巨人のドシン1/64DD
どうも!KENT(@kentworld2)です!
今回は1999年12月に配布された64DD「巨人のドシン1」のレビューをしていきます。
本作は巨人となって箱庭マップで地面をアゲサゲできるシミュレーションゲームですが、独特な作風と自由度を併せ持った不思議な作品でした!
数多くのゲームをプレイしていると似たような作品に出くわして混同してしまうことがあります。
プレイしたタイトルの累計が1,000本を超えるとこんな間違いは日常茶飯事です(ぼくの脳力が低下しているのもありますがw)。
しかし、今回レビューする64DD「巨人のドシン1」はプレイしてから20年以上が経った今でも鮮明に覚えています。
それだけ独創性が強くて強烈な体験を味わえる作品でした。
ここからはそんな64DD「巨人のドシン1」について詳しく語っていきます。
累計1,000記事突破!KENTがプレイしたゲームのレビュー記事一覧へ
- 箱庭マップで巨人を動かして地面をアゲサゲしていくシミュレーションゲーム。
- 住人のお手伝いをして集落を発展させていく。
- 巨人の寿命は30分。寿命が尽きると次の世代にバトンタッチする。
初リリース日 | 1999年12月 |
対応ハード | 64DD |
ジャンル | シミュレーション |
売上 | 累計1.5万本 |
推定クリア時間 | 10~20時間(全モニュメント建設) |
発売元 | 任天堂 |
目次
良いところ
圧倒的な自由度
本作が発売された1999年当時のゲームはルールが定まっている作品が多くありました。
ステージの左から右へ進んだらクリア。箱庭マップ内ですべてのアイテムを集めたらクリア。
一方、今回レビューする64DD「巨人のドシン1」はどうでしょうか?
ある程度のルールは存在するものの、同時期に発売されたゲームと比べたら定まっていません。
プレイヤーに与えられる時間は30分。
この間、自由に箱庭マップを歩き回ることが出来ます。
敵が出現することもないので、マップの端にある奈落の底へ落ちない限りはゲームオーバーになることもありません。
当時はこの自由度の高さに驚かされました。
巨人を大きくする楽しさ
主人公の巨人は「ハート」や「ドクロ」を集めることでさらに大きくなっていきます。
それぞれの入手方法は以下の通り。
- ハート・・・島の住人に愛される。
- ドクロ・・・島の住人に憎まれる。
大きくなるにはそれぞれを画面1周分まで集めないと行けないので、どちらかを大量に集めなければいけません。
ポイントなのが、巨人の寿命が30分であること。
30分が経つと寿命が尽きてしまい、新しい世代の巨人にバトンタッチします。
30分の間にどれだけ大きくなるのか?
そんな駆け引きを味わえるのが楽しく感じます。
地形を変化させるのが楽しい
巨人は地面をアゲサゲする能力を持っています。
この能力を活かせばふもとが見えないほど高い山はもちろん、巨人でさえも全身が沈んでしまうほど深海を生み出すことも思いのまま。
まるで壮大な砂遊びをしているかのような感覚を味わえます。
ちなみに巨人は体の色を黄色から赤に変えられますが、個人的にはあまり変えませんでした。
というのも赤い巨人は住人から嫌われやすく、破壊アクションを行えるんですよ。
爽快ではありますが、それまで積み上げてきたものを壊すのが心情的に好きではありません。
住人とのコミュニケーションが楽しい
島を探索していると様々な住人と出会います。
彼らとコミュニケーションを取ることも本作の大きな醍醐味に感じました。
とにかく島の住人が可愛い!
ひょっとしたら毛深いおっさんなのかもしれませんが、巨人の視点から見ると可愛いのですよ。
しかも赤ちゃんのような声を発するので、何か口にする度にキュンとしてしまいます。
そんな住人たちは集落の発展を考えていて、彼らの指示に従ってみるとアラ不思議。
次から次へと建物が建っていき、いつの間にか住人も増えていきます。
集落はリアルタイムで発展していくので、眺めているとアリを観察しているかのよう。
一人称視点にもできるので、眺めてみると面白いかも!?
様々なモニュメントを作るのが面白い!
集落の発展が頂点に達すると住人はモニュメントを建築するようになります。
モニュメントの形は16種類。
種族の組み合わせによって変化していきます。
モニュメントは図鑑にも登録されるので、コンプリートを意識するとさらに楽しくなっていきます。
ポイントなのが、巨人が住人を持ち運びしない限りは同じ種族同士でしか集落は発展しないこと。
赤い種族は赤い種族同士で。青い種族は青い種族同士でしか発展しないハズなんですが、巨人が住人を持ち運ぶとどうでしょうか?
