PSPの後継機として知られる携帯ゲーム機、PSVITA(プレイステーション ヴィータ)。
残念ながら2019年に生産終了することが発表され、その幕を閉じようとしています。
そこで!
本記事ではPSVITAの一生をぼくの観点から振り返っていきましょう!
目次
2011年:期待度が半端なかった発売前
衝撃の発表!
世間がPSP「モンスターハンターポータブル 3rd」で賑わっていた2011年1月27日。
SIE(当時SCE)が「PlayStation Meeting 2011」にて新型携帯ゲーム機を電撃発表をしたんです!
それがPSVITA!
当初はPSVITAではなくコードネームの「NGP/Next Generation Portable」と呼ばれ、プレイステーションポータブル(以下、PSP)の後継機としてアナウンスされていました。
何よりも衝撃的だったのがマシンスペック。
当時現役だったプレイステーション3(以下、PS3)をやや下回るくらいの性能と言われていたので、インパクトは相当なものでした。
このクオリティのゲームが携帯機でプレイできるようになるのか!?
当時は3DSですらも発売されていなかったので、単純に驚いたのをよく覚えています。
しかもPSVITAは単にマシンスペックが高いだけではありません
3G回線、タッチスクリーン、背面タッチパッド、右スティック、カメラが新たに搭載され、PSP以上に万能ハードになったんです!
狙いとしては当時主流になりつつあったスマホへの対抗。そして、欧米市場の攻略でした。
欧米市場でのPSPは出足こそは良かったものの後半から失速してしまい、SIEとしては後味の悪いハードだったんです。
そんな苦味を受け入れつつPSVITAでリベンジを果たそうとします。
まさかの低価格
でもお高いんでしょう?
PSVITAは当時としてはあまりにもハイスペックな携帯機だったので、価格は非常に高くなると思われていました。
何よりも2011年2月に発売されたニンテンドー3DSが25,000円だったので、それよりも高くなるというのが大方の予想だったんです。
しかし、この予想は大きく覆されることになります。
PSVITAの価格が発表されたのはE3 2011のSIEプレスカンファレンスでした。
気になる価格は・・・
3G/Wi-Fi版が29,980円!Wi-Fi版が24,800円!
なんと、Wi-Fi版は当時の3DSよりも20円安い価格だったんです!
同時期には多数のタイトルが発表され、注目作も目白押しだったので、PSVITAの期待度は高まるばかりでした。
それとは対象的に厳しかったのが3DS。
価格の高さで前世代機のDSと比べて販売が伸び悩み、「ロックマンDASH3」の開発中止など悪いニュースも飛び込んでいたんです。
PSVITAはこのままトップシェアハードになるのではないか?
そんな意見が飛び交うほど当時のPSVITAには追い風が吹いていました。しかし・・・
モンスターハンター4が3DSで発売決定!?
国内でPSPが人気を博した大きな要因が「モンスターハンターポータブル」シリーズのヒットでした。
以下、PSPソフトの売上TOP5になります。
2位 モンスターハンターポータブル 2nd G 235.3万
3位 モンスターハンターポータブル 2nd 172.3万
4位 モンスターハンターポータブル 2nd G PSP the Best 111.2万
5位 ディシディア ファイナルファンタジー 90.2万
1位から4位までが見事に「モンスターハンターポータブル」シリーズで埋め尽くされているのが分かりますよね?
しかもミリオンセラーは「モンスターハンターポータブル」シリーズしか見当たりません。
それだけPSP市場は「モンスターハンターポータブル」に依存していたんです。
そのためPSVITAへの期待は「モンスターハンター」シリーズの発売が前提としてあったと思います。
しかし・・・
2011年9月13日。「ニンテンドー3DSカンファレンス 2011」にて「モンスターハンター4」が3DS向けに発表されたんです!
