涼宮ハルヒの憂鬱」など)を起用し、主題歌まで収録されているので側にお金をかけている印象です。
惜しいところ
全体的に練り込み不足
アドベンチャーゲームとRPGを融合させたのは良いけど、全体的に練り込み不足に感じました。
まず気になったのが戦闘パート。ハッキシ言ってミニゲームレベルの奥深さで、攻撃パターンやモンスターの種類が少なく、おまけにコマンドバトルなのですぐパターン化します。
レベルデザインもイマイチ。「神霊」という倒すと良い事が起きるキャラクターがフィールド上のどこかに出現するシステム自体は良いけど、レベルをある程度上げてから戦うと一撃で倒せてしまいます。全く歯ごたえがありません。
これはプレイヤーにゲームを進めてから「神霊」を倒せと言っているようなものです。プレイヤーのレベルに合わせて「神霊」も強くなる仕様にすれば良かったのに・・・。
探索要素もイマイチ。章が変わっても舞台が切り替わる事はなく、狭いマップ内で「刻音」を探すくらい。
しかもこの「刻音」、とあるインチキをすれば簡単に見つける事が可能なんですよね(具体的には書きませんが、すぐに分かります)。
このように色々な要素を盛り込み過ぎてしまった結果、それぞれが練り込まれておらず、こじんまりとしています。
テンポの悪さ
事件の手がかりを探すには「調音査」と言われるモードに切り替えなければいけません。
しかし、切り替えるたびに2~3秒程度の待ち時間が発生してテンポが悪いです。頻繁にこのモードに切り替えるので切り替えは一瞬にしてもらいたかった。他にも演出が少々冗長でテンポが悪く感じる場面が多々ありました。
低予算感が半端ない
全体的に低予算で作られているように感じました。章が変わってもストーリーと「刻音」の位置が変わるだけで見た目上の変化はほとんどありません。
登場キャラクターも設定こそは変えられていますが、性格は基本的に変わっておらず、同一人物なので描かれる世界は狭いです。
↑マップも基本的にはこれだけだけなので後半は「刻音探し」の面倒さも相まって飽き飽きしてきます。
声優や主題歌は豪華なので、そちらにお金を注ぎ込んでしまったのでしょうか?ゲーム部分の素材は少なく感じます。
難解な世界観
「刻音」「調音査」「時の調律」「逢魔」「業逢魔」「時紡ぎ」「神の舞曲」
ゲームの専門用語・固有名詞を一部挙げてみました。ゲームを手際よく進行するには当然これらの言葉は覚えなくてはいけません。
用語集が収録されているのでなんとかなりますが、面倒くさいことには変わりありません。あまり小さなお子さんには向いてないゲームですね。
場合によっては推理を楽しめない
アドベンチャーゲームと言えば、推理をする楽しさもあります。しかし、本作の場合は間違った推理をしても戦闘で勝利をすれば先に進むうえ、クリア後に答えを教えてくれないのでモヤモヤする事もありました。
周回プレイを楽しんで欲しいために推理で間違っても答えを教えないようにしているんだと思いますが、僕は教えても良かったと思います。
全体のまとめ
少ない予算の中で色々と欲張ってしまい、ほとんどの要素が半熟状態となっていました。
アドベンチャー、RPG、豪華声優&主題歌。これらの要素を満足に盛り込むには大作タイトルレベルの予算が必要だと思います。少ない予算の中で色々と欲張ってしまった半熟卵。
こんな人に特におススメ。
・声優ファン。
こんな人にはおススメできない。
・せっかちな人。
・推理が苦手な人。
シグマ ハーモニクス/お気に入り度【40/100%】
プレイした時間・・・約20時間
値段を踏まえずとも、14時間でクリア出来ちゃうゲームはパスです…(笑)
フルボイスに主題歌、3Dとするなら、わざわざDSで出すこともないんじゃないかな~とも思ったり(^_^;)