ゲームメーカーの歴史を振り返る特集コーナー。今回はカプコンにスポットを当てて行きたいと思います。
主にアクションゲームの開発を得意とするメーカーですが、浮き沈みが激しく、この30年間に様々な波乱がありました。
本記事ではその辺りも含めて特集していきたいと思います。
目次
1984年~:ビデオゲーム業界に参入!ファミコン市場にも初期に参入!
1984年5月、カプコンは「バルガス」というシューティングゲームでビデオゲーム(アーケードゲーム)業界に参入します。
1985年12月には「1942」をファミコン向けに移植し、コンシューマーゲーム市場に新規参入。
そんなカプコンの初となる大ヒット作が1985年に発売された「戦場の狼」と「魔界村」です。
どちらも翌年にはファミコン向けに移植されましたが、全世界で100万本を超える大ヒットを記録!
「戦場の狼」は自動小銃と手榴弾を武器に敵軍と戦うアクションシューティングゲームで、多彩な敵やFM音源が注目を集めました。
「魔界村」は騎士のアーサーが魔物と戦う2Dアクションゲーム。こちらは歯ごたえ抜群の難易度が注目を集め、高難易度アクションゲームの代表格として名を広めました。
1987年には2Dアクションゲームの「ロックマン」をファミコン向けに発売。
当初の売上はそれほどでもありませんでしたが、完成度の高いアクションやボスキャラクターのデザインを一般公募した事などが話題となり、シリーズ2作目のFC「ロックマン2」は全世界で150万本を突破しました!
また、特徴的なコスチュームによってカプコンの看板キャラクターとして成長していきます。
それもあって「ロックマン」シリーズはファミコンやゲームボーイなど様々なハードで毎年のように新作が発売され、一時期は最も発売タイトルが多いシリーズになりつつありました。
1991年~:ストリートファイターIIで対戦格闘ブームを起こす!
1990年代に入るとカプコンはさらに勢いを上げていきます。
1991年にはアーケードで対戦格闘ゲーム「ストリートファイターII」を発売。
対人戦に特化したシステムとキャラクター人気によってゲームセンターでは対戦相手を待つ人で溢れかえり、翌年に発売されたスーパーファミコン版は空前の大ブームとなりました!
販売本数は国内だけで280万本を超え、スーパーファミコン歴代売上TOP10にランクイン。
海外でも人気が高く、全世界で600万本を超えるメガヒットを記録しました。
「ストリートファイターII」の大ヒットによって多数の対戦格闘ゲームがアーケード、コンシューマー問わず発売。一躍人気ジャンルとなります。
カプコンもこの人気を受けて「ストリートファイターII」の関連作を続々と発売。
「ストリートファイターII」だけで「ターボ」「スーパー」「ダッシュ」「ダッシュプラス」などを1~2年程度で各ゲーム機に発売し、さらにはアニメ映画化もされました。
その人気は子供から大人まで幅広く、カプコンは黄金期を迎えます。
「ストリートファイターII」の影に隠れてはいましたが、1993年には「ロックマンX」と「ブレス オブ ファイア 竜の戦士」を発売。
「ロックマンX」は「ロックマン」から約100年後の世界を舞台とした作品で、近未来の世界観やパワーアップしたアクションが子供たちを中心に人気となりました。
「ブレス オブ ファイア 竜の戦士」はカプコン初の本格派RPG。ゲームジャンルがアクションゲームに偏っていたカプコンタイトルの中では異彩を放ちます。
また、この頃から「ストリートファイターII」の人気を受けてカプコンから対戦格闘ゲームの別シリーズが続々と発売されました。
チェーンコンボやガードキャンセルを搭載した「ヴァンパイア」。カプコン初のオリジナル3D格闘ゲーム「スターグラディエイター」。
それ以外にも「CAPCOM VS. SNK」「VS.マーヴルシリーズ」「ジャスティス学園」「ジョジョの奇妙な冒険」など数え切れないほどの対戦格闘ゲームを発売していきます。
1996年~:バイオハザードが空前の大ヒット!
「ストリートファイターII」人気が落ち着き、「バーチャファイター」や「鉄拳」など他社の3D格闘ゲームに人気が集まってきた1996年。
カプコンは新たなメガヒットタイトルを生み出します。
それが「バイオハザード」です!
1996年にプレイステーションで発売された本作は洋館の中から脱出を図り、ゾンビから逃れながら仕掛けを解いて行くゲームデザインが話題になり、口コミで人気が広まります。
そして1998年に発売されたPS「バイオハザード2」は初動だけで100万本以上を売り上げ、世界売上は約500万本のメガヒットを記録!
カプコンは「ストリートファイターII」に続いてまたしてもメガヒットを生み出した事になります。
「バイオハザード」の大ヒットを受けてカプコンは関連作を続々と発売。
ナンバリングタイトルの新作はもちろん、ガンシューティングシリーズやオンラインプレイシリーズを続々と発売していきます。
さらにはナンバリングタイトルをセガサターンやN64、ゲームキューブなどプレイステーション以外にも続々と移植。
さらにさらに!
