
ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて/PS4 / Switch
どうも!KENT(@kentworld2 )です!
今回は2017年7月に発売されたPS4「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」のレビューをしていきます。
本作は勇者として生まれた少年が主人公のRPGですが、1990年代に思い描いていた次世代JRPGを具体化してくれた良作でした!
1990年代から2010年代までの20年間、ゲームのグラフィックは飛躍的な進化を遂げます。
主な表現技術が2Dドットから3Dポリゴンに変わり、ローモデルがハイモデルに変わり・・・。
さらにライティングなど映像をリアルに見せる技術が次から次へと生まれ、本物ソックリな映像表現が可能になりました。
しかし、映像がリアルになればなるほどターン制のコマンドバトルを搭載したJRPGを作りにくくなってしまったんです。
というのもターン制だとコマンド選択しないと誰も動かなくて違和感が生まれてしまうから。
それ故にリアルタイムのアクションバトルを搭載した作品が増えてしまいました。
そのうえグラフィックを凝るあまり集落を描くリソースが無くなってしまい、かつてのように10以上の集落をハシゴして冒険するようなJRPGが作れなくなってしまったんです。
「映像だけを美しくして投身を上げた”だけ”の正統派JRPGをプレイしたいのに・・・」
ある時からぼくはそんな不満を持つようになります。
そんな中で発売されたのが今回レビューするPS4版「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」。
本作は良い意味でグラフィックを美しくしただけの正統派JRPGなので、1990年代に夢見た次世代のJRPGがそのまま形になったかのよう。
懸念されていた違和感が全く無い訳ではありませんが、20年前のぼくが見たら感動してしまいそうな作品です。
ここからはそんなPS4「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」の良いと思った点からまずは書いていきます。
同日に発売された3DS版のレビューはこちら。
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- ストーリーに沿って広大な世界を冒険していく。
- 戦闘はターン制のコマンド選択式。
- Unreal Engine 4による美しい映像表現を実現。
初リリース日 | 2017年7月29日 |
対応ハード | PS4 |
ジャンル | RPG |
推定クリア時間 | 45~55時間 |
売上 | 初週95万本/累計153万本 |
発売元 | スクウェア・エニックス |
目次
良いところ
PS4クオリティでTHE・JRPGを楽しめる!
「ありがとう!」
本作を初めてプレイした時、思わず声に出したくなった言葉です。
2017年になっても数多くのJRPGが発売になっていますが、頭が古いぼくはそれらの作品に触れてもどこか別ジャンルのような気がしたんですよ。
理由を箇条書きで挙げさせていただくと以下のようになります。
- 集落が少なくダンジョンだけがやたら用意されている。
- 戦闘がアクションバトル。
- ミニゲームが存在しない。
- 行動面の自由度が低い。
- 美少女ばかりで男女のバランスが悪い。
- 主人公がペラペラ喋る。
個人的には上の行ほど重要視していることなんですが、多くのJRPGでは実現出来ておらず、別ジャンルとして割り切って楽しんでました。
しかし、本作の場合は良い意味で王道のTHE・JRPGだったんです!
例えで言うなら1980~1990年代に楽しんでいた「ドラゴンクエスト」をそのまま綺麗にしたような感じ!
映像こそは美しくなり、立体化しましたが、戦闘システムなどは変わっていません。
これまでのJRPGは映像がリアルになったことで生まれる違和感を抑えるあまりゲーム性の面も変えるケースが多くありました。
代表的なのが「ドラゴンクエスト」と双璧を成すJRPGとして知られる「ファイナルファンタジー」。
本作と同時期に発売されたPS4/Xbox One「ファイナルファンタジーXV」はオープンワールド式のアクションRPGとなっていたんです。
時間を止めてのバトルが楽しめるウェイトモードも搭載されていますが、初期の作品から別ゲーになったのは否めません。
それだけに「ドラゴンクエスト」シリーズの最新作がここまで自然に昔のJRPGを今の技術に落とし込んでくるとは思いませんでした。
特に感心したのが、集落の多さ&作り込み。
民家への侵入が可能で、数多くの住人に話しかけられる。
そんな集落をPS4クオリティの映像美で10以上も用意したターン制コマンド式のJRPGは本作以外に何作あるのでしょうか?
これも「ドラゴンクエスト」という国民的RPGだからこそ出来た力技だと思うので、感謝したいです。
※さすがにすべての民家に入ることは出来ませんが、ある程度は内部も作り込まれています。
絶妙なさじ加減の探索要素
過去作品とは比べ物にならないくらい綺麗な映像で楽しめるPS4版「ドラゴンクエストXI」。
「VIII」のように等身が高いキャラクターを三人称の肩越し視点で操作出来ますが、そうなると生まれてくるのが探索要素の強化になります。
やはり、三人称の肩越し視点だと俯瞰視点と比べて周囲の状況を把握しにくいんですよ。
本作の場合、以下のような調整でストレスを最小限に抑えていました。
- 地図を開けば「今、やるべきこと」がすぐに分かる
- ビックリマークがついている住人に話しかけると次にどこへ行けば良いのか教えてくれる
- 飛び越えられる段差の近くにはビックリマークが表示される
え?ゆとり仕様だって?
