

ファイアーエムブレムif/3DS 白夜王国 / 暗夜王国
どうも!KENT(@kentworld2 )です!
今回は2015年6月に発売された3DS「ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国」のレビューをしていきます。
本作は3DS向けのシミュレーションRPGになりますが、多様化するユーザーのニーズをバージョン商法で解決した意欲作でした!
1990年に誕生した「ファイアーエムブレム」。
アニメ風のキャラクターを育成していく詰め将棋的なルールのシミュレーションRPGとして大ヒットを記録します。
その後も定期的に続編が発売になりますが、その多くが挑戦的な内容だったんです!
例えばRPG要素を強化して戦略よりも育成重視のバランスにしたり、時代に合わせたキャラクターデザインに切り替えたり・・・。
作品毎に異なる良さがあるので、いつしかファンの間で派閥が生まれ、ニーズが多様化したんです。
ぼくのように戦略重視のバランスを求める人も居ればキャラクター重視の人も居るでしょう。
その傾向は2012年に発売された3DS「ファイアーエムブレム 覚醒」(以下、覚醒)でさらに強くなりました。
「覚醒」はキャラクターデザインにコザキユースケさんを起用し、1990年代風のアニメイラストが2010年代深夜アニメ風のイラストに変わったんです!
さらに戦略よりも育成を重視したバランスになり、RPG寄りのシミュレーションゲームになりました。
このような刷新を行ったことで新規ファンを獲得することに成功する一方、一部の古参ユーザーからは反発を買ってしまったんです。
そんな中で発売されたのが今回レビューする3DS「ファイアーエムブレム if」なんですが、シミュレーションRPGとしては画期的な売り方をしてきました。
それがバージョン商法!
なんと、「白夜王国」「暗夜王国」といった2つのバージョンを売り出すことにしたんです!
人によってはネガティブに捉えてしまいそうですが、今作の場合は良い方向にも作用していました。
そんな3DS「ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国」の良いと思った点からまずは書いていきます。
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- キャラクターのコマを動かして戦うターン制のシミュレーションRPG。
- 経験値を稼いでキャラクターを強化することができる。
- 「白夜王国」「暗夜王国」の2バージョンが発売。
初リリース日 | 2015年6月25日 |
対応ハード | 3DS |
ジャンル | シミュレーションRPG |
推定クリア時間 | 20~30時間 |
売上 | 初週34.8万本/累計52.4万本 |
発売元 | 任天堂 |
目次
良いところ
多様化するユーザーのニーズをバージョン商法で解決!
バージョン商法と言えば「ポケットモンスター」シリーズでお馴染みの商法です。
バージョン毎に異なるモンスターが出現するので友達と交換する楽しさを生み出しているのは確かですが、重複部分が多いので2本購入する場合はコストパフォーマンスが良くありません。
それ故にネガティブな印象を持っている人も多く居ますが、今回レビューする3DS「ファイアーエムブレム if」のバージョン商法は似て非なるものでした。
というのも「白夜王国」と「暗夜王国」はゲーム内容が大きく異なっているからです!
6章(ステージ6)までは共通していますが、それ以降は全然違います。
しかも単にステージやストーリーを変えているだけではないんですよ。
「白夜王国」と「暗夜王国」はゲームバランスも全然違うんです!
具体的に言うと、「白夜王国」編は前作の「覚醒」を踏襲した育成重視の内容。
寄り道をして経験値やお金を稼ぎ放題で、好きなようにキャラクターを育成することが出来ます。
一方、「暗夜王国」編の場合は寄り道がほとんどできないんです!
そのため入手できる経験値やお金が限られているので、
「どのキャラクターで戦わせて経験値を稼ぐのか?」
「どのアイテムを購入するのか?」
を考えなければなりません。
このバランスはゲームキューブで発売された「ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡」(以下、蒼炎の軌跡)が好きな者としてはドンピシャでした!
「覚醒」のように寄り道し放題でキャラクターを好きなように育成できるのもそれはそれで面白かったけど、やっぱりぼくの中では「蒼炎の軌跡」が至高なんですよ。
経験値やお金が有限だからこそ生まれてくる駆け引き。
個人的にシミュレーションRPGではそれが面白さの真骨頂だと思っているので、そんな体験をまた「ファイアーエムブレム」で味わえることに喜びを感じていました!
