どうも!KENT(@kentworld2 )です!
今回は、ゲームボーイアドバンスの歴史を振り返っていきたいと思います。
2001年3月21日に発売されたゲームボーイアドバンス、略してアドバンスは国内だけで1,696万台。
全世界累計で8,151万台を売り上げるほどの大ヒットとなりました。
が、携帯ゲーム機の過渡期に発売された関係で現役だった期間は短めで、販売台数が多い割にはやや影が薄い存在だったんですね。
そんなアドバンスも近年は再評価の見方が強まっていて、ゲームソフトの販売価格が高騰しています。
何故、アドバンスは再評価されたのでしょうか?
今回はアドバンスを西暦順に振り返っていき、どのようにして再評価されたのかを語っていきますので、ぜひ、最後までご覧になってください。
目次
ゲームボーイアドバンスとは?
ゲームボーイアドバンスとは、ゲームボーイに続く任天堂の携帯ゲーム機で、2001年3月21日に発売されました。
最大の特徴は、32ビットCPUの搭載、3万2千色同時発色というものがあります。
その影響で描写能力は前世代機のゲームボーイから飛躍的に向上し、据え置き機でいう、スーパーファミコンソフトの移植がしやすくなりました。
ゲームボーイで好評だった通信機能は最大4人同時プレイに対応。
ゲームソフトによっては1本のカートリッジとアドバンス専用の通信ケーブルを使うことでマルチプレイを行えたので、より手軽に通信機能を利用することができました。
極めつけとなるのがゲームボーイとの互換機能。
ゲームボーイソフトは当時の時点で1,000タイトル以上が発売になっていましたが、そのほとんどをアドバンスでも遊ぶことができます。
それでいて発売当時の価格は税別9,800円と非常に安かったので、アドバンスの大ヒットは確実なものと思われていました。
ここからはアドバンスを西暦順に振り返っていきます。
1999~2000年:追い風に乗る中での発表
アドバンスの存在が明らかになったのは1999年秋。
当時は「ポケットモンスター赤・緑」の大ヒットによってゲームボーイ市場が息を吹き返し、第二の盛り上がりを見せていました。
ポケモンの関連作はもちろん、
- 遊☆戯☆王デュエルモンスターズ
- ドラゴンクエストモンスターズ
- メダロット
などなど、サードパーティ各社からも新たなヒット作が生まれ、据え置き型ゲーム機とはまた違った文化を築き上げていきます。
そんな中、任天堂は次世代ゲームボーイ。ことゲームボーイアドバンスを2000年8月に発売すると発表。
32ビットCPUの搭載、ワイドカラー液晶の採用、携帯電話・PHSとの連動によるネットワークサービスなどをアピールしていました。
残念ながら半年ほど延期になりましたが、世間でのアドバンスの期待度は非常に高く、歓迎を持って発売を迎えられます。
2001年:怒涛のタイトルラッシュも大ヒット作は不作?
怒涛の発売ラッシュ!
2001年3月21日。アドバンスがついに発売されました。
同日に発売されたタイトルは以下の30本。
・スーパーマリオアドバンス(初週22.0万)
・F-ZERO FOR GAMEBOY ADVANCE (初週11.6万)
・パワプロクンポケット3 (初週7.5万)
・遊☆戯☆王ダンジョンダイスモンスターズ(初週6.1万)
・くるくるくるりん(初週5.7万)
・バトルネットワーク ロックマンエグゼ(初週4.3万)
・ミスタードリラー2 (初週4.3万)
・ナポレオン(初週2.6万)
・悪魔城ドラキュラ Circle of the Moon (初週2.2万)
・コナミワイワイレーシングアドバンス(初週1.2万)
・モンスターガーディアンズ(初週1.0万)
・爆裂ドッジボールファイターズ
・アドバンスGTA
・EZ-TALK 初級編 1
・EZ-TALK 初級編 2
・EZ-TALK 初級編 3
・EZ-TALK 初級編 4
・EZ-TALK 初級編 5
・EZ-TALK 初級編 6
・全日本GT選手権
・トゥイティーのハーティーパーティー
・ウイニングポスト for ゲームボーイアドバンス
・JGTO公認 GOLF MASTER ~JAPAN GOLF TOUR GAME~
・Jリーグポケット
・プレイノベル サイレントヒル
・ファイヤープロレスリングA
・チューチューロケット!
