どうも!KENT(@kentworld2 )です!
本記事ではXbox 360(エックス ボックス サンロクマル)の歴史を振り返っていきます。
海外では大人気のXboxハードですが、こと日本に関してはすっかりマイナーなイメージが定着してしまいました。
ですが、Xbox 360に関してはメジャーハードになりつつあったんです。
それだけ日本のゲーム業界に影響を与えました。
ここからはXbox 360の歴史を詳しく語っていきます。
目次
Xbox 360とは?
Xbox 360とは、マイクロソフトがXboxに続いて投入した2代目の据え置き機です。
最大の特徴となるのが、当時としては珍しかったハイビジョン画質に対応していること。
2000年代前半以前のゲームソフトは解像度640×480以下の映像で作られることが一般的でした。
しかし、Xbox 360は解像度1280×720に対応しているんです。
さらに2006年秋のアップデートで解像度1920×1080の出力に対応。
従来のゲーム機を遥かに上回るほど高画質で繊細な映像を実現しました。
また、有線、無線LAN、USB端子、ハードディスクを装備していることも大きな特徴となっています。
元々、初代Xboxもパソコン寄りのゲーム機という位置付けでした。
Xbox 360ではそれが顕著になり、Windowsのメーカーでもあるマイクロソフトの強みを活かしたゲーム機へと進化したんです。
2005~2006年:ライバルに先制攻撃!
E3 2005で華々しく発表!
Xbox 360が初めて発表されたのはE3 2005。
初代Xboxが発売されてから僅か3年後でした。
新しいゲーム機を発売するタイミングとしてはあまりにも早く感じられましたが、そこには大きな訳があったんです。
前ハードのXboxは第6世代のゲーム機としては最後発でした。
発売日 | ハード名 | 国内販売台数 |
1998年11月27日 | ドリームキャスト | 245万台 |
2000年3月4日 | プレイステーション2 | 2160万台 |
2001年9月14日 | ゲームキューブ | 402万台 |
2002年2月2日 | Xbox | 47万台 |
そう、最先発だったドリームキャストから実に3年半も経過してから発売されたんです。
その頃には既にプレイステーション2(以下、PS2)が天下を取っていて、Xboxの席は空いていませんでした。
ゲーム機というものは生活必需品ではありません。
一般人にとっては余程のことが無い限りは複数の機種を持つ必要性が薄く、先に買われてしまったら不利になるんです。
それでもマイクロソフトのお膝元である北米では健闘しましたが、PS2には及びませんでした。
そこで考えたのが、次世代機で先制攻撃を仕掛けること。
Xboxのハードサイクルを考慮に入れると本来ならPS2の後継機よりも2年後に出るのが通例ですよね?
ところがXbox 360の場合、PS陣営よりも1年早く発売することに成功したんです!
実質、初代Xboxのハードサイクルを3年短縮したということになるのですから、相当な体力がある企業じゃないと成し得ないことでしょう。
国内サードパーティを積極的に勧誘!
もちろん、単に早く発売するだけではライバルに勝つことは出来ません。
マイクロソフトもそれは分かっていたようで、欧米のゲームメーカーはもちろん、日本のゲームメーカーも積極的に勧誘していきます。
その結果、あんなタイトルやこんなタイトルがXbox陣営にやってきたんです!
以下、Xbox 360初期に発売された国内サードパーティのゲームソフトになります。
- リッジレーサー6
- デッド オア アライブ4
- 天外魔境 ZIRIA ~遙かなるジパング~
- ランブルローズXX
- 天誅 千乱
- スーパーロボット大戦XO
- 地球防衛軍3
- お姉チャンバラ vorteX ~忌血を継ぐ者たち~
- バイオハザード5
- ワールドサッカー ウイニングイレブン X
どうでしょう?特にPS2ソフトの続編が目立っていないでしょうか?
