家庭用ゲーム機のハード戦争を本で振り返りたい!
そんな人におすすめしたいのが今回レビューする「家庭用ゲーム機興亡史」です。
ここからは本書の魅力を語っていきます。
全8章に渡って綴られたゲーム機戦争の歴史
ここまで分かりやすく家庭用ゲーム機の歴史を振り返った本はあるのだろか?
そう言いたくなるくらい、本書のテーマは分かりやすいです。
各ゲーム機のハード仕様や戦略を述べつつ、市場がどのように反応し、変わって行ったのかを客観的な事実に基づいて記されています。
代表的なのが1994年の次世代機戦争。
この頃はプレイステーション、セガサターン、N64、バーチャルボーイ、3DO REAL、PC-FXとスーパーファミコンにとって代わるような新型ゲーム機が続々と発売されました。
これらの中で何故、プレイステーションだけが突出して生き残ったのかを非常に細かく解説されていて、とても読み応えがあります。
次点は2000年前後に発売されたプレイステーション2 VS ゲームキューブ VS Xbox VS ドリームキャストによる第4次ゲーム機戦争。
プレイステーション2の圧勝でしたが、前世代機で失ったサードパーティを取り戻そうとするゲームキューブ。
セガ最後の挑戦となったドリームキャスト。新たな勢力として登場したXboxによる二番手争いが熱く、題材の時点で面白い!w
惜しいのが、写真がモノクロな事。文章メインの書籍とはいえ、ここはフルカラーで掲載してほしかった。
表紙カバーはシミュレーションゲーム風となっていて各ゲーム機の出荷台数とソフト数が兵糧や兵力に置き換えられているのが面白い!
それにしてもファミコン=マリオ。メガドライブ=ソニックなのは分かるけど、何故PCエンジン=カトちゃんケンちゃんなのか!?
まあ、言われてみるとPCエンジンの看板キャラクターって想像しにくいですよねw
ゲーム機戦争が加熱する前の歴史も分かる!
ゲーム機戦争が日本で表立ったのは1994年の次世代機戦争からだと思いますが、本書はそれ以前の歴史も綴られています。
スーパーファミコン VS PCエンジン VS メガドライブといったポストファミコン強奪戦はもちろん、勝負にすらならなかったファミコン VS セガマークIII、粗製濫造で市場崩壊したアメリカのアタリショックも冒頭で触れられています。
参考になるのが、各章の最後に掲載される各社出荷データ。シェア率の円グラフも掲載されているので、とても分かりやすいんです。
ファミコン VS セガマークIIIのシェア率。全く勝負になっていないw
Wii VS PS3 VS Xbox 360のシェア率。この頃はどのゲーム機も善戦していてかなり接戦です。
あくまでもハードの話が中心
本書は完全にビジネスの視点から家庭用ゲーム機の歴史を述べているに過ぎません。
そのためハードの話が中心となっていて、ゲームソフトの話は控えめです。
あったとしても市場を牽引したゲームソフトしか挙げられておらず、本書を読んでも面白い作品を見つける事はできないと思います。
これは著者に問題があるというよりは題材の問題でしょうね。ビジネスの視点から見たら売れたものが正義ですから。
ちなみに発売時期の関係上、本書で取り扱っているのはPS4 VS Xbox One VS Wii Uの途中までです。最新ゲーム機のSwitchに関しては全く触れられていません。
ゲームハードや売上好きにはおすすめ!
全体的にはゲームハードや売上好きにおすすめの書籍だと思います。
データはハード売上に留まっているため資料としては弱いけど、著者の口から丁寧に歴代家庭用ゲーム機の仕様や施策を述べられているためそこに価値を感じられました。
以前レビューした「僕たちのゲーム史」とは対象的な書籍なので、これらを合わせて読むとそれぞれが欠けている部分を補えて良いと思います。
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面白そうですが、もう4年前の本になるんですね。
ファミコンやSFCの頃はまだまだ子供でハード争いとは無縁の日々だったので、今見返すと楽しそう。