
シェンムー 一章 横須賀/DC
シェンムー I&II/PS4
どうも!KENT(@kentworld2 )です!
今回は「シェンムー 一章 横須賀」のレビューをしていきます。
本作は70億円を超える開発費などで今もなおゲーマーの間では知名度が高い作品ですが、ぼくはプレイしたことがありませんでした。
いや、気になってはいたんですが、当時のぼくは任天堂に夢中でドリームキャストを持っていなかったんですよ。
それから約20年後。リマスター版であるPS4「シェンムーI&II」が発売されます。
「任天堂ハード以外にも触れるようになったし、この機会に手を出してみるか」
そう思いながらぼくはPS4「シェンムーI&II」に収録されているDC「シェンムー 一章 横須賀」をプレイしてみたところ・・・
なんだこれは!?
2010年代のゲームとはあまりにも異なる文法で作られているので様々な衝撃を受けました。
ここからは発売から20年経ってからDC「シェンムー 一章 横須賀」をプレイするとどんな衝撃を受けるのか詳しく語っていきます。
累計1,000記事突破!KENTがプレイしたゲームのレビュー記事一覧へ
- 住人から情報を聞き込んでストーリーのフラグを立てていくアクションアドベンチャーゲーム。
- 横須賀の街並みは建物から住人まで徹底的に作り込まれている。
- 戦闘システムは格闘ゲームの「バーチャファイター」がベース。
初リリース日 | 1999年12月29日 |
対応ハード | DC/PS4 |
ジャンル | アクションアドベンチャー |
売上 | 初週19.8万本/累計35.6万本(DC) |
推定クリア時間 | 15~25時間 |
発売元 | セガ |
目次
その1:少ないポリゴンで描かれた人間ドラマにビックリ!
DC「シェンムー 一章 横須賀」の舞台は1986年の横須賀になりますが、少ないポリゴンでリアルな街並みを描いていたので驚きました!
今から約20年も前のゲームなので当然ですが、グラフィックは今の基準で見たら凄くありません。
でも、限られたポリゴンを使ってリアルな街並みを描いているんですよ。
静止画を見ているとよく分かるんですが、脇役であればあるほど顔がのっぺりしています。
しかし、フェイスキャプチャーを使用しているのか喋っている時はそれらしく顔が動き、かろうじて人間であると認識できるので感心しました。
↑こちらの中年男性をご覧ください。
カクカクしていますが、顔や服のシワが綺麗に描かれているので立体感がありますよね?
本作は相当な数の人間・建物・小物が一度に表示されるので、ドリームキャストでも1つ1つにポリゴン数を割けないのでしょう。
そういう観点から見ると発売から20年が経った今でも感心してしまいます。
その2:入れる家の数にビックリ!
↑こちらのスクリーンショットをご覧ください。
ドブ板エリアの地図になりますが、色が付いている家には訪問できるんですよ。
数えてみたらザッと30件はあるじゃないですか!?
1999年のゲームでここまで沢山の建物に入れるって凄すぎる!
ここまで訪問できる建物が存在するゲームは発売から20年が経った今でもほとんどないでしょう。
その3:調べられる家具の数にビックリ!
「え?ここまで作り込む物なの!?」
主人公の自宅などでは調べられる家具の多さに驚きました。
引き出しを開ける、冷蔵庫の食べ物を取る、受話器を取る、扉を開ける。
このように細かいアクションを取ることが可能で、しかもそれぞれを3Dポリゴンでしっかり描くって・・・。
しかも画面暗転することはないんですよ。
沢山のオブジェクトに触れられること自体はポイント&クリックアドベンチャーゲームになると珍しくはありません。
しかし、それらのゲームはメッセージや一枚絵だけで済まされるのに対し、本作の場合は画面暗転せずにオブジェクトが動くんです!
おかげで仮想現実世界で暮らしているかのような感覚を味わうことが出来ました。
さらに驚いたのが、1つ1つの部屋に入れること。
主人公の部屋はもちろん、福さん、稲さんの部屋や台所なども歩くことが可能で家具の1つ1つに干渉することが出来ます。
本来ならここまで作り込まなくても良いのによくやるなぁ。
その4:ゲームセンターで実在するゲームをプレイできることにビックリ!