・ぼくは航空管制官
・ピノビィーの大冒険
・桃太郎まつり
本体と同日にこれだけのゲームが発売されたのは当時としては前代未聞の本数で、大きな話題になりました。
ラインナップも豪華で、任天堂からは「スーパーマリオ」「F-ZERO」最新作など4タイトル。
コナミからは「パワプロクンポケット」「遊戯王」などの8タイトル。
そして、カプコンからは「ロックマンエグゼ」が本体と同日に発売されました。
何故、これだけ多くのタイトルが本体と同日に発売されたのでしょうか?
要因としては3つあります。
1つめは、アドバンスに対する期待値の高さです。
当時は前世代機となるゲームボーイ、およびゲームボーイカラーの人気が非常に高く、ミリオンセラーが続出していました。
「ポケットモンスター金・銀」は720万本。
「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ4」は250万本。
「ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド」は235万本。
アドバンスが発売を目前に控えている中でも大ヒット作が次から次へと生まれている状況で、本体も飛ぶように売れていたんですね。
アドバンスはそんなゲームボーイの勢いに乗る中での発売だったので、自然と期待が集まっていました。
2つめは、開発期間に余裕があったからです。
任天堂はサードパーティに開発キットを早い段階から供給していたようで、2000年8月の時点で1,000枚単位を配っていたという話もあります。
それ故に発売前からエミュレータが公開されてしまったようですが、ロンチタイトルが充実した大きな要因となりました。
3つめは、スーパーファミコンソフトの延長線上で作れたことです。
アドバンスは2Dに特化したマシン設計となっていて、アーキテクチャはスーパーファミコンに近いものだと言われています。
当時の時点で2Dゲームのノウハウはかなり溜まっている状況だったので、比較的、ソフト開発がしやすい状況だったんですね。
本体は売れるもソフトは…
満を持して発売されたアドバンス。
発売週の売上は61.2万台に達し、プレイステーション2に続く、歴代2位のスタートダッシュを決めることに成功します。
一方、ゲームソフトに関してはやや鈍い出足で、同日に発売された30タイトルの初週売上を合計しても本体の初週売上には達しませんでした。
何故、本体が売れてソフトの売上がイマイチだったのかと言いますと、ゲームボーイとの互換機能を搭載していたからです。
既に持っているゲームボーイソフトを遊べたので、本体だけを買う人も目立っていたんですね。
任天堂はそんな状況を打破すべく、有力タイトルを間髪入れずに発売します。
2001年6月にはスーパーファミコンで人気を博したシミュレーションRPG「タクティクスオウガ」の外伝作を。
7月には人気レースゲームシリーズの最新作「マリオカート アドバンス」を。
そして8月には超大作RPG「黄金の太陽 開かれし封印」を発売します。
特筆したいのが、「マリオカート」シリーズの最新作を発売したことです。
「マリオカート」は当時の時点で人気が高く、据え置き機で発売した前作、前々作の売上は歴代1位を記録していました。
そんな「マリオカート」シリーズの最新作がアドバンスで満を持して発売。
されたのですが、据え置き機の「マリオカート」とは違い、対戦をするには人数分の本体と通信ケーブルが必要であることが響いたのでしょうか?
売上本数は94万本とミリオンセラーにはあと一歩のところで届きませんでした。
カプコンから新規のヒット作が誕生!