PSのロンチを飾ることに定評のある「リッジレーサー」シリーズ最新作。
PSハードを中心に展開されている「スーパーロボット大戦」シリーズ最新作。
PSのSIMPLEシリーズで人気を集めた「地球防衛軍」「お姉チャンバラ」シリーズ最新作。
ゲームキューブ独占供給が記憶に新しかった「バイオハザード」シリーズ最新作。
当時の時点でXboxは洋ゲーのイメージが強かったので、このラインナップには衝撃を受けました。
何故、これだけ多くのタイトルがXbox 360に集まったのでしょうか?
いくらマイクロソフトが勧誘したとは言え多すぎですよね?
そこにはゲーム開発側の切実な事情がありました。
PS3/Xbox 360時代に入ると開発費が高騰し、単独プラットフォーム向けに展開するのでは採算が取れなくなったんです。
そのためPS3発売以降もマルチタイトルとしてXbox 360版が発売され続けるようになります。
ドラゴンクエストやファイナルファンタジーのクリエイターも参戦!


上記のラインナップを見ても多くの方は口を揃えて言うでしょう。
「本体ごと買うほどではない」と。
マイクロソフトもそれは分かっていたようで、日本人に向けた爆弾級のビッグタイトルを発表します!
それがブルードラゴンとロストオデッセイ!
いずれも新規タイトルではありますが、「ブルードラゴン」のキャラクターデザインは「ドラゴンクエスト」の鳥山明さんが。
製作総指揮は「ファイナルファンタジー」の生み親である坂口博信さんが務めます。
「ロストオデッセイ」に至っては「ファイナルファンタジー」の生み親である坂口博信さんが製作総指揮を務めたのに加え、BGMは植松伸夫さんが担当。
「ブルードラゴン」以上に「ファイナルファンタジー」との類似点が目立っていて、一部では「本家ファイナルファンタジーよりもファイナルファンタジーらしい」とも言われました。
「次こそは勝つ!」
初期のソフトラインナップからはマイクロソフトの本気が伝わってきました。
発売を急ぐあまりゴタゴタ続きに
2005年12月。Xbox 360はプレイステーション3(以下、PS3)に1年先行して発売されます。
しかし、何としても2005年末に発売を間に合わせようとしたからか前ハードと同じく発売当初はゴタゴタ続きとなりました。
まず巻き起こったのがロンチタイトルの発売延期。
当初は「リッジレーサー6」と「デッド オア アライブ4」がロンチの目玉タイトルになるハズでした。
が、土壇場になって「デッド オア アライブ4」が3週間も発売延期になってしまったんです。
さらにフロムソフトウェアの「【eM】-eNCHANT arM-」というRPGも1ヵ月の発売延期になります。
その影響でロンチの目玉タイトルは「リッジレーサー6」のみという寂しい状況になり、あとは海外メーカーのマニアックなタイトルばかりという状況でした。
その結果、発売週の販売台数は6.2万台に留まります。
これは前ハードであるXboxと比べて半分程度の出足で、年末商戦機であることを考慮に入れると厳しい出足と見られました。
その後「デッド オア アライブ4」が発売されてからは多少販売が上向いたものの、大きな巻き返しにはならず週間売上は発売6週目で5,000台割れ。
10週目の週間売上に至っては1,500台を割っており、絶不調と言える状況に陥ってしまいます。
また、発売初期にはありがちな不具合も目立ち、ディスク損傷のクレームが相次ぎました。
その影響もあってXbox 360は壊れやすいゲームハードというマイナスイメージが付いてしまいます。
そうこうしているうちにPS3とWiiが日本でも発売。
PS3には発売4週で。Wiiには発売1週でそれまでの累計売上が抜かれてしまうのでした。
「日本向けのゲームを揃えて、1年先行したのは一体何だったのか!?」
そんな嘆きが聞こえてきそうですが、マイクロソフトは諦めませんでした。
2007~2008年:Xbox 360の逆襲が始まる!
大作RPGラッシュでXbox 360に光が!?