赤と青の種族が混合した集落が生まれるではありませんか!?
このように巨人の力によって様々な組み合わせの集落を生み出すことができるので、モニュメント図鑑の機能は良い導線になっています。
全てのモニュメントを建設すると・・・
具体的には書きませんが、どこか寂しい気持ちになりました。
ゲーム側での説明がないので全てのモニュメントを建築した後の世界は自分なりに色々と想像しましたが、一体、あれは何を意味しているのだろうか?
シュールすぎる世界観
本作はPS「アクアノートの休日」やPS「太陽のしっぽ」を手掛けた飯田和敏さんの作品になります。
彼が手掛ける作品は作家性が強いんですが、今作も例外ではありません。
独特な世界観とゲームデザインは言わずもがな。
それ以外にも至るところで他のゲームでは見られないシュールなテイストが盛り込まれているんですよ。
例えばタイトル画面。一見するとシンプルでアーティスティックなデザインに感じますが、流れてくるBGMが無駄にカッコいいんですよw
初めてこの画面を見た時は不思議な組み合わせに感じました。
モニュメントの中にはう○こみたいな形をしたものもあります。
一緒に並ぶと、まるで巨人がう○こをしているかのようw
こちらはディスクケースの裏面。
本来ならゲームソフトの裏面にはゲーム内容の説明が書かれているハズですが、載っているのは何故か猫や景色のフォト画像。
会員制のソフトで一般販売はされていなかったとは言え意味が分かりません。
こちらは取扱説明書内の注記。
一見すると真面目なことが書かれているように見えますが、よーく見ると・・・
こんな感じで本作は飯田和敏さんの遊び心が沢山詰まった作家性の強い作品になっています。
大量に用意されたボイス
ゲーム中にはソドルと言うキャラクターが音声付きでプレイヤーをナビゲートしてくれます。
「自由度が高すぎて何をやったら良いのか分からない!」
そんな時はソドルの話に耳を傾けてみましょう。
また、ドシンが大きくなった時などには緒川たまきさんの優しい声が聞けます。
飯田和敏さんが彼女のファンだった関係で起用したようですが、ナイスキャスティング!
「ちょっと・・・大きくなったわね」なんて声が響き渡った時は鳥肌が立ちましたw
お姉さんの声が突如響き渡るのは世界観に合っているようには思えませんが、このシュールさがまた良かったりします。
64DDならではの機能が満載
本作は大容量の書き換え領域を持った64DDディスクの特徴をフルに活かしているので、N64では実現できないゲームデザインに感じます。
まず、保存される箱庭マップのデータ量が大きすぎますから・・・。
アゲサゲした地面の形、建物や草木の配置、住人の数 etc…
箱庭マップの広さこそは中規模ですが、様々なデータを保存しなければならず、容量は必然的に大きくなります。
本作の発売から3年後、ゲームキューブ向けにリメイク版が発売になりましたが、そちらはメモリーカードで保存する形になっていました。
使用するブロック数は40以上。
当時のメモリーカードは最大ブロック数が59だったので、この事実を見てもどれだけセーブ容量が大きいのかよく分かることでしょう。
また、本作は64DDに内蔵されている時計機能とも連動していて、電源を切っている間にも島内では時間が流れるようになっています。
時間が経過すると島の地形が変化していくので、リアリティを感じられました。
惜しいところ
スケールが大きい故に見栄えが悪い
本記事を読んでいるとスケールが大きい作品に感じないでしょうか?
さすがにN64/64DDの性能で実現するには無理があったようで、全体的に見栄えが悪くなっています。
住人は折り紙みたいな形ですし、フレームレートは15fps前後で画面がカクカク動きますから・・・。
また、描写範囲も狭く、遠くを見渡すことは出来ません。
ロード時間なしで各地を歩き回れるのは凄いけど、描写範囲が狭い故にオープンワールドっぽさはあまり感じられませんでした。
インチキができる
住民から「ハート」を集める方法の1つとして、集落の荒れ地に木を設置するというものがあります。
上手く行くと住人の数だけ「ハート」を貰えるんですが、その直後に引っこ抜き、再び植えてみるとどうでしょうか?
