
バテン・カイトス 終わらない翼と失われた海/GC
2003年12月に発売されたGC「バテン・カイトス 終わらない翼と失われた海」を今回はレビューします。
GC「バテン・カイトス 終わらない翼と失われた海」はトライクレッシェンドとモノリスソフトが共同で開発したオリジナルの大作RPGです。
目次
良いところ
奥の深いマグナスバトル
本作に出てくるほとんどのアイテムは、マグナス(マグナ・エッセンス)という物体の本質を封印したカードになっています。
戦闘はこのマグナスと呼ばれるカードを利用して行いますが、これが凄く面白い!
戦闘を平たく言ってしまうと、3Dのバトルシーンが見られるターン制のカードバトルになります。
自分のターンになるとデッキの中からランダムでカードが引き出され、その中から複数選んでいくんですが、攻撃できるものもあれば防御、回復できるものもあってなかなか自分の思うように行動出来ません。
そのおかげで運の要素も重要になっていて、戦略だけでは勝てない斬新な戦闘になっています。
精霊数を揃える楽しさ
戦闘をより面白くしているのが「精霊数」の要素。
カードには「精霊数」と呼ばれる複数の数字が付けられていて、戦闘時にポーカーの要領で数字を揃えると「プライズ」が発生してダメージ・回復量がアップして行きます。
一度に出せるカードはゲームを進めて行く毎に増えて行くので、先へ進むごとに戦闘が楽しくなって行きました。
運良く数字が繋がって大ダメージを与えられた時の気持ち良さと来たらね!
デッキを組む楽しさ
カードゲームの側面が強いという事で、デッキを組む楽しさがあります。
このゲームの行動はすべてカードで行うため、攻撃系ばかりを入れてはいけません。
敵のターン時に攻撃をガードするため防御系のカードも入れておかなければならないし、面倒な戦闘を回避したい場合は逃走系のカードも入れる必要があります。
かといって防御系や逃走系ばかりを入れてしまうと肝心の攻撃が自分のターン中に出来ません。また、RPGらしく属性の概念もあるので例えば炎攻撃系ばかりを入れるのも危険です。
このように普通のコマンドバトルとは違って自由に行動ができないもどかしさがあるけど、上手く配分すればある程度思うような行動を取る事が可能で意外なくらいバランスが取れていました!
ランダム要素が強いだけに、このバランス調整はお見事。
SPコンボを生み出す楽しさ
戦闘中にある特定のカードを組み合わせるとSPコンボが発生して、レアなカードが誕生する事があります。
例 プリン(HP回復400)+醤油(攻+2)=ウニ(HP回復1300)
組み合わせのヒントは、各マグナスの説明画面等にあります。
意外な組み合わせで新たなカードが誕生するので、それを見つけるのが最高に楽しい!一時期本編そっちのけてSPコンボ探しに夢中なっていましたw
時間経過でカードの中身が変化するのも面白いですね。
例えば青いバナナは時間が経過する事で黄色いバナナ→黒いバナナと変化していき、回復量も変化します。
中にはめちゃくちゃ長時間経過しないと変化しないカードもあって、序盤に大して役に立たなかったカードがゲーム終盤になって大化けするなんて事もあったりしました。
このマグナスというシステムは妙にリアルでユニークだから気に入っています。
先の分からないストーリー
ストーリーも素晴らしい内容でした。特に印象的だったのが、ゲーム中盤のどんでん返し。
当時のRPGで常識だったところを覆すような展開が待ち受けていて、そこからは先の展開が知りたくて一気に進めてしまいました。
本作は僕がRPGでストーリーを夢中に追いかけた数少ない作品です。
ちなみに僕の好きなキャラはミズチ様。最初は奇妙なキャラに感じたけど、天然でなまりが入った口調が面白く、癒されました。ミズチ様、もう怒ったね!
驚愕のやり込み要素
やり込み要素はビックリするレベルでした。基本的には1,000種類以上あるカードのマグナスを集めることだけですが、そのすべてを集めること自体がもう大変!