確かに昔の作品と比べたらゆとり仕様ですが、広大な世界を探索する他のPS4ソフト比べたらこれでも抑えている方なんですよ。
というのもこの手のゲームで親切さを徹底した場合、
- 「今、やるべきこと」を常に画面上に表示する
- 目的地のマーカーを画面上に表示する
なんてことになりますから。
でも、そこまで親切さを徹底すると”やらされている感“が出てしまい、面白さが削がれてしまいます。
それだけに本作のさじ加減は絶妙に感じました!
分かりやすく、それでいてやらされている感がしない。
本作はその辺りの感覚をよ~く考えられたバランス調整になっていて、「お、堀井雄二さん、分かっているな~」と何度も口に出したくなりました。
※堀井雄二さん=「ドラゴンクエスト」の生み親。本作でもデザイナーやシナリオを担当している。
ユーザーのことをよ~く考えて作られている
他にも本作には「堀井雄二さん、分かっているな~」と言いたくなるような気配りが随所で見られます。
特に感心したのが、AI周りの優秀さ。
全キャラクターをオート操作にすると適確に行動を取ってくれるので、弱い敵と戦う場合は「たたかう」を選択するだけで良いんですよ。
この機能を活用すればレベル上げ作業をする時の手間を大幅に省くことが出来ます。
エンカウント→「たたかう」を選択→その間、トイレへ→戦闘終了
エンカウント→「たたかう」を選択→その間、歯磨きをする→戦闘終了
優秀なAIに頼ればこんな感じで進められます。
あなたは昔、レベル上げをする際にボタンをゴムなどで止めてオートプレイをしていませんでしたか?
本作の場合、その類いとなる機能が標準搭載されているんです。
リモートプレイを併用すれば予想以上に快適なレベル上げ作業を楽しめますよ~。
(そもそも、クリア前はレベル上げを強要されない易しめのゲームバランスになっていますが)
バランスが取れたターン制のコマンドバトル
戦闘は超・古典的なターン制のコマンド選択式になります。
PS4の映像美だと古臭く見えてしまうのは否めませんが、完成度自体は非常に高く感じました。
何よりも素晴らしいのがゲームバランス。
極端なレベル上げは必要なくサクサクと進むことが可能で、RPGとして非常に理想的なテンポを実現しています。
新システムのゾーンやれんけいも仲間キャラクターを組み合わせる重要性が増していて、様々な戦術を試したくなりました。
ちなみにPS4版の場合は敵のターン中、自由にキャラクターを動かすことが出来ます。
特に意味はありませんが、色んなアングルから戦闘シーンを眺められるので待ち時間も退屈しません(オプションで固定カメラにすることも可能)。
王道だけど、どこか王道じゃないストーリー
勇者の生まれ変わりであると告げられた16歳の少年は言いつけに従いデルカダール城へ謁見に訪れる。
なんて書くと超王道のストーリーに見えますが、そうとも言い切れませんでした。
王道のように見せかけて意外な展開も用意されているので、少しずつ絵に描いたようなファンタジーRPGではなくなってきます。
その一方でJRPGではお決まりの要素もしっかりと取り入れているので懐かしさと新鮮さを両立していました。
これは色んな趣向を持った「ドラゴンクエスト」シリーズとしては非常に上手い落とし所に感じます。
特筆したいのが、仲間たちの群像劇をしっかり描いていること。
特に中盤以降はそれぞれの仲間の生い立ちや素性が明らかになるショートエピソードが多数盛り込まれるので感情移入出来ました。
さらにクリア後にはサブタイトルにも繋がる大きな出来事が巻き起こり、物語に更なる深みを持たせています。
賛否分かれる描写もありますが、ここまで「分かりやすさ」「楽しさ」「深さ」を併せ持ったJRPGはほとんど見たことがありません。
良い塩梅となっている新システム
本作からの新システムはいずれも良い塩梅となっていました。
例えばキャンプ。
ここでは自由に体力の全回復やセーブを行うことができるので、従来の作品よりも回復/中断手段が大幅に増えました。
緊張感は薄れていますが、MPが少ない状態でのダラダラ戦闘を行う機会が減ったので快適に楽しめます。
乗り物モンスターを利用してのアクションもアクセントとしては良いと思いました。
近年発売された「ドラゴンクエスト」シリーズのナンバリングタイトルで攻略することになるダンジョンの多くは単調だったんですよ。
エンカウントに怯えながら淡々と最奥まで進むだけ。
そんな印象が強かったので、特定のモンスターを倒して乗り物として利用する要素は良いアクセントになっています。
スキルパネルシステムも気に入りました。
どんなシステムなのかと言うと、スキルポイントを集めてパネルを埋めていく成長システムになります。
イメージ的にはPS2「ファイナルファンタジーX」のスフィア盤に近く、計画的に育成する楽しさを生み出していました。
様々な国を冒険した気分になれる
PS4版で大きな特徴となっているのが映像美!