発売から1年間のXbox 360は厳しい状況でしたが、2006年末から少しずつ状況が変わっていきます。
2006年末から2008年末までの2年間、実に7タイトルものJRPGがXbox 360独占(当時)で発売されたんです。
まず最初に発売されたのが「ブルードラゴン」。
前述の通り本作は「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」シリーズのスタッフが集結した超大作RPGになります。
マイクロソフトはそれを日本のユーザーに伝えるべく大規模なプロモーションを展開。
ゲームのTVCMを頻繁に打つのはもちろん、アニメ化やコミカライズ化も行います。
さらに価格を抑えたオリジナル本体同梱版も発売。
その甲斐あって国内での販売本数はXbox 360ソフトとしてはトップクラスの約20万本を記録します。
また、本作の発売によってXbox 360は1ヶ月で10万台を売り上げました。
これが多いのか少ないのかは見解が分かれるところですが、週間販売台数が1,500台にまで低迷していたことを考慮に入れると大健闘と言えるでしょう。
続いて登場したのが「トラスティベル ~ショパンの夢~」。
こちらは「スターオーシャン」シリーズで知られるトライクレッシェンドが手掛けた作曲家が主人公のファンタジーRPGで、独特な戦闘システムやメルヘンな世界観が印象的な作品でした。
「ブルードラゴン」に比べたら大きな売上にはなりませんでしたが、Xbox 360市場を華やかにする存在だったのは確かです。
続いて登場したのが「ロストオデッセイ」。
こちらは「ブルードラゴン」に続いて坂口博信さんが制作総指揮を務めた作品で、DVD4枚組の超大作になります。
売上の方は約11万本とまずまずの結果。2007年末のXbox 360市場の目玉となりました。
止まらないJRPGラッシュ!
ブルードラゴン、トラスティベル、ロストオデッセイ。
このように2006年末から2007年末にかけて続々と新規の大作JRPGがXbox 360向けに発売されましたが、その流れは2008年に入ってからも止まりません。
PS2などで人気を博したキャラクタープレイングRPGシリーズの新作「テイルズ オブ ヴェスペリア」。
トライエースとマイクロソフトによる新規RPG「インフィニットアンディスカバリー」。
「サガ」スタッフによる次世代RPG「ラストレムナント」。
そして2009年2月には人気SFRPGの新作「スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-」。
と、次々と発売して行くのでした。
さらにPS3のみで発売されるハズだった「ファイナルファンタジーXIII」のXbox 360版がE3 2008にて発表。
PS3最大のキラータイトルですらもXbox 360で発売されるのは当時としては衝撃的でした。
当時は海外のみで発売という話でしたが、2年後、インターナショナル版が日本でも発売されます(さらに続編の2作はPS3版と同発)。
海外で発表された時ほどではありませんが、約束が違うということでこちらも騒ぎになりました。
洋ゲーの良作が続々と発売!
ここまでJRPGばかりに触れていきましたが、2007年辺りからは日本でも洋ゲーの立ち位置が変わり始めます。
それまでXboxの洋ゲーと言えば「Halo(ヘイロー)」シリーズが代表的でしたが、2007年辺りから次々と良質な洋ゲーが発売され始めたんです。
様々なTPSに影響を与えた「ギアーズ オブ ウォー」。
縦横無尽にフィールドを駆け抜けるのが楽しい「アサシン クリード」。
圧倒的な自由度で話題になった次世代RPGの「オブリビオン」「フォールアウト3」。
新たなFPSのチャンプとなった「コールオブデューティ4 モダンウォー・フェア」。
正当進化した超人気オープンワールド型クライムアクション「グランド・セフト・オートIV」。
本当に数え切れないくらいの良質な洋ゲーが2007年から2008年にかけて発売されます。
従来の洋ゲーと言えば「バタ臭い」「不親切」「大雑把」などのマイナスイメージが多くありました。
が、Xbox 360の世代になると一皮剥き始め、バタ臭い部分は若干残るものの「不親切」「大雑把」な点が大きく改善され始めたんです。
それでいて日本のゲームを遥かに上回るほどの開発規模で作られた作品が出始めるようになり、大作=JRPGという図式が日本でも崩れ始めるようになります。
日本の洋ゲー市場を開拓することに成功!
