どうも!KENT(@kentworld2 )です!
今回はニンテンドー3DS 12年間の軌跡を振り返っていきます。
任天堂の携帯型ゲーム機ニンテンドー3DS。2011年に発売されて以来、国内だけで2,500万台以上を売り上げた大ヒットゲーム機で、多くの方に愛されました。
YouTubeチャンネル「KENT for 任天堂ゲームレビュー」のコメント欄でも
学校から帰宅して友達の家でお菓子食いながら3DSしてた頃が1番楽しかった
ディズニーとか行ったらすれ違い広場でめっちゃ多くすれ違って嬉しかった
などなど、3DSを楽しんでいた頃の思い出を話される方が多く見られましたが、いよいよその歴史が終わろうとしています。
ダウンロードソフトを購入できたニンテンドーeショップは2023年3月28日にサービス終了。
パッケージソフトを販売するゲームショップも減少傾向で、過去の物になりつつあります。
そこで、今回は3DSとはどんなゲーム機だったのか?12年間のうちにどんな革命を起こしてきたのかを振り返っていきます。
結論から言わせていただきますと、3DSは一定の成功を収めましたが、不運も多いゲーム機でした。
発売時期の悪さ、スマートフォンの台頭。
外的要因が重なってしまい、過小評価されてしまうこともありましたので、本記事ではその辺りも含めて語っていきます。
目次
2010年:高まる期待と僅かな不安
電撃発表
時は遡ること2010年。当時は前世代機となるニンテンドーDSが現役でしたが、3月23日。
任天堂の新型携帯ゲーム機ニンテンドー3DSが発表されました。
同ハードはニンテンドーDSの後継機で、様々な部分が強化されています。
マシンパワーが大きく向上したほか、通信面の機能も多数搭載。
複数のソフトとのデータ交換をすれ違った人と自動で行ってくれる「すれちがい通信」、インターネットに接続することで様々なデータを受信できる「いつの間に通信」などなど。
DS以上に色んな形式の通信機能を搭載しているほか、多数のソフトを本体に内蔵します。
Miiスタジオ、ARゲームズ、顔シューティング、思い出記録帳、ニンテンドー3DSカメラ、ニンテンドー3DSサウンド、インターネットブラウザ。
まるでスマートフォンのように色んなことができるようになりましたが、任天堂が最も力を入れてアピールしていた機能が、裸眼立体視です。
本体に搭載された3Dボリュームを上げることで上画面が立体的になり、奥行き感のある映像でゲームを遊ぶことができます。
当時は3D映像が大ブームとなっていましたので、一見すると便乗しているように感じますが、任天堂としては過去のリベンジを果たすつもりで搭載しました。
任天堂はかねてより3D映像のゲームにチャレンジしていまして、1987年には「ファミコン3Dシステム」というVRゴーグル風の周辺機器を。
1995年にはバーチャルリアリティをテーマにした新型ゲーム機「バーチャルボーイ」を発売。
しかし、いずれも商業的には厳しい結果となってしまい、発売からすぐに撤退を余儀なくされます。
その後もゲームボーイアドバンスやゲームキューブでも3D映像のゲームを展開する取り組みをしていましたが、残念ながら未発売のままで終わってしまいます。
このように3D映像は任天堂にとっては苦い思い出が多いジャンルなんですが、
- 技術が進歩したことで3D液晶が安価になったこと
- グラフィックの進化によって3D映像を表現しやすくなったこと
など、様々な偶然が重なったことによってもう一度チャレンジすることにします。
リベンジをするにあたって心がけていたのが、裸眼で3D映像を楽しめるようにすることです。
バーチャルボーイなど、3D製品の多くはメガネやゴーグルが必須で、プレイするまでのハードルが高なってしまいました。
3DSはそうならないよう、手軽に3D映像を楽しめるように心掛けます。
裸眼で楽しめるようにするのはもちろん、3Dボリュームを調整することで立体感を緩めたり、2Dの映像でも楽しめるようにしました。
対応タイトルが続々と発表
3DSが発表されてから3ヶ月後の2010年6月。対応タイトルが一斉に発表されました。
人気レースゲームシリーズの最新作、「マリオカート7」。子犬の他に小猫も登場する「nintendogs + cats」。
「大乱闘スマッシュブラザーズ」や「星のカービィ」を手掛けた桜井政博さんの新作「新・光神話パルテナの鏡」。
ロクヨンで生まれた歴史的名作をリメイクした「ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D」など、任天堂の人気タイトルはもちろん、
- キングダム ハーツ3D
- バイオハザード リベレーションズ
- リッジレーサー3D
- メタルギア ソリッド スネークイーター 3D
- 戦国無双クロニクル
など、どちらかと言うとプレイステーションで人気を博していたようなシリーズの最新作も3DS向けに発表されます。
一部のタイトルはDSでも展開されていましたが、3DSの場合、本編と遜色のないクオリティになっていましたので、発表時は衝撃が走りました。
何故、従来の任天堂ハードでは見られなかったタイトルが発表されたのでしょうか?