任天堂から期待したほどのヒット作が誕生しない中、カプコンから新規のヒット作が2タイトルも誕生します。
まず、ヒットしたのが「ロックマンエグゼ」です。
本作は2Dアクションゲーム「ロックマン」から派生した作品ではありますが、ゲームシステムや世界観は全て刷新。
従来の「ロックマン」よりもRPGの要素を強め、カードゲームのようにデッキを組んで戦うシステムを採用し、ストーリーは現実世界と電脳世界を行き来して事件を解決していく形になりました。
メディアミックスも積極的に行われ、漫画、アニメ、映画も展開。
人気漫画雑誌、「コロコロコミック」との強力なバックアップがあったこともあって小中学生を中心に人気を博し、売上本数は作品を重ねる毎に伸ばしていきます。
1作目こそは21万本に留まっていますが、2作目は45万本。3作目は50万本。
2バージョンで発売された4作目に至っては93万本を販売し、アドバンスソフトの歴代6位に入るほどの大ヒットを記録しました。
続いてヒットしたのが、「逆転裁判」です。
本作は裁判を題材にしたアドベンチャーゲームで、プレイヤーは弁護士の成歩堂龍一となって無実の罪に問われている被告人を裁判で無罪にするのが目標となっています。
一見すると堅苦しい題材に見えますが、個性豊かなキャラクター、アクションゲームのように爽快な演出によって裁判をエンターテイメントに仕立て上げることに成功。
ゲームシステム・ストーリーも作品を重ねる毎に洗練されていき、特に3作目はアドベンチャーゲーム史に名を残すほどの名作となりました。
売上本数も1作目こそは6万本で留まってしまいましたが、2作目は11万本。3作目は16万本を販売。
その後も廉価版・移植版で売上を伸ばしていき、シリーズの全世界累計売上は800万本を超えました。
ゲームキューブと連動!
2001年秋、任天堂は据え置き型ゲーム機、ゲームキューブを発売します。
同ハードはN64の後継機ではありますが、周辺機器「GBAケーブル」を通じたアドバンスとの連動にも力を入れていました。
アドバンスとの連動をするにあたって最初に発売されたのが「どうぶつの森+」です。
同作はどうぶつたちが暮らす村の中でスローライフを送るコミュニケーションゲームですが、アドバンスと連動することで島に行くことができました。
その後も「ファイナルファンタジークリスタルクロニクル」「ゼルダの伝説 4つの剣+」など、ゲームキューブとアドバンスを連動したタイトルが続々と発売。
TVとアドバンス。2つの画面を活用することで新しい遊びを実現します。
2002年:ようやくミリオンセラーが誕生!
伝説のスタフィーが大ヒット!
2002年9月6日。任天堂から「伝説のスタフィー」が発売されました。
本作はスタフィーが主人公の2Dアクションゲームで、入り組んだ海の世界を探索していくゲームデザインが特徴となっています。
新規のタイトルでしたが、スタフィーのキュートなキャラクターデザイン。
ベッキーさんが歌唱するCMソングが話題となり、累計売上は42万本と新規のタイトルとしては大ヒットを記録しました。
その後も新作が年に1タイトルペースで発売されていき、一時期は「星のカービィ」と並ぶ人気を博します。
真打ちのポケモンが発売!
アドバンスが発売されてから1年半が経過した2002年秋。
本体の販売台数は600万台を突破します。
一方、ゲームソフトに関しては「ロックマンエグゼ」「逆転裁判」「伝説のスタフィー」などの新たな人気シリーズは生まれていましたが、ミリオンセラーとなったタイトルは1本もありませんでした。
そんな中、2002年11月21日に「ポケットモンスター ルビー・サファイア」が発売され、メガヒットを記録します。
同作は人気育成RPG「ポケットモンスター」の第3世代にあたるタイトルで、前世代からグラフィックやサウンドが大幅に強化されました。
また、新ルール「ダブルバトル」によって最大4人での通信対戦も実現。
対応機種がゲームボーイからアドバンスになったことでの恩恵を味わえる作りとなっていました。
ユーザーからの期待値も高く、売上本数は発売週から100万本以上を販売。
なんと、発売週の時点でアドバンスソフト史上最高の売上を記録します。
その後も順調に売上を伸ばし、最終的な販売本数は544万本を記録。
アドバンスソフトの中ではダントツで高い売上を記録しました。
2003年:新境地を開拓!
