【レビュー】ウォーキング・デッド [評価・感想] 生死について考えさせる重苦しくも夢中で楽しめるインタラクティブドラマ

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ウォーキング・デッド/PS4 / PS3 / PSV(Z指定)

2013年12月に発売されたPS3「ウォーキング・デッド」を今回はレビューします。PS3「ウォーキング・デッド」はゾンビに支配されつつある世界で物語を進めていくアドベンチャーゲームです。2014年9月にはPSVITA版が。2016年6月にはPS4版が発売。

良いところ

クレメンタインとリーの絆

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幼い少女のクレメンタインと、中年のリー。全く関係のなかった2人ですが、世界がゾンビに支配されるようになってから行動を共にすることになります。本作のストーリーはこの2人を中心に描かれ、徐々に繋がっていく絆が印象的でした。

血が繋がっているわけでもないのに、まるで家族のようにクレメンタインを大事にするリー。徐々にリーへ心を開いていくクレメンタイン。この2人が最終的にどうなるのか?そこが本作最大の見どころに感じました。ラストシーンは感動的です。

死亡者を左右させる選択肢

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このゲームの登場キャラクターは死亡率が非常に高いです。会う人会う人死んでいきます。

注目したいのが、プレイヤーの選択肢によって死亡者が決まる事。ゾンビに襲われている人が同時に2人もいた場合、あなたはどっちを助けますか?そんな運命の選択が沢山用意されているので、凄く迷いました。自分の選択次第で誰かが死んで、誰かが生き残るなんて・・・。

さらに凄いのが、選択肢によって生き残った生存者が仲間割れをして他のキャラクターを殺害する事。自分が助けた事によって別のキャラクターを殺してしまうなんて、じゃあ、助けなかった方が良かったんじゃないか?そう悩んでしまいますし、何よりも工数が多そうで凄い手間をかけて作られているんだなぁと感心してしまいました。

もちろん生存者が誰であろうと物語の大筋は変わりませんが、会話シーンの内容は大きく変化するだけに自分で物語を紡いでいる感じが強く、ゲームだからこそ味わえる体験が詰まっているように感じます。

選択肢が多いと周回プレイをしても新鮮に楽しめますが、それ以外にも自分が物語に介入している印象を強くする役割も果たせるんですね。

過酷なサバイバルを上手く表現した描写

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このゲームはZ指定だけあって、グロ表現が凄いです。グロ表現は人を選びますが、このゲームの場合はグロイからこそ感情移入できるところがありました。

ゾンビに支配された世界ではいつ死んでもおかしくありません。感染して自分がゾンビになるかもしれないし、金銭や食料目当てで他の人間に殺されてしまうかもしれない。

そんな過酷な世界を描くにあたってグロ描写は説得力を高める役割を果たしていて、感情移入をしてしまいました。子供だろうが女だろうが容赦なくグチャグチャにされるので、ずっと一緒だった仲間が惨い姿になった時は目を手で覆いたくなります。

アメコミ調のグラフィックだからまだマイルドなところがあるけど、これがリアル調のグラフィックだったらZ指定ですらも出せないレベルでグロイです。

中だるみしないストーリー

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本作は当初エピソード形式で販売されていました。そのためか1つ1つのエピソードに見どころが多く、早く次のエピソードに進めたくなります。

当初はありふれたゾンビ物という事で甘く見ていましたが、人間描写をしっかり描く事で使い古された題材でもこれだけ魅力的な物になるんですね。

カジュアルな操作で楽しめる

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本作はアドベンチャーゲームなので、複雑な操作は必要ありません。基本的にはカーソルを操作して対応するボタンを押すだけ。

イベントシーンではクイックタイムイベントのようなものがあってそこでは少し焦らされますが、判定が厳しいところはほとんどなく、ドンパチ部分も操作もシンプルになっているので、アクションシューティングが苦手な人でも楽しめるようになっています。

それでいてアクションゲームのように様々なシチュエーションのバトルやアスレチックが楽しめるので、上手いバランスに収まっているなと思いました。

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惜しいところ

探索パートのテンポがやや悪い

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本作にはムービー→クイックタイムイベント→探索の3パートが用意されています。

探索パートでは各地を歩き回ってキャラクターと会話したりアイテムを見つけて謎を解いていくんですが、ややテンポが悪く感じました。

同じキャラクターと連続で会話したら同じ内容のやり取りをスキップなしで見ないといけないし、主人公の移動速度が遅いためちょっと広いフィールドだとテンポが崩れます。

ゲームらしさを高める役割を果たしているので一概に悪いとは言えませんが、やや足止めされている感が強かったです。探索パートによってややダレました。

字幕がやや読みにくい

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字幕の色はキャラクターによって分けられています。ただ、どれも蛍光色なのでシーンによっては背景と被って読みにくく感じました。

