
ゼルダの伝説 風のタクト HD/Wii U
2013年9月に発売されたWii U「ゼルダの伝説 風のタクトHD」。
2002年12月に発売されたアクションアドベンチャーゲーム、GC「ゼルダの伝説 風のタクト」をHDリマスター化して様々なチューニングを加えた作品です。本記事では本作のレビューをしていきます。
目次
ゼルダの伝説 風のタクトとは?
「ゼルダの伝説 風のタクト」とは、船に乗って島を探索していくアクションアドベンチャーゲームです。
2002年発売のゲームでありがならも島から海。海から島がシームレスに繋がっており、トゥーンレンダリングによる自然な3Dアニメーションを実現した作品で、当時は各地で話題になりました。
残念ながら中盤以降は突貫で作った印象で「時のオカリナ」ほどは高く評価されていませんが、それでも良作である事は確かで、根強い人気を持つ作品です。GC版のレビューはこちら。
何かが変わって綺麗になったグラフィック
グラフィックは単にHD化されただけではありません。発色を変えたりと細かい部分まで手が加えられています。
なので、最初見た時の印象は「オリジナル版から何かが変わって綺麗になっている!」でした。
グラフィックが綺麗になった一番のメリットは、各キャラクターの微妙な表情の変化が分かりやすくなった事ですね。
「~風のタクト」はキャラクターがアニメ調になり、ネコ目になった事から発表当時は賛否両論だったんですが、この絵柄にしたのは意図があり、キャラクターの表情の変化を効果的に見せる事が狙いの一つとしてありました。
それがHD化によって、より分かりやすくなっているんですよ。
ゲームキューブ版ではブラウン管の20型テレビでやっていたのもあるんですが、キャラクターの表情の変化が思ったよりも感じられず、勿体なく感じていましたから。
とは言え時間が経つとこの変化に慣れてしまい、当たり前になってしまいましたがw
大幅に遊びやすくなった!
ゲームキューブ版は楽しかったけど、プレイすればするほど面倒さが増して行く作品でした。
そう感じてしまう最大の要因は、あまりにも広大すぎる海の移動にあります。
島から島へはシームレスで行けるのでゲームキューブのスペック面での限界があったようですが、やはり島から島へ移動するのに2分以上かかるのは退屈です。追い風じゃないと早く進めないから、何度もタクトを振って風向きを変えないといけないし。
その点Wii U版はゲームを進めると倍速移動&オートで追い風に変わる「快速の帆」が手に入るから、それを入手したら一気に移動が楽になりました!
入手するにはある程度能動的にプレイしないといけないので存在を知らない人もいそうですが、移動が不便だと感じたらタウラ島を探索してみましょう。
それ以外にも痒いところに手が届いた作りに
それ以外にも遊びやすくするチューニングが色々施されています。
例えばタクトで音楽を奏でた時のデモも2回目以降は流れなくなったり、初期の財布容量が200から500ルピーに増えていたり。
特に嬉しいのが、ゲームパッドのおかげでゲームを止めずにタッチスクリーンによってすぐにアイテムをセットできる事。
ゲームキューブ版ではアイテムをセットするのにいちいちスタートボタンを押して設定していましたからね。
ロード時間は少しだけゲームキューブ版よりも早くなっている気がします。
ゲームキューブ版は建物の中に入る時にほんの少し待ち時間があったんですが、Wii U版では限りなくゼロになっていました!
