ゲームメーカーの歴史を振り返る特集コーナー。今回はコーエーにスポットを当てて行きたいと思います。
「信長の野望」や「真・三國無双」シリーズで知られるメーカーですが、近年は発売するゲームの種類が大幅に増えて今や大手ゲームメーカーの仲間入りを果たしました。
本記事ではそんなコーエーの歴史を振り返っていきます。
目次
1980年代:ゲームとパソコンにハマってソフト開発・販売を開始!
コーエーの創業者となる襟川陽一(シブサワ・コウ)氏。
1978年にコーエーの前身となる「光栄」を妻の襟川恵子氏と共に創業します。
当初は染料や工業薬品の問屋だったようですが、当時ブームだった「スペースインベーダー」にハマったうえ1980年に妻からプレゼントされたパソコンにハマり、パソコンゲームの開発・販売をするようになったんです。
最初にヒットしたのが1983年に発売された「信長の野望」。
日本の戦国時代を題材にしたシミュレーションゲームで、題材とジャンルの組み合わせが上手くハマり、今もなお人気が高い老舗シリーズとして定着しました。
1985年には「三国志」を発売。
こちらは中国の古典物語「三国志演義」を題材にしたシミュレーションゲームで、「信長の野望」にはない新システムを搭載。
「信長の野望」と並ぶコーエーの老舗シリーズとして今もなお高い人気を保っています。
これらの作品で注目したいのが、価格の高さ。
10,000円を優に超えるほどの高さで売上低下にも影響しそうですが、それがインパクトやプレミア感を生み出し、ブランドイメージの向上に繋がったのだから驚きです。
1990年代:女性向けゲームの開拓に成功!
1990年代に入っても「信長の野望」や「三国志」は高い人気を博していましたが、そんな中でヒットしたのが「アンジェリーク」。
当時はほとんど存在しなかった女性向け恋愛シミュレーションゲームで、シブサワ・コウ氏の妻となる襟川恵子氏主導によって生まれました。
本作のヒットをきっかけに女性向け恋愛シミュレーションゲーム市場を開拓。
「遙かなる時空の中で」「金色のコルダ」シリーズを生み出し、数多くの関連作を発売する事になります。
1997年には対戦型格闘ゲーム、PS「三國無双」を発売。
小説「三国志演義」を題材とした3D対戦格闘ゲームで、「バーチャファイター」や「鉄拳」シリーズなど、当時人気が高かったジャンルの亜流タイトルと当時は思われていましたが・・・
2000年代前半:真・三國無双で大躍進!
2000年代に入ってからコーエーの勢いは急速に増していきます。
先陣を切って世に送り出したのがPS2「決戦」。
PS2のロンチタイトルとして発売された本作は関ヶ原の戦いや大坂の陣を題材にしたウォーシミュレーションゲームで、3Dポリゴンで描かれた数百人の部隊同士がリアルタイムで合戦を繰り広げる様子が大きな話題となりました。
そのインパクトは大きくて分かりやすいので、ニュース番組などでPS2を取り上げる際、主要タイトルとしてよく取り上げられたものです。
同年にはPS2「真・三國無双」を発売。
PS1で発売された「三國無双」とは違って3D対戦格闘ゲームではなく、複数の敵と戦う三人称視点の3Dアクションゲームとして発売されました。
本作で特徴的なのが、たった1人のキャラクターが大量の敵キャラクターをバサバサと斬り倒していくゲームデザインです。
大量の敵キャラクターを斬り倒していく描写は爽快で、少ないボタンを連打する事で進められたので幅広い層に受け入れられました。
特にフルボイス化やシステムの大幅改善によって発売された「2」は100万本を超える大ヒット!
長期的に売れ続け、2001年を代表するゲームとなりました。
本シリーズの大ヒットにより、コーエーにとってはかつてないほどのドル箱シリーズを生み出した事になります。
2000年代後半:無双のヒットを受けて乱発!さらにとんでもない作品を発売!?