それとこのゲーム、ストーリー重視なのに英語音声日本語字幕なんですよね。ストーリーが良くて登場キャラクターに感情移入するだけに、日本語音声だと尚良かった。

でも、字幕だからといってストーリーが理解しにくくなるという事はありませんでしたね。海外のゲームってストーリーの作りが雑でよく置いてきぼりにされますが、本作は描写が丁寧のためそんなことはありませんでした。

全体的に重い

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クリアまでのプレイタイムは10時間前後になると思います。

インタラクティブアドベンチャーゲームとしては標準的なボリュームでその気になれば2.3日でクリア出来ますが、だからといって気軽にプレイできるゲームではありません。

とにかく生々しくて残酷なゲームで、それでいて罪悪感まで持ってしまうため、プレイするのが重かったです。これがこのゲームの味だとは思うし、印象を強く持たせていますが、その一方でプレイするのが重くてなかなか一気にプレイする事は出来ませんでした。

おかげで続編が発売になってもすぐにプレイする気にはなれません。これは難点といえば難点ですね。

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全体のまとめ


生死について考えさせられる作品。とても重苦しい物語で気軽には楽しめませんが、その分だけ感じる事も多く、クリア後は充実感がありました。生死について考えさせる重苦しくも夢中で楽しめるインタラクティブドラマ。

こんな人には特におススメ。
・ゾンビドラマ好き。
・過酷な物語を楽しみたい人。

こんな人にはおススメできない。
・グロ描写が苦手な人。

ウォーキング・デッド/お気に入り度【75/100%】
プレイした時間・・・約12時間
※当ブログでこれまでにレビューしたタイトルの一覧はこちら をご覧下さい。

 

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14件のコメント

ゾンビものというと荒唐無稽なバカゲーという偏見があったのですがそういったものばかりではないんですね。

それを選ばせるのか!?という選択が多くて、しかも甘口のフォローはその後一切ないですから、物語への没入感はすごいものがありますね。
物語の展開への大きな介入こそあまり出来ないですが、それでもこれだけ登場人物の生死を左右してしまえるのは、選択肢の多さを考えると整合とるの大変だったろうなあ。見た目はリッチとは言えないですが、十分すぎるほどの力作だと思います。
ドラマの方をシーズン6冒頭くらいまで観てるんですが、自分がドラマの主人公だったらこうしていた、みたいな感じで楽しめます。いや、苦悩してます笑。
探索で移動が遅かったり視点が制限されているので焦れったいのと、複数人が同時に喋るところで片方のセリフ字幕が一瞬しか表示されない、など細かいところで不満もありますが、古風なアドベンチャーゲームのシステムを土台にしていても、まだまだこんな面白いゲームが作れるんだなと、嬉しくなりました。
シナリオの練り込み加減が海外ドラマはすごいんですよね。今や映画より儲かるからドラマに才能が集まっているらしいですし。物語に介入できるゲームはある意味最強の娯楽だと思ってますので、こういうレベルのものがいくつか出て来たらアドベンチャーゲーム再興もあるかも。

グラフィックは「D4: Dark Dreams Don’t Die」みたいですね。
でもグロさで言ったら圧倒的にこっちが上ですね。(こっちはZ、D4はCなので)
やってないからわからないですけど、説明を見る限り「ラストオブアス」よりやばそうですね。
ラスアスはストーリーこそ没入感がすごいですけど、選択は無かったですからね。
その分こっちの方がそうとう後悔しそうな展開もありそうですね。
アドベンチャーだからこそ相当重いストーリーにしたんでしょうね。
ただ単に生々しいグロさだったら多分平気ですけど、罪悪感が生まれるとなると
しばらくの間は鬱になりそうですね。

このゲームはニコニコ生放送で配信されてるのを見たのですが、プレーヤーだけでなくて見てる側も分かりやすくていいです。プレーヤーの取った行動で展開が目まぐるしく変わっていくので性格診断テストを外から眺めてるようでもありましたw
物語が冗談抜きのシリアスさで固められてるのが魅力的です。

ドラマの方もシーズン1は普通にストーリーが展開するのですが、シーズン2から人間関係が絡んでくるので、観ていると気分が重たくなるんですよね。
そういう意味では、ドラマの展開を上手くゲームに落とし込んでいる感じがしますね。気分が重たくなりそうなので、気持ちに余裕がある時に購入しようかな。

