
ファイアーエムブレム 覚醒/3DS
どうも!KENT(@kentworld2 )です!
今回は2012年4月に発売された3DS「ファイアーエムブレム 覚醒」のレビューをしていきます。
本作は人気シミュレーションRPG「ファイアーエムブレム」シリーズの初となる3DS版になりますが、35歳の中年が15歳の美少年・少女に覚醒したような衝撃作でした!
以前の「ファイアーエムブレム」はどこか硬派な印象がありました。
それ故に若いユーザーは手を出しにくかったと思うんですが、今作ではそういう壁を見事なくらい取っ払っています!
「まさかあのファイアーエムブレムがここまで現代ユーザー向けに売り出してくるとは!?」
当時はそんな衝撃を受けたものです。
ここからは3DS「ファイアーエムブレム 覚醒」の良いと思った点からまずは書いていきます。
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- キャラクターのコマを動かして戦うターン制のシミュレーションRPG。
- 経験値を稼いでキャラクターを強化することができる。
- キャラクターデザインが一新され、会話シーンにはボイスが追加された。
初リリース日 | 2012年4月19日 |
対応ハード | 3DS |
ジャンル | シミュレーションRPG |
推定クリア時間 | 20~30時間 |
売上 | 初週24.3万本/累計49.7万本 |
発売元 | 任天堂 |
目次
良いところ
皮が現代向けに刷新された
1990年に誕生して以来、高い人気を誇る「ファイアーエムブレム」シリーズ。
キャラクターデザインがアニメ風であることも特徴的ですが、2000年代後半に入ってくると古臭い印象を持つようになりました。
大きな要因となったのが2000年代中盤から台頭するようになった深夜アニメ群。
涼宮ハルヒの憂鬱、らき☆すた、けいおん!、魔法少女まどか☆マギカ etc…
これらのアニメ作品は当時としては作画の完成度が非常に高く、デフォルメも洗練されていました。
一方、「ファイアーエムブレム」シリーズはどうでしょうか?
絵柄の完成度自体は高いんですが、1990年代の作風が色濃く出ていて同じアニメ絵でも同時期の深夜アニメ群と比べると地味に感じたんです。
一応、DS「ファイアーエムブレム 新・紋章の謎 ~光と影の英雄~」(2010)でカジュアルモードを搭載するなど新規ユーザーを取り込もうとする努力は感じられましたよ?
でも、根本的な部分は垢抜けておらず、どこか1990年代から眠り続けているような感じがしました。
そんな印象を取っ払ったのが今回レビューする3DS「ファイアーエムブレム覚醒」。
全体的に絵柄がスタイリッシュになり、同時期に放映されていた深夜アニメと並べても違和感のないデザインになったんです!
さらにイベントシーンには3Dポリゴンの寸劇を追加。
ボイスも少しだけ挿入されるようになり、戦闘アニメーションも久しぶりに3D化しました。
賛否両論だとは思いますが、それまでの作品はどこか時代が止まっている感があったので、そのチャレンジ精神は買いたいです。
本作のタイトルに付いている「覚醒」は「目が覚める」という意味になりますが、少なくとも表現面は長い眠りから覚めた感じがしますw
さらにアップした快適性
ここまで表面的な部分に触れてみましたが、肝心のシミュレーションゲーム部分はどうなのでしょうか?
そう思いながら触れてみると、これは凄い!
シミュレーションRPGにありがちな”面倒さ”を徹底的に省こうとする気配りを随所で感じられます。
これまでの作品でもユーザーインターフェースをシンプルにしたり、イベントシーンや戦闘アニメーションをスキップ出来たりと痒いところに手が届く作りではありました。
今作の場合、そのさらに上を行っていたんです!
例えば戦闘アニメーションを早送りできるようになったんですよ。
「戦闘アニメーションは見たいけど、テンポが悪いんだよなぁ」
ぼくはそう感じていたので、自分の好きなように早送りして戦闘アニメーションを楽しめるようになったのは嬉しいです♪
さらに良いと思ったのが、敵のターン自体をスキップできるようになったこと。
「ファイアーエムブレム」シリーズって慣れてくると自分のターンよりも敵のターンの方が長くなりがちなんですよ。
それだけに敵のターン自体をスキップできると1ステージのクリアタイムを大幅に短縮できるので有り難く感じました。
例によって高難易度モードでプレイすると頻繁にリセットボタンを押してステージの最初からやり直さないといけなくなるので、今となっては欠かせない機能ですw
このように便利な機能が追加されたことで超快適なゲームになりました。
本作に慣れてしまうと過去作どころか他社から発売されているシミュレーションRPGをプレイするのが億劫になってきますw
自由度が高く、より万人が楽しめるように
これまで発売された作品の多くはステージの選択が出来ず、一方通行のゲーム展開でした。
一方、今作ではステージクリア後にマップ移動ができるようになり、様々な寄り道ができるようになったんです!
