絶体絶命都市4Plus -Summer Memories-/PS4 / Switch
どうも!KENT(@kentworld2)です!
今回は2018年11月に発売されたPS4「絶体絶命都市4Plus -Summer Memories-」のレビューをしていきます。
本作は震災で崩壊した日本の都市を舞台にしたアクションアドベンチャーゲームですが、8年の期間を経てなんとか形にしたような作品でした。
実は本作、当初は2011年3月10日にPS3ソフトとして発売予定だったんです。
ところが直前になって発売延期を発表。
さらに2011年3月11日には東日本大震災が発生した関係で「絶体絶命都市」シリーズそのものの販売が見送られてしまったんです。
それから4年後の2015年。様々な紆余曲折を経てPS4ソフトとして復活することが発表。
その後も延期を繰り返していましたが、2018年11月。ついに発売されます。
気になるゲームの出来栄えは・・・
とにかく粗削りで消化不良!
これまで通りバカゲー色が強くて面白い部分もありますが、総じて「惜しい」という印象が強く残る作品に感じました。
中小企業が手掛けているとは言え8年待ってこの完成度は厳しく感じます。
ここからはそんなPS4「絶体絶命都市4Plus -Summer Memories-」の良いと思った点からまずは書いていきます。
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- 震災で崩壊した日本の都市を探索するゲーム。
- 各地でフラグ立てを行ってストーリーを進めていく。
- イベントシーンでは大量の選択肢を用意。選択肢によってストーリー展開が変わることもある。
初リリース日 | 2018年11月22日 |
対応ハード | PS4/Switch |
ジャンル | アドベンチャー |
推定クリア時間 | 10~15時間 |
売上 | 初週4.2万本 |
発売元 | グランゼーラ |
目次
良いところ
一生懸命描いている震災で崩壊した都市
「よく描いているなぁ・・・」
本作のキーポイントとなる震災によって崩壊した日本の都市。
この点に関しては粗削りながらも一生懸命描いていることは伝わってきました。
地面に残った沢山のガレキ。斜めに倒れたビルや電柱。
デコボコになって液状化した道路。散乱した屋内。
思わず「震災が起きるとこうなるのかぁ」と口に出したくなるくらいリアルに描いています。
凄いのが、余震によって地形がリアルタイムで変化すること。
余震の描写はビルが派手に崩れ落ちて大量のガレキが振ってくるなど迫力満点で、思わず「うわぁぁぁ~!!!」と声に出したくなりました。
しかも余震によって今まで行けなかった場所へも行けるようになることがあるので、アドベンチャーゲームのレベルデザインにも上手く絡めています。
崩壊時は処理落ちも散見されますが、そこまで気になりませんでした。
親近感が沸く世界観
本作は日本の都市を舞台にしています。
おかげで日本人のぼくからしたら親近感が生まれ、震災の様子をリアルに思い浮かべられました。
特に印象的だったのが、序盤に訪れる浸水した団地。
団地は1室ごとに細かく描かれており、和室やベランダなどを行き来することが出来ます。
このような建物は欧米が舞台の作品ではほとんど見られないだけに何だか嬉しくなってきました。
極め付けは登場人物の描写!
登場人物の多くは「いかにも日本人だな~」と言いたくなるような顔付き・体型・服装をしているので親近感が沸いてきます。
例えばボーダー長袖&ジーンズを履いたクチュクチュ頭の若い男性とかw
いかにも2010年代の日本都市で歩いていそうな人がリアルに描かれているので他のゲームではなかなか味わえない親近感がありました。
リアルな都市を舞台にした作品は数あれど、
やっぱり日本が一番だな~!
って思います。
大量に居るNPCの人生を描いている
「え?ここまでやるものなのか!?」
震災で崩壊した都市には大量のNPCがウロツイていますが、それぞれのストーリーを具体的に描いている(※)から驚きました。
※使い回しのモブキャラは除く。
主人公は震災で崩壊した都市から脱出を図るべく様々な人の助けを借りながら一週間を過ごしていきます。
時には以前訪れた場所に戻ることもありますが、日付が変わってから訪れると同じNPCでも会話の内容が変化するんです!
しかもボイス付きのイベントシーンが挿入されることもあり、意外な展開になることもあります。
凄いのが、ストーリーを具体的に描いているNPCが90人以上も存在すること!