「バイオハザード」のシステムやエンジンを使って「ディノクライシス」「鬼武者」「デビルメイクライ」と新たなシリーズを展開していきます。
「バイオハザード」のシステムやエンジンを流用して作られたこれらの3大シリーズはいずれも大ヒットを記録。
特に「鬼武者」は和風の世界観を採用し、人気俳優をモデルにした事で国内での人気が半端なく、PS2初期の代表作となるほどの大ヒットを記録しました。
ここまで大人向けゲームが目立ちましたが、カプコンは子供たちにもしっかりとニーズに合ったゲームを出しています。
その代表格となるのがGBA「ロックマンエグゼ」。
ゲームボーイアドバンスのロンチタイトルとなった本作はコロコロコミックとの強力タッグや幅広い難易度調整によって本家以上の人気を博します。
特に「4」は国内だけで90万本以上を売り上げ、「ロックマン」シリーズ最大のヒット作となりました。
「ストリートファイターII」の時も思いましたが、カプコンは商売っ気が強く、1つのメガヒットを最大限に活かし、様々な形で派生作品を生み出していくのが本当に上手いと思います。
しかし、その経営体制が仇となっていくのであった・・・
2004年~:バイオ人気低迷の中、モンスターハンターが社会現象に!?
時は流れて2000年代中盤。この頃になると「バイオハザード」人気は低迷に向かいます。
乱発もありましたが、一番は対応ハードの迷走でした。
プレイステーションハードで展開するかと思ったらドリームキャスト、ゲームキューブと対応ハードをコロコロと変え、数年後にはプレイステーション2に移植するという行為を度々繰り返し、ユーザーの信頼を失ってしまいます。
しかし、発売するゲームのクオリティは高水準に達している事が多く、2005年に発売されたGC「バイオハザード4」は世界的に評価され、GOTYに輝くほどの高評価となりました。
関連記事:バイオハザード4【レビュー・評価】何もかもが高水準の傑作!
その影響力は計り知れず、「ギアーズ オブ ウォー」「デッドスペース」など後に発売された海外産のアクションシューティングゲームに大きな影響を与える事になります。
そのため「バイオハザード4」自体の初動は低めでしたが、ジワジワと人気を集め、最終的には全バージョン合計でシリーズ最大級の大ヒットとなりました。
そんな中、カプコンはまたしても新たなメガヒットタイトルを生み出します。
それが「モンスターハンター」です!
本作は中規模の立体フィールドの中に潜む耐久力の高いモンスターを狩る事が目標のハンティングアクションゲームで、仲間と協力して戦う事に重きを置いていました。
協力プレイがオンライン専用だった関係上、2004年に発売されたシリーズ1作目こそは中ヒット程度でしたが、本作のバージョンアップ版となるPS2「モンスターハンターG」をベースにしたPSP「モンスターハンターポータブル」は気軽にローカルプレイができる事もあって大ヒットを記録!
ニンテンドーDSブームの真っ只中、PSPソフトとしては孤軍奮闘状態のジワ売れを果たし、続編となるPSP「モンスターハンターポータブル2nd」は初動から爆発的な売上を記録しました。
その人気は留まる事を知らず、「モンスターハンターポータブル2nd G」「モンスターハンターポータブル3rd」と作品を重ねる毎に初動売上を伸ばし、街ではPSPを持ち寄ってのマルチプレイをする人で溢れかえり、国内でのPSP人気を決定付けるほどの存在感となります。
この人気を受けて他社からも「ゴッドイーター」(バンダイナムコ)、「討鬼伝」(コーエーテクモ)、「ロード オブ アルカナ」(スクウェア・エニックス)、「ソウルサクリファイス」(SIE)など亜流タイトルが続々と発売され、ハンティングアクションゲームというジャンルを築き上げました。
「モンスターハンター」シリーズの影に隠れてはいましたが、同時期には「逆転裁判」「戦国BASARA」シリーズも大ヒット!
「逆転裁判」はゲームボーイアドバンス時代から続いていたシリーズですが、弁護士となって矛盾を暴いていくゲーム内容や緻密なストーリーによって作品を重ねる毎に人気を高めていき、ニンテンドーDSが空前の大ブームだった2007年に発売された「4」が50万本を超える大ヒットを果たします。
当時はアドベンチャーゲーム人気が低迷していましたが、DSバブルや「逆転裁判」シリーズの大ヒットによって一時的に人気が戻っていました。
「戦国BASARA」シリーズはコーエーテクモの「真・三國無双」や「戦国無双」に酷似したゲームデザインが問題視されていましたが、ぶっ飛んだ世界観やキャラクターで差別化を図る事に成功。
特にPS3/Wiiで発売された「3」は50万本を超える大ヒットを記録し、歴女ブームの火付け役を果たしてその人気は本家の「真・三國無双」や「戦国無双」シリーズに迫るほどでした。
2007年~:開発力の高さによってHD機の時代になっても強さを見せる!
