天穂のサクナヒメ/PS4 / Switch
どうも!KENT(@kentworld2 )です!
今回は2020年11月に発売されたPS4/Switch「天穂のサクナヒメ」のレビューをしていきます。
本作は稲を育てて強くなる和風アクションRPGですが、何もかもがどストライクな作品でした!
爽快感のあるアクション、和のテイストを盛り込んだ世界観、奥深い稲作パート、感動的なストーリーやBGM。
そして、2つのゲームを上手く融合させた中毒性抜群のシステム。
あらゆる要素が良い感じに調和されていて、極上級の体験を味わえるようになっています。
近年、ゲーム開発は高騰化しており、人海戦術で作っていく流れが生まれていますが、本作をプレイして面白いゲームは開発規模で決まるものではないことを再確認しました。
個人的に2020年はインディーズからAAA級タイトルまで幅広くゲームをプレイしましたが、その中でも特に楽しめましたね。
ここからはそんなPS4/Switch「天穂のサクナヒメ」の良いと思った点からまずは書いていきます。
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- 和風の世界を舞台にしたアクション+シミュレーションゲーム。
- 2Dアクションパートと稲作シミュレーターパートの2つで構成されている。
- 稲作パートでは非常に細かい手順を経て米作りを行うことになる。
初リリース日 | 2020年11月12日 |
対応ハード | PS4/Switch |
ジャンル | アクション+シミュレーション |
売上 | 初週5.6万本 |
推定クリア時間 | 30~40時間 |
発売元 | マーベラス |
目次
良いところ
超が付くほど気持ち良いアクション
本作をプレイしてまず良いと思ったのが、超が付くほど気持ち良いアクションです。
ゲーム開始から10分後、2Dアクションパートが挿入されます。
基本的には左から右へ進んでいき、出現する敵を倒していくことになるんですが、攻撃がヒットした時の音が超気持ち良いんですよ。
「ドカッ」「バキッ」とまるで漫画で使用される擬音を鳴らしているかのような感じの音なので、敵の姿が見えたら無意識に攻撃したくなります。
2020年のゲームらしくコンボもバンバン決まるので、最初の頃はボタン連打をしているだけでも楽しく感じました。
そんな戦闘の面白さをさらに高めてくれるのが、羽衣 (はごろも)を使ったアクションです。
主人公のサクナヒメが身に付けている羽衣は伸ばして使用することが可能で、オブジェクトに当てると遠心力で目の前まで飛んでいけます。
戦闘時はこの特性を活かすことで敵の真後ろに飛んだり遠距離からのアタック攻撃ができるので、いつしか羽衣ばかりを使っていましたw
ゲームを進めていくと使えるアクションが増えていきますし、戦闘部分だけを見ても作り込まれています。
本作を開発したスタッフは過去に格闘ゲームを手掛けていたようですが、その事実を知って腑に落ちました。
こんなにも洗練されたコンボアクション、格闘ゲームを開発した経験がないとできませんわw
驚くほど本格的な稲作パート
本作にはアクションパートの他に稲作パートが用意されています。
最初は「アクションパートのおまけでしょ?」と思っていたんですが、これがビックリするくらい本格的な作りなんですよ!
ここまで本格的だとアクションパートのおまけには感じられず、別のゲームがもう1本入っているような感じがしました。
まず驚いたのが、苗を非常に細かく撒けることです。
栽培系のゲームで苗を撒く場合、1マス単位でしかできない場合が多くありますが、本作ではアナログスティックを使って細かく調整することができます。
しかも苗を植えた場所によって「密植」「疎植」といった感じで判定されて稲のステータスが変化するのだから驚きました。
このように田植えだけでも本格的な作りの「天穂のサクナヒメ」ですが、これは序の口に過ぎません。
それ以外にも
脱穀 (だっこく)、籾摺り (もみすり)、種籾選別 (たねもみ せんべつ)、稲架掛け (はさがけ)
など細かい手順が用意されていて、思わず、「え?こんなことをやるの!?」と口に出してしまいましたw
でも、手順が複雑だと面倒に感じますよね?
開発者もその辺りはわかっているようで、ゲーム内での年数が進むにつれて手順が増えていくようになっています。
正直、最初の頃は稲作パートは乗り気じゃなかったので助かりましたw
2つのパートを融合させたバランス調整
とは言え2Dアクションパートと稲作シミュレーターパートは関連性が薄く感じますよね?
それどころか感覚で楽しめるアクションと頭を使うシミュレーターはある意味ゲームジャンルとしては水と油なので、お互いが喧嘩してしまう恐れあるでしょう。
ところが本作の場合、秀逸なバランス調整によって2つのパートを上手く融合させることに成功しています。
まず良いと思ったのが、空腹と昼夜の概念が存在することです。
アクションステージを攻略していくとサクナヒメのお腹が減ってしまい、体力が回復しなくなります。
また、夜になると視界が悪くなって敵も強くなるので、圧倒的に不利な状況になってしまうんですね。
そのため長時間アクションステージを攻略していると拠点(我が家)に帰らざるを得なくなります。
そこで重要になるのが、食料の確保です。
拠点で休息を取るだけでは空腹を満たすことができず、体力の回復を満足に行うことができないので、稲作をしたり、素材集めを行わないといけません。
極め付けとなるのが収穫時に発生するステータスアップです。
本作はRPGのように主人公を強くすることができます。
しかし、普通のRPGとは違って敵を倒してもレベルを上げることはできません。
では、どうすれば良いのかと言うと、品質の良いお米を作れば良いんです!