各集落ではその映像美を存分に堪能することが可能で、様々な国を冒険した気分になれます。
実際、各集落は中世以外にも様々な国をモチーフにして作られているので、眺めるだけでも楽しい!
何よりもカボチャに触れると物理演算処理で砕けるのが良い!爆
他にも何百~何千もの草木が揺れ動いたり花に近付くと飛び散ったりして細かい部分までしっかりと描かれています。
オブジェクトの数はスケール感に合わせて増やしている印象なので、映像から感じ取れる情報量が大幅に増しました。
その影響でやっていることは3DS版と同じように見えても充実感の度合いが違います。
あと、ぱふぱふが最高でした!
今作では歴代シリーズのぱふぱふも用意されているんですが、PS4版は具体的に描写されるんですよ。
かつてあなたが想像していたぱふぱふがどんな感じに再現されているのか?
その辺りも映像がキレイになった恩恵を感じられます。
個人的に合わない&気になったところ
歯ごたえがない
前述の通り本作は現代ユーザーに合わせた様々な救済措置が用意されています。
そのうえ低レベルでもサクサク進められるので、かつての作品で見られた歯ごたえはほとんど見られませんでした。
なので、
- レベルを上げて強い敵を倒す
- 戦略を立てて低レベルで強い敵を倒す
なんてプレイスタイルに楽しさを見出している場合、物足りなく感じるかも知れません。
今の時代にはマッチした難易度調整だとは思いますが、高難易度モードがあっても良かったんじゃ?
※Switch版には高難易度モードが収録されています。
街の移動がやや面倒
最初は楽しい街の探索。
ですが、だんだん移動が億劫になってきました。
フィールドの場合はまだ良いんですよ。馬やモンスターに乗ってある程度の高速移動出来ますから。
しかし、街の場合そうはいかず、長い廊下や橋を10秒以上かけて移動する必要もありました。
景色も見慣れてしまうと飽きてしまうので、何度も行き来していると面倒に感じます。
3DS版の2Dモードは快適に移動が出来たので、この辺りはスケールが多くなったことへの弊害に感じました。
この点が若干の足枷になったので、個人的なお気に入り度は3DS版が僅かに軍配が上がります。
※Switch版はダッシュ機能が追加されて改善されています。
古い臭いユーザーインターフェース
この30年間、「ドラゴンクエスト」シリーズは独自の進化を遂げていることは分かります。
しかし、それを考慮に入れても2017年発売のJRPGとしては一部のユーザーインターフェースが古臭くて不便に感じました。
ボタンを2回押さないと住人に話しかけられない、仲間1人1人が専用の袋を持っていて1種類ずつしかアイテムの受け渡しができない。
「ドラゴンクエスト」シリーズでは当たり前の要素ではありますが、今の時代はもっと簡略化するべきなんじゃないでしょうか?
また、装備品が袋の容量に影響するのも切り替え時には面倒に感じました。
それぞれのキャラクターが専用の袋を持っているからこそアイテム管理をする楽しさが生まれるのは分かりますが、この辺りも変える時期に来た気がします。
僅かに残っている違和感
スケール感が増して映像が綺麗になったことで生まれる違和感は本作でも感じられました。
ターン制コマンドバトルは様式美なので、そこは目をつぶるとしましょう。
しかし、あの頭身で「スーパーマリオ」顔負けのジャンプ力は笑えますし、人の家のタンスを開けるなんてもう!笑
ボイスが全く収録されておらず、ピコピコ音なのも「え!喋らないんだ!?」って最初は思いました。
この辺りはご愛嬌だと個人的には思いましたが、受け入れられない人が居ても無理はありません。
全体のまとめ
1990年代に思い描いていた未来のJRPGをそのまま具体化したような作品。
難易度も低くて遊びやすいので、時間が取れなくなったかつてのドラクエ少年でも楽しめるように作られています。
「最近のRPGはRPGに見えない」
「美しくなった”だけ”の正統派JRPGを楽しみたいんだよ!」
なんて思っている元ドラクエ少年は手を出してみてください。
20~30年前に思い描いていた世界がそこには広がっていますよ。
あくまでも1990年代のJRPGで青春を過ごしてきた人向けに作られている印象なので、今のゲームを基準に見たら古臭いのは否めません。
戦闘はリアルタイムのアクション系じゃないし、ユーザーインターフェースも古臭い。
それでいて難易度もクリア前は低いので、世代によっては突き刺さらないかも知れません。
個人的にもモヤモヤする点が全く無い訳ではありませんが、1990年代に思い描いていた未来のJRPGをそのまま具体化してくれたことに感謝しています。
1990年代に思い描いていた次世代JRPGを具体化してくれた良作!
こんな人には特におススメ。
・10年前に夢見たTHE・JRPGを楽しみたい人。
こんな人にはおススメできない。
・気軽にサクッと楽しみたい人。
ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて(PS4)/お気に入り度【80/100%】
プレイした時間・・・約60時間
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