カードの中にはサブイベントで手に入るもの、モンスターの写真撮影で手に入るもの、SPコンボで手に入るもの等、本当に様々な方法で手に入れなくてはいけないのでコンプリートは非常に困難です。
おそらく、すべてのカードを集める事になると、何百時間も費やさなくてはいけないでしょう。
幻想的なグラフィック
このゲームのフィールドマップは2Dで描かれています(キャラクターは3Dポリゴン)。
そのため2Dならではの温かさを感じられるようになっていて、思わず立ち止まって景色を眺めてしまうくらいです。
特に良かったのが、まるで本物のようにフワッとした雲。2Dと感じさせないようアニメーションするので、凄く説得力がありました。
惜しいところ
移動速度が遅い
移動速度はとにかく遅い!
1枚1枚しっかり描きこまれた絵を見てもらいたいからこんなに遅くしているんでしょうけど、他のRPGに慣れていたら最初はあまりの移動速度の遅さにビックリするんじゃないでしょうか?
ダンジョンなんて横に長い3枚程度のアニメーションする絵を繋ぎ合わせたような狭さなのにそこで数十分探索する事になりますからね。
あと、戦闘も後半はかなり長引いてしまうので、全体的にあまりテンポは良くないです。
引き継ぎ要素がない
今では当たり前になっている2周目の引き継ぎ要素。本作にはそれが無いため、カードをコンプしたい場合は1周目ですべて集めないといけません。
カードの中には期間限定でしか手に入らないものがあるので、コレは厳しい!開発陣はカードをすべて集めてもらいたくないんでしょうか?
引き継ぎ要素が無く、期間限定でしか手に入らないカードがあるとそう疑ってしまいます。
人を選ぶ謎の拘り
本作には人を選ぶ謎の拘りが満載です。
例えばパッケージケース。本作は2枚組ディスクになっていて、2つのケースに分けられたパッケージになっていますが、とにかく取り難い!
ディスクケースを外箱に入れている人にとっては良い迷惑です。
これは相当不評だったようで、続編である「2」はディスク2枚組ながらも普通の分厚いディスクケースになっていました。
ボイスの音質も謎です。イベント時はボイス付きでキャラクターが喋ってくれますが、収録場所が悪かったのか、ボイスには変なエコーがかかっています。
慣れれば問題ないのですが、最初の頃はちょっと違和感があるかも?
地味な印象
本作はゲームキューブ独占の大作RPGですが、全体的に地味です。
本作が日本人が大好きな大作RPGだったのにもかかわらずあまり売れなかった要因として、地味なイメージが強かったのもあったのではないでしょうか?
まず、マグナスバトルの画面がパッと見カードバトル風で、難しそうなゲームとして捉えられると思います。
あと、キャラクターデザインは萌え要素などが全くないのでかなり地味です。それが逆に良かったりもしますが、もう少し華やかさが欲しかった。
暗転多し!
イベント時等にしょっちゅう画面の暗転があります。
暗転はキャラクターを瞬時にその場から消すには便利な手法ですが、ちょっと多用し過ぎ!意識するとかなり気になって来ます。
全体のまとめ
多少の粗は見られる作品ですが、ストーリーも面白くて、戦闘も面白い!RPGでは非常に理想的な作品になっていると思います。
マグナスバトルもユニークで開発者の遊び心を感じられる作品になっているので、ゲームキューブやWiiを持っている方で何かやり込めるゲームを探している場合は是非本作をやってみてください!2枚組でボリュームもかなりのものです!
ユニークなシステムとストーリーが素晴らしい隠れた良作RPG。
こんな人には特におススメ。
・大作RPG好き。
・珍しい戦闘のRPGをやりたい人。
・収集好き。
こんな人にはおススメできない。
・テンポを重視する人。
バテン・カイトス 終わらない翼と失われた海/お気に入り度【80/100%】
プレイ時間・・・約50時間
このソフト、偶然にも昨日タカモさんにも勧められました!これはもう運命ですねー。wii持ってる事だしプレイしてみたいと思います(〃∇〃)