
ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて/3DS / Switch
どうも!KENT(@kentworld2 )です!
今回は2017年7月に発売された3DS「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」のレビューをしていきます。
本作は勇者として生まれた少年が主人公のRPGですが、過ぎ去りし時を求めた元ゲーマーが現役復帰するための特効薬でした!
アナタは2010年代後半になってから新発売の買い切り型のゲームをプレイしましたか?
買ったとして積んでしまったり昔発売されたゲームばかりをプレイしていないでしょうか?
そんな人におすすめしたいのが今回レビューする「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」の3DS版です。
PS4版も同時発売されましたが、3DS版は現役から引退した元ゲームユーザーも気軽に楽しめる配慮が満載なんですよ。
本作をプレイすればゲームに熱中していた”過ぎ去りし時”を思い起こすことができるかも知れません。
ここからはそんな3DS「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」の良いと思った点からまずは書いていきます。
同日に発売されたPS4版のレビューはこちら。
累計1,000記事突破!KENTがプレイしたゲームのレビュー記事一覧へ
- ストーリーに沿って広大な世界を冒険していく。
- 戦闘はターン制のコマンド選択式。
- グラフィックなどが異なる3D/2Dモードを切り替えて楽しめる。
初リリース日 | 2017年7月29日 |
対応ハード | 3DS |
ジャンル | RPG |
推定クリア時間 | 40~50時間 |
売上 | 初週114.9万本/累計186万本 |
発売元 | スクウェア・エニックス |
目次
良いところ
2010年代の価値観を反映させた気配り
「ドラゴンクエスト」シリーズが誕生してから約30年。
この間、世間の価値観は大きく変わっていきました。
インターネットの普及で情報過多になり、コンテンツの消費が激しくなっていき・・・。
加えて「ドラゴンクエスト」シリーズを楽しんでいたかつてのユーザーも子供から大人になって自分だけの時間を作りにくくなったケースが多く見られます。
製作者の堀井雄二さんはその辺りを危惧していたのでしょうか?
本作はこれまで以上にユーザーフレンドリーな作りになっていたんです!
まずユーザーフレンドリーに感じたのがチュートリアル。
適切なタイミングで挿入され、それでいて長ったらしくないので邪魔になりません。
さらにメニュー画面を開いたり仲間に話しかけることで次の目的地を教えてくれるようになりました。
それ故に過去作のように住人から情報収集をする必然性が薄くなっていますが、今の時代にはベストなバランスに感じます。
何故ならお手軽感があるうえにやらされている感がしないからです。
過保護なゲームの場合、画面上に現在の目的を常に表示させるんですよ。
さすがにそこまで親切だとやらされている感が出てくるけど、メニュー画面を開かないと現在の目的が分からない仕様だとそうは感じません。
親切だけどやらされている感はしない。
堀井雄二さんはその辺りのさじ加減をよ~く分かっています。
極めつけはバトルシステム周りの快適性!
本作は昔ながらのターン制コマンドバトルを採用しているんですが、あれってコマンド選択が面倒じゃないですか?
本作の場合、すべての行動をAIに任せることができるんです!
え?AIに任せたら変な行動を取りそうで怖いって?
ご安心ください。本作のAIは非常に優れているので下手なプレイヤーよりも適切な行動を取ってくれますから。
例えばドラゴン系のモンスターとの戦闘時は「ドラゴン斬り」を選択して大ダメージを与えてくれるんですよ。
このように本作のAIは優れているので戦闘のセオリーを学ぶことも出来ます。
ですので、RPGが苦手な人の入門用としても優れていると思いました。
なんて書くと全編AIに頼って楽にクリアできるもんだと思いそうですよね?
そこが本作の凄いところで、終盤になるにつれてオート設定では全滅率が高まるようなバランスになっているんですよ。
最初は全キャラクターオートで行動させておき、少しずつ手動で行動を選択していく。
そんなバランス調整になっているので、コマンド選択式のRPGが苦手な人でもすんなり入っていけます。
2Dモードが超快適!
「いくらオート機能が便利でも大作RPGは胃もたれするお・・・」
なんて人は3Dモードから2Dモードへ切り替えることをおすすめします。
2Dモードにすると懐かしのスーパーファミコン風グラフィックになるんですが、それだけではありません。
以下のように快適性もグッと向上するんです!
- トップビューで視野が広いので迷いにくい。
- 3Dモードと比べてマップが狭いので移動にかかる時間が少ない。
- 戦闘がサクサク進む。
- ロード時間がほとんど存在せず非常にテンポが良い。
地味に有り難いのが戦闘のテンポ。
戦闘スピードが非常に速いので、サクサクとレベルを上げたい時には最適なんです!