そこには任天堂の外交戦略がありました。
当時の任天堂ハードはソフトメーカーのタイトルが売れにくく、本体を普及させるうえでの課題の1つとして挙げられていました。
そこで、3DSではそうならないよう、スタートダッシュの段階でソフトメーカーと足並みを揃えていく戦略を取ることにします。
価格発表で暗雲が・・・
それから3ヶ月後の2010年9月29日。
ニンテンドーカンファレンス2010にて3DSの発売日や価格が発表されましたが、いずれも大方の予想を下回るものでした。
発表前、3DSは2010年末に2万円以下で発売されるものだと見られていました。
しかし、実際に発表された発売日は2011年2月26日。価格は25,000円だったので、
3DSは発売日も値段も残念だな…
やっぱ25000円は高い
などなど、投資家やユーザーの間では残念な声が目立ってしまいます。
発売日が予想よりも遅いのは百歩譲るとして、なぜ、任天堂は携帯型ゲーム機をこんなにも高い値段で売り出そうとしていたのでしょうか?
そこには強い自信がありました。
当時の任天堂はDSやWiiの大ヒットによって業績が絶好調で、2009年度の売上高は1兆4,343億円。営業利益3,565億円を計上。
これは前年度の売上高1兆8,386億円。営業利益5,552億円を下回ってはいますが、依然として高水準を保っています。
また、3DS本体には様々な機能が搭載されています。
裸眼立体視はもちろん、「顔シューティング」「ARゲームズ」など大量の内蔵ソフト、すれちがい通信、前世代機であるDSの互換機能などなど。
ゲームソフトを買わなくても満足できるようになっていますし、圧倒的なブランド力を持ったタイトル群を早期に発売する計画が進んでいましたので、当時の任天堂は
「魅力的なコンテンツを揃えたから25,000円で売り出しても大丈夫だろう」
と考えていたのでしょう。
が、この強い自信が大きな仇となってしまいました。
2011年:波乱万丈の1年目
発売に向けての前夜祭
2011年1月8~10日。3DSソフトを体験できるイベント「NINTENDO WORLD 2011 ニンテンドー3DS体験会」が千葉の幕張メッセにて開催。
約26,000人もの来場者が集まり、当時はぼくも参加して盛り上がりました。
3DSを初めて触った時の率直な感想は、3D映像が予想以上に凄いことです。
正直、裸眼でも見えるということで大したものではないと思っていたんですが、実際には奥行き感が凄く、3Dアクションゲームでは手前から奥へ進んでいく感覚を味わえました。
当日には本体と同日に発売されるタイトルも発表。
- nintendogs + cats
- レイトン教授と奇跡の仮面
- 戦国無双 Chronicle
- スーパーストリートファイターIV 3D EDITION
- リッジレーサー3D
- ウイニングイレブン 3DSoccer
- コンバット オブ ジャイアント ダイナソー3D
- とびだす!パズルボブル 3D
しかし、任天堂のタイトルは「nintendogs + cats」のみで、どちらかと言うとソフトメーカーのタイトルが目立っていました。
そして2011年2月26日。ついに3DSが発売を迎えます。
発売週の売上は約37万台。DSの約44万台と比べたらやや下がってしまいましたが、まずまず好調な出足となり、発売2週目も約20万台を販売。
さすが一世を風靡したDSの後継機だけあって好調なスタートを切りました。
悲劇の始まり
順調にスタートを切ったかのように見えた3DSですが、ここから様々な不運が重なってしまい、販売台数にブレーキが掛かります。
まず訪れた不運が、2011年3月11日に発生した東日本大震災です。
