【レビュー】Déraciné(デラシネ) [評価・感想] 干渉要素によって古典的な探索型アドベンチャーを現代に蘇らせたフロムの意欲作!


Déraciné/PSVR (通常版) / (限定版)

どうも!KENT(@kentworld2 )です!

今回は2018年11月に発売されたPSVR「Déraciné(デラシネ)」のレビューをしていきます。

本作は奇宿学校を舞台にしたアドベンチャーゲームですが、干渉要素によって古典的なジャンルを現代に蘇らせたフロムの意欲作でした!

まずは良いと思った点から書いていきます。

※本作をプレイするにはPS Moveが2本必要になります。

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このゲームを3行で説明すると?
  • 人間には見えない妖精となって奇宿学校内を探索できる。
  • 物語に干渉して登場人物の運命を変えていくのが目的。
  • ゲームを進めていくと時空を行き来したり命の受け渡しができるようになる。
初リリース日 2018年11月8日
対応ハード PS4(PSVR専用)
ジャンル アドベンチャー
推定クリア時間 5~8時間
売上 初週0.2万本
発売元 SIE

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良いところ

ゴシック調で童話のような世界観

「アーマード・コア」や「ダークソウル」シリーズで知られるフロム・ソフトウェア。

フロム・ソフトウェアと言えば硬派なイメージが強くありますが、実は童話のような世界観を描くことも得意だったりします。

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例えば「Bloodborne(ブラッドボーン)」の「狩人の夢」では沢山の花がゴシックをベースにした建物の周りに咲いていて童話のような世界観を構築していました。

そんなフロム・ソフトウェアのアートワークセンスをフルに活かしたのが今回レビューするPSVR「Déraciné(デラシネ)」です!

本作の舞台は奇宿学校とその周辺なんですが、これまでにフロム・ソフトウェアの作品で見られた綺麗な部分”だけ”を堪能出来ました。

時刻は昼のことが多いので世界観は明るいですし、血が飛び散ることもありません。

それでいて学校の周りは自然に囲まれており、校舎内はシックで古典的な小物が沢山設置されているのでどこを切り取っても綺麗な絵になります。

嬉しいのが、PSVRによって実現した360度映像で楽しめること。

おかげでプレイヤー自らが奇宿学校に入り込んだかのような感覚を味わえました!

BGMはオルゴールやオルガン、ピアノといった静的な楽器が多用されているのでプレイしていると癒やされます。

字幕表示や日本語/英語音声の切り替えも出来ますぞ!

キャラクターに”直接”干渉して進めていく物語

肝心のゲームジャンルは古典的な探索型アドベンチャーゲームになります。

つまり、フィールドを探索して物語を進めていくゲームジャンルになるんですね。

一見すると古臭く感じますが、キャラクターに”直接”干渉できることでガラッと印象を変えていました!

通常の探索型アドベンチャーゲームは反応するオブジェクトに触れるとコマンドが一覧として表示されます。

ところが本作の場合、何も表示されません!

干渉できる部分はゲーム画面に描かれた主人公の手とオブジェクトが近付くことで初めて分かるようになっているんです。

おかげでプレイヤーの想像力を掻き立たせてくれました。

さらにポイントなのが、ゲーム画面に描かれた手の動きはプレイヤーが手に持ったPS Moveとシンクロしていること。

そのため本当に自分がオブジェクトを持った感覚を味わえてゲームに介入している感もアップするんです!

直感的な仕様と操作感。

これらの要素によって探索型アドベンチャーゲームに新たな面白さをもたらしてくれました。

何をやったら物語が進むのか分からない!

そんな時は調べられる箇所を様々な角度から見渡してあらゆるオブジェクトに手を差し伸べてみましょう。

意外なオブジェクトに干渉できるかもしれません。

止まった時の世界に干渉することで変化する物語

プレイヤーは姿が見えない妖精となって奇宿学校内で起こった出来事を様々な時系列から眺めていくことになります。

しかし、そこでは様々な悲劇が起きるのでどうすれば免れるのか考えることになるんです!

前述の通り主人公の妖精はオブジェクトに干渉することが可能で、ゲームを進めていくと時空を行き来することができるようになります。

最終的にはこれらの能力を活かして登場人物の運命を変えていくことになるので、実はタイムパラドックス系なんですね。

アドベンチャーゲームではありがちなジャンルですが、前述の直感的な仕様と操作感によって新鮮味をもたらしていました!

プレイする前までは何故PSVR&PS Move専用なのか疑問でしたが、実際にプレイしてみると納得します。

命の受け渡しをすることで変化する物語

主人公となる妖精はゲームを進めていくことで大きな能力を手にします。

それは、命の受け渡しです。

例えば枯れている植物と潤った植物があるとします。

命の受け渡しをすることでそれらの状態を逆転させることができるんですね。

これは生き物だったら何にでも応用できるので、特に終盤では大活躍しました!