しかも本作、LボタンがAボタンの役割を果たすので、片手だけでプレイできるんですよ。
そのうえでAIでの自動行動を選択したら”ながらドラクエ”が出来ます。
例えばスマホでインターネットサーフィンをしながらプレイしたり、TV番組を見ながらプレイしたり・・・。
「なんだそれは!?」とお怒りになられる方も居そうですが、今の時代、マルチタスクは欠かせません。
本作はマルチタスクに慣れてしまったユーザーへの選択肢も与えているので懐の深さを感じました。
2Dモードは3Dモードと比べてもロード時間が圧倒的に短いですし、最高の快適性で楽しめます。
3D/2Dモードの切り替えが面白い
前述の通り本作は3D/2Dという2つのモードを収録しています。
つまり、1本のゲームに実質2本分のゲームが入っているということなんですよ!
残念ながら3D/2Dモードでの同時プレイはごくごく序盤にしか行なえませんが、片方のモードしか表示できないことで切り替える楽しさも生まれていました。
例えば2Dモードでプレイしている時、温泉がある集落に来るとします。
温泉といえば肌色なので、3Dモードで具体的な映像を見たくなるじゃないですか?w
という訳で3Dモードを切り替えてみたところ・・・
「おおおおお~っ!」
このように3D/2Dのモード切り替えを行うことで同じエリアでも新たな発見があるので、面白さが倍増しているように感じます。
「2Dモードだと映像が簡略化されているので想像する楽しさがあるけど、具体的にどんな感じなのか今すぐ知りたい!」
そんな時は教会へ行って3Dモードに切り替えたら良いんです。
一度見たイベントシーンは3D/2Dの両方で回想ができるので、例えば間違えて2Dモードの状態で進めたとしても心配は要りません。
さあ!今すぐ3Dモードに切り替えてぱふぱふしてきましょう!
ちなみに3D/2Dモードではマップの作りもだいぶ異なっています。
例えば2Dモードでは平坦だったところも3Dモードでは高低差のある山道になっていたり細かい道になっていたりしますから。
それぞれのモードでしか出現しないアイテムが落ちていることもあるので、同じフィールド・ダンジョンでも切り替えてみるとより楽しめます。
妥協なく最後までJRPGとして作られている
ここまで快適性を中心とした話題になりましたが、肝心の内容も妥協なく作られていました。
21世紀に入って以降、ゲームの開発費は高騰しています。
それ故に開発の終盤になって妥協せざるを得ない作品は数多く見てきましたが、本作ではそれを一切感じません。
比較的ゲーム開発に余裕があったスーパーファミコンやプレイステーション時代の名作群と比べても同等かそれ以上のボリュームがあり、最後まで妥協なく作られています。
例えば集落は10以上ありますし、それぞれの民家に入ったり、独自の文化やストーリーだって用意されているんですよ。
さらには隠しダンジョンだってあります!
ある意味、当たり前のことではありますが、竜頭蛇尾な大作RPGは数多く見てきただけに感心してしまいました。
「よく頑張った!」
本作に対してまず言いたい一言です。
王道だけど、どこか王道じゃないストーリー
ストーリーは超が付くほど王道!
と思っていましたが、序盤から意外な展開となり、少しずつ絵に描いたようなファンタジーRPGではなくなってきます。
その一方でJRPGではお決まりの要素もしっかりと取り入れていて、色んな趣向を持ったユーザーが居る「ドラゴンクエスト」シリーズの新作としては非常に上手い落とし所だと思いました。
特筆したいのが、仲間たちの群像劇をしっかり描いていること。
特に中盤以降はそれぞれの仲間の生い立ちや素性が明らかになるショートエピソードが多数盛り込まれるので感情移入出来ました。
さらにクリア後にはサブタイトルにも繋がる大きな出来事が巻き起こり、物語に更なる深みを持たせています。
(若干、賛否分かれると思いますが)
ここまで分かりやすく、楽しくて深い物語のJRPGは今までほとんど見たことがありません。
バランスが取れたコマンドバトル
戦闘は超古典的なターン制のコマンドバトルとなっています。
古臭いのは否めませんが、その分だけ完成度は非常に高く感じました。
何よりもゲームバランスが今の時代にピッタリなんですよ!