このように良質な洋ゲーが多数発売されたことに加え、Xbox時代からの地盤によってXbox 360は洋ゲーハードの地位も獲得することに成功します。
多くはPS3でも発売されましたが、特に2007~2009年辺りは同ハードに肉迫するほど洋ゲーが多く売れていたんです。
まず、大きな要因となったのが発売日。
実は2007~2008年辺りはマルチタイトルでもXbox 360版の方が1ヶ月先行で発売されることが多くあったんです。
タイトル | PS3版の国内発売日 | Xbox 360版の国内発売日 |
コール オブ デューティ3 | 2007年6月14日 | 2007年3月29日 |
アサシン クリード | 2008年1月31日 | 2007年11月29日 |
バイオショック | 2008年12月25日 | 2008年2月21日 |
フォールアウト 3 | 2009年1月15日 | 2008年12月4日 |
ファークライ2 | 2008年12月25日 | 2008年11月27日 |
当時、洋ゲーをプレイする多くのユーザーはコアなゲーマーでした。
それだけに発売日の早さは重要で、洋ゲーをプレイするならXbox 360版を優先的に選ばれることが多くあったんです。
さらにこの時期のタイトルはXbox 360がリードプラットフォームでした。
つまり、まずはXbox 360で開発し、その後にPS3などへ移植するという流れがメインだったんです。
そのため多くの洋ゲーはXbox 360版の方が出来が良い傾向にありました(ベセスダ・ソフトワークス製タイトルが顕著)。
このような流れに加えてマイクロソフトからも独占の洋ゲーが続々と発売。
特に「ギアーズ オブ ウォー」「Halo」「フォルツァ」は毎年のように新作が発売され、日本でも一定の人気を博しました。
思わぬキラータイトルが誕生!?
大作JRPGが続々と発売され、良質な洋ゲーも大量に発売されたXbox 360市場。
そんなXbox 360市場に思わぬキラータイトルが発売されます。
それがアイドルマスター!
本作はアイドルを育成していくシミュレーションゲームになります。
販売本数こそは5万本程度でしたが、ダウンロードコンテンツの売上は非常に高く、累計で3億円を突破。
これは全世界を含めてもトップクラスの売上額で、大変な話題を集めました。
何故これだけの売上額になったのかというと、ゲーム内容とダウンロードコンテンツの親和性が非常に高かったからです。
アイドルを育成するゲームとなれば、アイドルに愛着が沸くのは自然なことでしょう。
そんなアイドルに新しい衣装をダウンロードコンテンツで購入できるのは大きな魅力に感じます。
課金して衣装を購入する文化は当時としては珍しかったので、ユーザーも大きな価値を感じていました。
ネット上での人気も非常に高く、特にニコニコ動画ではまるでミリオンセラーのタイトルかのような盛り上がりを見せます。
やがてスマホ向けにも展開され、今や巨大なIPと化しましたが、Xbox 360版がその地盤を作ったと言っても過言ではないでしょう。
美少女系ノベルゲームも人気を博す!
「アイドルマスター」とはジャンルが異なりますが、美少女系繋がりではノベルゲームもXbox 360で人気を博します。
特に目立っていたのが、5pb.から発売された科学アドベンチャーシリーズ第2弾である「シュタインズ・ゲート」。
本作はタイムリープをテーマにしたビジュアルノベルで、緻密なストーリーラインが高く評価されます。
その人気はジワジワと広がって行き、2011年のTVアニメ化を経て大ブレイクを果たしました。
それ以外にも「CLANNAD」「メモリーズオフ」などパソコンで人気を博したノベルゲームが次々と移植されていきます。
何故、こんなにもノベルゲームが集まったのかと言うと、Xbox 360はパソコンからの移植が容易だったからです。
その影響で一時期はPSPに続いてノベルゲームが充実している家庭用ゲーム機となりました。
2Dシューティングゲームも人気を博す!