東日本大震災は東北を中心に起こった大地震で、各地で大被害が巻き起こりました。
その影響で日本全体が自粛ムードに包まれ、物流もストップしてしまったことから経済への悪影響が発生。
ゲーム業界も例外ではなく、3DSの販売台数は急速に落ちてしまいます。
震災が発生した3週目の売上は約10万台と半減し、4週目は6万台、7週目は3万台まで下がってしまいました。
頼みの綱となるタイトルも軒並み延期。当初予定していたスケジュールにポッカリと穴が空いてしまい、任天堂は一転して大ピンチを迎えてしまいます。
有力タイトルで巻き返そうとするものの・・・
震災の自粛モードが解消されつつあった2011年6月。
延期していた3DSのソフトやサービスがようやく展開されます。
まず、6月7日にはニンテンドーeショップをオープン。3DS本体からアクセスすることでダウンロードソフトなどを購入できるようにします。
3DS専用タイトルはもちろん、昔懐かしのゲームを再現したバーチャルコンソールなど、パッケージでは展開しにくいタイトルが多数配信されました。
6月16日には有力タイトルの「ゼルダの伝説 時のオカリナ3D」を発売。
本作は1998年にN64で発売された「ゼルダの伝説 時のオカリナ」のリメイク作で、グラフィックが美しくなったほか、3D映像でも楽しめるようにします。
追加要素も満載で、ボスラッシュモードや裏モードなど、N64版をプレイ済の方でも新鮮味に楽しむことができました。
そして7月14日には「スターフォックス64 3D」を発売。
こちらもN64で発売された名作のリメイク版で、ファンにとっては待望の発売でした。
同日には新色のフレアレッドを発売。既存のカラーバリエーションでは満足できない人にアピールしますが、これらを持ってしても3DSの勢いは戻りませんでした。
最大の有力タイトルだった「ゼルダの伝説 時のオカリナ3D」の初週売上は約16万本。
「スターフォックス64 3D」も初週3万本に留まってしまい、本体の牽引も限定的なものになってしまいます。
3DSの風評も決して良いものではなく、
25,000円は高い
3D機能は要らない
欲しいゲームが少ない
など、本体の価格設定や3D機能、ソフトラインナップなどの不満が目立ってしまいます。
特に3D機能は賛否が分かれてしまい、奥行き感に絶賛する人もいれば一度使っただけで止めてしまった人もいて、ネット上では様々な意見が飛び交いました。
PSVITAの価格発表で絶体絶命の大ピンチに!?
3DSの不調がネット上で囁かれていた2011年6月。
ライバルハードとなるPSVITAの価格が発表されましたが、3DSにとっては非常に分が悪い価格設定でした。
PSVITAは当時の携帯ゲーム機としては非常に高性能で、据え置き機でいうPS3をやや下回るくらいのマシンパワーがあります。
にも関わらず低価格のWi-Fi版は24,980円と当時の3DSよりも20円安く、「アンチャーテッド 地図なき冒険の始まり」などの有力タイトルが多数発表。
それを受けてネット上では
ソニー頑張りましたねえ
こりゃほんと任天堂はマジで頑張らないと、ヤバいですよ。
などなど、PSVITAに関心が流れてしまい、3DSへの危機感が強まってしまいます。
さらに追い打ちをかけたのが、「ロックマンDASH3」の発売中止です。
「ロックマンDASH3」は3Dアクションアドベンチャーゲームで、根強い人気を誇っていたシリーズの3作目ですが、2011年7月。様々な事情で発売中止になってしまいます。
当時は3DSの不調が囁かれていただけに、不安を煽るような発表でした。
1万円の電撃値下げに踏み出す!