品質の良いお米を作ることで収穫時に主人公のステータスが上がりやすくなります。
この作業を怠っているとアクションステージの難易度がどんどん上がってクリアできなくなるので、稲作パートも絶対に進めないといけません。
本作のキャッチコピーは「米は力だ」で最初は意味がわかりませんでしたが、収穫時に主人公のステータスが上がることで腑に落ちましたw
空腹によって発生する自動回復の封印、回復アイテムシステムの廃止、夜になることで強くなる敵モンスター、収穫時に発生するステータスアップ。
このように本作は通常のアクションRPGとは異なるバランス調整を行うことで稲作パートの必要性を生み出している印象です。
一見すると全く異なるゲームジャンルを上手く融合しているという意味では「ペルソナ」シリーズを彷彿としました。
「ペルソナ」シリーズもRPG、アドベンチャーといった2つのパートをステータスアップの要素によって上手く融合していましたからね。
癖になる探索要素
アクションステージは戦闘だけではなく探索の面白さも強く感じます。
というのも多くのアクションステージはスタートからゴールまで行くだけではクリアしたことにはならず、新しいステージが解禁されないからです。
新しいステージを解禁するには今、攻略できるステージで指定されたミッションをクリアしなければいけません。
ゴールを目指すのはもちろん、
- 敵を○○体倒す
- 夜に敵を○○体倒す
- ステージに隠された○○を入手する
といった条件を満たす必要もあります。
一見するとボリュームを水増しするような要素にも見えますが、前述の空腹や昼夜の概念によって適度な緊張感を持たせており、ついつい同じステージを潜ってしまいました。
ステージ構成も秀逸で、意外なところに隠し部屋があったりするので、色んなところで羽衣を使ったワイヤーアクションを試したくなります。
丁寧に描かれたストーリー
本作のストーリーはとても丁寧に描かれています。
2Dアクションパート、稲作シミュレーターパートの動機付けを持たせているのはもちろん、主人公となるサクナヒメの成長を感じられるように作られているので感情移入をしてしまいました。
主人公のサクナヒメは一応、成人しているんですが、当初はどうしようもない豊穣神で、冒頭では堕落した生活が描かれています。
その後、手違いによって追放されてしまい、人間たちと一緒に米作りを行うことになるんですが、様々な出来事を経て成長していくんですね。
ぼくは男性なので異性のサクナヒメに感情移入するのは難しいかな?
と当初は思っていましたが、徐々に成長していく様子には心打たれました。
何気に凄いのが、サブイベントによって人間キャラの描写も細かく描かれていることです。
不器用な田右衛門、片言のミルテ、ヤンチャなきんた、鶴のように織物が得意なゆい、幼児退行したかいまる etc…
彼らも含めて細かく描くことでストーリー性が高まっている印象で、クライマックスのシーンでは涙しました。
心温まる世界観・BGM
世界観は和風で統一されており、日本人でしたら心に響くものがあります。
湿っぽさまで伝わってくる田んぼ、囲炉裏を囲んで行う食事、山脈に散りばめられた色鮮やかな紅葉。
都会に居ると忘れてしまいがちな日本の風情が細かく描かれているので、まるで、田舎の祖母・祖父の家へ遊びに行った時に通ずる感覚を味わいました。
そんな心温まる世界観を彩るのが和風全快のBGMと環境音です。
BGMは和楽器による美しいメロディが。環境音は虫の鳴き声が印象に残りました。
どちらも本作の世界を本物と感じさせる役割を果たしており、同時に価値を高めているようにも見えます。
惜しいところ
我が家の移動が面倒
本作は拠点となる我が家へ定期的に帰らなければなりません。
が、峠から我が家まで毎回歩くのはやや面倒に感じました。
メニュー画面からワールドマップまでワープできるようにするのであれば、峠内の施設も簡単に行き来できる機能を搭載してほしかった。
本作とゲームシステムが少しだけ似ている「アトリエ」シリーズではメニューを開くことで各施設へワープできる機能を搭載しているだけに尚更。
やや作業感がある
本作には四季の概念が存在し、一周する毎に稲作をしなければいけません。
作業感が生まれないよう、徐々にできることが増えたり、技術を覚えることで手際良くこなせるようになっているので、そこは良いと思います。
が、全ての要素が解禁される終盤以降はやや作業的に感じてしまい、やり込みをするのが億劫になってきました。
痒いところに手が届かない服装の反映
主人公のサクナヒメは装備品を身に付けることで見た目が変わります。
が、その多くは不恰好なので反映しないでほしかった(特にお面系)。
一応、オプションで各パートで見た目が変わらないように設定することもできますが、何故か個々のパートでしか設定することができません。
戦闘パート、イベントシーン、拠点。全てのシーンで反映できない設定がないのは残念です。
アップデートで追加されることを祈っています。
天穂のサクナヒメのレビューまとめ
爽快感、中毒性、ゲームバランス、ストーリー、BGM。
あらゆる要素が高水準にまとまっており、AAA級タイトルと遜色のないほどの価値を感じられました。
本作は”えーでるわいす”というインディーズサークルが手掛けた小規模タイトルですが、正直、舐めていましたね。
まさか、2020年にプレイしたタイトルの中で1.2を争うほどハマるとは思いませんでしたよw
年々、インディーズゲームの影響力が強まっている印象ですが、本作をプレイして「インディーズゲームもしっかりプレイしないとな!」と思いました。
日本人でしたら心に響くゲームだと思うので、少しでも興味を持ったら手にとってみてください。
価格は約4,500円とインディーズゲームにしては高価ですが、その分、ボリュームが多く、大作ゲームと同じくらい長く楽しめますよ。
2つのゲームを上手く融合させた日本人必須の名作!
こんな人には特におススメ。
・日本好き。
・爽快感を求めている人。
・探索好き。
こんな人にはおススメできない。
・めんどくさがり屋。
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