このように「白夜王国」と「暗夜王国」はステージやストーリーはもちろん、ゲームバランスも異なっています。
これはファンのニーズが多様化した「ファイアーエムブレム」シリーズの新作としては最適解な売り方に感じました。
片方のバージョンを購入したらもう片方を約2,000円のダウンロードコンテンツとして購入できるようになっていますし、色々と良心的です。
バージョン商法って悪く言われがちですが、同じゲームエンジンを使った別ゲームを同時発売するのであれば良いんじゃないかと。
シームレス化したシミュレーションパートと戦闘パート
バージョン商法ばかりが前面に出てしまう3DS「ファイアーエムブレム if」ですが、ゲームとしても前作からバッチリ進化しています!
まず驚いたのが、前作以上に洗練されたユーザーインターフェース。
これまでの作品ではシミュレーションパートと戦闘パートは切り離されていました。
シミュレーションパートで敵と味方が隣接したら戦闘アニメーションが挿入されるんですが、その度に画面が暗転したんですよ。
一方、今作の場合、戦闘が始まったらカメラがズームして暗転無しで迫力の3Dバトルが展開されるようになったんです!
しかも3Dバトル時の背景はシミュレーションパートのフィールド構造に合わせて形成されるので、完全なシームレス化を実現しました!
シミュレーションRPGって根本は詰め将棋なので、どうしても地味な印象を抱きがちなんですよ。
「ファイアーエムブレム」シリーズの場合は魅力的なキャラクターデザインや演出で華やかなイメージを作り出しているので凄いです。
神がかっている導入部分
「初めての方でもスッと楽しめるような作品にしていきたい!」
本作からはそんな想いがひしひしと伝わってきます。
シミュレーションRPGってシステムが多くて面倒な印象を抱きがちなんですが、本作の場合は「これでもか!」と言うほど導入部分が丁寧なんですよ。
例えばシステムの解説頻度。
新しい要素は1ステージにつき2~3個ずつしか登場しないようになっているんです。
しかも下画面にチュートリアルを表示させたままゲームを進めることができるので、新しい要素が登場する度にゲームを止める必要はありません。
ゲームによっては強制的に文字を読ませられたり練習をさせられる押し付けがましいチュートリアルが挿入されますが、本作の場合は自然な形で挿入されるのでとても気持ち良く進めることが出来ました。
そのうえでユーザーインターフェースが超洗練されているのだから頭が下がります。
この洗練され具合は25年以上の歴史を積み重ねてきたからこそ実現出来たものだと思うので、他者の追随を許さないレベルです。
主人公に感情移入できる
ここまでユーザーインターフェースを中心に語ってみましたが、ストーリーも導入部分に関しては感情移入出来ました。
大きな要因となったのが、主人公の生い立ち。
主人公の生い立ちは「暗夜王国」なんですが、生まれ故郷は「白夜王国」なんです!
問題なのが、「白夜王国」と「暗夜王国」は対立する仲であること。
ある時にそれが明らかになり、どちらにつくのか選択しなければならなくなります。
これって凄く迷うことだと思うんですよ。
「生まれ故郷を優先するか?それとも育ててくれた王国を優先するか?」
導入部分では各王国のキャラクターが魅力的に描かれるので、さらに悩まされますw
どちらの王国にも魅力的なキャラクターが居るのに、彼・彼女らを裏切らないといけないなんて・・・。
残念ながら片方のバージョンしか購入していない場合は選択権は生まれませんが、両バージョンを購入することで究極の選択権を得ることが出来ます。
選択肢が挿入されるゲームは数あれど、ここまで究極の選択が迫られるゲームはそうないでしょう。
身支度のお楽しみが大幅に増えた
「ファイアーエムブレム」シリーズはステージクリア型のゲームです。
イベント→ステージ→イベント→身支度→
これが基本的な流れになりますが、今作は身支度のお楽しみ要素が大幅に増していました!