販売ペースの低下。
有力タイトルの発売延期&発売中止。
期待が高まるPSVITA。
3DSにとって不利な話題が続出するなか、2011年7月28日。
任天堂は2011年8月11日から3DSの価格を25,000円から15,000円に値下げすることを発表しました。
3DS本体が発売されたのは同年の2月26日ですから、半年も経たずに10,000円もの値下げは大きな話題となり、ネット上ではかつてないほどの論争が巻き起こります。
発売日に買って損したと怒る人。英断だと絶賛する人。
本当に多くの意見が飛び交いました。
補足しておきますが、値下げ前に購入した人へのフォローが全く無かった訳ではありません。
任天堂はアンバサダープログラムという形でファミコンソフトとゲームボーイアドバンスソフトの計20タイトルを無償提供します。
これらのタイトルを合計した金額は10,000円を優に超えるので、個人的には有り難く頂戴しましたが、この件を受けて任天堂への不信感を持ってしまった人が多く見られました。
当ブログのコメント欄 でも
こんな大幅な値下げができるのなら初めからもっと安くできたのではと言いたくなる
値下げをするのであれば最低でも新色が発売される前に告知し実行するべきだった
などなど、否定的な声が目立っていました。
勢いを取り戻す3DS
大幅値下げをした2011年8月。値下げ週の売上は約20万台と前週から大きく持ち直します。
そして2011年9月。「モンスターハンター」シリーズ2作が3DS向けに発売されることが発表され、ゲーム業界にさらなる激震が走りました。
当時の時点でモンスターハンターシリーズは影響力が絶大で、前年に発売された「モンスターハンターポータブル3rd」は400万本以上を販売。
日本を代表とする人気タイトルに君臨していましたが、多くはプレイステーションポータブル向けに展開されていました。
そのため最新作は後継機のPSVITAで発売されるものだと思われていたので、3DSへの移籍は各地で大きな話題になります。
1万円の大幅値下げ、立て続けに発表された「モンスターハンター」シリーズ関連作。
これらの影響を受けて3DS本体の販売ペースは大幅に加速します。
2011年の年末商戦で大爆発!
3DSに良い流れが出てきた2011年末。3本のビッグタイトルが発売されます。
まず発売されたのが、「スーパーマリオ3Dランド」です。
同作はステージクリア型の3Dアクションゲームで、スタートからゴールを目指していきます。
据え置き型のマリオと比べたらコンパクトな内容でしたが、3Dアクションゲームが苦手な方でも楽しめるようカメラが自動で頭上視点になるなど、初心者に向けたアプローチを徹底。
その甲斐あって新規ファンの取り込みに成功しました。
続いて発売されたのが「マリオカート7」。
同作はマリオファミリーがカートで走行するレースゲームで、アイテムを使った駆け引きを楽しむことができます。
新要素も満載で、空中や水中エリアの追加、カートのカスタマイズなどなど、据え置き型のゲームと比べても遜色ないクオリティとなりました。
その1週間後には「モンスターハンター3G」を発売。
同作はWiiで発売されたハンティングアクションゲーム「モンスターハンター3」のアップグレード版で、様々な新要素が追加されました。
スーパーマリオ3Dランド、マリオカート7、モンスターハンター3G。
これらのタイトルは同時期に発売されたことから3DS御三家とも言われ、いずれも200万本以上の大ヒットを記録します。
特に「マリオカート7」は発売から8年が経っても継続的に売れ続けるモンスタータイトルとなりました。
その影響で本体の販売ペースもさらに加速して、2011年12月第4週には約51万台を販売し、発売週を上回るほどの売上を記録。
累計販売台数も300万台、400万台、500万台をあっという間に達成し、2005年末のDSを彷彿とさせるような勢いを見せてくれました。
2012年:絶好調の裏に隠された問題点が発覚!
ヒット作を連発!3DS絶好調!
圧倒的な売上を記録した2011年末。
3DSの勢いは留まることを知らず、2012年にも大ヒットを連発します。
2012年1月には「バイオハザード リベレーションズ」を。3月には「新・光神話パルテナの鏡」「キングダム ハーツ3D」を発売し、いずれも30万本クラスのヒットを記録。
4月には「ファイアーエムブレム覚醒」が。5月には「マリオテニス オープン」発売され、いずれも30~40万本クラスのヒットを記録し、シリーズのリブートに成功します。
そして7月には「New スーパーマリオブラザーズ 2」を。11月には「とびだせ どうぶつの森」を発売。
「マリオカート7」と並ぶ定番タイトルとなり、300~400万本クラスの爆ヒットを記録。
その甲斐あって2012年も全機種の中でトップシェアとなり、携帯ゲーム機としてはダントツで高い人気を誇るようになります。
このように3DSは大幅値下げや大ヒットタイトルの連発によって一定の地位を確保しましたが、その影では手放して喜べない現実がありました。
任天堂が赤字に転落!?