程良い難易度なので、極端なレベル上げは必要なくサクサクと進むことが出来ます。
新システムのゾーンやれんけいも仲間キャラクターを組み合わせる重要性が増していて、様々な戦術を試したくなりました。
良い塩梅となっている新システム
本作からの新システムはいずれも良い塩梅となっていました。
まず紹介するのがキャンプ。
ここでは自由に体力の全回復やセーブを行うことができるので、従来の作品よりも回復/中断手段が大幅に増えました。
緊張感は薄れていますが、MPが少ない状態でのダラダラ戦闘を行う機会が減ったので快適に楽しめます。
乗り物モンスターを利用してのアクションもアクセントとしては良いと思いました。
近年発売された「ドラゴンクエスト」シリーズのナンバリングタイトルで攻略することになるダンジョンの多くは単調だったんですよ。
エンカウントに怯えながら淡々と最奥まで進むだけ。
そんな印象が強かったので、特定のモンスターを倒して乗り物として利用する要素は良いアクセントになっています。
スキルパネルシステムも気に入りました。
どんなシステムなのかと言うと、スキルポイントを集めてパネルを埋めていく成長システムになります。
イメージ的にはPS2「ファイナルファンタジーX」のスフィア盤に近く、計画的に育成する楽しさを生み出していました。
息抜きに最適なヨッチ族
3DS版だけのオリジナル要素は3D/2Dモードだけではありません。
「IX」で社会現象を起こしたすれちがい通信を使った遊びも搭載しているんです!
今作では宝の地図集め&探索ではなくヨッチ族を集めるソーシャルゲームとなっていました。
ある程度ゲームを進めるとヨッチ族を専用のダンジョンに連れて奥を目指すことができるようになります。
あくまでもおまけ要素ですが、息抜きに最適でした!
面白いと思ったのが、専用ダンジョンではスキルを使用しないと倒せない敵がいること。
そのためまずはザコ敵を倒してスキルゲージを溜める必要があるので、本編では見られなかったパズル性を感じました。
そんな専用ダンジョンですが、奥に進むとステキなご褒美が貰えます。
なんと、歴代シリーズ10作品の厳選されたマップに行くことができるんです!
これが凄い再現度なんですよ。
というのも当時のマップを8bit風/16bit風/3Dの大きく分けて3つのモードを使って再現しているからです(もちろんBGMも再現)。
しかも単にマップを再現しているだけではありません。
クエストを楽しむことができるうえ、凝ったダンジョンを攻略するシチュエーションも用意されています。
この要素は過去に「ドラゴンクエスト」シリーズをプレイした人ほど味わい深いものなんじゃないかと思いました。
え?田舎に住んでいるからすれちがい通信を楽しめないって?
実はそういう人に向けた救済措置もいくつか用意されています。
ですので、田舎に住んでいる人&外出する機会が少ない人でもある程度は楽しめるように作られているんです。
この辺りも懐の深さを感じました。
惜しいところ
歯ごたえがない
前述の通り本作は現代ユーザーに合わせた様々な救済措置が用意されています。
そのうえ低レベルでもサクサク進められるので、かつての作品で見られた歯ごたえはほとんど見られませんでした。
なので、
- レベルを上げて強い敵を倒す
- 戦略を立てて低レベルで強い敵を倒す
なんてプレイスタイルに楽しさを見出している場合、物足りなく感じるかも知れません。
今の時代にはマッチした難易度調整だとは思いますが、高難易度モードがあっても良かったんじゃ?
※Switch版には高難易度モードが収録されています。
ランダムエンカウントと相性の悪い乗り物モンスター
2Dモードの場合はランダムエンカウントになるんですが、狙った乗り物モンスターを倒したい場合は不便に感じました。
ランダムエンカウントだとモンスターの姿が見えず、エンカウントが発生しても誰と戦うのか始まるまで分かりません。
それ故に「今、戦いたい!」と思うようなモンスターが出現するとは限らないんです。
なので、乗り物モンスターがいないと先に進めないエリアでは足止めを食らうんですよ。
そもそも、ランダムエンカウントは強制的な戦闘を強いられるのでダンジョン攻略の際は苦痛に感じました。
どうやらぼくはシンボルエンカウントじゃないとダメな体になってしまったようですw
ダンジョン攻略中はシンボルエンカウントの3Dモードに切り替えて楽しんでいました。
このように3D/2Dモードにはそれぞれに利点が存在するので、快適に楽しみたい場合は頻繁に切り替えることをおすすめします。
古い臭いユーザーインターフェース
この30年間、「ドラゴンクエスト」シリーズは独自の進化を遂げていることは分かります。
しかし、それを考慮に入れても2017年発売のRPGとしては一部のユーザーインターフェースが古臭くて不便に感じました。
ボタンを2回押さないと住人に話しかけられない、仲間1人1人が専用の袋を持っていて1種類ずつしかアイテムの受け渡しができない。
「ドラゴンクエスト」シリーズでは当たり前の要素ではありますが、今の時代はもっと簡略化するべきなんじゃないでしょうか?