何の命を奪い、何の命を蘇らせたら良いのか?

時にはそんな選択に迫られることもあるので、ますます物語に介入している感を味わえます。

個性豊かな6人の子どもたち

奇宿学校に暮らす6人の子どもたち。

彼・彼女たちは皆個性的で、ゲームを進めることでだんだん思い入れを持つようになりました!

童話調だからかみんな穏やかな性格で優しいですが、立派な個性もあるのでそこに惹かれていきます。

特に気に入ったのが、物語のキーパーソンになるユーリヤ

彼女はおしとやかな口調と外見が最高で、女性ならではの魅力を醸し出しているんです!

その一方でいたずらっ子な部分は物語をややこしくしている印象ですが、それでも気に入りました。

あと、ルーリンツも良いですね。

ふっくらしているので愛嬌が出てきますし、頼もしいようでどこか抜けている部分も親近感が生まれてきます。

それ以外のキャラクターも全員好きになれたので関連グッズが欲しくなりました!

ブラッドボーンを思わせる要素が満載!

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実は本作、かの有名なPS4「Bloodborne(ブラッドボーン)」と同じ開発スタッフが手掛けています。

一見すると本作とは全く関連性が無いように見えますが、そちらをプレイしてからだとまるでスピンオフのような印象を持つようになりました!

例えばロケーションの一部は「狩人の夢」「時計塔のマリア」辺りを彷彿とさせるようにデザインされています。

また、ゲームを進めていくことで奇宿学校から離れた場所へ行けるようになりますが、そのエリアもPS4「ブラッドボーン」のとあるエリアを彷彿とさせる作りになっているんです!

ひょっとしたら世界観を共有しているんじゃないか!?

そう思いたくなるほど本作はPS4「ブラッドボーン」を彷彿とさせるようなネタが詰まっています。

せっかくなのでそれ以外の小ネタを箇条書きでまとめてみました。

興味のない方はカッコ内の部分は読み飛ばしてもらっても構いません。

  • テキストセンスがそっくり。
  • 「狩人の夢」に出てきそうな人形が存在する。
  • 効果音のテイストがそっくり。
  • フィールドと連動したチュートリアルの作りがそっくり。
  • 一部で描かれているモンスターのデザインがそっくり。
  • パッケージに描かれているキャラクターの首上がカットされている。
  • 目の周りに炎のようなものが飛び交ったキャラクターが存在する。
  • 最後の突き放し具合がフロムテイスト笑

プレイすればするほど「あぁ、フロムだなぁ」と納得してしまいましたw

このような共通点はファンサービスでもあり、自分たちが得意なことを意識してやっているからこそ生み出されるんでしょうね。

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惜しいところ

PSVR&PS Move専用によって生まれた分かりにくさ

PSVR&PS Move専用だからこその良さは沢山あります。

一方で弊害も色々あると思いました。

単純にハードルが高すぎますし、セッティングが上手く行っていないとカメラやモーション操作がおかしくなって思うように操作が出来なくなります。

それ故に中盤の謎解きが分からず詰まってしまうことがありました。

ネタバレになるので具体的には書きませんが、細くて長い生物が死角で見えなかったんですよw

時間移動のテンポが悪い

ゲームを進めていくと頻繁に過去と未来を行き来します。

その時に発生するロード時間がやや長い(20秒以上)のでテンポが悪く感じました。

勘が良い人は行き来する頻度が低くなるので良いんですが、ぼくのように勘が鈍い人は必要以上に過去と未来を行き来してその度に長い待ち時間を体験することになります。

ちなみにトロフィー難易度は超低いのでクリアした瞬間にプラチナトロフィーが取れます

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全体のまとめ

PSVR&PS Move専用にすることで古典的なジャンルに新鮮味をもたらした意欲作。

雰囲気ゲーの側面が強く、ゲーム的には地味ですが、素敵な世界観と操作感によって”好き”な作品になれました。

大して販売を見込めそうにないのに何故グッズ入りの限定版も発売するのか疑問に感じていましたが、実際にプレイしてみることで納得。

確かにこれはグッズが欲しくなるような作品です。

プレイするまでのハードルは高いですが、ゲーム自体は老若男女問わず楽しめるので少しでも多くの人にプレイしてもらいたい作品。

ぼくはこのゲームをプレイしてますますフロム・ソフトウェアが好きになれました!

干渉要素によって古典的な探索型アドベンチャーを現代に蘇らせたフロムの意欲作!