それまで「モンスターハンター」とは無縁だった任天堂の携帯機でシリーズ最新作が発表されたのは衝撃的でした。
この発表を受けて3DSの販売速度は上昇。
前月に行った異例の10,000円値下げと相まってそれまでの鈍足が嘘のように爆発的な売上を記録するようになります。
こうしてPSVITAの状況は僅か3ヵ月で急変してしまいました。
しかし、翌日の2011年9月14日には発売日が2011年12月17日であることが発表され、同日に26タイトル以上を投入すると発表されたんです。
「モンスターハンター」シリーズ最新作が発売されないとは言えユーザーの期待度は依然として高く、同時期に開催された東京ゲームショウ2011のSIEブースはPSVITA目当ての行列が発生しました。
予約も好調で、特にWi-Fiモデルの予約は困難を極めたものです。
出足こそは良かったが・・・
そして2011年12月17日。PSVITAは発売されました。
僕も行列に並びながら買いましたよ。
初めてPSVITAを触った時に印象的だったのが、有機ELによる美しい発色。
前世代機のPSPでは見られなかった鮮やかな映像が素敵でした。
それでいてブロガーには嬉しいスクリーンショット機能。
PS3で搭載されたトロフィー機能が追加され、発売日の時点でPSPよりも気に入ってしまいましたw
もっとこのゲーム機に対応したソフトをプレイしたい!
そう思わせてくれるほどの魅力を感じるゲーム機だったと思います。
そんなPSVITAの初週売上は約32万台でした。
これは前ハードのPSPを大きく上回る出足で、スタートダッシュは好調だったと思います。
2012年:有力タイトルが不足して低迷
スタートダッシュは決めたが・・・
年が明けて2012年。
スタートダッシュを決めたPSVITAは新年早々かっ飛ばして行きました!
・・・と言いたいところですが、そこには厳しい現実が待っていたんです。
発売週に約32万台を売り上げたのは良いものの翌週には8万台までダウン。
さらに3週間後には15,000台程度しか売れず、早くも低迷してしまったんです。
低迷の理由はロンチタイトルのラインナップにありました。
SIEは「みんなのGOLF6」「アンチャーテッド 地図なき冒険の始まり」といった自社の主力タイトルを投入するものの本体を牽引するには至らず。
サードパーティからも「真・三國無双NEXT」「塊魂 ノ・ビータ」「リッジレーサー」など注目作はありましたが、いずれも不発。
「モンスターハンター」のようなミリオンセラーを狙えるタイトルが全く無かったことでライトユーザーに訴求出来ず、アーリーアダプター層しか手を出さなかったんです。
初めての大ヒット作となったペルソナ4 ザ・ゴールデン
そんな中で投入されたのが2012年6月発売の「ペルソナ4 ザ・ゴールデン」。
本作はPS2で発売された「ペルソナ4」のバージョンアップ版になります。
完全新作ではありませんが、口コミで人気が広がっていた作品のバージョンアップ版なので発売直後からヒットしました。
それ以降も定期的に売れ続け、累計売上は30万本以上を言われています。
かく言う僕も今作でシリーズデビューを果たし、その内容の素晴らしさに感動したものです。
初音ミクが早くも参戦!
2012年8月には「初音ミク -Project DIVA – f」が発売。
PSPで人気を博したリズムアクションゲームが早くもPSVITAで発売されたことからこちらもヒットを記録!
PSVITAにハマっていた当時のぼくも本作でシリーズデビューを果たし、ボーカロイドの世界へ入っていくのでした。
日本ゲーム大賞を受賞したグラビティデイズ
2012年のPSVITAを語るうえで外せないのが「グラビティデイズ」。
本作はオープンワールドの3Dアクションゲームで、重力を使ったアクションが特徴的でした。
その斬新さは3Dアクションゲーム好きとしては衝撃的なもので、これが携帯機でプレイできることに衝撃を受けたものです。
そんな「グラビティデイズ」は日本ゲーム大賞2012で大賞を受賞。
大ヒットこそはしませんでしたが、ユーザーに高く評価されました。
粒ぞろいのラインナップでも売上は苦戦
このように1年目のPSVITAは大ヒットタイトルこそはないものの粒ぞろいのラインナップで、個人的な満足度は相当なものだったんです。
しかし、それとは裏腹に売上は振るわず、2012年の国内販売台数は約69万台でした。
前年と合わせてもようやく累計100万台を突破する程度。
さらに厳しかったのが、SIEが最も意識していたであろう欧米市場での売上です。
SIEの狙いも虚しく欧米でのPSVITA市場は絶不調で、NPD調べによると発売4日間の売上は22.5万台程度でした。
北米は日本よりも5倍ほど大きな市場なので、それでこの売上は厳しすぎます。
この結果を受けてSIEはPSVITAへの主力を止めてPS4へ移行するようになるのでした。
2013年:値下げと新型と狩りゲーで巻き返しを図る!