また、装備品が袋の容量に影響するのも切り替え時には面倒に感じました。
それぞれのキャラクターが専用の袋を持っているからこそアイテム管理をする楽しさが生まれるのは分かりますが、この辺りも変える時期に来た気がします。
控えめの新鮮味
安定のドラクエ。
なんて書くと聞こえがよく感じますが、新鮮味が控えめとも言えます。
確かに掟破りな展開は少しはあるんですが、「安定のドラクエ」の範疇からは出ておらず、全体的には既視感があります。
新システムにしても「ドラゴンクエスト」シリーズ以外のJRPGから持ってきたようなものばかり。
コアなゲームユーザーの場合、新鮮味はほとんど感じられないでしょう。
3DS版の場合は最先端とは言えないグラフィックなので、尚更そう感じてしまいました。
でも、本作に関してはこれで良いような気もします。
というのも本作が発売された2010年代は正統派の大作RPGが意外なくらい発売されなかったからです。
「前と同じような作品は出したくない!」と感じている開発者が多いのでしょうか?
奇をてらい過ぎたシステムやストーリーにして「コレジャナイ!」とユーザーから総スカンをくらった大作RPGが2010年代には目立っていましたから・・・。
「ドラゴンクエスト」シリーズにしても「IX」「X」はソーシャル/オンライン要素を全面に押し出しすぎてイレギュラーな作品でした。
それだけに既視感が強い今作をプレイしていると故郷に帰ってきたかのような感覚を味わえたんですよ。
つい最近レトロゲームを触れたような人だと有り難みは薄いかも知れませんが、久しぶりに触れる場合は感動します。
違和感が半端ないプリレンダリングムービー
本作にはプリレンダリングムービーも収録されていますが、違和感が半端なかったw
というのもリアル等身で描かれているからです!w
どうやらPS4版のものをそのまま持ってきているようですが、3DS版のグラフィックにはマッチしていません。
3Dモードだとキャラクターの等身がグッと上がっているような感じがするし、2Dモードは言わずもがな。
でも、このギャップはPS1時代を彷彿とさせてくれて、別の意味でノスタルジーに浸れます。
全体のまとめ
多くの人が買い切り型の大作を楽しむ余裕がなくなってきている中であえて発売された王道の大作RPG。
時代の流れに逆らっているようにも感じますが、そんな中で現代ユーザーのライフスタイルに合わせた遊びやすさを徹底していました。
「また王道の大作RPGを楽しみたい!」
「でも、楽しむ体力はもうないなぁ」
3DS版「ドラゴンクエストXI」はそんな現役から引退した元ゲームユーザーも気軽に楽しめる配慮が大量に盛り込まれています。
ぼくの場合、現役ゲームユーザーのつもりではありますが、本作発売時は私生活で色々あって精神的に疲れていました。
正直なところ、ゲームをやる気力が無くなっていたんですよ・・・。
そんな状況でも本作はサクサクと楽しむことが出来たので助かりました。
おかげでクリア後にはPS4版にも触れられるほどゲーム熱が戻ってきましたから。
ですので、元ゲームユーザーも気軽に楽しめる配慮はぼくにとっても恩恵があったんです。
そういう意味で3DS版はPS4版よりも思い入れがあります。
過ぎ去りし時を求めた元ゲーマーが現役復帰するための特効薬。
こんな人には特におススメ。
・気軽に王道の大作RPGを楽しみたい人。
こんな人にはおススメできない。
・最先端なグラフィックじゃないと嫌な人。
・懐かしさを感じられない人。
ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて(3DS)/お気に入り度【81/100%】
プレイした時間・・・約40時間
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Nintendo | PlayStation |
Xbox | etc |
こういう王道RPGを待っていたんですよ!
近年の大作ゲームは面白いのですが、どちらかというと癖の強いゲーマー向けの作品が中心だったので、今作のようなゲームを待ちわびていたんです。
ストーリーや世界観の素晴らしさはもちろんのこと、仲間キャラも魅力的でどの仲間も大切に育てています。
コマンドバトルも調整されたゲームバランスやゾーン、れんけいなどの新要素で古臭さを感じずに楽しめています。
他にもスキルパネルでどのように育てるか考えたり、鍛冶が上手くいくと嬉しかったり、キャンプで一息ついたり、小さなメダル集めが楽しかったりと色々と語りたくなってしまいますw
2Dモードへの切り替えも素晴らしいですね。
ゲーマーの方にも、そうでないゲーム好きの方にもぜひ手に取ってもらいたいです。