僅かな差ですが、これは有難い。これら調整のおかげで、寄り道をする意欲が大幅に増したと思います。
↑ところでWii U版になってからは弓矢を構えながら移動できるんですよね。
まるでFPSのような戦い方もできるようになっています。
これが結構新鮮で、ゼルダのFPSをやっているかのようでした!意外と面白いので、おまけゲームとして発売してほしいw
宝箱の中身もチューニング
ネタバレになってしまうので具体的には書きませんが、宝箱の中身もGC版からチューニングされています。
GC版ではものすごーく苦労してたどり着いた場所に置かれていた宝箱の中身があまりにもショボかったんです。
しかも、「え?たったこれだけ」というセルフツッコミ付き。
ただでさえ腹が立っていたのに確信犯とも言えるセルフツッコミで怒りが倍増しました。
この点は開発者にも苦情が殺到したからかWii U版では改善されており、相応のアイテムが宝箱の中に入っています。
新アイテムではありませんが、これでバランス良くなりましたね。その他にもいくつか宝箱の中身が変更になっている箇所があります。
Miiverseを使った新しい遊び
Wii U版はゲームキューブ版にあった「チンクルシーバー」が無くなっています。
その代わりに「チンクルボトル」というアイテムが追加されているんですが、これを使って自由に文字や絵を描くことができるんです。
描いた絵や文字は海に流し、見知らぬ人に届く。こういう仕組みになっています。
言ってしまえばMiiverseの要素をゲームの世界に入れているだけなので、大した驚きはありません。ただ、チンクルボトルはコンスタントに手に入るので、定期的に見知らぬ人の書き込みを見られるのは良いですね。
難易度のバランスはもっと調整してほしかった
とは言え、まだまだ調整するべきところはあったと思います。
個人的に気になったのは、難易度の面です。僕はWii U版で追加された受けるダメージ2倍&回復アイテム出現なしの「辛口モード」でプレイしたんですが、先に進むほど簡単になって行ったんですよ。
ハートが少なかった頃は何度もゲームオーバーになったのに・・・。
なんで先に進むほど簡単になるのかと言うと、敵や障害物の攻撃力がほとんど上がらないから。
本来RPGって先に進めば進むほど主人公の体力が増えるからそれに比例して敵の攻撃力も増えて行くんですが、本作の場合はあまり比例しているとは言えないんですよ。
いつまで経っても受けるダメージはせいぜいハート1個分。
障害物に関しても、終盤のダンジョンでは受けるダメージ2倍のトゲトゲとかあっても良かったと思う。ハートが10個以上あるのに、いつまで経ってもハート半分程度のダメージでは痒い程度です。
このように先に進むほど戦闘面での難易度が低くなるから、通常モードでプレイしている場合は「ハートのかけら」を集める意義が薄いんですよ。
「時のオカリナ」はある程度ゲームを進めることで敵の攻撃力が上がっていただけに、「風のタクト」のアクション面でのレベルデザインはあまり上手いとは言えません。
こちらのほうが自由度高いので調整は難しかったと思いますが、HD化されたのを機に難易度のバランスも何とかしてほしかったなー。
まだまだ未完成な印象が強い作品
ゲームキューブ版から様々なチューニングがなされて、より快適な作りになった「風のタクトHD」。
発売から11年経った今プレイしても古臭さは感じられず、素材は良いと思ったんですが、やはりまだまだ未完成な印象が強い作品でした。
改めて最初から最後までプレイして、明らかに削っているなと思うところが多いんですよ。
例えば本来ならあってもおかしくない場所にダンジョンが無かったりとか。
中盤以降に訪れる、シリーズではお馴染みの”あの世界”だってそう。あの世界には、もっと色んな施設を置いても良かったと思います。
せっかく再び「風のタクト」を世に送り出す機会が出来たのだから単なるHDリマスターに留まらず、削った部分も収録して完全な「風のタクト」にしてほしかったとファンとしては思うのですよ。
とは言え普通のゲームとしてみると、それでもハイクオリティなゲームだと思います。
もし僕が2013年になって本作を初めてプレイしていたら、年間マイベストゲームランキングのTOP10には入れる事でしょう。
なので過小評価されているネットの評価には惑わされず、未プレイの方はこの機会にプレイしてほしいです。
評価はGC版から1ランク上げようか迷いましたが、ゲームとしては未完成な印象がまだ強いので、GC版のままにしておきます。
こんな人には特におススメ。
・アニメの世界を冒険したい人。
こんな人にはおススメできない。
・せっかちな人。
・可愛い絵柄が苦手な人。
ゼルダの伝説 風のタクトHD/お気に入り度【85/100%】
プレイした時間・・・約20時間
GC版で息子がモリブリン?を燃やす作業(妻にやめさせろと言われた).をしてから十数年
今度は娘にwiiu版をやらせるかどうか笑