これまでの作品では支援会話くらいしかお楽しみ要素はなかったんですよ。
ところが今作の場合、以下のようなお楽しみ要素が追加されました!
- スキンシップ
- 着せ替え
- 温泉イベント
- 食事
- 拠点(キャッスル)の探索
- 素材アイテムの収集
- くじ引き
- 拠点のカスタマイズ
ここまで来ると身支度だけで1つのゲームを作れてしまいそうな勢いですw
特筆したいのが、スキンシップ。
タッチペンを使って好きなキャラクターの顔を中心にスキンシップすることができるんですw
試しに本作を持っていない男友達にイケメンキャラのスキンシップを体験してもらいましたが、死んだ魚の眼をしてタッチしていました・・・w
(ここは美少女キャラにしておくべきだったかな?w)
それはともかく、身支度のお楽しみ要素が増えた点に関してはとても良いことだと思います。
特に「暗夜王国」編の場合、メインステージの難易度が非常に高いので身支度は息抜きとして楽しめました。
ステージクリア後にあれこれやっていたら30分は過ぎてしまいますw
通信機能がさらに増えた
これまでの作品でも通信要素を楽しめましたが、今作ではさらに増えています。
目玉となるのが拠点の探索。
なんと、今作ではインターネットに接続することで見知らぬ人の拠点にも行けてしまうんです!
前述の通り拠点はカスタマイズすることが可能で、ある程度自由に建物を設置したり模様替えが出来ます。
そのため人それぞれの個性が生まれてくるので、他人の拠点に行くと「あぁ、こんなこともできるのか!?」と新たな発見がありました。
この感覚、まるで「どうぶつの森」でお出かけをしているかのよう。
ここで活きて来るのがバージョン商法。
異なるバージョンの拠点にも訪れることができるうえバージョンごとに入手できる素材が異なるので、「ポケットモンスター」のような楽しみ方もできるんです。
さらに通信要素としてはそれ以外にもすれちがい通信機能も用意されています。
こちらはすれ違った人の拠点を訪問したり攻城戦を繰り広げることが可能なので、街に出かける時はカバンの中に3DSを入れて無線スイッチをONにして行きましょう♪
ユニークな仕掛けの数々
「ファイアーエムブレム」シリーズは25年以上続いている老舗ですが、これだけ長いこと続けているとネタ切れも起きてくるでしょう。
特に今作は3DSでは2作目となります。
ハード面なギミックは前作で使ったし、これ以上のインパクトは生み出せないだろう。
そう思いながら「暗夜王国」編をプレイしていると、そんな先入観が吹き飛ぶほど新しいアイデアが盛り込まれていたので驚きました!
具体的に言うとステージのバリエーションが大幅に増していたんです。
敵を足止めしながらゴールを目指す脱出系ステージ。
風が吹いている方向に飛ばされてしまうステージ。
自分の分身を作り出して戦うステージ。
少しずつ壁を壊して進入して行くステージ。
クラスによって移動速度が大幅に変化するステージ。
軽く挙げてみましたが、いずれもシリーズの常識を知っているほど苦戦するシチュエーションのステージでした。
「『ファイアーエムブレム』ってマンネリじゃん?」
「暗夜王国」編はそう感じている人ほど触ってほしい作品です。
一方、「白夜王国」編の場合は敵将の撃破がクリア条件となっているステージばかりで目新しさはそれほどありません(龍脈を使った仕掛けは面白いですが)。
こちらは良くも悪くも前作の延長線上で作られているような気がしました。
さらに増した初心者への配慮
シリーズ初心者への気遣いが多い「ファイアーエムブレム」シリーズ。
今作では新たに何度やられてもすぐその場で復活できるフェニックスモードが追加されました!