最大10,000円の大幅値下げ!
2013年2月22日。同年2月28日からPSVITAを19,980円に値下げすると発表しました。
当時のPSVITAは3G/Wi-FiモデルとWi-Fiモデルの2種類があったけど、両方とも同じ価格になったんです。
SIEとしては3G回線機能を搭載したモデルの普及を進めたかったんですが、定額料金の関係もあって残念ながら定着しませんでした。
とは言え最大10,000円の値下げはそれなりに効果があったようで、それまで鈍かった売上はようやく加速。2週間で12万台近くを売り上げました。
そんな値下げ週に発売されたのが「閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-」。
本作は3DSで人気を博した「閃乱カグラ」シリーズの3作目になります。
お色気要素はPSVITA市場に良くマッチしていたようで、発売週の売上はシリーズ最高を記録。
その後も売れ続けてシリーズ最大のヒット作になりました。
怒涛の狩りゲーラッシュ!
PSPが売れたのは「モンスターハンターポータブル」があったから。
しかし、3DSで「モンスターハンター4」が発売される関係でPSVITAには発売されません。
そこで打ち出したのが共闘先生プロジェクトでした。
「モンスターハンター」シリーズが発売されない代わりにフォロワータイトルを続々と発売する戦略に打ち出たんです。
2013年だけを振り返ってみても3月に「ソウル・サクリファイス」。
6月に「討鬼伝」。8月に「ラグナロク オデッセイ エース」。
そして11月に「ゴッドイーター2」がPSVITA向けに発売されました。
狩りゲーが求められていただけあって多くのタイトルがヒットし、特に「ゴッドイーター2」は当時のPSVITA市場では最高となる約37万本を販売。
同日に発売されたPSP版以上の売上を記録しました。
個人的に印象的だったのが、「ソウル・サクリファイス」。
当時はそこまで期待していなかったんですが、実際にプレイしてみたら大ハマリしたんです!
そのハマりようはかなりの物で、個人的に最も楽しめた狩りゲーと言っても良いほど。
それまでビッグマウスと思っていた開発者の稲船敬二さんを見直してしまいましたw
新型でさらに売上が加速!さらにPSVITA TVも!?
2013年10月10日には新モデルのPSVITA-2000が発売。
従来のモデルよりも軽量化し、1GBの内蔵メモリを搭載するようになりました。
さらに2013年11月13日にはPSVITA TVが発売!
こちらはTV画面でPSVITAソフトをプレイできるのが特徴のゲーム機で、据え置き機派には嬉しいアイテムだったんです。
これらのモデルが発売されたことによってPSVITAの販売速度はさらに加速。
2013年の販売台数は約122万台と前年から倍増しました!
有力タイトルも順調に増加。今思えばこの頃がPSVITAのピークでした。
2014年:PS4が発売!相乗効果に期待するが…
PS4が発売!
2014年2月22日。PS3の後継機となるプレイステーション4(以下、PS4)が日本で発売されました。
このニュースはPSVITAにとっては無縁ではなく、「リモートプレイ」が新たな価値を提供する存在となったんです。
リモートプレイ自体はPS3でも一部のタイトルに対応していましたが、PS4ではほぼ全タイトル対応になりました。
おかげでPSVITAはPS4ソフトを離れた場所でプレイする携帯機としても活用されるようになったんです。
PS4/PS3/PSVITAの3機種マルチが定着!
