

いけにえと雪のセツナ/PS4 / PSVITA / Switch
おはっく~!kentworld(@kentworld2 )です!
今回は2016年2月に発売されたPS4/PSVITA「いけにえと雪のセツナ」のレビューをしていきます。
本作はいけにえに選ばれた少女と旅をするRPGですが、スクエニ自らが生み出した古き良きRPGに追い付こうとした小品でした!
ゲーマーの間では特に人気が高いジャンルであるRPG(ロールプレイングゲーム)。
しかし、時代の流れと共にRPGは大きく様変わりしてしまいました。
戦闘システムがアクション系に変わったり、マップが一本道になったり・・・。
主人公に至っては喋るのが当たり前になり、ボイスも付くようになりました。
スマホ向けのRPGはさらに顕著で、フィールドの探索を大幅にスポイルするという有様。
「ぼくが好きだったRPGはもう発売されないのかなぁ・・・」
なんて思っていた頃に発売されたのが今回レビューするPS4/PSVITA「いけにえと雪のセツナ」。
本作のキャッチコピーは「とりもどそう。僕たちのRPG」で、1990年代に発売された古き良きRPGを意識して作られています。
戦闘は懐かしのATBで、行動範囲は程良い広さ。
懐古ゲーマーとしては思わず「これを待っていたんだよ!」と言いたくなるような作品でした。
しかし、一方では2010年代後半に大手ゲームメーカーが1990年代風のRPGを発売することへの難しさを知ったのもまた確か。
ここからはその辺りも踏まえてPS4/PSVITA「いけにえと雪のセツナ」の良いと思った点からまずは書いていきます。
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- ストーリーに沿って冒険していくRPG。
- 戦闘システムはリアルタイム要素を取り入れたATBを採用。
- ダンジョンには数多くの敵が潜んでいる。
初リリース日 | 2016年2月18日 |
対応ハード | PS4/PSVITA/Switch |
ジャンル | RPG |
推定クリア時間 | 15~20時間 |
売上 | 初週6.2万本/累計14.1万本 |
発売元 | スクウェア・エニックス |
補足 | レビューしたのはPS4版になります |
目次
良いところ
1990年代のRPGを意識して作られたゲームデザイン
RPG
日本では最も人気が高いゲームジャンルになりますが、世代によって大きく印象が異なるように感じます。
人によってはレベルを上げてキャラクターを育てる要素さえあればRPGと感じる方も居るでしょう。
でもね、スーパーファミコン世代のぼくとしてはそれだけでは物足りなく感じるんですよ。
スーパーファミコン世代のぼくから見たRPGとは何なのか?
分かりやすくと言うとターン制コマンドバトル×成長要素×探索型アドベンチャーを融合させたようなゲームなんです!
それ以外にも注文したいことはありますが、最低限、これらの要素を兼ね揃えていないと王道RPGには感じられません。
その点、今回レビューするPS4/PSVITA「いけにえと雪のセツナ」はいずれの要素も兼ね揃えていたので嬉しく思いました。
例えば戦闘システムはSFC「クロノ・トリガー」をベースにしたアクティブタイムバトル(ATB)を採用しているんですよ。
多少のリアルタイム性はありますが、コマンドを選択して戦う戦略性の高さは残っているので思考型ゲームとして楽しめます。
マップも一本道ではなく程良く開けているので適度な自由度を感じられました。
イベントシーンは控えめで主人公も喋らないので、PS2/PS3時代のJRPGによく見られたストーリーの押し付けがましさも感じられません。
終盤に登場する例の乗り物といい、随所で1990年代のRPGを意識した作りになっています。
徐々に歯ごたえが増していく戦闘
1990年代のRPGと言えば戦闘の難易度が高めに調整されていました。
ストーリーを重視し過ぎていると難易度の高さは邪魔に感じるかも知れませんが、そこが良いと思うんですよ。
だって、旅をする緊張感を味わえますから。
その点、本作は中盤以降は適度に難易度が上昇するから昔懐かしの緊張感を味わえました。
例えば中盤以降のボスはほぼ一撃必殺の全体攻撃をしてくるんですよ。
さらに「倒した!」と思ったら最後の力を振り絞って強力な全体攻撃をしてくることもありますw
難易度が高いのはサクサク進みたい人によってはストレスを溜めてしまう要因になるかも知れません。
しかし、本作では様々な特殊攻撃をセットできるうえ、組み合わせ次第で強力な技を生み出すことも出来ます。
難易度が高いからこそ突破口を切り開く楽しさを味わえるのもまた確かなので、個人的にはベストなバランス調整に感じました。
さすが数多くのRPGを手掛けたスクウェア・エニックス!