ゲームボーイアドバンスSPが発売
2003年2月14日。任天堂はアドバンスのマイナーチェンジ機、ゲームボーイアドバンスSPを発売します。
本ハードで特徴的なのが、折りたたみ式の形状を採用し、よりスマートなデザインになったことです。
当時は折りたたみ式の携帯電話が普及していたので、その流れを携帯ゲーム機に持っていこうとしたんですね。
液晶にはフロントライトを採用。
従来の携帯ゲーム機よりも画面が見やすくなり、暗い部屋でも遊べるようになりました。
電源は内蔵リチウムイオンバッテリーを付属のACアダプターで充電する形式に刷新。
乾電池を買い足さずにゲームを楽しめるようになりました。
この流れは後に発売されたニンテンドーDSにも引き継がれたので、SPはアドバンスのマイナーチェンジ機ではありますが、任天堂の携帯ゲーム機の歴史を語るうえでは欠かせないモデルだったりします。
アイデア勝負のゲームが大ヒット!
2003年3月、「メイドインワリオ」という新たな人気シリーズがアドバンスから誕生します。
本作はミニゲーム集ではありますが、
- 5秒以内に終わる点
- ランダムで挿入される点
- 内容がシュールである点
などが当時としては画期的で、累計62万本を記録するほどの大ヒットとなりました。
その後も「あつまれ メイドインワリオ」「まわるメイドインワリオ」「さわるメイドインワリオ」などの後継作を続々と発売。
ワリオの新たな人気シリーズとして定着しました。
本シリーズで特筆したいのが、アイデア勝負のゲームであることです。
2003年当時、家庭用ゲーム市場では重厚長大の流れが進んでいました。
グラフィックはより美しく、繊細に。
ゲームシステムはより複雑に、ボリュームはより多くすることが求められ、ゲームソフトの開発費が高騰化していました。
「メイドインワリオ」の場合、重厚長大とは真逆の路線で、
グラフィック・ゲームシステムはシンプルで。ボリュームは控えめ。だけど充実感はある
という、当時のゲーム業界に一石を投じるような内容でした。
元々、任天堂はゲームが重厚長大していく流れを危惧しており、アイデア勝負のゲームが売れる土俵を作ろうとしていたんですが、本作はそんな任天堂を象徴とするようなタイトルです。
2004年:携帯機市場にパラダイムシフトが巻き起こる!
ポケモン本編が2タイトルも発売!
まず発売されたのが「ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン」。
本作は「ポケットモンスター 赤・緑」のリメイク作で、グラフィック・システムが「ルビー・サファイア」基準になり、大幅に強化されました。
また、チュートリアルやクリア後の要素も強化。初心者から上級者までが楽しめる内容となりました。
続いて発売されたのが「ポケットモンスター エメラルド」。
本作は「ルビー・サファイア」のマイナーチェンジ版ではありますが、「バトルフロンティア」というクリア後のやり込み要素が凶悪で、多くの廃人プレイヤーを生み出しました。
2タイトルに共通して言えることは、アドバンスの新たな周辺機器、「ワイヤレスアダプタ」に対応していることです。
「ワイヤレスアダプタ」は当初、「ファイアレッド・リーフグリーン」に同梱されていたんですが、この機器を活用することで無線通信が可能になりました。
無線通信機能は後に発売されたニンテンドーDSでは標準搭載されたので、携帯ゲーム機の過渡期を象徴するような周辺機器と言えますね。
ファミコンミニが大ヒット!