ノベルゲームと同じような理由(移植しやすい)で2DシューティングゲームもXbox 360向けに多数展開されます。
特に目立っていたのが、ケイブ系の2Dシューティングゲーム。
「デススマイルズ」「怒首領蜂」など10タイトル以上も発売されたんです。
大ヒットタイトルこそはありませんが、中には販売本数が2万本を超えるスマッシュヒットが現れました。
ダウンロードタイトルも充実!
続々と新作が発売されたXbox 360市場の影を支えたのがXbox LIVE アーケードでした。
Xbox LIVE アーケードとは、ダウンロード専売で配信される小規模タイトルを指します。
当初は容量制限が厳しく、リッチなタイトルが生まれにくい状況でしたが、それを逆手に取った名作が数多く誕生しました。
キャッスル クラッシャーズ、N+、トライアルズ HD、LIMBO。
いずれも2Dのアクションゲームですが、パッケージタイトルには無い手軽さがあって密かに人気を博します。
コアなゲームが多い印象のXbox 360ですが、実はカジュアルゲームも充実していたんです!
さらに2009年からは「Xbox LIVE インディーズ ゲーム」を展開。
個人が制作したゲームを販売できるプラットフォームで、ソフトラインナップの幅がグンと広まりました!
門戸を開き過ぎたあまり粗悪なタイトルも生まれましたが、中には奇抜なタイトルも誕生して盛り上がりを見せます。
インディーズゲームは2010年代後半に入ってからは他機種でも定着しますが、Xbox 360は5年以上も早く展開されました。
(あの「マインクラフト」も家庭用ではXbox 360版が最初に発売された)
何気にパッケージタイトルのダウンロード版も2009年夏から始めていますし(PSP goよりも早い!)、いかにXbox 360が時代の先を行くハードだったのかが分かる事実です。
地道な努力でPS3の週間売上を追い越す週も!?
洋ゲー、ギャルゲー、2Dシューティング、インディーズ。
いつの間にかXbox 360はマニア向けのゲームも多数揃うようになり、それでいてJRPGも充実しているという全方位に向けたゲーム機になりました。
本体周りの施策も積極的で、2007年11月1日には39,795円(税込)から34,800円(税込)に値下げ。
2008年9月11日にはハードディスク容量が20GBから60GBに増え、価格が29,800円(税込)にまで下がった新モデルが発売。
さらに2008年末になるとゲームソフトを2本セットにしながらもお値段据え置きのバリューパックを発売します。
対してPS3はなかなか有力タイトルが発売されず苦戦。
そんな状況だったこともあり、Xbox 360の注目度はグングンと上昇します。
やがてビッグタイトルの発売週はPS3を上回る販売台数を記録。
それでもPS3が優勢なのは変わりませんでしたが、一時期のプレイステーションとセガサターンみたいな接戦を見せます。
「もしかしたら・・・Xbox 360の時代が来るかもしれない:
僅かにそう感じていた頃もありました。しかし。
2009~2013年:一気にPS3優勢へ
新型&ファイナルファンタジーXIIIでPS3が反撃!
2008年頃まではXbox 360に良い風が吹いていましたが、2009年後半に入ると少しずつ流れが変わって来ます。
それまで不調が続いていたPS3がついに反撃に出て来たのです!
2009年9月には軽量化されて本体価格が抑えられたPS3 Slimが発売。
さらにXbox 360の目玉タイトルだった「テイルズ オブ ヴェスペリア」の完全版が同月に発売されます。
トドメとなったのが2009年12月に発売された「ファイナルファンタジーXIII」。
本作の発売を経てPS3の販売台数はグングン伸びていき、一気にXbox 360を引き離します。
年が明けてからはXbox 360独占だと思われていた「スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-」の完全版がPS3向けに発売。
この頃には洋ゲー市場も少しずつPS3に移行していき、Xbox 360のアドバンテージは徐々に薄れていきます。
キネクトの大ヒットでマイクロソフトが迷走!?
