
人喰いの大鷲トリコ/PS4
2016年12月に発売されたPS4「人喰いの大鷲トリコ」を今回はレビューします。
PS4「人喰いの大鷲トリコ」は不思議な生物のトリコと共に仕掛けを解いて先に進んでいくアクションアドベンチャーゲームです。
目次
良いところ
計算されて作られた大掛かりな謎解き
トリコと協力して解いていく謎解きは実に素晴らしいものでした!
舞台となる神殿はトリコと完全に連動していて、奥へ進むにはトリコの力が必要不可欠です。
例えば大きな段差があるとします。人間の主人公では飛び越えることは出来ませんが、トリコを利用すれば飛び越えられるんです!
だけど、トリコとは常に一緒という訳では無く、アクシデントで離れ離れになったり、お腹をすかして動けなくなったり、進行を妨げる障害物が設置されていて主人公しか先に行けない事もあるのでその状況を打破するため探索や謎解きをする必要があったりします。
どのようにして奥に進むのか?トリコをこちらに連れてこれるのか?
そういった謎解きが楽しい作品でした。
ゲームクリアまでの15時間の大半が探索&謎解きとなりますが、思わず「こんなアイデアもあるのか!?」と感じてしまうような大掛かりで斬新なギミックが満載です。
2016年のゲームなのに謎解きのヒントがほとんどないのも良いですね。
近年のゲームは常に目的マーカーが設置されていて何をやれば良いのか画面上に表示されていますが、本作の場合はそれが一切表示されず、自分の目でフィールドを見て謎を解かなければならず、発想の転換が必要です。
時には同じところに数十分詰まってイライラするかもしれませんが、その分だけ謎が解けた時のカタルシスも大きく、初期の「ゼルダの伝説」みたいな楽しさがあります。
高度な技術
ここ数年のうちに数多く登場したAIと協力して先に進むアクションアドベンチャーゲーム。
本作もその1つになりますが、さすが元祖AIアクションアドベンチャーPS2「ICO」の流れを組む作品だけあって凄い技術を使っていました!
考えてみてください。大きな生物と入り組んだ神殿内で行動を共にして探索する事がどれだけ技術的に大変なことか。
大きさのあまり壁に挟まってついてこれなくなる可能性だってあると思うので、普通に作っていたらゲーム的なストレスを感じてしまうかもしれません。
それが本作の場合は細部まで作り込まれているためそうなる可能性は低く、例えば狭い通路も一生懸命顔を突っ込んで強引に潜り抜けて来たり、空を飛んで上から登場したりするんです!
思わず「え?そこまでしてついてくるの?」と突っ込みたくなるくらいしつこくて、トリコが敵じゃなくて良かったと思いましたよ。
おそらく、相当高度なAIで作られていると思うので、デバックが大変だった事でしょう。よくゲームとして成立するよう作ったもんです。
ダイナミックな演出
探索&謎解きゲームという事で「静」の印象が強いかと思いきや、「動」の印象も強い作品でした。
ある程度ゲームを進めると開放的な屋外に行けるんですが、そこでは足場が崩れるなどの環境破壊描写が凄く、「アンチャーテッド」バリのダイナミックなシーンが満載だったりします。
足場が崩れて絶体絶命のところをトリコがキャッチしてくれるなど思わず息を止めてしまうシーンも多く、ゲームの良いアクセントになっていると思いました。
トリコが可愛すぎてヤバい
鳥のような、犬のような不思議生物のトリコ。
最初は凶暴ですが、次第に主人公と仲良くなり、指示できるようになるんですが、だんだん、愛着が沸くようになっています。
とにかく可愛くって、キュートな瞳でこっちを見て来て謎解きに詰まって疲れた時は癒されました。
1枚1枚細かく描かれ、光の反射とも連動した毛皮、非常に多彩なしぐさもリアリティを高めてくれますね。まるで本当に存在する生物かのような説得力があります。
あまりにも可愛くって、先日は夢にも出て来てしまいました。
タッチペンでコミュニケーションを取れる「トリコドックス」が出たら買ってしまいそうです。
没入感が凄くて止め時を失う