本筋から逸れたストーリーが楽しめる外伝ステージ。
ストーリーなしで戦闘を楽しめる遭遇戦。
ダウンロードすることで楽しめる追加コンテンツのステージ。
遊びを拡張させる通信要素。
このような寄り道要素が加わったおかげで寄り道をしてのキャラクター強化を行えるようになりました。
するとどうでしょうか?
メインステージ以外でもキャラクターを育てやすくなり、推奨よりも遥かに高いレベルで攻略できるようになったんです。
分かりやすくと言うと寄り道ができる冒険RPGのような感じ。
戦闘で勝てなくても寄り道をしてレベルを上げるという選択肢が加わったので、新規のユーザーには有り難いバランスに感じます。
個人的には限られた経験値を仲間内で分け合う駆け引きを楽しんでいましたが、そういう楽しみ方はニッチなのでしょう。
単純に万人向けかどうかで見た場合、今作のゲームバランスは理想的だと思います。
育成がさらに楽しくなった
え?「FC『ファイアーエムブレム外伝』などでも自由にマップ移動が出来たじゃんか!」だって?
確かにそうですが、今作の場合、そのうえで育成要素も強化していました!
これまでの作品は上級職にクラスチェンジをしてレベル20になったらそれ以上育てることは出来なかったんですよ。
ところが今作では「チェンジプルフ」というアイテムを使用することで別系統兵種にクラスチェンジすることができるようになったんです!
しかも表示レベルが1になり、またレベルを上げて育成することも出来ます。
おかげですべてのパラメーターを各キャラクターの設定された上限まで上げることができるようになりました。
極めつけが結婚&子供システム!
条件を満たすことでキャラクター同士が結婚をしてその後は子供が仲間になるので、そちらも意識してプレイするとさらに育成が楽しくなります。
キャラクターをいかに効率良く、かつ強く育成するか?
それが今作の真骨頂に感じます。
新たな戦略性が求められるように!
ここまで読んでいるとまるでRPGのレビューをしているかのように見えてしまったかも知れませんが、「ファイアーエムブレム」は”シミュレーション”でもあります。
マス上に設置された駒(キャラクター)を順番に動かして敵を倒す。
それこそが面白さの本質に感じる人も多いと思いますが、今作でも数多くの新システムを取り入れていました!
特に大きな影響を与えていると思ったのが「ダブル」と「デュアル」システム。
「ダブル」は味方キャラクター2体を同時に1つのマスへ入れるシステムで、「デュアル」は戦闘時に隣接している味方キャラクターが加勢してくれるシステムになります。
これらのシステムが追加されたことで仲間同士の一体感が増しました!
例えば戦闘時、隣接しているキャラクターが加勢してくれたら嬉しいじゃないですか?
加勢する確率は味方同士の絆が強いほど高まるので、戦闘時は味方キャラクター同士の位置関係がより重要になりました。
こんな感じで新たな戦略性が求められるようになったので、新作をプレイしている感覚は十分にあります。
新システムを搭載することで新たな欠点も出てきましたが、過去に発売されたシリーズ作品をプレイしていても新鮮味を感じられるのは嬉しいです!