2000年代後半になっていくと欧米ではPS3/Xbox 360といったHD機が主流となります。
しかし、HD機でのゲーム開発は困難で多くの国内メーカーはなかなか良質な作品を発売出来ず、欧米に遅れを取っていました。
そんな中、カプコンは「ロストプラネット」「デッドライジング」で早期にHD機への参入を果たします。
いずれも欧米を中心にある程度のヒット&評価を記録し、散々な結果が続いた国内メーカーの中では唯一気を吐いていました。
満を持してHD機向けに発売された「バイオハザード5」は全世界累計700万本を販売。カプコン史上最大のヒット作となり、ここでも強さを見せます。
日本では「モンスターハンター」シリーズが。欧米では「バイオハザード」シリーズが爆発的な人気を博し、ゲーム業界がグローバル化する中でもカプコンは強さを見せ、頼もしい存在でした。しかし・・・
2012年~:商売っ気の強さが仇となる!?
2010年代に入るとカプコンは低迷へと向かいました。
「バイオハザード」や「モンスターハンター」の人気は続いていましたが、新規のヒットタイトルを生み出せず、ブランド頼みが顕著になっていくんですね。
2012年には「バイオハザード」シリーズだけで「リベレーションズ」「オペレーション・ラクーンシティ」「6」「クロニクルズ HDセレクション」を各ゲーム機で発売。
本命となる「6」はカプコン史上最大の初動を記録するものの欧米を意識し過ぎたゲームデザインによってシリーズとしてのバランスが崩れ、評価は芳しくありませんでした。
その結果「バイオハザード」の人気は再び低迷。売上は下降線に向かっていきます。
「モンスターハンター」シリーズにしても移植やバージョンアップ版、派生作品を含めると1年に1~2本ペースで発売され、乱発が始まっていきました。
しかも携帯機メインでの展開である事もあって進化の幅は狭く、マンネリ化が始まっていきます。
何故、カプコンはここまで保守的な会社になったのでしょうか?
理由は経営体制にありました。ソフト開発の流れに開発承認会議を何度も行うなど徹底的な管理体制を行ったのは良いものの、結果的にそれが確実に売れるタイトルしか発売出来なくなる要因になってしまったんですね。
同時期、当時の上幹部だった稲船敬二氏の「どんな判断だ」「金ドブに捨てる気か」発言が話題になり、3DSで開発が進められていた「ロックマンDASH3」が商業上の都合で開発中止になったことからもそれは明らかです。
2017年~:ブランド一新で起死回生を図る!
2010年代中盤に入ると時代の流れはスマホゲームに移り変わっていきます。
が、カプコンはスマホ向けに適応したゲーム作りが出来ず、なかなかヒットタイトルを生み出せません。
コンシューマー向けに展開するシリーズ作品もジリ貧状態が続き、気合を入れて売り出した「ドラゴンズドグマ」も期待ほどの成果を挙げられず、カプコン最大の危機が訪れようとしていました。
そんな中、カプコンはブランド一新を図ろうとします。
先陣を切ったのがPS4/Xbox One「バイオハザード7 レジデントイービル」。
アクション路線が続いていたシリーズ作品ですが、恐怖に焦点を当て、一人称視点のゲームに生まれ変わりました。
前作の不評もあって前作比で見るとセールスはイマイチでしたが、評価は非常に高く、再びブランド価値を高める事に成功します。
関連記事:バイオハザード7 レジデント イービル【レビュー・評価】すべてのホラーゲームを過去の物にする最恐のホラー体験が待っている!
続いて登場したのがPS4「モンスターハンター:ワールド」。
携帯機での展開が続いていた中で待望となる据え置き機向けの新作で、フィールドがシームレス化するなどそれまでと比べたら大きな変化を果たします。
そして2017年末にはPS4/Xbox One/Switch「ロックマン11 運命の歯車!!」を発表!
長年シリーズの展開が途絶えていた「ロックマン」シリーズの最新作を満を持して発売する事を決め、大復活を遂げます。
全体のまとめ
以上!カプコン特集でした!
商売っ気の強さによって迷走してしまう事も多く、ユーザーから反感を買われがちですが、その開発力:影響力は確かなもので国内メーカーの中でも重要度は高いゲーム会社だと思います。
カプコンが存在しなかったら格闘ゲーム、ハンティングアクションゲーム、サバイバルホラーゲームはここまで流行らなかったと思いますし、PSPも売れなかったでしょうから。
まだブランド頼みの状況から脱していませんが、一時期と比べたらだいぶ挑戦的になってきたのは確かなので、今後も頑張って欲しいです。
参考 株式会社カプコン | ミリオンセールスタイトル一覧
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PS3時代のカプコンは正直守りに入りすぎててゲームメーカーとしては魅力を余り感じなかったですね。
カプコンはしっかり良い物を作ろうとすれば大逆転裁判2やバイオハザード7、モンハンワールドなどのゲームを出せる会社なので頑張って欲しい所です!
(新規IPの開発もね)