しかもそれぞれ図鑑に登録されて細かい情報が追加されていくので、群像劇のように楽しむことができるんです。
個人的にお気に入りのキャラクターはコンビニ店長になりすました熊沢。
彼は震災で飲食が不足しているのを良いことに各コンビニでぼったくり商売をしています。
人が飲食を欲しがっているのを良いことに万単位の値上げを平気でしてくるゲスい奴なんですが、一周回って気に入りました!w
図太さが人並み外れているので、まるでギャグ漫画の登場人物みたいw
ユニークな選択肢
絶体絶命都市と言えばユニークな選択肢!
今作でも随所で変な選択肢が用意されています。
多くは選んでもあまり変化のないものですが、一部が異様に凝っていたので笑いましたw
「そこを具体的に描くのかよ!w」
思わずそう突っ込みたくなるような展開は今作にも用意されています。
このように本作は本作はバカゲー色が強く、楽しみながら震災の恐怖を学習出来ました。
バカ真面目に震災で崩壊した都市を描くと説教臭くなってしまうので、この遊びココロは歓迎したいです!
ネタ的なコスチュームも用意されているので、あえて変な格好にしてシュールな方面に持っていくのが本作の正しい楽しみ方に感じます。
VRモードを収録!
なんと今作、おまけとしてPSVR専用モードが収録されているんです!
こちらは完全に独立したおまけモードで一部の都市を探索することが出来ます。
ただ、様々な制限によって本編とは別内容に感じました。
以下、本編との相違点です。
- 移動に制限が掛けられている。
- 地形のテクスチャは簡略化されている。
- フィールドにNPCは全く居ない。
- 隠された数枚のシールを見つけるのが目的。
言ってしまえば移動に制限が掛けられたシール探しゲームw
プログラムはVR向けに作り直しているようなので+αとなっていますが、かなり地味な印象でした。
震災による迫力の描写も少なく、それよりは本編に登場した都市を360度映像で探索する側面が強く感じます。
このようにVRモードは地味なんですが、シールを大量に見つけることでセクシーな男女コスチュームを本編で入手できるようになるからやり込んでしまうんですよ!w
しかし、肝心のシールが巧妙に隠されているのでなかなか見つかりません。グググッ。
惜しいところ
全体的にテンポが悪い
プログラムの組み方が悪いのでしょうか?
ゲームプレイを阻害するような待ち時間が頻繁に発生するのでテンポが悪く感じました。
特に気になったのが、「扉を開ける」「窓のひさしに上がる」といったアクションを取る時。
これらのアクションを取ることでキャラクターが自動で動いて3秒ほど操作出来なくなるんですが、PS4のマシンパワーを活かしてシームレスには出来なかったのでしょうか?
1回くらいならまだしも、ゲームクリアまでに何百回も行うアクションなだけにジワジワとボディーブローのように効いてきます。
本作は探索色が強く、同じエリアを何度も行き来するだけに尚更。
団地エリアでは何度「窓のひさしに上がる」アクションを取ったことかw
消化不良なストーリー
全体的にストーリーは消化不良に感じます。
要所要所では「良いなぁ」と言えるシーンもありますが、全体的には上手くまとめられていません。
脚本自体もネタ方面に走り過ぎているので終盤の展開は感情移入出来ませんでした。
その一方で結末が分からないNPCも散見され、ゲームをクリアしてもモヤモヤが晴れません。
どうやらダウンロードコンテンツで補完するようですが、もう少し本編で描いてほしかった。
消化不良なゲームデザイン
グランゼーラが開発するには無理があり過ぎたのでしょうか?