触れられるオブジェクトの中でも特筆したいのがゲームセンターの筐体!
なんと、ゲームセンターの筐体では実在するゲームを実際にプレイすることができるんです!
本作の場合、「スペースハリアー」(1985)と「ハングオン」(1985)をプレイすることが出来ます。
セガ&鈴木裕さん繋がりで収録したんだと思いますが、1999年当時にゲームの中でゲームを楽しめるとは!?
ちなみにゲームセンターではそれ以外にも「ダーツ」や「エキサイトQTE」などをプレイすることが出来ます。
本作はゲーム内で時間が流れており、特定の時間にしか発生しないイベントがメインストーリーを含めて存在するので、ゲームセンターは最高の暇つぶしです!
その5:NPCの多さにビックリ!
街中には沢山の住人(NPC)がウロツイています。
驚いたことに彼らは単に歩いているだけではなく実際に生活をしているんです!
試しに写真の女子高生をストーカーしてみました←
しばらくストーカーし続けてみたところ、旅行会社のパンフレットを漁り始めたじゃないですか!?
どうやら彼女はドブ板を徘徊して買い物を楽しんでいるようです。
話をかけてみたところ、そっけない態度を取られてしまいましたw
しかし、ストーリー上はほとんど関わらない脇役なのにフルボイスなのは凄い!
なんでも街中のNPCは300人もいるようです。
この人数は現代の水準だと特別多くはありませんが、ほとんどの人に話をかけられる&フルボイスであることを考えると今でも凄いですよ!
リアル頭身×30件の建物×300人の住人×フルボイス
これを1999年に実現するのはどれだけ大変だったことか。
さすが開発費のギネス記録を更新した作品だけのことはあります。
まあ、さすがにスカートの中までは作り込まれていませんでしたがw
その6:ナビゲートの少なさにビックリ!
近年のオープンワールドゲームは非常に親切です。
「今、何をやれば良いのか?」は画面上に表示されることが多いですし、ミニマップには目的地が表示されることが多くあります。
ところが本作の場合、画面上にクエストマーカーなどのナビゲートが表示されることは一切ないんです!
ぼくは現代の親切なゲームに慣れていたので驚きました。
では、どのようにして次の目的を探すのでしょうか?
本作の場合、NPCから情報収集をしていくのが基本になっています。
NPCとの会話内容はストーリー進行と共に変化していき、そこで得られた有力な情報はメモ帳に印されていきます。
地道ではありますが、これが意外なくらい面白い!
NPCからは店名や名字、アパート名など限られた情報しか手に入りません。
その限られた情報を頼りに濃密なマップの中を探索していくのはリアリティが半端なく、本当に人探しをしているかのよう。
しかもマップ機能は標準搭載されておらず、全体マップを見るには街中に数ヵ所設置された看板を調べる必要があります。
ハッキリ言って現代を基準にすると非常に不便ですが、不便だからこそ生まれてくる面白さもあるな~と思いました。
初期の「ドラゴンクエスト」シリーズもそうでしたが、RPGやアドベンチャーゲームってNPCから情報を仕入れて探索するのが基本だったんですよ。
おかげで試行錯誤している感覚が生まれ、「やらされている感」や「お使いしている感」が薄れています。
今のゲームはNPCから情報を仕入れなくても画面上にやることや目的地が表示されるので便利な半面”失われた面白さ”もあるんだなぁと改めて思いました。
そんな聞き込みですが、大抵のゲームは特定の人に話をかけないと的を射た回答が帰ってきませんよね?
ところが本作の場合、あらゆる人がその時の状況に合わせた回答してくれるんです!
例えばAさんを探している時に複数のNPCに話をかけてみると地理に合わせたヒントをくれるんですよ。
しかもNPCによってヒントの内容が異なるので、膨大なテキスト&ボイスが用意されています。
プレイヤーによってはすぐに目当ての人に出会えるでしょうから、全く聴けないボイスも大量に出てくるんじゃないでしょうか?