またしても「ハート」を貰えるので、理論上、無限にもらうことが出来ます。
巨人を大きくするのが全てのゲームではありませんが、「この仕様はどうなのか?」と思いました。
ただ、ゲーム開始直後の巨人は移動速度が遅めなのでもどかしさを感じることがあります。
そんな時にインチキが出来たら快適に行動ができるので、一概に悪いとは言えませんが・・・。
タイトル画面にデータ消去の項目がある
タイトル画面にデータ消去の項目があるので間違って押しそうになります。
出来ればセーブデータ消去のメニューは別の画面に置いてほしかった。
巨人のドシン1(64DD)のレビューまとめ
クリエイト色が強いゲームが多い64DDソフトの中ではひときわ目立っていた作品。
64DDは知らなくても本作を知っている人もある程度は居るのではないでしょうか?
当時はここまで作家性が強い作品をプレイしたことがなかったので、今でも強く印象に残っています。
最初はイマイチ楽しさが分かりませんでしたが、全てのモニュメントを建築する目標を持ってからは面白くなっていきました。
現在、この作品をプレイすることはほぼ不可能なのでリメイク版であるゲームキューブ版をおすすめしたいところですが、あれは色々と改悪しているので個人的には受け入れられませんw
独特な作風と自由度を併せ持った不思議な作品!
こんな人には特におススメ。
・自分で遊び方を見つけるのが好きな人。
・変なゲームが好きな人。
こんな人にはおススメできない。
・明確な目的が無いとモチベーションを保てない人。
巨人のドシン1/お気に入り度【80/100%】
プレイした時間・・・約50時間
おまけ:巨人島からの手紙を紹介!
「巨人のドシン1」発売直前の64ドリーム(ニンテンドードリーム)に付録として付いていた「巨人島からの手紙」。
チームDisc Drive Tribeによって創作された作品で、後に「巨人のドシン1 公式ファンブック」にまとめて掲載されました。
累計1,000記事突破!KENTがプレイしたゲームのレビュー記事一覧へ
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マリオアーティスト ポリゴンスタジオ レビュー |
巨人のドシン1 レビュー |
シムシティ64 レビュー |
F-ZERO X エクスパンションキット レビュー |
声当ててた女優さん目当てで、少し前にちょろっとやりました。
この作品というか、クリエーター「飯田」さんの作品自体がシュールなきがする・・・。
太陽のしっぽなんて 移動中に突然寝たりしてましたしねw
ディシプリンはニコ生の記事を見て興味わいたので、お金に余裕があれば買うかも。
こんばんは~
なつかし、64DDの最初に配られるゲームでしたね。
自由な地形、集落の救済、破壊は本当に自由度高かったですね。
たしかに、明確なクリアは存在しませんが、最後のあれが建設されてああなる意味ってなんですかね。
あれ建ったら、一回やる気をなくしました。
ドシン未プレイですが、動物番長をクリアしたらドシンのオブジェが見れるんでしたよね?
大きかったなぁー(゚д゚;)
Wiiのバーチャルコンソールで64DD配信してほしいですね!
Wiiでもドシンの新作でないかなぁー。
64DDのソフトは中古屋さんで何回か見たんですけど、本体がないんですよねー。
こういう、得点や勝ち負けでなく、動かしてるだけで楽しい、その世界に浸れるゲームっていいですよね。
巨人のドシンはめっちゃ興味があったけど
結局やらないで終わってしまったんですよ><
Wiiで配信されたら嬉しいんですけどね♪
>裏あおいさん
声優さん目当てですかw
でも、あの声だけでも聞く価値はあるかもしれないですね(ぇ
確かに飯田さんの作品はどれもシュールですよね。
でも、そこが好きだったりw
いんたびゅーとかでも突然関係の無い話が出てきたりして
面白い人だと思います!
ディシプリンも800円だしダウンロードしてみようかしら。
>S.I/0PPさん
64DDユーザーのSIさんだったら食いついてくれると思いました(笑)
はい、GC版ではなく64DD版のレビュー記事なんですよ。
自由度の高さは凄かったですよね!
その辺は同じ箱庭ゲームのマリオに勝っています。
しいて言えばモニュメントすべてを建設する事がゲームの目的ですかね。
すべて建設した後は・・・何だか寂しさを感じられました。
ああなった後は集落の発展スピードが異様に早くなって
変な建物しか建たなくなるのでやる気をなくしますよねw
>ピクージさん
はい!動物番長ではクリア後にそのようなステージがあるようですね!
逆にGC版のドシンでは動物番長とコラボしたステージが登場します!