惜しいところ
説明不足なストーリー
現代向けに覚醒した3DS「ファイアーエムブレム覚醒」ですが、ストーリーは課題が多く感じました。
タイムトラベル要素や過去作のキャラクターを彷彿とさせる謎の人物、マイユニットの視点から描かれるストーリーなど、1つ1つの素材は良いと思うんですよ。
しかし、ストーリーの終盤は説明不足な部分が多く、少し消化不良に感じました。
ストーリー目当てでの購入はおすすめしません。
安直なキャラクター性
「若いユーザーにも『ファイアーエムブレム』を楽しんでもらいたい!」
プレイしているとそんな開発者の想いがひしひしと伝わってきますが、若いユーザーを取り込もうと意識するあまり安直な部分も目立ちました。
例えばヤンデレ属性を持ったサーリャというキャラクターが登場するんですよw
個人的にサーリャは好きですが、「どこかで見たことあるようなテンプレ感があるなぁ」と思いました。
さらにシリーズでは初となるダウンロードコンテンツに至っては水着イラストを用意するという有様。
イメージ的には同時期に発売されていた新規のPSVITA/PSPソフトでやっているようなことをそのまま持ってきたかのよう。
それまでの「ファイアーエムブレム」シリーズはキャラクター性のセンスに関しては1990年代で止まっているかのような印象だったので、この変貌ぶりは当時賛否が分かれていたものです。
個人的には「ファイアーエムブレム」と言うよりは任天堂がこのような作品を出すことに疑問を持っていました。
2012年当時の任天堂は「京都の頑固職人」というイメージがまだ強く、強いポリシーを持って堅実かつ健全な作品を作り続けていたんです。
そして、事ある毎に「よそはよそ、うちはうち」と言い張っていました。
それだけにもう少し任天堂ならではのアプローチを見たかった(特にダウンロードコンテンツ)。
まあ、任天堂は本作を皮切りにダウンロードコンテンツ→ダウンロード版→キャラクタービジネス強化→スマホゲーム→シーズンパスと次から次へと時代に合った売り方をするようになっていきましたが。
増援部隊の出現形式が理不尽になった
シミュレーションパートでは数ターン経過することで増援部隊が現れます。
シリーズ作品ではお馴染みの要素ですが、今作の場合、難易度「ハード」以上だと理不尽な仕様になったんですよ。
なんと、増援部隊がこちらのターン終了直後に現れるようになったんです!
そのため「ふぅ、敵を一層したぞぉ!」なんて油断していると直後に増援部隊に囲まれてタコ殴りされるなんてことがありました。
どの位置に増援部隊が現れるのか覚えたら良いだけの話ですが、初見殺しで理不尽に感じます(※)。
もう少し納得できる難易度の上げ方にしてほしかった。
このような仕様はGBA「ファイアーエムブレム 封印の剣」以前の作品でも見られたので、古参ユーザーに向けたサービスなのでしょうか?
個人的にはステータス強化、敵の増加、AIの強化などによる順当な難易度上昇にしてほしかった。
※一応、増援部隊が登場する数ターン前に存在を教えてくれるという救済措置はあります。
キャラクターが見辛い
前述の通り今作はキャラクターの育成に特化しています。
そういう意味でシミュレーションパートのグラフィックは惜しく感じました。
背景は3Dポリゴンで描かれているのは良いんですが、キャラクターは2Dの小さいスプライトで描かれているんですよ。
そのため騎馬系と飛行系のキャラクターが区別しにくく感じます。
もう少しカメラをズーム出来たり、キャラクターを目立つように描いてほしかった。
全体のまとめ
現代の中高生向けに大きな変貌を遂げた作品。
その変わりようはまるで35歳の中年が15歳の美少年・少女に変わったかのよう。
あまりの変わりように年配のシリーズファンを中心に賛否が分かれてしまいましたが、新規ユーザーを大量に取り込むことには成功して大ヒットを記録しました。
前作の国内累計売上は27万本程度だったんですが、なんと、今作は46万本も売れたんです!
全世界累計売上に至っては193万本に達し、シリーズ最高売上を記録しました。
おかげでシリーズ終了の危機から逃れることに成功。
今もなお続く人気シリーズになるどころかシミュレーションRPGとしては「スーパーロボット大戦」を越えて人気No1となったんです!
個人的には合うのかどうか不安でしたが、これはこれで中毒性が高くて大ハマりました!
なんと言ってもキャラクターを育てるのが楽しい!
それでいて難易度「ハード」以上だと歯ごたえも感じられるので、苦戦しながら育成することに楽しさを見出していました。
ストーリー部分やシミュレーション部分は欠点も目立っていますが、キャラクター性が重視されるようになった2010年代の携帯機市場には上手くフィットした作品だと思います。
35歳の中年が15歳の美少年・少女に覚醒したような衝撃作!
こんな人には特におススメ。
・育成好き。
・キャラクターゲーム好き。
こんな人にはおススメできない。
・時間が無い人。
・限られた経験値でクリアしたい人。
ファイアーエムブレム 覚醒/お気に入り度【90/100%】
プレイした時間・・・約50時間
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Nintendo | PlayStation |
Xbox | etc |
FEであってFEであらず、といった感じの作品でしたねー。
自由度が高くトリッキーな遊び方も楽しめる一方、元来の「縛りを提示する事による絶妙な緊張感のある難易度」が失われてしまったという感じでした。
もはや普通のSRPGなのですが、普通のSRPGとしてみても極めて完成度が高く、非常に面白かったですね。