その7:戦闘が少なくてビックリ!
ゲームと言えば戦闘という先入観が強いからでしょうか?
本作に用意されている戦闘シーンが少ないので驚きました。
戦闘シーンは序盤の場合は1時間に1回発生するのかどうかと言った頻度で派手なシーンは少なく感じます。
どうやら本作はアドベンチャー成分が強く、アクション要素はおまけ的な位置付けみたい。
ただ、戦闘シーンのエンジンは「バーチャファイター」をベースにしているようで今プレイしても出来は悪く感じません。
効果音が爽快なので単純にボタンを連打してパンチやキックを繰り出すのも気持ち良いですし、コマンド入力による必殺技を使って大ダメージを与えるのも気持ち良いですから。
ストーリーの関係で戦闘シーンは後半に集中していますが、もっと突き詰めても良いくらい完成度が高く感じられます。
クリア後には戦闘だけを楽しめるモードが追加されるので嬉しかった!
その8:クイックタイムイベントが盛り込まれていてビックリ!
ムービーシーンでは突発的なボタンアクションを要求されることがあります。
いわゆるクイックタイムイベントになりますが、1999年の時点で取り入れてくるとは!?
慣れていないと反射的にボタン入力が出来ず、なかなか先に進めませんが、個人的に本作の調整は上手く感じます。
何故かと言うと失敗してもすぐ前から再開できるうえに「ゲームオーバー」の表記が挿入されずノンストップで展開されるからです。
おかげで失敗時の喪失感が良い感じに軽減されるので2~3回程度の失敗であればストーリーに没頭することが出来ました。
この手の要素は賛否が分かれていますが、本作に関しては綺麗なクイックタイムイベントに感じます。
その9:時間の流れがゆっくりでビックリ!
本作は時間の概念が存在し、ゲームを進めていくと時間が流れていきます。
が、時間の流れがゆっくりなので驚きました!
ゲーム内の時間を1時間進めるには4~5分。1日進めるには1時間以上待たないといけません。
1999年の時点で時間の概念が存在するゲームはいくつかありましたが、ここまで時間の経過がゆっくりな作品は初めてみました!w
困るのが、時間を進める手段がほぼ存在しないこと。
14時になったらオープンするお店も存在するので、もし、現在時間が10時だったら4時間(現実世界で言う約16~20分)も待たないといけないんです!
さすがにここまで待たないといけないのは厳しく感じます。
あのN64「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」でも1時間経過は現実世界で言う45秒でしたよ(しかも時間を調整できる手段がいくつか存在する)。
開発者側からしたら街並みを作り込んだので待ち時間中はそれらを堪能してほしいのでしょうが、ストーリー重視になると邪魔しているように感じてしまいます。
就寝時間が20時以降と決めれているのも不便に感じました。
例えばその日に発生するイベントが17時にすべて終わった場合、必ず3時間(現実世界で言う約12~15分)も待たないといけませんから。
このように本作はリアリティを重視するあまり快適性を損なっている部分があります。
その10:不親切な部分が多くてビックリ!