戦闘周りもよく考えられて作られています。
BGMが良い
古き良きRPGの法則としてはBGMも忘れてはなりません。
その点は本作でもしっかり抑えていました!
BGMはピアノアレンジで統一されているんですが、これが切なさを強調しているんですよ。
特に別れをイメージした曲は聴いていると切なくなってきます。
ストーリーは特別良いとは思っていませんが、BGMのおかげで心に残るところがありました。
程良いボリューム
2000年以降、RPGのクリアタイムは30時間以上が基準になってしまいました。
大作になると50時間以上はザラで、クリアまでに1ヵ月以上を要してしまうことは珍しくありません。
そのようなゲームはお金がなくて一本のゲームを長く楽しみたい子供にとっては有難い存在だとは思います。
ですが、お金よりも時間が大切な社会人にとってはプレイするまでのハードルを高くしていると思うんですよ。
その点、本作は時間がない社会人でも比較的クリアしやすいボリュームになっていました!
早ければ10時間。遅くても20時間程度でクリアできるので、その気になれば週末だけで終えられます。
大きな要因となっているのが、すぐにレベルを上げられること。
稼ぎポイントさえ見つければ10レベル上げるのに30分程度しか掛からないので、適正レベルに届いていなくてもすぐに巻き返せます。
ゲームによっては1レベル上げるのに1時間以上掛かる場合もあるだけに助かりました。
クリア後のおまけ要素が多い
「RPGはクリアしたらおしまい」
なんてイメージを持たれがちですが、本作の場合は違います。
さすがやり込み要素にも力を入れるスクウェア・エニックス製タイトルだけあってクリア後のおまけ要素が満載なんですよ。
隠しボス、サブイベント、鍵が掛かった宝箱探し、闘技場、イースターエッグ etc…
各地をくまなく探索することでこのような発見があるので、マップを埋めていく楽しさも感じられました。
すべてをやり込んでも30時間程度だと思いますが、それでも大量の隠し要素を探している時はワクワクします。
惜しいところ
古き良きRPGとして見たら中途半端なゲームシステム
1990年代の古き良きRPGを意識して作られた「いけにえと雪のセツナ」。
当時のRPGをある程度は再現していますが、中には欠けているものもあると思いました。
一番「あれ?」と思ったのが、街に宿屋がないことです。
スーパーファミコン世代のぼくにとってRPGの街は”ダンジョンでボロボロになった体を癒す場所”という印象が強いだけに、そこを再現しないのは違和感があります。
全回復自体は「テント」というアイテムをワールドマップで使用したらできるんですが、なんでこんなシステムを採用したのでしょうか?
ちょっとしたことのように見えますが、旅をしている感を出すためにも街には宿屋が欲しかった。
装備品のシステムも中途半端に感じます。
なんと、防具の概念が無いんです!