「真・三國無双」の大ヒットを受け、コーエーの企業体質は急速に無双依存へと進んでいきます。
「真・三國無双」の新作を出したかと思ったら半年後には「猛将伝」というパワーアップキットを発売。
さらにはゲームエンジンを流用してゲーム性にシミュレーション要素を加えた「Empires」を展開。
他にもPSPなどへの移植作やマルチプレイ要素を強めた「MULTI RAID」。「真・三國無双」のキャラクターが登場する麻雀ゲーム「雀・三國無双」を発売。
そのうえ「戦国無双」という派生シリーズを生み出し、こちらでも続編だけではなく、「猛将伝」や「Empires」といった派生作品を発売していきます。
その結果、毎月のように「無双」関連のゲームソフトが発売されるようになり、月間無双と言われることも増えていきました。
それだけならまだしも、頻繁に完全版が発売されたり、決算に間に合わせて発売したかのようなクオリティの作品が目立つようになり、この頃の企業イメージはあまり良くなかった印象です。
極めつけは2007年にWiiで発売された大作RPGの「オプーナ」。
Wii人気に乗ろうと発売した本作はコーエーにとっては相当な自信作だったようで、発売前の発表会で「まずは50万本、最終的には100万本のセールスを目指す」という強気過ぎる発言を残します。
その一方でキャラクターデザインが大作RPGファンが好むものとは大きくズレていた関係でネット上では発売前からネタゲー化し、ネットユーザーによる二次創作が流行るという謎展開になりました。
そんな中で発売された週の売上は約3,000本だったのでネタゲー感が強まり、皮肉にも知名度が(悪い意味で)大幅に上昇しました。
当時のコーエーはPS3/Xbox 360「真・三國無双5」の評価が芳しくなく、企業イメージがあまり良くない時期だっただけに、「オプーナ」の大コケはイメージ悪化をさらに加速させるものだったと思います。
ちなみにゲーム自体は「ドラゴンクエスト」シリーズを手掛けたアルテピアッツァが開発しているだけあって普通に良く出来ていて、クソゲーではありません。
2010年代
コラボレーション無双を展開!
2010年代に入ると乱発をしていた「真・三國無双」「戦国無双」シリーズは発売ペースが鈍化。
代わりに「ガンダム無双」「北斗無双」「ワンピース海賊無双」「ゼルダ無双」「ファイアーエムブレム無双」と他社のIPを活用したコラボレーション無双を展開するようになります。
そのおかげでそれまで無双シリーズに興味のなかった層を取り込むことに成功。大量のライトユーザー層を手にしました。
特にPS3「ワンピース海賊無双」は「無双」シリーズの中ではトップクラスの初動売上を記録し、PS3ソフトの中でも4番目に高い売上となっています。
人気ゲームメーカーと経営統合&吸収合併!
同時期、コーエーは様々なゲームメーカーと経営統合&吸収合併を果たすことになります。
2010~2011年にはテクモと経営統合&吸収合併。
テクモの主力開発チームとなるTeam NINJAを手にし、「デッド オア アライブ」「NINJA GAIDEN」といった人気シリーズを展開できるようになります。
2014年にはガストを吸収合併。今度は「アトリエ」シリーズを展開できるようになります。
おかげで無双シリーズへの依存がなくなり、また、テクモやガストにとっても人気タイトルに依存する必要がなくなり、少しずつ開発や発売スケジュールに余裕を持てるようになりました。
また、2010年代後半に入ると経営統合をした関係でコーエー×テクモ×ガストのコラボレーションが盛んになり、それぞれの人気シリーズがクロスオーバーする事が増えていきます。
その代表例となるのがPS4/PSVITA「無双☆スターズ」。
本作には「真・三國無双」や「戦国無双」のキャラクターだけではなく、テクモやガストの人気キャラクターも参戦したお祭りタイトルとなっていました。
さらに注目なのが、経営統合をしたことで各社の開発チームが共同開発をするようになった事。
例えばWii U「ゼルダ無双」やSwitch/New3DS「ファイアーエムブレム無双」はTeam NINJAとオメガフォースの共同開発となっていて、任天堂だけではなく、コーエーとテクモの主力開発チームが力を合わせて開発していたんです。
後述のPS4「仁王」にしてもTeam NINJAメインの開発ではありますが、プロットはコーエーの「決戦」を手掛けたスタッフが担当しており、両社の協力がなければ実現しなかったゲームだと思います。
無双以外でも積極的にコラボレーション!