聞き込みで人探しをするような感覚を味わえるのは面白い半面、以下の要素によって詰まりやすく感じました。
- マップが広くて入れる建物が多過ぎる。
- フラグ立てのイベントは特定の時間しか発生しない。
- ゲーム内の1日が過ぎるまでに掛かる時間は現実世界で言う1時間。
- 自由に時間を進めることはできない。
- ナビゲートは聞き込みによって記入されるメモ帳のみ。
運が悪いとお目当てのイベントを発生させるのに30分以上の待ち時間が必要になることもあります。
ナビゲートが親切だったらまだ良いんですが、本作にはほとんどヒントがありません。
そのうえで広過ぎる世界の中でストーリーのフラグ立てを行うのはハードルが高すぎます。
少なくともフラグ立てアドベンチャーゲームとして見たら適切な規模には感じられません。
ドリームキャスト版に至ってはエリア間の移動時に10秒以上のロード時間が発生するのだから人によっては相当なストレスを感じることでしょう(PS4版の場合は大幅に短縮されています)。
本作が発売されてから約20年。
オープンワールドゲームは数あれど、本作のようにライフシミュレーターとアドベンチャーゲームを融合させようとした作品はほとんど見られなくなりました。
ライフシミュレーターの要素があったとしてもサブ要素に留まっており、戦闘に関してはリアリティの面で見ると不自然なくらい発生します。
一時期は「なんでこうするのかなぁ?」と疑問に思っていましたが、本作をプレイしたことで納得しました。
面白いゲームを作るためにはリアリティは必ずしも必要としないんだって。
面白いゲームを作る場合、大なり小なりゲームならではの嘘が必要に感じます。
その11:ストーリーがほとんど進まず終わったのでビックリ
タイトルに「第一章」と書いてある通り本作のストーリーはほとんど進みません。
主人公の父が悪党に殺られ、仇を取るために手掛かりを突き止めるという導入部分は良いですよ?
しかし、それ以降の展開は良く言えば日常的なんですが、悪く言えば地味に感じました。
無理もありません。本作で描かれているのは11章あるうちの1章に過ぎないからです(しかも当初予定されていたボリュームを3倍に引き伸ばしている)。
それでは動きのある物語を描くことが出来ず、盛り上がりに欠けてしまいます。
ゲームをクリアすることで一つの区切りを迎えることは出来ますが、全体的には旅立ちまでを描いているに過ぎません。
全体のまとめ
以上!2018年に初めて1999年発売の「シェンムー」をプレイしたことで感じた11の衝撃でした!
20年近くの前のゲームなので、さすがに随所で古さを感じます。
しかし、今の水準で見ても飛び抜けていると感じる箇所は多く、リアルタイムでプレイした人の衝撃は半端なかったでしょう。
参考に同時期発売された主なゲームソフトをまとめてみました。
- GB「ポケットモンスター 金・銀」
- N64「ドンキーコング64」
- N64「マリオパーティ2」
- PS「クロノ・クロス」
- PS「ヴァルキリープロファイル」
- PS「レジェンド オブ ドラグーン」
ゲーム機の世代が異なるとは言えこれらのタイトルと同時期に発売されていたとは!?
ドリームキャストは第6世代のゲーム機と言われており、PS2/GC/Xboxと同世代になります。
PS2/GC/Xboxと言えば2000年代前半に活躍したゲーム機なので、いかにドリームキャストが時代を先取りしていたのかが分かる事実です。
時代を先取りしすぎた故に開発費がかさんでしまい、期待ほどのセールスを残せなかった「シェンムー」。
ですが、今でも衝撃を受けるほど凄い作品を生み出したのは確かです。
もちろんその凄さが必ずしも面白さに繋がっている訳ではありませんが、今でもプレイする価値はあります。
きっと、「こういう試行錯誤があって今の面白くて凄いゲームが生まれたんだなぁ」と思いますよ~。
個人的には面白いゲームとは思いませんでしたが、凄いゲームとは思いました。
こんな人には特におススメ。
・作り手目線でゲームを見るのが好きな人。
・ライフシミュレーター好き。
・横須賀好き。
こんな人にはおススメできない。
・快適性を重視する人。
・楽しい時間を重視する人。
シェンムー 一章 横須賀/お気に入り度【50/100%】
プレイした時間・・・約30時間
累計1,000記事突破!KENTがプレイしたゲームのレビュー記事一覧へ
Nintendo | PlayStation |
Xbox | etc |
シェンムーで描かれたドブ板の街は横浜のドブ板通りをイメージして創作されたもので、実際のドブ板通りとはかなり異なるようです。発売された当時に、テレビ番組が実際にドブ板通りに住んでいるおじさんにゲーム画面を見せて発覚したんですが、その反省が「龍が如く」シリーズに活かされているのかどうかまではわかりません…。