2009年のE3で、Xbox 360向けのとんでも無い周辺機器が発表されました。
なんと手を動かすだけで様々な操作が可能になる「Project Natal(プロジェクトナタル)」が発表されたんです!
その後、正式名称が「Kinect(キネクト)」になり、2010年末に発売されます。
日本では環境の問題やターゲット層の違いによってヒットしませんでしたが、海外では爆発的なヒットを記録。
Xbox 360本体の売上にも大きく貢献して、2010年末からはWiiを上回るセールスとなり、2年以上ハードウェア販売で首位を維持するのでした。
が、この成功体験を経てマイクロソフトが迷走してしまったんです!
キネクトの大ヒット以降、マイクロソフトは同周辺機器の対応ソフト開発に力を入れていきます。
Kinect スポーツ、Kinect アニマルズ、ダンスセントラル、Kinect: ディズニーランド・アドベンチャーズ、Kinect スター・ウォーズetc…
多くはファミリー層に向けたタイトルで、欧米ではWiiの地位を奪いことに成功しましたが、日本では一向に盛り上がりを見せません。
大きな要因となったのが環境に寄るものでした。
日本は欧米と比べて土地が狭く、広々とした部屋でゲームをプレイする環境は一般的ではありません。
それ故に1m80cmも離れないとまともにプレイできないキネクトの普及は難しく、定着させようにも定着させられなかったんです。
2010年から2012年にかけてキネクト専用のタイトルがマイクロソフトから発売されますが、いずれも不発に終わってしまいました。
海外では弾になるものが日本では弾にならない。
そんな状況が続いたことでXbox 360専用のヒット作はどんどん減って行き、ユーザーはどんどんPS3に流れて行きました。
その証拠にPS3とのマルチタイトルはXbox 360版の売上比率がどんどん減っていきます。
PS3/Xbox 360のマルチタイトルは2007年から2008年にかけては7:3。あるいは6:4という比率が珍しくありませんでした。
が、2009年からは段階的に減っていき、8:2どころか9:1。最終的には9.5:0.5という比率になるほど差を付けられてしまいます。
悪い流れがXbox Oneへと続く
キネクトの発売以降、置いてきぼりをくらった日本のユーザーは徐々にPS3/PS4へ移行。
海外でもキネクト人気は長続きせず、同周辺機器専用の続編はほとんどが不発に終わってしまいました。
そこで切り上げていたら良かったんですが、マイクロソフトはとんでもない暴挙に出ます。
なんと、キネクトを後継機のXbox Oneに標準搭載しようとしたんです!
そのためライバルハードとなるPS4よりも10,000円高い価格設定になってしまいます。
これを受けて世界中のゲームファンからは不満が続出。
正当進化のPS4へと流れてしまう原因を作ってしまいました。
マイクロソフトはキネクトのヒットでXbox Oneをゲームファンだけではなくあらゆる層に売ろうとしていたのでしょう。
しかし、それが災いして「二兎を追う者は一兎をも得ず」と言えるような結果になってしまうのでした。
2014年:何だかんだで息の長い人気に
何だか後味の悪い展開になっていきましたが、何だかんだでXbox 360は日本でも息の長い人気を博しました。
マイクロソフトが初期に必至で日本向けの有力タイトルをかき集めて来たのもありますが、開発費の高騰という切実な問題も大きかったりします。
ゲームソフトの開発費は世代を追う毎に増していきました。
PS3/Xbox 360時代に入ると100万本単位で売らなければ赤字になるほどのレベルになったので、サードパーティは特定のゲーム機だけに発売することが難しくなっていったんです。
だからこそ独占契約が終わった後はPS3などに完全版が発売されたんですが、逆のパターンもありましたし、同時発売のマルチタイトルも多くありました。
Xbox 360ソフトは2015年まで発売されましたが、その背景には開発費高騰によるマルチプラットフォーム化というものがあります。
全体のまとめ
以上!Xbox 360の歴史を振り返ってみました!