コーエーの外交戦略は「無双」シリーズだけには留まりません。
「ガンダム無双」や「ワンピース海賊無双」などの成功によって「無双」以外のIPでもコラボレーションを図ろうとします。
「信長の野望」は任天堂の「ポケットモンスター」とコラボしてDS「ポケナガの野望」を2012年に発売。
「三国志」はレベルファイブの「妖怪ウォッチ」とコラボして3DS「妖怪三国志」を2016年に発売。
いずれも50万本前後の大ヒットを記録し、シミュレーションゲームとして見ると異次元とも言える売上を記録します。
さらにはコーエーの主力開発チームとなるオメガフォースが「ドラゴンクエスト」のIPを活用したPS4/PS3「ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城」を開発。
今度はスクウェア・エニックスと良好な関係を築き上げようとします。
新規タイトルも積極的に開発!連続で大ヒット!
「無双」と人気コンテンツとのコラボレーション。
人気ゲームメーカーとの経営統合&吸収合併。
「無双」以外のIPでのコラボレーションと順調に事業活動していくコーエーですが、それだけには留まらず、新規タイトルも積極的に開発していきます。
2013年には和風ハンティングアクションゲーム、PSVITA/PSP「討鬼伝」を発売。
「モンスターハンター」のようなハンティングアクションゲームですが、「和」の要素を取り入れた独自の要素によって人気を博し、PSVITAで同系統のゲームが不足していたこともあって大ヒットを記録します。
2017年には高難易度アクションゲーム、PS4「仁王」を発売。
実は2005年に発表されていた作品ですが、紆余曲折を経て「ダークソウル」のような高難易度アクションゲームとして展開する事になります。
こちらも本家の「ダークソウル」には無い独自要素が世界で受け入れられ、なんとワールドワイドで100万本を販売。
国内だけではなく、世界でも人気を博し、コーエーは「無双」シリーズと並ぶ巨大なブランドを築き上げます。
関連記事:仁王【レビュー・評価】コーエーとテクモが力を合わせて生み出したダークソウル越えの傑作!
無双のアタリマエも見直し!
そして2018年。コーエーは「無双」シリーズのアタリマエも見直そうとしていきます。
この10年間、数多くの関連作品が発売になりましたが、土台は大きく変わっておらず、マンネリが指摘されていました。
そんな中、PS4「真・三國無双8」ではシリーズ初となるオープンワールドに挑戦し、世界で勝負を仕掛けようとします。
本作が成功したら数多くの味方を付けたコーエーの弱点は皆無になりそうなので、非常に重要な存在です。
全体のまとめ
以上!コーエーの歴史を軽く振り返ってみました!
こうしてみると2000年代に入ってからの快進撃が凄く、老舗ゲームメーカーではありますが、勢いは衰えるばかりか加速しているのが分かりますね。
個人的には歴史ものが苦手なうえ乱発や完全版商法のイメージが強く、かつてはあまり良く思っていなかったんですが、近年は良作率が高く、チャレンジ精神も感じられるので信頼度は爆発的に上昇しています。
今やコーエーはコンシューマーゲーム市場にとって無くてはならない存在だと思うので、これからも頑張って欲しいです。
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去年はアトリエに於いて良い結果が生まれましたね。「延期なしで久々にゲームを発売した」という結果が。ただ現段階でリディー&スールは「とりあえず大部分をサクッと作った」という感じです。今後の更新で新キャラ配信やイベント追加を行うようなのでそこで細かく作っていく物と見られます。
オープナーって何か可愛いぞ。Wii時代はホントにソフト多かったですね。Switchとはまた別な方向性で。アレならグラフィック他より劣ってもリージョンロックでも文句なしでしたね。マリオとコラボしたアイツもWiiが初のデビューでした。その時は、関節の無いアイツを襲った侵略者達でした。