お互いのクリエイターが仲良かったので実現したらしい。
WiiのバーチャルコンソールでDD版を出して欲しいなー
かなり使用ブロック食いそうだけどw
Wiiで新作ドシンは・・・飯田さんが
Wiiウェアで新作作ったばかりなので厳しいと思います^^;
Wiiだからってあまり遊びが進化するとは思えませんし。
>ユウジュさん
64DDはホントレアですからねー
何せ1万5千台しか出回らなかったハードですからw
ドシンは動かして地面を上げ下げしているだけでも楽しいですよー
最初のころは小さくてもどかしさもあるけどw
>アヒラスさん
ドシン未プレイでしたかー
残念ながらGC版はあまりお勧めできないので、
バーチャルコンソールで64DD版が配信されたら良いなー
ただ記事にも書きましたけど、
今改めてこのゲームをやるのはつらい部分もありますw
何せフレームレートが15程度で非常にカクカクしており
ポリゴンもカクカクですからね・・・
GC版はその点ではすべて解決していますけど、
また別の問題があって・・・
64DD版とGC版を良いとこ取りした新作が出てくれるとうれしいんだけど・・・
あ、遊びの日は住民が働かなくて集落の発展を目標にやっていたら困りました(笑)
うわ~これはなんだか・・・とりあえず手に触れて遊んで見たくなるゲームですねw
ただ本体も専用のソフトも近所じゃまったく見かけませんね・・・64DD
ぶっちゃけレアゲー感が否めませんねぇ、64DDでしか遊べないゲームは
VCなどでぜひ配信してほしいですね
>ROIさん
GC版から7年も経ちましたし、
今改めてこのゲームの画面写真を見ると面白いですよねー
ドシンは触っているだけでもなかなか楽しいゲームでした。
地面を上げ下げするだけでも砂遊びをやっているような感覚だし。
64DDのゲームがバーチャルコンソールで配信されたら・・・大特集しますよw
このゲーム機には名作が沢山ありますから、
1万5千人しか楽しめないのは本当にもったいない事だと思います。
巨人のドシンは、奇ゲーが多かったプレステ1の影響を結構受けてそうなゲームですね。
確かにタイトル画面が雰囲気に似合わずオサレ✨
僕はゲームキューブ版で本作のことを知ったのですが、リメイク版は改悪してるんですね?
画面の周囲の❤️や☠️はなんだかヨッシーストーリーを彷彿しました(^^)
モニュメントはなんか意味深なものが結構ありますねwww
そのモデル元である人類史ってなんだか不思議になってきます。
本作を手掛けている方は元々PS1の奇ゲーを手掛けていたので、64DDに輸入されたような感じですw
ゲームキューブ版は突貫のリメイクで残念な出来でした・・・
ですので、個人的にはあれを巨人のドシンとは認めていなかったりしますw
ハートやドクロは実際、ヨッシーストーリーの影響を受けたとファンブックに書いてありました。
モニュメントは何を思って建てたのか想像する楽しさがあります。何故、う○こを建てようと思ったのか、想像するだけで笑えてきますw
ちょうどジャイアント馬場さんが亡くなったときに発売されたので、巨人の姿に馬場さんをだぶらせる人もいたとか。
飯田さんのお父さんは科学者で、公害の撲滅に生涯を捧げられたとか。そのお父さんが亡くなったときに飯田さんが雑誌に連載していたエッセイの中でそのことに触れられていて、「父が晩年、ひげもじゃの原始人が大自然を駆け回る『太陽のしっぽ』を喜んで遊んでいたという話を聞いて、父の思いに反してゲーム業界に入ったことについて何かを返せたような気がした」みたいな事を書かれていたと思います。こういうゲームがあったことは時代の財産だと思うなぁ。
そうでしたね!ジャイアント馬場さんが亡くなられた頃に発売されたので、巨人のドシンと連想されてた方が居ました。
飯田さんは不思議な方ですね。インタビュー記事を色々読んでみても不思議な魅力を感じられました。
そう言えばWiiウェアのディシプリンは未プレイなんだよなぁ・・・
同じ人が作っていたのか。
太陽のしっぽにハマったユーザーは結構こう言うタイプが好きそうだな。
目的があるようでなく、ないようである。
目的達成に対して自分がどう動くかの道筋を完全に固定されていない。
成功も失敗も自分のプレイスタイルの責任と言うか。
あれもこれもそれもやれる現在のオープンワールドから、一部に絞ることで行動を分かりやすくしているのは特徴なのだろうな。
Kent氏が言うほどと言うことはGC版は余程別物なのだろうか。
太陽のしっぽは未プレイですが、改めてレビューしてプレイしたくなってきました!
今のオープンワールドゲームに通ずるところはありますが、そこまでは自由度が高くないので、まだ分かりやすい方だとは思います。
GC版も改めてレビューしたいです。