ゲームデザインも消化不良に感じます。
特に気になったのが、スケール感とマッチしていないフラグ立て。
本作はアドベンチャーゲームの側面が強く、基本的にはNPCに話をかけてストーリー進行のフラグ立てを行っていきます。
しかし、どのエリアもNPCの数が非常に多く、古典的なフラグ立てアドベンチャーゲームにマッチしたスケールには感じられませんでした。
その影響で不必要なくらい各地を彷徨うことになり、総当たり的なゲームプレイになりがちです。
前述の通り各地を行き来することで短い待ち時間が小刻みに発生するのでますますテンポを悪くしています。
どの段差が登れてどの段差が登れないのかも分かりにくいですし、全体的に不親切な感じがしました。
キャラクターのステータスには便意や空腹、ストレスといった概念が存在しますが、疎かにしてもほとんど悪影響がなくて本当に良かったw
ここでサバイバルゲームのようなペナルティがあったらかなりのストレスを感じていたと思いますからw
「じゃあなんで入れたんだ?」と突っ込まれそうですが、どうやら雰囲気を高めるために入れているらしい。
※ちなみに本作では多数の不具合が報告されていますが、幸いにもぼくの場合はほとんど遭遇せずにクリアまでいけました。
全体のまとめ
とにかく消化不良で惜しい作品。
震災都市を粗削りながらも一生懸命描かれているのは伝わってくるし、ネタ要素も満載で光る点は多く感じます。
しかし、ゲームデザイン・ストーリー共に消化不良でテンポの悪さと相まってせっかくの良さを阻害している部分も多く感じられました。
本作は8年以上の歳月を経て発売された難産な作品ですが、実際にプレイしてみると納得。
確かにこれは完成まで持っていくのは難しい作品に感じます。
だってこんなに凄いことをやろうとしていたんですよ↓
- 現実に近いスケールを再現。
- キャラクターモデリングはリアル調。
- 主人公はアバター制。男女選択可能。
- 数十種類のコスチュームを用意。イベントシーンにも反映。
- 便意・空腹・ストレスの状態に応じてモーションが変わる。
- 登場人物は90人以上。それぞれのストーリーを描いている。
- 各エリアには50人前後のNPCが存在。それぞれに話をかけられる。
- 大量のボイスを収録。
- 大量の選択肢を用意。選択肢によってストーリー展開が変わることもある。
- 大量の防災マニュアルを搭載。
- PSVR専用のモードを収録。
こんなゲームを従業員35人の中小企業(グランゼーラ)が開発するって無理があり過ぎます!
しかもグランゼーラは技術力が突出している開発会社とは言えません。
好きなことをやっているのは伝わりますが、いくら開発期間が長いとは言え身の丈に合った作品には感じられませんでした。
PS4でフォトリアル系のゲームはレッドオーシャンですし、ユーザーの目も厳しいのでかなり無謀なことをしていると思います。
そういった無謀さがグランゼーラの良いところではありますが、今作の消化不良な部分を見ていると仇になっているんじゃないかと思いました。
次回作を出すのであれば並行で開発されていたPS4「巨影都市」のように大手企業と手を組んだ方が良いように感じます。
中小企業が8年の期間を経てなんとか形にした粗削りで消化不良なバカゲー!
こんな人には特におススメ。
・バカゲー好き。
・災害の勉強をしたい人。
こんな人にはおススメできない。
・せっかちな人。
・短気な人。
・探索が苦手な人。
絶体絶命都市4Plus -Summer Memories-/お気に入り度【45/100%】
プレイした時間・・・約20時間
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Nintendo | PlayStation |
Xbox | etc |
低評価とは、kentさんにしては珍しいですね。これ、気になってはいましたが、見送りましたね。
制作状況の話聞くと、今プレイしてる「Mad games tycoon」を思い出しますね。
Mad games tycoonはゲーム業界あるあるを描いているようですね。
絶体絶命都市4は見送ってしまいましたか・・・巨影都市のノリが好きであれば楽しめる余地はあると思いますが、あれ以上に粗さが目立っていました。
この作品は結構、無謀なことをやってますよね。
確かに大手ならともかく中小企業でかなり無理して作ってるなと巨影都市から思いました。
しかしそれで処理落ち+長いロードが目立つなら考えものですね(-。-;
ただでさえこのシリーズは現実に震災が起きたら、自粛して開発中止せざるえなくなってリリースできなくなっちゃうので今後はシリーズを畳んで、巨影都市の続編を発売するかPSVRで防災訓練シミュレータを開発したほうがいいのかもしれません。
あとベセスダやロックスターなどとコラボして海外クオリティの巨影都市を見てみたいですなぁ〜。
このゲームをまともに作るには海外の大手メーカーが必要になってくると思います。
海外クオリティの巨影都市ですか?