3DSが大ヒットし、絶好調に見えた任天堂でしたが、2012年3月期の連結決算では最終損益が432億円の赤字を計上します。
大きな要因となったのが3DSの大幅値下げによる逆ザヤでした。
さすがに10,000円の値下げには無理があったようで、本体を売る度に赤字となっていたことが発覚します。
さらに問題となったのが、売上の大半を占めていた欧米市場による任天堂の存在感が薄れていたことです。
欧米市場ではWiiの大ヒットによって2010年までは任天堂が強さを誇っていましたが、2011年頃には沈静化してしまい、Xbox 360のKinectなどに注目が集まっていました。
加えて欧米市場では据え置き機が強く、携帯機は子供が遊ぶゲーム機という印象が強かったりします。
そのため欧米市場では3DSを大幅値下げしても国内ほどは販売が思うように伸びませんでした。
このような背景もあり、2012年7月に発売された新モデル、ニンテンドー3DSLLは
- ACアダプター
- 充電スタンド
を同梱せず、別売りにするなどコスト削減を徹底。
しかし、その苦労も虚しく2013年3月期も364億円の赤字を計上してしまい、任天堂の評価は国内での高い売上とは裏腹に低迷します。
スマートフォンのゲームが大流行!
同時期、ゲーム業界では大きなパラダイムシフトが巻き起こっていました。
その代表格となるのがスマートフォンゲームです。
2011年、ガラケーでのソーシャルゲームが人気を博しますが、これらのゲームは非常に単純で、家庭用ゲームの足元にも及ばないものでした。
しかし、2012年に配信された「パズル&ドラゴンズ」によってそのような流れが大きく変わろうとします。
「パズル&ドラゴンズ」はパズルとRPGを融合させたようなゲームですが、
- カチャカチャとパネルを動かすだけで楽しめる心地良さ
- 複雑な数字遊び
によって奥深いゲーム性を実現します。
衝撃的だったのが、こんなにも凝ったゲームを基本プレイ無料で楽しめてしまうことです。
課金をすることでゲームを有利に進めることはできますが、基本的には無料でプレイできるので、5,000円以上を支払わないとプレイできない家庭用ゲームよりもずっと気軽に楽しむことができます。
そういったお手軽性、ユーザー同士のコミュニケーション機能によって「パズル&ドラゴンズ」は日を追う毎にダウンロード数が加速。
気が付けば1,000万、2,000万ダウンロードを突破し、空前の大ヒットを記録します。
この流れを受けて「モンスターストライク」などのフォロワータイトルが誕生。
スマートフォン×ソーシャル×RPGの組み合わせはスタンダードとなり、ゲームの新たな文化を築き上げることに成功しました。
このように世間ではスマートフォンのゲームが大流行となり、3DSなどのゲーム専用機は存在感が薄れてしまいます。
この辺りは様々な見解がありますが、ぼく個人としては、多かれ少なかれ影響は受けていたように感じます。
特に顕著だったのがコナミです。同社は2010年頃までは家庭用ゲーム市場を代表するソフトメーカーでしたが、2011年以降はスマホゲームを中心に展開するようになりました。
また、本格的な基本プレイ無料ゲームの台頭により、ユーザーのゲームに対する金銭感覚も大きく変わっていきます。
具体的に言いますと、ゲームは無料で遊べるものという風潮が強くなり、買い切り型に抵抗を持つ人が増えてしまいます。
このようなパラダイムシフトが巻き起こったことにより、3DSは圧倒的な強さを見せていたDSほどの人気を得ることはできませんでした。
2013~2014年:スマホに負けじとヒット作を連発!
スマホゲームの圧倒的な勢いに押されてしまった3DSですが、負けじと大型タイトルを連発します。
まず、2013年4月には「トモダチコレクション 新生活」を発売。
同作はMii同士のコミュケーションを楽しむソフトで、観察することに面白さの主眼が置かれています。
売上の方はDSで発売された前作ほどではありませんが、それでも150万本を軽々と超えるほどの大ヒットを記録しました。
そして2013年秋には「ポケットモンスターX・Y」「モンスターハンター4」といった2大モンスタータイトルが発売。
前者は「ポケットモンスター」シリーズの3DSでは初となる本編で、前作から飛躍的にパワーアップしたグラフィックや圧倒的な種類のポケモンに注目が集まりました。
後者は「モンスターハンター」シリーズの待望となるナンバリングタイトル。高低差を活かした立体的なアクションなどが話題になり、PSP時代と遜色のない売上を記録します。
これらのタイトルが発売されたことで3DSの販売ペースは再び加速。2013年末には累計販売台数が国内だけで1,400万台を突破しました。
妖怪ウォッチが大ブレイク!