「おいおい、つい5年前までは失った仲間が次の章では復活するカジュアルモードですらも議論の的になっていたのに、なんちゅーゆとり仕様を盛り込むんだ!?」
古参ユーザーほどそういう批判をしそうな要素ですが、ぼくが思うにこのような要素を盛り込んだからこそ「暗夜王国」編は高難易度に出来たと思うんですよ。
今作でも失った仲間は二度と復活しないクラシックモードが用意されています。
そのうえで「暗夜王国」編の高難易度モードをプレイしてみてください。余程の知恵がない限りは大量の仲間を死なせてしまうでしょう。
そうなるとレベル上げをしたら良さそうですが、前述の通り「暗夜王国」では寄り道がほとんどできないので詰み状態になってしまいます。
ですが、いつでもフェニックスモードに切り替えられるので詰み状態でも強引にクリアできるんですよ!
かつての限られた経験値で攻略していたシリーズ作品では詰んでしまったらデータを消して最初からやり直したもんですが、本作ではそんな必要はありません。
そう考えると上級者にも間接的に恩恵を受ける要素だと思います。
惜しいところ
ステータスの変動がややこしい
全体的に「暗夜王国」編はややこしく感じてしまいました。
「暗夜王国」編に登場する多くの敵は特殊なスキルを持っていて戦闘後にステータスを下げてきます。
その状態で戦ったら当初思い描いていたシミュレーションにはならなくなる訳で、かなり先の展開まで予測しないといけません。
そのうえでステージには様々なギミックが用意されているので、あれこれ考えたらめちゃくちゃややこしくなってきますw
シリーズ上級者にとっては逆に喜ぶかもしれませんが、初心者には嫌われやすいバランス調整に感じました。
シミュレーションゲームは先の展開を予想することに楽しさを見出すものなので方向性としては良いかもしれませんが・・・。
ステータスの変動演出を強調してほしい
ステータスの変動はもう少し演出のメリハリを持たせてほしかった。
例えばステータスをアイテムを使用した時は地味な効果音が鳴るだけなんですよ。
レベルアップ時のように「+1」や「+2」の表示を付け加えるなど、もっと演出にメリハリがあったらもう少しステータスに気を配れたのに。
もう少し動きが欲しかったストーリー
ストーリーは導入部分こそ良かったんですが、それ以降は物足りなさを感じてしまいました。
目的がハッキリしていて序盤にルートが大きく分岐するのは良かったと思うんですよ。
でも、それ以降は終盤までストーリーには大きな動きがないんです。
もう少し2大勢力が複雑に入り乱れる人間ドラマを描いてほしかった。
また、「白夜王国」「暗夜王国」のいずれかをプレイするだけではストーリーの伏線は完全には繋がらないのもどうかと思いました。
スッキリしたい場合はダウンロードコンテンツの「インビジブルキングダム」編を購入しなければなりませんから・・・。
全体のまとめ
シミュレーションRPGとしてはもちろん、シリーズとしての常識を良い意味でぶち破った作品。
「白夜王国」編は前作の延長線上である一方、「暗夜王国」編は高度な戦略が求められるシリーズ上級者向けの作品になっていて上手く差別化を図られています。
目新しいギミックも多く、「シミュレーションRPGでもまだこんなに新しいアイデアを生み出せるんだ!?」と驚きました。
白夜王国、暗夜王国。
どちらが好みかと言われると個人的には後者になりますが、ゲームとしての完成度はどちらも高水準に感じます(ストーリーは微妙ですが)。
思えば本作が発売されるまでの3年間、「ファイアーエムブレム」シリーズは音沙汰がありませんでした。
「GBA『封印の剣』以降は1~2年周期で展開されていたのに、まだ新作が出ないのか?」
一時期はそう感じていましたが、本作をプレイして納得。
実質2+1本分の新作を作っていたんですね。
発売当時はバージョン商法で叩かれがちでしたが、実際には多様化したユーザーのニーズを応えてくれる素晴らしい作品でした。
多様化するユーザーのニーズをバージョン商法で解決した意欲作!
こんな人には特におススメ。
・シミュレーションRPG熟練者(暗夜王国編)。
・育成好き(白夜王国編)。
こんな人にはおススメできない。
・シミュレーションRPG初心者(暗夜王国編)。
ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国/お気に入り度【90/100%】
プレイした時間・・・約45時間
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メタスコアもかなり高いですよねコレ。
夏まで閑散期なんでこれとエコーズを買って楽しむのもアリかもしれませんね。