2004年2月14日、ファミコンミニシリーズが展開されました。
同シリーズはファミリーコンピュータ生誕20周年を記念したもので、
- アドバンスでファミコンの人気タイトルを遊べる点
- 当時のパッケージをミニチュア化した箱にカートリッジが同梱されている点
などが特徴となっています。
そんな「ファミコンミニ」シリーズですが、予想以上の大ヒットとなり、「スーパーマリオブラザーズ」に至っては100万本以上を販売しました。
大ヒットの背景にはレトロゲームブームというものがあります。
当時はレトロゲームにも需要が集まっていました。
お笑いタレントよゐこの有野晋哉が懐かしのゲームに挑戦する番組「ゲームセンターCX」の放送が始まり、ファミコンの廉価モデル:ニューファミコンがコンスタントに売れているような状況でしたからね。
「ファミコンミニ」はそんな需要とピッタリハマり、発売された30タイトルのほとんどがヒットを記録。
人気シリーズがリメイク・復興される流れを生み出します。
急速に移り変わる携帯機市場
ファミコンミニのブームが巻き起こるなか、携帯機市場が急速に移り変わろうとしていました。
大きな要因となったのがニンテンドーDSとプレイステーション・ポータブルの発売です。
当時の携帯ゲーム機市場は任天堂の一人勝ちと言えるような状況でした。
そんな中、ライバルのソニーは携帯ゲーム機市場に参入すると発表。
プレイステーション・ポータブル。略してPSPを2004年末に発売します。
同ハードはゲームボーイアドバンスを遥かに上回るほどの描写能力を持っており、あのPS1とPS2の中間に位置するほどの性能を誇りました。
ゲーム機の売上は性能の高さでは決まらないとは言え、相手は当時、絶大な人気を誇っていたプレイステーションの携帯機です。
アドバンスにとっては圧倒的に不利な状況でしたが、任天堂も黙ってはおらず、同時期には新型ゲーム機「ニンテンドーDS」を発表。
アドバンスから性能が向上したことに加え、2画面、タッチスクリーン、マイク、ワイヤレス通信機能も搭載しているとアピールします。
2005年:DS発売後も延命策を図るが…
DSやPSPが発売されて存在感が薄まってしまったアドバンス。
しかし、任天堂はアドバンスの販売にも力を入れていき、DSの発売後も
- 傾きセンサー内臓の「ヨッシーの万有引力」
- アドバンスが携帯音楽プレイヤーになる周辺機器「プレイやん」
- マイナーチェンジ機「ゲームボーイミクロ」
- シンプルな映像とテクノ風のBGMが特徴的な「bit Generations」シリーズ
などの意欲的なソフト・周辺機器・新モデルを発売します。
特に「ゲームボーイミクロ」は初期のアドバンスを小型化したスマートなデザインが注目を集め、一部では任天堂の携帯ゲーム機史上最高傑作と言われるほど高い評価を得ることができました。
が、DSはそれ以上の注目を集めていたので、アドバンスの存在感は徐々に薄まっていきます。
当初、任天堂はDSとアドバンスを共存させていく意向でしたが、DSが大ヒットしたことで考えが徐々に変わったのでしょうか?
発売タイトルは目に見えて減っていき、2006年のE3ではアドバンスの後継機はしばらくないことを発表。
DSが事実上の後継機となります。
2006年:最後のヒット作が誕生!
アドバンス発売から5年を迎えた2006年。
この年には31本の新作が発売されました。
これは2005年の79本。2004年の185本と比べたら大幅な下落だったりします。
新作の発売も2006年11月30日発売の「ファイナルファンタジーVI アドバンス」を最後に途絶えてしまい、アドバンスの市場は急速に縮小していきました。
そんな中、2006年には任天堂から2本のヒット作が誕生します。
1本目は「MOTHER 3」。
本作は現代風の世界を舞台にしたRPGシリーズの3作目で、章立てのストーリーが特徴となっています。
当初はN64ソフトとして発売される予定でしたが、開発は難航。
紆余曲折を経て、発表から実に9年もの時を経てアドバンスで発売されました。
そんな背景があることもあって発売週から20万本以上を販売。累計売上は36万本を超えました。
2本目は「リズム天国」。
本作は音楽のリズムに合わせて対応するボタンを押していくゲームで、いわゆる音ゲーに近いシステムを採用しています。
特徴的なのが、マーカーなどの表示がなく、様々なシチュエーションが用意されていることです。
その影響でミニゲームのような感覚で楽しむことが可能で、
- 「メイドインワリオ」スタッフによるコミカルな演出
- モーニング娘。で知られるつんくさんが手掛ける楽曲の良さ
と相まって口コミで人気が広がっていき、最終的には32万本の販売を記録しました。
後にDSで発売された続編の「リズム天国ゴールド」に至っては191万本を販売。一躍、人気シリーズに成長します。
どれもこれも初代「リズム天国」があったからこそだと思うので、アドバンスは最後の最後で大きな功績を残したと言えるのではないでしょうか?