一方、この頃からPSVITAの位置付けが変化するようになります。
それまではPSVITAのみで発売されていたシリーズの新作がPS3だけではなくPS4とのマルチタイトルとして販売されるようになったんです。
携帯機志向が強い国内市場ではPSVITAにとってこれはむしろ好都合で、ソフトラインナップがさらに拡充するきっかけになります。
その甲斐あって2014年に発売されたタイトル数は全機種の中で最も多くなりました。
しかし・・・
SIEが不穏な動きを見せるようになる
絶頂期に入ったPSVITA。
このまま勢いを上げていきたいところでしたが、肝心のSIEが不穏な動きを見せるようになりました。
なんと、E3 2014はもちろん、東京ゲームショウ2014でも自社の有力タイトルを全く発表しなかったんです。
発表するのはPS4ソフトばかり。PSVITAソフトは全く発表しません。
結局、SIEがPSVITA向けに発売した純粋なパッケージタイトルは2014年7月発売の「俺の屍を越えてゆけ2」が最後になってしまいました。
SIEにとっては欧米市場での大不振が大きな痛手だったようで、2014年の時点でPS4に全振りすることにしたんです。
2015年:PSVITA史上最大のヒット作が現る!
時は流れて2015年。
SIEがPS4に肩入れするなか、PSVITAに思わぬヒット作が現れます!
それがマインクラフト!
本作は3Dブロックを組み立てて世界を構築していくサンドボックスゲームになります。
既に海外では爆発的な人気を博していましたが、PSVITAパッケージ版の発売をきっかけに国内でも人気に火が付いたんです。
PSVITAの「マインクラフト」はそれまでの同ハードでは見られなかった販売推移をたどり、約2年間に渡って売れ続けました。
その結果、累計売上は国内だけで100万本を突破したんです!
前ハードのPSPは「モンスターハンター」シリーズ以外のミリオンセラーが現れなかったので、これは大きな成果だと思います。
本作のヒットによってPSVITAは子供たちにもある程度の人気を博すようになりました。
2016年:徐々にPS4へ移行
時は流れて2016年。
相変わらずPSVITAでは「マインクラフト」ばかりが売れ続けているなか、PS4とのマルチタイトルに変化が現れるようになったんです。
簡単に言ってしまえばPSVITA版が大きく劣っているケースが増えてきました。
2016年に入ってPS4も普及してきたので、各社がそちらをベースにマルチタイトルを開発するようになったツケがPSVITAに回ってきたんです。
その影響もあってマルチタイトルですらもPS4版の方が売れるケースが増えるようになり、PSVITAの存在感はさらに薄れてしまいました。
2017年:Switchの発売が追い打ちに!?
さらに追い打ちを掛けたのが、2017年に発売されたニンテンドースイッチ(以下、Switch)です。
本ハードは据え置き機ながらも携帯モードによって携帯機のような感覚で楽しむことが特徴となっています。
その携帯モードがPSVITAを一回り大きくさせたような形状であることからサードパーティがそちらへ流れるようになったんです。
一般タイトルはもちろん、地味に支えていた乙女ゲーまでSwitchへ移行することになった時は驚きました。
2018年:生産終了を発表
そして2018年9月。PSVITAの販売が2019年に終了されることが発表されました。
2011年の発売から約8年。ここでPSVITAの歴史に終止符を打つことになりそうです。
振り返ってみるとPSVITAは不遇なハードだったと思います。
対3DS。対スマホ。
あらゆるライバルに太刀打ち出来ず、ハートメーカーのSIEは欧米市場での苦戦を機にPS4へ力を入れるようになり、最後にはSwitchに取って代わるとは・・・。
しかし、2010年代前半にリッチな正統派携帯ゲーム機として一定の地位を得たのは間違いありません。
個人的にも携帯ゲーム機の熱を大きく強めた役割を果たしてくれた印象で、とてもお世話になりました。
ゲームアーカイブスやPSPソフトにも対応しているなど汎用性は高いので、もう少しの間はボチボチと稼働を続けたいと思います。
FC | SFC | N64 |
GC | Wii | Wii U |
Switch | GB | GBA |
DS | 3DS | 64DD |
PS1 | PS2 | PS3 |
PS4 | PSP | PSVITA |
MD | SS | DC |
Xbox | Xbox 360 | Xbox One |
PCE | WS |
せっかくの高性能も、ボタンが小さすぎてアクションには向かないのがもったいないゲーム機でした。キレイな画面は、テキスト萌えゲーには最適ですが。