
風来のシレン3~からくり屋敷の眠り姫~/Wii
2008年6月に発売されたWii「風来のシレン3~からくり屋敷の眠り姫~」を今回はレビューします。
Wii「風来のシレン3~からくり屋敷の眠り姫~」は世界観が和風のローグライクゲーム(ダンジョン探索型RPG)です。
2011年1月にはバランス面が調整され、追加要素が加わったPSP版が発売されています。
目次
良いところ
大作RPG感覚で風来のシレンを楽しめる
これまでに発売された「風来のシレン」シリーズは、アーケードスタイルに近いゲームデザインでした。
ランダム生成されたダンジョンを探索し、ゴールを目指す。1プレイは長くても1~2時間程度で、クリアしたらレベルは1に戻ってしまいます。
これを繰り返してアイテム収集や強化を行うのが楽しい作りとなっていました。
本作の場合は重厚なストーリーやレベル継続システムによってステージクリア形式のゲームデザインに変更され、ゲームクリアまでに何十ものダンジョンに挑んでいきます。
その間にはイベントシーンが挿入されて、まるで大作RPG感覚で風来のシレンを楽しんでいるかのようでした。
進化したグラフィック
グラフィックは前作から大きく進化していました。
十字キーで操作できるダンジョン探索型RPGでここまでグラフィック面を進化させる意味はそんなに無いと思いますが、前作からかなりグラフィックの質がアップしています。
背景はより描き込まれ、キャラクターの等身がアップして3Dポリゴンで描かれるようになりました!
オープニングなどではシリーズ初のプリレンダリングムービーを収録。
風来のシレンシリーズの方向性を考えると要らない気もしますが、キャラクターが美形に描かれており、見応えがあります。
ちなみにボイスは収録されていませんが、シリーズの雰囲気を考えると正解だと思います。
圧倒的なダンジョン数
本作に収録されているダンジョンは30以上!過去の作品は多くても10程度だったので、大幅にダンジョン数が増えています。
クリア前のダンジョンもかなり多いので、これまでの作品とは違ってクリアするだけでもかなり時間がかかるようになりました。僕の場合、通常クリアだけで30時間以上もかかっています。
仲間の操作が可能
今作では仲間キャラを操作する事が可能になりました(もちろんこれまでのようにオートで行動させることも可能)。
さらに、1ターンに全キャラを操作して戦える全員操作モードという機能を搭載。
この機能は主にボス戦で役立つんですが、ピンチ時にはまるでターン制のシミュレーションRPGをプレイしているかのような感覚を味わえて、不思議のダンジョンシリーズの新境地を開拓したと言っても過言ではありません。
このシステムは次回作では削除されていますが、ぜひもっと磨いて復活させて欲しい。
※3DS「世界樹と不思議のダンジョン」では別の形で復活しました。
個人的に合わない&気になったところ
テンポの悪さ
キャラクターまで3Dポリゴン化してしまったからか、今作のテンポはとにかく悪い!
1マス進むのですらモッサリしており、無駄なモーションがかなり多く、これまで発売された作品をプレイした後だとあまりのテンポの悪さに驚くと思います。
このシリーズは繰り返しプレイするという作業的な部分があるので、テンポが悪いのはかなり痛い。
僕はどの「風来のシレン」シリーズもハマったら2、3時間ほど続けてやってしまうんですが、このゲームの場合テンポが悪くて音楽にメリハリが無いので1時間継続プレイが精一杯です。
レベル継続システムが要らない
本作はPS2「トルネコの大冒険3」のようにレベルが引き継がれる仕様になっています。
しかし、すべてが裏目に出てしまい、「風来のシレン」の良さをぶち壊していました。
特にダメだと思ったのが、ゲームバランスが極端になって詰みやすくなってしまった事。
ゲームオーバーになったら相変わらずアイテムはすべて失うため、中途半端なところでやられたらさあ大変!弱い装備で強敵と戦わないといけなくなるので一気に不利となります。そのため序盤のダンジョンからのやり直しを強いられてしまうんです。
一方、ゲームオーバーにならず、順調に武器や盾を強化出来たら極端に難易度が下がるので、緊張感がなくなってしまいます。
「風来のシレン」シリーズはレベルよりも装備依存のゲームバランスなので、レベル継続にするのであればその辺りのバランスをもっと調整しないとおかしくなるというのに何をやっているのか・・・
初心者への救済措置としてゲームオーバーになっても半分しかアイテムを失わないイージーモードが用意されているけど、これはゲームバランスの放棄と言っても良いでしょう。
お金が溜まり難い!