ごく一部を除き、ゲームはシームレスに展開されます。
隣の部屋に行こうが、別のエリアに行こうが、イベントシーンが挿入されようが読み込み時間はほぼ発生しません。
それに加えてゲーム的なステータスバーが排除されているため没入度が半端無く、先へ進む度に多彩なギミックが待っているため止め時を失ってしまいました。
高度なAIを持ち、説得力のあるモデリングのトリコと完全に連動したフィールド。派手な環境破壊描写。そして、シームレスなゲームプレイ。
本作には最新の技術が詰め込まれていて、それが面白さと直結しているのだから凄いですね。
確かにこれをゲームとして成立させるにはPS4ほどのマシンスペックがないと実現出来ません。
濃密でゲームでしか味わえない体験が詰まっている
最後までプレイして、非常に濃密で中身が詰まったゲームに感じました。
ゲームクリアまでのプレイタイムは15時間前後になると思いますが、その大半がゲームプレイで、次から次へと新しい仕掛けが挿入されるためボリューム感が半端無いです。
フィールドのスケールも大きく、実質前作となるPS2「ICO」は序章だったのかと感じてしまうくらい詰め込まれていました。
それでいて描写不足という事もなく、最後まで手を抜かずに作られていてさすが完成するまで7年もかかるだけの事はあります。最後にはゲームでしか味わえない感動が待っていますよ!
雰囲気ゲーにありがちな薄味さというものもなく、やり応えのあるゲームプレイの上に素晴らしい映像表現が詰まった理想的な作品です。
惜しいところ
気まぐれなトリコちゃん
トリコのAIは確かに凄いです。だけど、気まぐれなのも確かで必ずしもプレイヤーの思うようには動いてくれません。
高いところまでジャンプしてほしいのに逆方向へ行ってしまったり、すぐに動作しなかったりして。
トリコの習性を理解してきたら納得いくようにはなっているし、間違った解法のところにはいかないように作られているのでコツを掴めばそこまで問題ないんですが、初見だと詰まってイライラするかもしれません。
解法が見つかるまではトリコがおバカちゃんなのか、プレイヤーがおバカちゃんなのか心の中でせめぎ合いになる事でしょう。
僕の場合は数十分詰まる事が何度かあったけど、後者である事が多かったです。
だけど、バグの報告も何度か聞いているので人によっては開発者の想定外なところで詰まって理不尽さを感じてしまうかもしれません。
良くも悪くも独特な操作感覚
操作感覚は独特で、慣れが必要に感じました。
2016年のゲームなのに「ICO」「ワンダと巨像」の操作感覚を引き継いでいて、△ボタンでジャンプしたり、独特な重みのある挙動だったり、カメラ調整が難しかったりと最初は慣れが必要です。
トリコも気まぐれで思うように動いてくれないので、独特な操作感覚とのコンボによってイライラして投げてしまう人も一定数いると思われます。
トロフィー入手を狙ってのタイムアタックプレイをしたら尚更イライラするでしょうね。
全体のまとめ
「ICO」、「ワンダと巨像」の良いところを取り入れつつ、最新技術を駆使して作られた名作!
ヒントが少なく、操作が独特でトリコは気まぐれだし、直接敵と戦うことができないので一般的な日本人の趣向と合った作品ではありませんが、探索や謎解き、イノベーションが大好物な僕にとっては最高の作品でした。
これはPS4のマシンパワーがあったからこそ実現出来た、世界に向けて発信できる国産の代表作にしても良いくらいです。
最新技術を駆使して作られた、ゲームでしか味わえない楽しさと感動が詰まった名作!
こんな人には特におススメ。
・謎解き好き。
・探索好き。
・感動したい人。
こんな人にはおススメできない。
・短気な人。
・3Dゲームに慣れていない人。
人喰いの大鷲トリコ/お気に入り度【95/100%】
プレイした時間・・・約15時間
ストレスを与えることも、計算に入れてるのはすごいし、
余程 自信がないとできないデザイン。
最後の方の展開はすごい。
ゲームならではですね。
動物が好きだと辛いシーンが多いから
人に勧めにくい。