2021年:発売20周年
2021年3月21日。アドバンスが発売されてから20年を迎えました。
その生涯は携帯ゲーム機の過渡期に発売されたこともあって約5年と短いものでしたが、近年は再評価され始め、専用ソフトの販売価格は高騰化。
「牧場物語 再会のミネラルタウン」「ポケモン不思議のダンジョンDX」など、アドバンスソフトのリメイク作が増えていき、TwitterなどのSNSでは当時、子供だった方々がアドバンスのソフトを懐かしそうに語る流れが加速しています。
何故、アドバンスは再評価されたのでしょうか?
要因としては3つあると思っています。
1つめは、アドバンスのソフトを遊べる環境が減ってきていることです。
アドバンスソフトの一部はWii Uバーチャルコンソールで配信されましたが、Wii Uは2017年1月31日に生産が終了してしまいました。
一応、今でもWii Uの入手は容易ではありますが、同ハードの注目度は低く、アドバンスソフトを遊べるという事実は意外と知れ渡っていません。
そういった事情もあってアドバンスソフトの販売価格は徐々に高騰化してきており、そのニーズを掴むためかアドバンスソフトのリメイク作が増えてきています。
代表的なのが「牧場物語 再会のミネラルタウン」や「ポケモン不思議のダンジョンDX」。
ですが、それ以外にも「逆転裁判」や「ロックマンゼロ」は何度も移植作やリマスター版が発売されていきましたし、隠れた名作と名高い「ユグドラ・ユニオン」の先日、Switch版が配信されました。
アドバンスでしか楽しめないタイトルはまだまだ多いので、今後もリメイクや新作の発売が期待できます。
2つめは、当時、子供だった世代が大人になり、発信力を持ったことです。
アドバンスは当時の小中学生を中心に人気を博していました。
あれから20年。当時、小中学生だった子供は立派な大人になり、ネット上で発信する力を身に付けています。
かくいうぼくもその1人で、今ではYouTubeやブログなどを通じてアドバンスの話題を発信することができるようになりました。
今回の記事・動画もアドバンスが再評価される流れをさらに加速させることを目標に制作しています。
3つめは、インディーズゲームの台頭によって2Dゲームに注目が集まっていることです。
アドバンスが現役だった頃は据え置き機の3Dゲームが主流だったこともあり、2Dゲームは時代遅れという見方もありました。
一方、近年は「アンダーテール」「ホロウナイト」「セレステ」など、数え切れないほど良質な2Dゲームがインディーズから生まれています。
そういった流れがあることから昔、発売された良質な2Dゲームを発掘する流れが加速してきており、2Dゲームが豊作なアドバンスにも注目が集まっていると思うんですよね。
当時は埋もれてしまったアドバンスソフトも、リメイクなどで改めて発売したら当時よりも評価されるかも知れません。
全体のまとめ
ここまでアドバンスの歴史を振り返っていきました。
アドバンスの生涯は携帯ゲーム機の過渡期に発売された関係で短いものでしたが、発売されたタイトルの中には良作も多く、今、遊んでも楽しめます。
「逆転裁判3」「ロックマンエグゼ3」「リズム天国」「メイドインワリオ」。
今回は紹介できませんでしたが、「ボクらの太陽」「キャッスルヴァニア 暁月の円舞曲」「ロックマンゼロ3」「ファイアーエムブレム 烈火の剣」など、今でも通用するほどの良作を生み出してきました。
後世にもこの良さを伝えるため、Switchなどでアドバンスソフトを展開してほしい。
今はそう思っています。
本記事の動画版
手のひらにSFCを持ち込めるというのは衝撃だった
今見ると初代は滅茶苦茶暗いけど、電源入れたときに出てくるロゴがカラフルでお気に入りだったなー