地球防衛軍シリーズは海外スタジオ開発版があるので、そのノリを持ってくるのも良さそうですね。
もっとも、向こうの方は我々とは趣向が大きく異なるので方向性を間違えると失敗作になりそうですが。
シリーズ最新作を海外スタジオ開発にして沈んでしまったIPは前世代に腐るほどありましたのでw
現在の視点だと絶体絶命4はプレ4のクソゲータイトルの仲間入りをしてしまった不名誉なタイトルですね(´・ω・`)
グランゼーラの中小企業ながらもこういう和ゲー風のフォトリアルゲームに挑戦する気概はロマンがあっていいし応援したいけど、肝心のゲームが全然クオリティに達してない可哀想な作品…。
ゲームの技術面的な問題以外にシナリオも問題ありなのも感じましたけどねwww
Switch版は改善されたクオリティになのでしょうか。僕は正直、そこは信用できない。
ヤバイシナリオは少なくともそのままでしょうね。
プレイしていて荷が重いんじゃないかなぁと思いました。大手企業のバックアップがないと厳しいんじゃないかなぁと。
次回作を制作する頃にはどこか大手企業に拾われたら良いのですが・・・
なんかこのレビュー見てたらやってみたくなりますね〜笑
B級感がプンプンですね笑。
こういうゲームがインディーとかではなく、フルプライスのパッケージで発売されてる事実にゾクゾクします。
買ってみます!
あはは、気になってきましたか!w
それはそれで嬉しいことです。是非、ご自身で体験してみてください!
唯一無二の作品であることは確かです。
ああ、やっぱりそのくらいの評価なんですね。
まあ、何となくですが分かってはいました。
でも題材はやっぱり魅力あるのでたとえ低評価でも絶対買います。
グランゼーラが小規模だからの問題が散見されるみたいですね・・・。
似たような事例だとグランツーリスモのポリフォニーはゲームの規模のデカさと車種の多さに対して開発がどうしても小さい部分があったからか、GT5とGT6でPS3なのにいまだにPS2時代のグラフィックを流用したり、とくにGT6は自分の中ではひどかったんですよ・・・。
ちょっと話がそれましたね。
開発会社の規模とゲームの規模の差がでかいとこんなことになるって感じですかね・・・。
このようなゲームは他にありませんので、唯一無二の体験を味わえる作品だと思います。
y.crashさんの感想を待っていますよー♪
ポリフォニーはTurn 10 Studiosという強力なライバルが居るから大変そうですね。
向こうの方が規模が大きいので太刀打ち出来ないのが実情なのでしょうか。
割と久々な辛口レビューだなぁ。やりたい事に開発力が追いついてないってのは割と切実な問題ですね。
ただ、ぱっと見「震災シミュ」として売り出しているみたいなゲームで、バカゲー要素を入れるのは軸がぶれるというかちと不謹慎に思うかなぁ。
あら、辛口に感じましたか?
理想に追いつきたくても追いつけなかった作品ではありますねぇ。
確かにこのシリーズは不謹慎とは隣り合わせでギリギリのところを攻めています。
その危なげない感じが唯一無二の個性を出していると思うんですけどねー
kentさん、こんばんは。
絶体絶命都市は独特なテイストですよね。
僕はPS2後期に「ポンコツ浪漫大活劇バンピートロット」をプレイして
九条節のファンになりました。
面白い選択肢に加え、要素が多すぎて
今やると、テンポが悪いだろうなーと思うけど
色んな意味で楽しかったです。
(バンピートロット2復活して欲しい)
絶絶4もやってみたいなと思います。
いつも歌が良いんですよね。
九条節!良いですね!
ぼくもそこに惹かれて今後もシリーズを買いたくなってしまいましたよ笑
テンポの悪さとか気になる部分もありますが、嫌いになれないシリーズなんですよねー♪
歌は今作でも良かったです。ああいった女性シンガーの切ない曲は好きなんですよー。
少ない開発リソースに対して、やりたいことを欲張りすぎましたね。ストーリーはうすあじにして、シミュレーター重視にすれば、地球防衛軍のように化けたかも。または、自由度を減らしてガチガチにストーリーを作り込めば、428のようにも。
そうですね、欲張りすぎているように感じます。
これは従業員35人で作るようなゲームじゃないですねー。
もっと割り切って作ったほうが良かったかも。
んーやはりというべきか、厳しい出来になってしまったようですね…
でもバカゲー要素などシリーズの良さは残ってるみたいなので、セールで手を出してみるのはよさそう。
災害時の勉強にもなりますしね。
本作ならではの良さは間違いなくあると思います。
現時点では欠点も目立っていますが、唯一無二の体験を味わえました。
なんだかんだで次回作が出たら買ってしまいそうですw