装備できるのは武器と法石のみなので、1990年代の古き良きRPGを意識しているにしてもシンプル過ぎるように感じます。
古き良きRPGと謳っていますが、何もかもがオーソドックスという訳ではありません。
多少は尖ったシステムを取り入れているので、そこはプレイする前に知っておいた方が良いでしょう。
イベントシーンのスキップ機能が欲しかった
ゲームオーバーになると前回セーブしたところからやり直しになります。
このような仕様は古き良きRPGを彷彿とさせてくれてそれはそれで良いとは思いますが、イベントシーンのスキップ機能が無いのは困りました。
だって、ボス戦前ではそこそこ長いイベントシーンが発生することもありますから。
それをゲームオーバーの度に見せられるとテンポが悪く感じてしまいます。
中盤以降は難易度が上がってゲームオーバーの可能性が高まるだけに尚更。
ダンジョンが淡白
多くのダンジョンは淡白に感じました。
全長が短く、グネグネ曲がった一本道を進むだけ。
終盤になると多少のパズル要素が増えて全長も長くなりましたが、それまでに挑戦するダンジョンは区別がしにくく感じます。
加えてダンジョンに出現する敵の種類が少ないのも惜しく感じました。
どこのダンジョンにも2~3種類の敵しか出現しないのでバリエーションに欠けます。
色違いも多いですし、ここはもっと頑張ってほしかった。
全体的に中途半端
2010年代後半にあえて1990年代風のRPGを作る。
その志は素晴らしいとは思いますが、全体的に中途半端な感じがしました。
まず感じたのが、全体の地味さ。
カメラは遠くに引いているのでキャラクターの顔はよく見えませんし、イベントシーンではボイスがありませんから。
戦闘も派手さに欠ける印象で、遠くで戦っている人に指示をしている感じがしました。
作品のコンセプトを考えたら納得ですが、1990年代のRPGを知らないユーザーがプレイしたら地味なゲームにしか感じられないでしょう。
じゃあ1990年代のRPGを知っている人が満足できるのかと言われるとYESとは言えないところがあります。
前述の通りダンジョンやモンスター周りが簡素ですし、ストーリーもメリハリに欠けますから。
泣ける部分が全く無い訳ではありませんが、そこまで大きな起伏は感じられませんでした。
ストーリー、レベルデザイン、BGM。
あらゆる部分が古き良きRPGを越えられていないので、時間が経過したことによる美化と相まって大きく劣っているように見えてしまうかも知れません。
実際、本作をプレイして「古き良きRPGを越えよう」という気概は感じられませんでした。
それよりは「古き良きRPGに追いつこう」というのが適切で、どこか亜流に見えてしまいます。
もう少し大物スタッフを起用して多額の開発費を投資したら良かったと思うんですが、色々難しいのかな?
全体のまとめ
1990年代の古き良きRPGに追いつこうとした作品。
当時のRPGを上手く再現した部分もありますが、いかんせん低予算の中で作られているからか亜流の域を出ているようには感じませんでした。
ただ、日本のRPG市場を発展させたスクウェア・エニックス自らがこのような作品を2016年に発売したことは大きな意義があると思っています。
完全ではないものの古き良きRPGの片鱗は見られたので、この手のゲームが好きな人は軽い気持ちで手を出しても良いのではないでしょうか?
少なくともぼくは少しだけ1990年代当時までタイムスリップした感覚を味わえました。
傑作とまでは言えませんが、大作ゲームの箸休めにプレイする分には良い作品です。
スクエニ自らが生み出した古き良きRPGに追い付こうとした小品!
こんな人には特におススメ。
・かつてRPGを楽しんでいた人。
・サクッとRPGを楽しみたい人。
こんな人にはおススメできない。
・大ボリュームな大作RPGを求める人。
・具体的な描写を求めてしまう人。
いけにえと雪のセツナ/お気に入り度【70/100%】
プレイした時間・・・約15時間
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Xbox | etc |
行く先々のどの村にも宿がないのは意味不明ですね。
わざわざ村の外にテントを張って一夜を明かす主人公御一行様を思うと、世の中の世知辛さに泣けてきますよ(^_^;)