日本では決して成功したハードとは言えませんが、前ハードの3倍以上となる約160万台を売り上げたのは大健闘と言っても良いでしょう。
あれだけ努力してこの程度という考え方もあるとは思いますが、後継機となるXbox Oneの惨状を見ると奇跡と言っても良いのではないでしょうか?
ゲーム市場も多様化して今ではスマートフォンで基本プレイ無料のタイトルが主流になってきました。
ゲーム人口が増している反面、買い切り型ゲームハード・ソフトにポンッと数万円払う人の割合が減っているのも確かで、売れるゲームと売れないゲームの二極化が始まってきています。
そういう意味でXbox 360は最後に市場らしい市場を築き上げた任天堂とSIE以外のマイナーゲーム機と言えるかも知れません。
Xbox 360こぼれ話
発明品の実績/ゲーマースコア
「Xbox 360最大の発明品は何か?」
ぼくは実績/ゲーマースコアだと思っています。
実績とは、ゲーム内に用意された目標(チャレンジ)を達成することで解除されるシステムです。
解除することでゲーマースコアが蓄積されていき、オンライン上のフレンドに自慢することが出来ます。
このようなシステムによってそれまで分からなかったゲーマー度が数値化されるようになり、やり込みに大きな動機が生まれました。
あまりにも中毒性が高いシステムということでPS3もアップデートによってトロフィーという類似機能を2008年から搭載。
単に真似ているだけではなく、ゲーム内に用意されたチャレンジをすべてこなすことでプラチナトロフィーという称号が貰える要素が追加されました。
プラチナトロフィーはやがてやり込みゲーマーにとって1つのステータスとなります。
2010年代後半に入るとTwitterのゲームコミュニティ内ではプラチナトロフィー獲得の報告が1つのコミュニケーション手段と化しました。
大型アップデート
Xbox 360の革新的な要素としては本体OSの大型アップデートというものがあります。
Xbox 360のHOME画面は1年単位で段階的に変わっていきました。
そのため大型アップデート後にはどこにどんな項目が置かれているのか困ることもしばしばw
しかし、大型アップデートを経てそれまで感じていた欠点が解消されることもあったので、ゲーム機の常識を覆しました。
Xbox 360が長生きした要因はいくつもありますが、本体の大型アップデートも大きいと思います。
レベル課金で騒ぎに!?
まだダウンロードコンテンツが一般的ではなかった2008年。
バンダイナムコが「テイルズ オブ ヴェスペリア」にて「レベル+10」や「30万ガルド(通貨)」などを有料販売したんです。
これを受けてネット上では「レベルを売るのか!」と議論に発展しました。
無理もありません。当時のダウンロードコンテンツは追加ステージや衣装が一般的でしたから。
しかし、以下のように考えるとどうでしょうか?
「無理して10時間のんびり続けるか?それともお金を払って1時間に短縮するのか?」
この手の時間とお金の兼ね合いは基本プレイ無料のゲームが主流になってからは顕著になっていきました。
が、「テイルズ オブ ヴェスペリア」は買い切り型のゲームです。
「一度お金を払ったからにはもう払わなくても良いだろう」と考えるユーザーが出てくるのも無理はありません。
まあ、本作は課金をしなくても快適に楽しめるゲームではありますが。
FC | SFC | N64 |
GC | Wii | Wii U |
Switch | GB | GBA |
DS | 3DS | 64DD |
PS1 | PS2 | PS3 |
PS4 | PSP | PSVITA |
MD | SS | DC |
Xbox | Xbox 360 | Xbox One |
PCE | WS |
個人的な感想は、こと国内においてはよく生き残れたな…と。
これまでなら、普及台数160万台では市場が成立しないので。
単純に運が良かったんだと思います。
マルチ全盛と言う運に恵まれたかと。