そして2014年。「妖怪ウォッチ」が大ブレイクを果たします。
「妖怪ウォッチ」はレベルファイブが贈る新たなクロスメディアプロジェクトで、当初は少年と妖怪を中心としたストーリーが展開されるアドベンチャー形式のRPGとして売り出されていました。
売上の方はプロジェクト始動直後こそは緩やかでしたが、2014年1月からTVアニメが開始されると勢いが爆発。
同年7月に発売された3DS向けの2作目は発売週から130万本以上を売り上げるなど爆発的なヒットを記録します。
その勢いは留まることを知らず、2014年末には劇場映画が公開。テーマ曲も大ヒットを記録し、2014年は「妖怪ウォッチ」の年と言っても過言ではないほど大流行しました。
そんな「妖怪ウォッチ」の人気を支えていたのが、当時、小学生だった子供たちです。
玩具との連動、多彩な収集要素など、子供にはたまらない要素が満載で、学校内では「妖怪ウォッチ」の話題で持ち切りでした。
また、3DS自体も小中学生を中心に人気となり、この頃になると本体の内蔵ソフトをスマートフォンの代わりに利用される子供が増加します。
旅行に出掛けた時は3DSカメラで撮影したり、フレンドリストのひと言コメントをLINEの代わりに利用したり。
本体に内蔵されている機能を活用することでスマホの代替品となったので、3DSは当時、子供だった方々にとってはかけがえのない存在となりました。
2014年:Newニンテンドー3DSが発売!
2014年10月にはNewニンテンドー3DS(以下、New3DS)が発売。
本ハードは3DSの上位モデルで、
- Cスティック、ZLボタン、ZRボタンの追加
- 3Dブレ防止機能の搭載
- NFC(近距離無線通信)への対応
- CPU性能の向上
- インターネットブラウザーでの動画再生の対応
など、様々な機能が拡張。ごく一部ではありますが、New3DS専用ソフトも発売されました。
あくまでもマイナーチェンジ機ではありますが、通常の3DSで不満だった部分が改善されて、ゲーム機としての完成度は着実に増しています。
同時期には
- 大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS
- モンスターハンター4G
- ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア
- 妖怪ウォッチ2 真打
といったビックタイトルが発売され、いずれも国内だけで200万本以上の大ヒットを記録。
僅か半年で200万本クラスのタイトルが同一ハードで誕生するという前代未聞の記録を打ち立てました。
また、この頃になるとスマホゲームの3DS版を発売する流れも生まれてきました。
2013年末には「パズドラZ」が。2015年末には「モンスターストライク」が発売。
どちらもオリジナルストーリーを加えた完全新作で、買い切り型のゲームならではの遊びを提案します。
売上の方は期待ほどの物ではありませんでしたが、それでも100万本以上を販売。3DSでも一定の存在感を見せつけました。
年間の発売タイトル数もこの頃になるとピークに達し、特にダウンロードタイトルは2014年だけで223本も発売。
1つ1つは小粒ですが、「引ク押ス」「電波人間のRPG」「蒼き雷霆ガンヴォルト」「カービィファイターズZ」など、数多くの新規タイトルが誕生します。
2016年:2DSの発売でゲームの入門機に!?
2016年2月、新モデルのニンテンドー2DSが発売されます。
本ハードは3DSの廉価版的な立ち位置で、裸眼立体視や折り畳み機能がカットされているほか、サウンドもモノラルにグレードダウンしています。
その分、価格は税別9,800円に抑えられていますが、発表当時は物議を醸しました。
3DSと言えば「メガネがいらない3DのDS」というキャッチコピーで売り出すなど、3D映像を全面に押し出していたゲーム機です。
そんな目玉とも言える機能を省いたモデルを発売するのは3DSのコンセプトそのものを否定しているのではないか?