本作ではお金が溜まりにくいバランス調整となっています。
というのも物の売り値が買い値の10分の1、あるいは5分の1しかなく、ダンジョンによって入手できるギタンの金額もある程度固定されているからです。
このバランス調整のせいでただでさえアイテムロスト時の難易度上昇が凄まじいのに、ますます難易度を高めてしまっています。
理不尽なくらいモンスターの厄介さを高める属性システム
本作には新たに属性の概念が追加されました。
姿を消す透明能力を持つ属性、通常攻撃を喰らうとかなしばりに遭う可能性がある属性など、ほとんどのモンスターが何らかの属性を持っていますが理不尽なくらい厄介さが高まっているので無くて良かったと思います。
仲間が一人だけやられてもゲームオーバー
本作では仲間を連れていけますが、これまでの作品とは違って一人でもやられたらゲームオーバーになりアイテムをすべて失います。
という事は、最悪の場合シレンが持っているアイテムに加えてそれぞれの仲間に持たせていた補正値+99の武器と盾も失ってしまう事になります。
そんな事が起きた日にはショックのあまり立ち直れないかもしれませんね。
さすがに僕はそこまで酷い目には遭いませんでしたが、そこそこ鍛えた3人分の武器と盾、そしてアイテムを失って心の骨が折れた事が2、3回あります。
無駄に長いストーリー
ストーリーは無駄に長く感じました。本作はこれまでの作品と比較してストーリー性が高く、クリア前は物語を楽しみながら進めて行く形になりますが、ストーリーに突出した面白さを感じられず、終盤にはちょっとダレてきます。
風来のシレンシリーズにストーリーはそんなに要らないのかも。
度が過ぎたクリア後のダンジョン
クリア後にはアイテム持ちこみ不可で入るとレベルが1になってしまう従来のシリーズにあったようなダンジョンに挑戦できます。
それは良いのですが、999階まであるダンジョンはちょっとやり過ぎだと思います。こんなむちゃくちゃなゲームバランスで誰がやる気になるのか。
その他気になった事
・ワイド画面非対応。
・画面がリアルになった事で視認性が悪くなった。
・Wi-Fiのダンジョン対戦が階段探しゲームと化していて面白くない。
全体のまとめ
ストーリー性を高め、レベル継続性にする事で大作RPGを良くプレイする若いユーザーを取り込もうと思ったんでしょうが、バランス調整が悪く完全に失敗しています。
クリア後にはアイテム持ちこみ不可で入るとレベルが1になってしまう従来のシリーズにあったようなダンジョンに挑戦できるのでこれまでの作品にあった面白さは健在なんですが、テンポの悪さもあってそれでも従来のシリーズと比較したら面白さ的に見劣りします。
光る部分はあるのですが、全体的には粗が目立つ作品。運が悪いと理不尽な目に遭いまくってしまい、ディスクを割ってしまうかも!?大作RPG路線が裏目に出てしまった失敗作。
こんな人には特におススメ。
・綺麗な映像のシレンがやりたい人。
・残酷なアイテムロストを求めている人。
こんな人にはおススメできない。
・従来のシレンを求めている人。
風来のシレン3~からくり屋敷の眠り姫~/お気に入り度【50/100%】
プレイした時間・・・約45時間
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