おっ高評価!
しかも同じ☆8だし全体的にほぼ同意見です!流石w
ラスアスのストーリー好きな人には是非ともオススメしたいですね!
正しくインタラクティブ・アドベンチャーでしたね。
初めは善人プレイしようとするんですが二者択一迫られたりムカつく奴には厳しく当たったり笑
選択一個一個が重いくせに制限時間もあるからかなりの葛藤や後悔生まれて介入感が凄かった。
リーは立ち位置が絶妙で感情移入度合いが半端なかったです。
クレメンタインを何よりも守りたいという絆には胸が熱くなりました。
街中ゾンビだらけのアメリカで噛まれたらゾンビ化するとかテンプレみたいな舞台設定ですけど、
ラスアスしかり人物描写を巧みにするとここまで楽しめるんですね。
本当に怖いのは人間というのをまざまざと感じさせられました。
度を越したグロさエグさだからこその重みがあり意味のあるZ指定でしたね!
エピソード2とか視覚的な描写もですが精神的なグロさにも参った。。
全編通して一切笑いやユーモアなくただただ重く徹したのは評価したい。
いい意味で別の選択肢選んでの周回はしたくないと思いました。
自分が選んだこの物語を大切にしたいと。
最後の一番重い選択肢はなんとなくkentさんと同じだったんじゃないかなと思います笑
ちなみにシーズン2も選択肢の重さや世界観は同様に凄かったんですが、
主人公がクレメンタインになったのと絶対的な絆がなかったせいで感情移入度が下がっちゃいました。
ハイパー少女クレムになってしまったので^^;
シーズン2は何故かプラチナがないのも残念でした笑

>雷野さん
僕も同じように感じていました。
でも、このゲームは大真面目なんですよ。

>ケンタロさん
ここまで冗談なしの真面目な内容とは驚きました。
ゾンビって言うとバカな印象ばかりが先行しますので。
確かに見た目はPSVITAでも出せるくらいの書き込みですが、
工数の多さはハイエンドゲームに偽りないレベルで
手間がかかっているなーと思いました。日本ではなかなか真似が出来ない。
ドラマ版はかなり続いているようですね。
ゲーム版とは展開も違うようで気になってきました。
探索パートはアドベンチャーゲームならではですが、
若干、じれったく感じてしまいましたねー。
今は海外ドラマに才能が集まっているんですか!?
正直、海外のストーリー物を舐めていたところがあったので、
ここまで緻密な人間ドラマを描けるんだと驚いてしまいましたよ。

>y.crashさん
>D4: Dark Dreams Don’t Die
あぁ、確かにテイストは似ていますね。
同じエピソード形式のゲームですし。
こちらは完結したのかな?
ラストオブアスとの共通点は多いですが、
こちらはもっとストーリーを重視していて
また違った面白さがあると思いました。
ジャンルがアドベンチャーゲームだからこその奥深さというか。
好きか嫌いかは置いといて、
プレイしたら絶対に何か残る物があります。

>MGMの名無しさん
>このゲームはニコニコ生放送で配信されてるのを見たのですが、プレーヤーだけでなくて見てる側も分かりやすくていいです。
後ろから眺めてみるのも面白いゲームです。
本当に性格診断テストをやっているかのようなのでw

>Kiyoppyさん
そうですね、これは余裕がある時にやったら良いと思います!
まずは目先の目標を達成して、
それで落ち着いたらやってみてはどうでしょうか?

>ウユニさん
お待たせしました、どうでしょうか?
アドベンチャーゲームのレビューって
書くの難しいんですが、頑張って書いてみました!
ラストオブアスの人間ドラマをさらに深く描いてみたようなゲームでしたね。
僕もムカつくやつがいたので、
彼には食料をあげたりはしませんでした。
でも、逆にあげたらどんな反応があったんだろう?
ちょっと試してみたくはありますね。
設定がテンプレなので、正直舐めていました。
そんなハンデがありながらもこれだけ物語に没頭出来るのは凄い。
このゲームでは人間の必死さがよく描かれていたと思います。
人間、追い詰められると殺し合いをするようになるんですね。
人間も動物なんだなぁって思いました。
ちなみにプレイ日記も公開予定で、
そこでどんな選択肢にしたのか全部公開する予定ですよ。お楽しみに!
シーズン2はすぐにやらなくても良いかな、と思いました。
なので、シーズン1のDLCもまだプレイしていないんですよね。

セールの時に購入したけど5000円ぐらいの価値のあるゲームでした。
生死を左右する選択には制限時間があり悩む時間すら与えない上にどちらかを助けたしても結局殺されてしまったりと嫌な状況ばっか続くんだけど、その中でストーリーが進むたびに主人公のリーとクレメンタインの絆が深まっていくのはこの作品唯一の救いですね。
不満は探索パートはノロノロ歩いてテンポが悪かったから走れるようにはして欲しかったです。

制限時間はリアリティーがありましたね。限られた時間の中で運命の選択をするからこその緊迫感があったと思います。

探索パートは走れるようになったら不満点が改善されますよね!