こんな人には特におススメ。
・癒やされたい人。
・タイムトラベル好き。

こんな人にはおススメできない。
・爽快感を求める人。

Déraciné(デラシネ)/お気に入り度【85/100%】
プレイした時間・・・約8時間

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17件のコメント

なんだか読んでいると近未来的なADVゲームだなと思います。

まだ今はdéracinéが発売されたばかりなのでわかりませんが、いずれはテキスト&コマンド式ではなくこういった擬似世界を体験するADVゲームが台頭するかもしれないですね。

今はハードルが高過ぎるのでそんなに売り上げに期待できないけど、フロムソフトウェアは今後も近未来的なゲームに挑戦してほしいです。

近未来的な感じがしましたか!?

そこは間違いなくVR&PS Moveの影響が大きいですね。

本作をプレイして思いましたが、VRゲームは探索型アドベンチャーとの相性が良いと思います。

めげずに展開を続けてほしいところですが・・・

ダウンロード版買いましたが、Move2本持っていなかったw

貴方は私ですかw
PSVR購入時、一本だけMOVE購入してたんで追加で買ってきましたけど、こんなに高価だったっけってびっくりしました。

あらら・・・それは本作では致命的じゃないですかw

ダウンロード版だと返品も出来ないので、これは2本買うしかありません!

いつもブログを拝見しています
このゲームはストーリー等の字幕表示はできますでしょうか?
私は耳に障害があるので字幕がないゲームが出来ません
VRゲームは字幕がない事が多いので、購入に踏み切れない状態です
字幕の有無を調べようにもなかなか情報が出てこずに、非常に困る事が多いです
厚かましいお願いではありますが、字幕の有無などを記事に載せていただけると大助かりです
よろしくお願いします

記事の方、追記しました!

字幕の方はしっかり用意されていますよ~

それと日本語音声と英語音声の選択も出来ます。

是非、参考にしてみてください♪

デラシネDL版購入済みですが、プレイするのは日曜日あたりまで持ち越しの予感です。
とりあえずPS Move2本を箱から出して準備しておかなきゃw

明日からプレイする感じでしょうか。

きっと、週末の良いお供になると思います。おすすめですよ~♪

VRゲームのレビュー嬉しいです。
これも気になってたゲームなので購入に気持ちが動きました。
Move全然使ってなかったので対応ゲームは逆に嬉しい。
あとVR酔いが気になるけど大丈夫そうな感じなのかな?

ありがとうございます!

これはVRゲームの良作です!

VR酔いはしにくい部類だと思います。

一人称視点のアドベンチャーゲームですが、指定したポイントまでワープする形式ですので。

VR酔いに耐性できたのかと勘違いし、ついでにせっかくMOVE2本そろったんで、挫折したスカイリムVR再挑戦。
見事チュートリアルでゲロ酔いしました・・・

遅くなりましたが先日クリアしました!
VRであることを最大限に利用した、MOVE2本必須であるからこその操作の臨場感は素晴らしいものでしたねー。
短いプレイ時間ですが、心に残るものがありました。
終盤の展開は演出的には凄く良いけれど、その分ロードばかりになってしまっていたのはちょっと惜しいです。

ADVとしてだけ見るだけなら本当にまんま古典な作品ですし、謎解きの難易度は無いに等しい分、世界観やストーリーにどれだけ没入できるかどうかが焦点になる作品だと思いますね。個人的には嵌まれる側でしたが、特に海外での評価がそこまで高くないのはその辺が大きいのかなと思います。

クリアおめでとうございます!

このゲームはVR+Move2本だからこそ生み出せた没入感がありましたね。

終盤の展開はロード問題が改善されたらもっと良くなったと思います。

海外での低評価は意外でした。高く評価される作品かと思っていたのですが・・・プレイする人間が変わると評価がガラッと変わることを改めて実感しましたね~。

遅ればせながらクリアしましたよー!
古典的なシステムにVRとMoveならではなインタラクティブ性が大幅に加わっていて、アドベンチャーゲームの新たな一面が垣間見れましたね。
ライフイズストレンジやデトロイトと同系統のジャンルですが、どちらにもない魅力が備わっていると感じました。

時が止まった寄宿学校という舞台も非常に魅力的で、慣れないVRに酔いっぱなしでしたがずっとこの世界に浸っていたいと思えるほど世界観や演出が素晴らしかったです。
地味なパッケージとは裏腹にキャラクターがたくさん喋るのも良かった!

古い記事にコメントありがとうございます!

Twitterで「コルチカムさん、デラシネ楽しんでいるなぁ」と思いながら読んでいましたが、まさかコメントしてくださるとは!?

このゲームはゲームデザインこそは古典的ですが、新デバイスによって「ほかにはない体験」を味わえますよね。

ライフイズストレンジやデトロイトとはまた異なる魅力を感じられました。

こういう世界観も良いもんですよね。確かにずっと浸っていたくなるほどの魅力を感じられるので、ゲームをクリアしてもまた起動したくなりました。