といった意見も見受けられましたが、3D映像をOFFにして遊ぶユーザーが増加傾向であったのも事実だったりします。
体質的に使えない人はもちろん、最初は使っていたけど、インパクトが薄れて途中から使わなくなった人も多く見受けられました。
また、6歳以下の子供には目の成長に悪影響を与えるため制限をしないといけない事情もあったりします。
当時の3DSは子供たちの間で爆発的な人気を博していましたので、2DSはゲームを初めて遊ばれる方をターゲットにした入門機として発売することにしました。
当初は「ポケットモンスター 赤・緑・青・ピカチュウ」限定パックのみの販売でしたが、2016年9月からは一般販売も開始。徐々に3DSから2DSへの移行が始まっていきます。
2017~2018年:Switchが発売され3DSは徐々に引退
Switchが発売
2017年3月、任天堂から新型ゲーム機のニンテンドースイッチが発売されます。
本ハードは据え置き機と携帯機のハイブリッド式で、3DSのように持ち運んでゲームをプレイすることもできます。
そのため3DSとは方向性が被ってしまいますが、この時点では2本柱として展開する方針だったので、Switchの発売以降も3DS向けの新作が続々と発売されました。
「モンスターハンターダブルクロス」「ファイアーエムブレム エコーズ」「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」「ポケットモンスター ウルトラサン/ウルトラムーン」などなど。
数多くの大ヒット作が誕生しましたが、その多くはバージョンアップ版やリメイク作に留まっていたので、3DS市場は年々先細っていきます。
New2DSが発売!裸眼立体視非対応のタイトルも続出!?
2017年7月にはNewニンテンドー2DS(以下、New2DS)が発売。
本ハードは3DSの最終モデルで、New3DSと2DSの特徴を融合させたような感じになっています。
2DSのように裸眼立体視機能を排除している一方、それ以外はNew3DSと同等の機能を持ち合わせているので、
「3D機能は使わないけど、性能はできるだけ上げてほしい」
という人にとっては待望のモデルとなりました。
その一方で3D機能は徐々に影を潜めてしまい、任天堂のタイトルですらも3D非対応のタイトルが増え始めてきます。
2018年に入る頃には大半のタイトルが非対応となり、3DSの代名詞とも言われていた裸眼立体視は役目を終えることになりました。
2019~2023年:3DS引退へ
発売9年目を迎えた2019年。ニンテンドースイッチが市場の中心となり、3DS市場は急速に縮小します。
新作も2019年後半になると全く発売されなくなり、3DSで人気を博していた「ポケットモンスター」「モンスターハンター」「妖怪ウォッチ」シリーズはSwitchやPS4などの据え置き機へ移行。
そんな流れをさらに加速させたのがニンテンドースイッチ Liteです。
本ハードは携帯機に特化したSwitchで、通常のモデルよりも小さくなり、完全な携帯ゲーム機として売り出されました。
同時期には「ポケットモンスター」「どうぶつの森」シリーズの最新作がSwitch向けに発売。Switchは携帯ゲーム機としても注目を集めるようになります。
そして2020年9月。3DSシリーズ全てが生産終了。
2023年3月28日にはニンテンドーeショップのサービスが終了となり、3DSは歴史に幕を閉じます。
ニンテンドー3DSの歴史まとめ
ここまで3DSの軌跡を振り返っていきました。
こうしてみると、3DSは厳しい時代を生き抜いてきたことがわかりますね。
国内での累計販売台数は2,526万台と歴代3位の好成績ですが、それとは裏腹に
- DSの越えられない壁
- 東日本大震災
- 裸眼立体視への抵抗
- スマホゲームの台頭
- 大幅値下げによる赤字
などの不運が重なってしまい、どこか不遇なゲーム機という印象もあります。
しかし、本ハードから本当に沢山の良作が生まれたのもまた事実です。
「ポケットモンスター」や」モンスターハンター」「どうぶつの森」「トモダチコレクション」といった人気タイトルの続編はもちろん、「妖怪ウォッチ」「電波人間のRPG」といった新規タイトルも誕生しました。
3DS本体も魅力的で、インターネットブラウザや顔シューティング、ARゲームズ、DSとの互換機能などなど。今でも使える便利機能が満載ですので、今後も3DSは稼働していきたいですね。
FC | SFC | N64 |
GC | Wii | Wii U |
Switch | GB | GBA |
DS | 3DS | 64DD |
PS1 | PS2 | PS3 |
PS4 | PSP | PSVITA |
MD | SS | DC |
Xbox | Xbox 360 | Xbox One |
PCE | WS |
本記事の動画版
改めて振り返ると、凄く激動の道のりを歩んだハードですね。我が家では、妖怪ウォッチ2の発売の頃がピークで、家族がそれぞれの3dsで遊んでいました。妖怪ウォッチは、初代が発売した頃、「この猫めっちゃ可愛い!」と思立たんですが、アニメ化した途端、一気にブレイクしたのは驚きました。
凄くいろんなゲームも出たし、本当に時代を代表するゲーム機ですね。
開発されるゲームが多い分、ロックマンDASH3の以外にも世に出なかったソフトもあったのは残念でしたねー。